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基盤と応用〜明治安田生命J1リーグ第33節 ヴィッセル神戸 vs 名古屋グランパス マッチレビュー〜

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ノエスタ帰りは高確率で三宮商店いきます

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第33節、ヴィッセル神戸vs名古屋グランパスの一戦です。

 

 

 

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舞台は整った──彼らにとっていま一番の感情はそれに尽きるでしょう。

 

 

昨日、先に試合を行った横浜F・マリノスアルビレックス新潟を相手にしてドロー。この結果、神戸は今日の90分で勝てば優勝を自力で決められる立場になりました。今日負けたとしても自力優勝の権利を手にしているのは神戸ですが、1995年1月17日の始動から28年目を迎えたクラブが神戸の地で初の優勝を掴めるチャンスは今日が唯一。人生にはただの試合じゃない試合があり、人生にはサッカー選手としての季節の中で数度も訪れないような90分に巡り合う時がある……神戸の選手達にとって今日はそういう試合です。

一方の名古屋は本来ならこの試合が大一番になっているはずでしたが、夏以降の大失速により優勝争いから完全撤退するような形に。本来であれば神戸との第33節はもっと違う形で迎えたかったと誰もが思っている事でしょうをしかし名古屋は名古屋でACLの出場権をまだ手にできる立場ゆえ、彼らはまだこれが神戸のブロッカーとしての消化試合にはなっていません。

戴冠に手をかけた港町のクラブの前に立ちはだかるのは未練と共に次の目標を追いかける工業都市。この90分は歴史に残るのか、歴史に溶けるのか。明治安田生命J1リーグ2023、その大いなるハイライトは今日、このノエスタの舞台で!

両チームスタメンです。

 

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神戸は前節浦和戦からスタメンの変更はなし。ただしベンチメンバーは一人だけ入れ替えており、ここ2試合を欠場していた主将・山口蛍がベンチに復帰しました。スタメンとしては山口がベンチスタートという事で今日も酒井高徳を継続して中盤起用し、古巣対決となる本多勇喜を左SBにスライド。代表活動から帰ってきた前川黛也も先発起用されています。

名古屋は前節湘南戦は1-2で敗れましたが、内容的には一定の手応えがあったことを踏まえてかスタメンの変更はありません。ただしベンチメンバーには山田陸、前田直輝を新たに加えています。

 

 

 

本日の会場は兵庫県神戸市、ノエビアスタジアム神戸です。

 

 

このスタジアムの前身は1970年に開場した神戸市立中央球技場。神戸の試合前にはスタジアムDJの方が「日本サッカー発祥の地」という文言を用いますが、Jリーグの歴史の中では後発勢力となった神戸も元々はサッカーの街という背景を持っていました。2002年日韓W杯用にスタジアムを建て直した際にはモダンな球技場として改築し、現在に通ずる比較的コンパクトなサッカースタジアム建設の流れが始まる10年前ほどからこのスタジアムを有していた事になります。

ちなみに昨年の最終節はノエビアスタジアム神戸での神戸vsマリノスでしたが、この試合でマリノスは神戸を3-1で下して優勝を果たしました。果たしてノエスタは2年連続で戴冠の舞台となるのでしょうか。

 

 

立ち上がりはどちらかと言えば名古屋の方が高い位置をキープした上で攻撃を組み立てており、逆に神戸は両サイドのスプリントを活かしたシンプルな速攻ベースの攻撃を仕掛ける形で試合が始まりました。

しかし名古屋はなかなか神戸のブロックを前に打開するエリアを見つけられないまま攻めあぐね、逆にシンプルに狙いのハッキリした神戸の攻撃が次第に猛威を奮うように。

 

 

 

12分、神戸は左サイドのスローインから扇原貴宏酒井高徳が頭で繋ぎ、最後は大迫勇也ポストプレーに抜け出した井出遥也が決め切って神戸先制!

更にその直後、今度は佐々木大樹のサイドへの展開から大迫が左からボールを入れれば、このボールに対して武藤嘉紀がニアで反応して神戸が電光石火の追加点!神戸は一気に2点を獲得して優勝に一気に近付きます。

 

 

想像以上の劣勢に名古屋の長谷川健太監督は23分の時点で右WBの久保藤次郎を下げて森島司をシャドーで投入し和泉竜司を左WB、森下龍矢を右WBにシフトして修正を図り反撃を試みることに。

29分、神戸は相手のミスに乗じて抜け出した佐々木のシュートは僅かに枠の外へ。逆に30分には神戸のクリアボールを藤井陽也が弾いたボールに神戸守備陣の反応が遅れたところを上手く突いたユンカーが異次元の身体能力で押し込んで名古屋が1点を返します。

 

 

名古屋のメンバー変更後は名古屋が押し込む時間が長くなり、神戸はロングカウンター的な展開が目立つ形になっていきましたが、神戸は今季は元々そういうサッカーをしていましたし、リードしているという状況の余裕も重なってロングカウンター仕様の試合運びがスムーズに進んで名古屋に猛攻させ切らない状況を作れていました。

そんな中で名古屋が掴んだ特大の決定機は42分、右サイドで本多勇喜を翻弄した森下龍矢の巧みな折り返しにユンカーが詰めるもここはカバーに入った山川哲史がスーパーブロック。直後のCKのこぼれ球を回収した和泉のクロスに対する中谷進之介のヘッドは惜しくも枠に外れ、神戸は前半終了間際に訪れた機器をどうにか回避。

 

 

 

前半は神戸が1点リードを獲得して終えます。

 

 

後半最初のチャンスは名古屋。森島の投入以降は高い位置でボールを回しながら神戸のブロックをずらすような動きも出来るようになっていた名古屋は、後半のほぼファーストプレーで森島のパスから和泉がシュートに持ち込むも得点まで辿り着けません。

この展開の中で神戸は佐々木の負傷退場によるパトリッキ投入に続いて58分に井出遥也を下げて負傷から復帰した山口蛍を投入。名古屋が攻め込み始めた中で中盤のバランスを修正しつつ、キャプテンの投入でノエスタの空気を盛り立てようと試みます。

 

 

 

山口投入後はパトリッキの投入も併せて再び神戸もギアが入ったような形になり、62分には酒井のパスを受けた大迫のクロスを武蔵が合わせるもゴールならず。ただ神戸リズムを再びつかみ返す形になると68分には初瀬亮のクロスをファーで収めた大迫がシュートに持ち込みますが…今度は枠の上に飛んでゴールならず。神戸が数度の追加点のチャンスを逃すと、66分には米本と稲垣のWボランチを下げて山田陸と前田直輝を投入してアタッカーを増やした名古屋も…彼らは彼らでACLが懸かる立場ゆえに、ここから強烈な猛攻で神戸ゴールに襲い掛かり始めていきます。

名古屋に特大の決定機が訪れたのは76分でした。藤井のボールに抜け出した永井がダイレクトで左からクロスを入れると、GK前川黛也も出れないファーサイドのスペースに走り込んだ前田がダイレクトシュート!しかし…前田が合わせたボールはクロスバー。80分には中島大賀も送り込んだ名古屋は森島を起点にサイドに振って、そこから度々クロスを入れていきますが、神戸の守備陣もGK前川を中心に必死で弾き返して時間が過ぎ去り戴冠が巡る瞬間を手繰り寄せようと耐え続けていきました。

 

 

 

多くの選手が脚を攣る中で受ける名古屋のパワープレー。しかし必死でそれを跳ね返し続けて…試合終了!ヴィッセル神戸、創設28年目にしてクラブ史上初のリーグ優勝です!

 

 

試合としてはまずポイントだったのは名古屋が結構ボールを保持しながら前進しようとしてきたというところで、名古屋は前節湘南戦も然りですが、優勝争いを戦っていた時のような堅守速攻というよりは、システムはそのままにしつつも森下と逆サイドのWBに中盤の選手を起用しながら主体的に攻めようとする姿勢を見せてきました。その中で神戸も闇雲にプレスに行く…というよりは構えながらしっかり対処し、高い位置を取った名古屋のWBと3バックの間に生じるサイドのスペースを上手く突いていけたと思います。その中で大迫をストライカーというよりも良い経由点として用いながら、しっかりと2列目の選手が絡む事でカウンターを仕留め切るサッカーをしてきた。そこは今季の神戸が前半戦はインテンシティーを押し出すサッカーを繰り広げて迎えた夏場に負荷や怪我人続出という難題に直面した中で、序盤から比較的固定メンバーで組んできたメンバーがその中で幅を出し始めていった。名古屋のスタンスに対してそのギャップを突きまくった前半の出来はその象徴的な展開だったと思います。

後半に関しては神戸が弾き気味になる中で、名古屋が森島が良い位置でボールを持てるようになったことで上手くサイドと絡めるようになり、それゆえにサイドからチャンスを創出する場面は増えていきました。あの後の時間に関しては根性みたいな非科学的な部分もあったでしょうが、基本的に粘り強い守備は今季の神戸はずっと貫いてきた訳で、前半の展開にしても今季やってきた基盤と応用みたいな部分はしっかり出せたのが今日の90分だったのではないでしょうか。

 

 

さて……ガンバファンとしては神戸の優勝には複雑な心境がありますが、Jリーグという括りでは、簡単な言葉で神戸ほど金をかけたチームが優勝してくれた事は意味があったと思います。神奈川勢の独占状態を止めた事も然り。

それに加えて、神戸の場合付け加えておくべきなのは単なる散財じゃない金の使い方を出来た事だと思っていて、例えば三木谷浩史オーナーにしても単に大型補強を繰り返すだけでなく、就任して早々に練習場やクラブハウス、ユース組織の整備といった仮に自身が去ったとしても残るようなハード面への投資を惜しまなかった事はもっと語られるべきでしょう。ビッグネーム補強にしても、古橋とイニエスタやビジャ、前川とポドルスキ、菊池とフェルマーレンの関係のように、きちんとその影響を多分に受けた愛弟子のような選手を作っていってくれた訳で、投資して得た素材から如何に財産を吸収するか…みたいな部分には最後まで貪欲に取り組んでいたと思います。派手な裏で、実はやるべき事はやっていた。それが今日の戴冠の根底にある忘れてはならないポイントだったのかなと。上で今季の神戸の戦い方と今日の戦い方を基盤と応用と表現しましたが、三木谷体制以降の神戸にもそれは同じ事が言えて……応用が紆余曲折過ぎて迷走した時期もありましたけど、基盤は先に固めていたからこそ応用の形を模索し続けることが出来たように思います。

ヴィッセル神戸の皆さん、おめでとうございました。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

明治安田生命J1リーグ第33節

横浜F・マリノス0-0アルビレックス新潟

川崎フロンターレ3-0鹿島アントラーズ

浦和レッズ2-3アビスパ福岡

柏レイソル2-2サガン鳥栖

FC東京1-3北海道コンサドーレ札幌

横浜FC0-1湘南ベルマーレ

セレッソ大阪0-1京都サンガFC

ヴィッセル神戸2-1名古屋グランパス

サンフレッチェ広島3-0ガンバ大阪

 

 

1位 ヴィッセル神戸(68)

2位 横浜F・マリノス(64)

3位 サンフレッチェ広島(55)

4位 浦和レッズ(54)

5位 名古屋グランパス(51)

6位 アビスパ福岡(51)

7位 鹿島アントラーズ(49)

8位 セレッソ大阪(49)

9位 川崎フロンターレ(47)

10位 アルビレックス新潟(42)

11位 北海道コンサドーレ札幌(40)

12位 FC東京(40)

13位 サガン鳥栖(38)

14位 京都サンガFC(37)

15位 湘南ベルマーレ(34)

16位 ガンバ大阪(34)

17位 柏レイソル(32)

18位 横浜FC(29)

 

2位横浜FMACLの関係で金曜日に試合が行われましたが、首位神戸の試合前日に行われたこのゲームでは0-0のドローに。この結果、勝てば優勝が決まる状況で名古屋戦を迎えた神戸は前半の2得点を逃げ切る形で勝利を収め、創設28年目にして見事初優勝を決めました。なお初優勝クラブは2017年の川崎以来11クラブ目で、非神奈川県勢としては2016年の鹿島以来、関西勢としては2014年のG大阪以来2クラブ目の優勝となっています。

ACL関連大会への出場権を得られる3位争いは3位浦和が福岡に敗れた一方、4位広島はエディオンスタジアム広島ラストゲームG大阪に完勝して3位に浮上。3位争いは広島と浦和に絞られる形となりました。

残留争いはまず、C大阪を1-0で下した14位京都が自力残留。そして大きな注目が集まった18位横浜FCと17位湘南の直接対決は湘南が後半の大岩一貴のゴールで1-0で勝利した為、これで湘南とG大阪の残留が決定しました。この結果、最終節に降格の可能性を残すのは17位柏と18位横浜FCの2クラブとなりましたが、横浜FCが残留する為には勝点で並び、かつ12点差開く得失点差を逆転する必要があるので極めて困難な条件となっています。

 

 

三宮商店も割引しないかしら…

ではでは(´∀`)