楽しかったW杯ももう終わり。もう決勝戦だけになっちゃいました…この試合が終わればまた後4年待たなきゃならないなんて。ならないなんてー!!!!
……それでも、この4年間のそれぞれの国が紡いだ物語のクライマックスはいつもこの決勝戦に詰まっています。さぁ、FIFAワールドカップ決勝です。アルゼンチンか、フランスか。まるで運命に約束されたようなこの決勝戦……王の戴冠か連覇か。懸けるものの強すぎる両者の歴史がカタールの地で生まれます。
…という訳で。
今回はFIFAワールドカップの決勝戦、そしてアルゼンチンvsフランスというカードについて、決勝戦がもっと面白くなる(かもしれない)トリビアを22個紹介していきます!
…今回すごいんですよ。サッカーって敵味方22人のプレーヤーが戦うスポーツじゃないですか。そんなスポーツが迎えた2022年のワールドカップは、実は奇遇にもなんと22回目のワールドカップです。という訳で、ここでとりあえずトリビアの数も22個に設定しております。
さぁ、決勝の前に、豆知識を増やしてテレビの前に向かいましょう!
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#1 記録だらけのメッシの運命や如何に
「メッシが最後のW杯にして最後の夢であるW杯制覇を果たせるかどうか」……それは大会前から、このカタールW杯に於ける大きなテーマだったし、おそらく決勝戦も、ある種それが主語になってくる部分があるだろう。
既にメッシはW杯史に残る様々な記録を樹立している。5度目のW杯挑戦となるメッシは準決勝クロアチア戦の得点でアルゼンチン代表に於けるW杯最多得点記録を更新し、決勝戦に出場すればローター・マテウスが保持していたW杯最多出場記録も更新することになる。だが、メッシにとって最後のピースはそのいずれでもないのは言うまでもない。
今のアルゼンチンは、ある種メッシの夢が全員の夢のような状態にもなっている。果たして英雄は、サッカー史上最高の選手への最後のピースを埋める事が出来るだろうか。
#2 連覇となれば超偉業!
懸けるものがあるのはフランスも同じ。フランスの場合、それは言うまでもなく連覇である。
フランスが連覇を達成した場合は、1934年と1938年のイタリア、1958年と1962年のブラジル以来3チーム目。即ち、もしフランスが連覇を達成した場合、実に60年ぶり…最後の連覇の年に生まれた人物は今年還暦を迎えたという訳である。21世紀はおろか、実に半世紀以上W杯連覇を達成したチームは現れていない。フランスにとって、今回を逃せば次に連覇のチャンスがあるとすれば最短でも2030年W杯となるだけに、ここで歴史を作りたいところだろう。
ちなみに、直近で連覇の可能性を決勝まで残していたのは1998年のブラジルだったが、奇遇にもこの時、ブラジルの連覇を決勝の舞台で打ち砕いたのがフランスだった。
#3 どちらも優勝すれば3回目
アルゼンチンもフランスも、共に過去の優勝回数は2回であり、メッシの初戴冠やフランスの連覇というお互いのストーリー性は大きく異なってはいるが、共に3回目の優勝を目指すという意味では共通項を抱えている。アルゼンチンは1978年と1986年、フランスは1998年と2018年の優勝で、共に初優勝は自国開催のW杯での優勝だった。フランスが優勝すれば連覇なのは上で述べた通りだが、アルゼンチンの場合はマラドーナの大会から36年ぶりの優勝となる。
ちなみに過去に優勝回数が同数の国同士が激突する決勝戦は、共に勝てば初優勝という構図だった2010年のオランダvsスペインを除けば1990年以来となる。この時は西ドイツvsアルゼンチンというカードだった。
#4 お互いに決勝経験豊富
共に3度目の優勝を狙う両者だが、前回と前々回のファイナリストともあってお互いに決勝戦進出経験は多い。
2014年以来の決勝進出となったアルゼンチンは今回で6回目の決勝進出となり、これはイタリアと並んで歴代3位タイの決勝進出回数となる。一方のフランスはこれが4回目の決勝。初めての決勝は1998年だったが、それ以降の7大会で実に4度の決勝進出を果たしており、1998年から施行された原稿の大会フォーマットは今回のW杯で最後となるが、現行方式で行われたW杯の半分以上で決勝まで進んでいる事になる。
#5 アルゼンチンは決勝で負け越している
アルゼンチンは過去5回のファイナルに進出しているが、その成績は2勝3敗で負け越している。特に1990年はマラドーナ、2014年はメッシを擁しながら、共にドイツの前に屈する形となった(1990年は西ドイツ)。最後の優勝となった1986年から決勝では2連敗しているだけに、決勝戦での3連敗はなんとしても避けたい。
#6 フランスはW杯決勝で記録上は無敗
フランスは3度の決勝戦では2勝1敗と勝ち越しており、2006年は最終的に敗れて準優勝となったが、このイタリアとの試合はPK戦での敗退だった為、公式記録としては無敗という事にもなる。また、近年の決勝はロースコアの展開が目立つ中で1998年は3得点、2018年は4得点を叩き出しているのもポイント。どうしても2006年のジダンのインパクトは強いが、今のところW杯の決勝に関してはフランスは相性の良さを見せている。
#7 優勝が遠い南米勢
イタリアとブラジルの連覇時を除けば、2002年までの間は南米勢、ないしは欧州勢が2大会連続で優勝する事はなかった。しかし2002年日韓W杯でブラジルが優勝してから南米勢は久しく優勝から遠ざかっており、欧州勢が4大会連続でW杯優勝国となっている。アルゼンチンというか、南米勢としてもこの流れはどうにか止めたいところ。
#8 どちらも一敗してる
アルゼンチンは第1戦のサウジアラビア戦で、フランスは第3戦のチュニジア戦で敗れている。すなわち、どちらのチームも無敗ではない。
過去に敗北を喫しながらも優勝を果たしたチームは1954年と1974年の西ドイツ、1978年のアルゼンチン、2010年のスペインの4チームいるが、一敗しているチーム同士の決勝戦となったのは1978年のアルゼンチンvsオランダ以来2回目となる。
なおアルゼンチンが優勝した場合、初戦で黒星を喫したチームが優勝を果たすのは2010年のスペイン以来史上2回目となる。
#9 32チームトーナメントでのW杯最終戦
1998年から現行の32チームによる大会方式が定着したが、次回の2026年W杯からは48チームに増やされる事が決定しており、現行方式のフォーマットのW杯としては今回の決勝戦がラストマッチとなる。
そして、このフォーマットで最初の大会となった1998年はフランスが優勝している。フランスは32チーム時代を「フランスに始まり、フランスに終わった」状態にする事が出来るか。
#10 アルゼンチンもフランスも優勝した時には10番の英雄がいた…
アルゼンチンもフランスも、W杯を優勝した時には"絶対的な10番"が存在した。アルゼンチンの場合は1978年のマリオ・ケンペス、そして言わずと知れた1986年のディエゴ・マラドーナ。フランスの場合は1998年にはジネディーヌ・ジダンがいて、そして前回大会からそのエースナンバーはキリアン・ムバッペが背負っていた。
今回は言わずもがな、メッシvsムバッペという構図にもなってくる。どちらの10番が最後にトロフィーを掲げることが出来るか…
#11 過去、一度だけ決勝戦が行われなかったW杯がある
今回が22回目となるW杯だが、"FIFAワールドカップ決勝戦"が行われるのは実は21回目。過去に一度だけ、決勝戦が無かったW杯がある。それが1950年のブラジルW杯で、当時は1次リーグを勝ち上がった4チームが総当たり方式の決勝リーグを戦い、その最終順位で優勝チームを決定する方式で行われていた。
ただし最初の2試合の結果により、最終戦のブラジルvsウルグアイの試合が事実上の決勝戦という形になった。後にマラカナンの悲劇と呼ばれるこの試合は決勝戦として取り上げられるケースも多いが、この試合はリーグ戦だったがゆえにブラジルは「引き分けでも優勝」という立場だった。
#12 有利なのはホーム側?アウェイ側?
W杯に限らず、トーナメントでは中立地開催でもユニフォームの優先権やスタンドの割り当てなどをわかりやすくする為、便宜上トーナメント表に従ってホーム側(左側)とアウェイ側(右側)に分けられている。
あくまで便宜上なのでそれによって有利不利が生じる事はないが、しかし過去、1950年を除く20回行われた決勝戦の成績はホーム側のチームが16勝4敗と圧倒的な戦績を残しており、アルゼンチンが勝利した2度の決勝戦はいずれもホーム側だった。一方、フランスは2018年はホーム側での優勝だったが、1998年はアウェイ側の立場で優勝を飾っている。
#13 3位決定戦の結果との因果は?
決勝戦前日に行われたクロアチアvsモロッコの3位決定戦は2-1でクロアチアが勝利し、3位に輝いた。
準決勝ではアルゼンチンはクロアチアと、フランスはモロッコと戦った訳だが、過去のW杯決勝を見ると…3位になったチームに準決勝で勝利したチームの12勝5敗となっている(1930年、1950年、1974年、1978年は準決勝が行われていない)。今回、3位クロアチアと戦ったのはアルゼンチンだが、アルゼンチンは同様の状況となった2014年の決勝では敗れてもいる。
#14 一番多いスコアは意外にも…
近年のW杯決勝はロースコアな展開が多いし、一般的に決勝戦はそういう堅い試合になるイメージが強い。しかし、意外にもW杯決勝で最も多いスコアは4-2という打ち合いのスコアで、過去に1930年、1938年、1966年、そしてフランスが優勝した2018年の4回で4-2というスコアが実現している。ちなみに次点で多いのは3-1と1-0が共に3回ずつ。
#15 やっぱり決勝は先制点が大事
前述のように、決勝戦は堅い試合になりがちなだけに先制点の重みは大きい。実際、決勝が行われたなかった1950年と0-0でPK戦まで行った1994年を除く19試合のうち、13試合で先制点を挙げたチームが優勝しており、先制点を奪われたチームが勝利した6試合のうち、2006年は1-1でPK戦にもつれ込んだ為、純粋な逆転勝利は実に1974年まで遡る事になる。そうなってくると、今大会は印象的な逆転勝利が多かっただけにそういう展開も見てみたいが…。
#16 近年はやけに多い延長戦
同点で90分を終えた場合、当然ながら延長戦、そしてPK戦まで用意されている。過去に延長戦までもつれ込んだのは実に7試合で、そのうち1994年と2006年の2試合がPK戦までもつれ込んだ。尚、2006年にPK戦で敗れたのはフランスである。
特に2006年から2014年までは、3大会連続で決勝戦は延長戦までもつれ込んだ。このうち2010年とアルゼンチンが準優勝となった2014年は、共に0-0で延長戦に突入している。
#17 シメオネ軍団
今回の決勝戦に出場する可能性がある選手のうち、最も多くの選手を輩出しているのは…レアルでもバルサでもなく、アトレティコ・マドリードである。
アルゼンチン大事のレジェンド、ディエゴ・シメオネの指導を受ける選手はアルゼンチンがアンヘル・コレア、ロドリゴ・デ・パウル、ナウエル・モリーナの3人で、フランスのアントワーヌ・グリーズマンもアトレティコの選手と出場。ちなみに、前回大会の決勝も最多勢力はアトレティコで、この時もグリーズマンはアトレティコの選手として出場していた(その後、バルサ移籍を経てアトレティコ復帰)。
#18 アルゼンチンのW杯デビュー戦の相手はフランスであり、フランスのW杯初黒星の相手はアルゼンチン
実はアルゼンチンvsフランスの対戦は記念すべき第1回W杯となる1930年大会で実現している。同じグループに入った両者は、当時は日程がやや不規則だった事もあり、フランスが2試合目、アルゼンチンが初戦という構図で対戦。即ち、アルゼンチンにとって記念すべきW杯最初の試合の相手はフランスであり、その試合がアルゼンチンの記念すべきW杯初勝利でもあり、そしてフランスのW杯初黒星の試合でもあった。
その後、アルゼンチンvsフランスの対戦は1978年と2018年にも実現しており、1978年のグループステージでの対戦は開催国だったアルゼンチンが勝利。2018年はベスト16で対戦し、フランスが4-3で勝利したゲームは同大会のベストバウトとも言われた。そして1978年と2018年は、共に勝利した方が優勝まで突き進んでいる。
余談だが、ちょうど20年前の日韓W杯の際、アルゼンチンとフランスは優勝候補の二大本命と目されていながら、共にグループステージ敗退という衝撃の結末を迎えた。あれから20年の時を経て決勝の舞台で邂逅するというのも…。
W杯に関する有名なジンクスの一つに「バロンドールの呪い」というものがある。これはその年の世界最高の選手に贈られる現在のサッカー界で最も権威のある賞として認識されているが、同時に「直近のバロンドールを受賞した選手がいる国はW杯で優勝出来ない」というジンクスがあるのだ。過去にはロナウジーニョやクリスティアーノ・ロナウド、そしてメッシもこのジンクスの餌食になった。
…で、じゃあ直近のバロンドールを受賞した人物が誰かというと、レアル・マドリードで圧倒的な活躍を見せたフランス大事のベンゼマがバロンドールを受賞している。だが、ベンゼマは大会直前に負傷離脱しており、このバロンドールのジンクスが「ベンゼマ(受賞者)がW杯を獲れない」のか「フランス(受賞者の国)がW杯を獲れない」のかが試される構図ともなっている。
ただし、フランス代表はベンゼマ離脱に伴う選手変更を行なっていない為、正確にはベンゼマの名はまだメンバーリストに残されており、同じく離脱したリュカ・エルナンデスとは異なりベンゼマは重傷ではなく、ルール上はベンゼマの出場は可能である事から復帰の可能性が一部メディアで取り沙汰されている(デシャン監督は否定している)。もしそうなればこれほどアツい展開もないが…。
#20 W杯とクラブW杯の二冠達成者
アルゼンチンのメッシ、フランスのキングスレイ・コマンとテオ・エルナンデスは、決勝戦に勝利すればFIFAワールドカップとFIFAクラブワールドカップの両方を獲得した選手となる。尚、フランスのヴァランとパヴァールは既にこの快挙を達成している。
ちなみに今回の決勝戦に出場可能性がある選手のうち、UEFAチャンピオンズリーグの優勝経験者はアルゼンチンがメッシとディ・マリアの2人。フランスがヴァラン、パヴァール、エルナンデス、カマヴィンガ、コマンの5人となっている。
#21 両チームのW杯決勝経験者は?
フランスは2大会連続の決勝進出で、アルゼンチンも前々回のファイナリストという事で、両チームにW杯決勝経験者が存在する。
フランスは現在帯同している選手のうち10人が前回W杯の優勝メンバーで、そのうちウーゴ・ロリス、ラファエル・ヴァラン、ベンジャマン・パヴァール、キリアン・ムバッペ、アントワーヌ・グリーズマン、オリヴィエ・ジルーの6名が前回大会の決勝に出場している。一方、アルゼンチンは2014年大会にも参加していたのはリオネル・メッシとアンヘル・ディ・マリアの2人。ディ・マリアは決勝戦を欠場した為、決勝経験がある選手はメッシのみとなる。
#22 決勝会場は計画都市!?
決勝の舞台となるルサイル・アイコニック・スタジアムがあるルサイルは計画都市であり、現在もまだ開発の途中である。ルサイルという街を作ることが閣議決定されたのは2005年のことで、ルサイルがカタールW杯の開催都市になることが決まった次点では、まだ計画の上でしか存在していない都市だった。ある意味、今回のW杯に於ける象徴的なベニューと言えるかもしれない。現在、ルサイルには2015年にハンドボールの世界選手権の決勝が行われたルサイル・スポーツ・アリーナや、F1カタールグランプリやMotoGPの会場となるロサイル・インターナショナルサーキットなどがある。
さぁ、W杯決勝です。
W杯とは何か?と言われれば、その答えは「狂気」だと思っています。戦う者も、観る者も、司る者も…W杯は人を狂わせる。だからこれほどまでに、人間の喜怒哀楽が解放される舞台になるのでしょう。人間が全てを曝け出せるフィールドは、いつも4年に一度訪れます。
今大会は、複雑に入り組んだ現代サッカーの傾向の中で、逆に突き詰めればシンプルに行き着くのではないか…みたいなものを見せられたような大会でした。その中で決勝戦がこのカードになったのは、ある意味で運命に約束されたような必然性を持っていたようにも感じています。
アルゼンチンか、フランスか。この試合はどう転んでも歴史になります。その瞬間をリアルタイムで感じられる事に感謝し、心してテレビの前に座る所存です。さぁ、あと1試合…全力で燃え上がりましょう!!
Stardom
ではでは(´∀`)