RK-3はきだめスタジオブログ

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理性、ロジック、ハイテンション〜ACLE 24/25 ラウンド16第2戦 川崎フロンターレ vs 上海申花 マッチレビューと試合考察〜

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サウジブロックなあ

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューAFCチャンピオンズリーグElite 2024/25 ラウンド16第2戦、川崎フロンターレ vs 上海申花の一戦です!

 

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ここ数年というスパンであればともかくとして、ここ10年のJリーグという意味なら最も成功したクラブは川崎フロンターレでしょう。そこには多くの選手を輩出した実績があり、魅惑のスタイルで彩った興奮があり、そしてJリーグ史上のくくりで語られるべき黄金期という時代があった。それは確かです。しかしそんな川崎にとって何よりの鬼門だったのがこの大会でした。黄金期と呼ばれた時代でも、勝ち抜けが濃厚と目されていた状況の第2戦でも、その勝利がすり抜けていくように……。

川崎は今年、長きに渡る一時代にピリオドを打って新監督を8年ぶりに迎え、新たなシーズンに挑もうとしています。第1戦は黒星。ビハインドを背負って迎えたこの第2戦の結末はどこに向かうのか、川崎新章の行末にアジア王者という場所は待っているのかどうか。その一歩となる等々力での一戦です。

両チームスタメンです。

 

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本日の会場は神奈川県川崎市等々力陸上競技場です。

1993年のJリーグ開幕時からホームスタジアムとして使用されている会場の一つです。リーグ開幕当初はヴェルディ川崎、そして現在は川崎フロンターレのホームとして使用され、この国のトップリーグの歴史はこのスタジアム、このスタンドに囲まれたピッチに刻まれてきました。ちなみに長谷部茂利監督は元川崎の選手でもありますが、プロデビューは川崎時代のヴェルディだったので元々馴染みのあるスタジアムだったりもします。余談ですがACL決勝トーナメントの第2戦を等々力で行うのは、川崎が最後にベスト8 進出を果たした2017年のラウンド16、ムアントン・ユナイテッド戦以来となります。

 

 

 

 

前半から川崎は見事な内容のゲームを見せていました。この日はWGとSBで幅の確保とそのポケットへの侵入を誰かが必ずしている状態をキープし、そこに対してエリソンが常に中央にいながら脇坂か大島が中盤でのコンビネーションを発動できる距離感を常に保ちながら立て続けに攻撃を仕掛けていきます。

川崎最初の決定機は12分、右サイドからショートパスとポケットを取る動きの連続でインサイドを崩した川崎は、最後は脇坂泰斗の折り返しにマルシーニョがファーサイドに走り込みますが…シュートは枠外に。18分にも脇坂が中央でのパスワークからミドルを放ちますが決め切れません。21分にも右サイドを抉った佐々木旭の折り返しに大島が走り込むも相手GKバオ・ヤーションがファインセーブ。

 

 

 

チャンスはある、試合の流れはほぼ完璧、でも点が取れない……そういう少しずつ嫌な展開になっていく中でしたが、その不安を打ち砕く瞬間は24分に訪れました。

右サイドでボールを受けた佐々木はそのままドリブルで中に切り込むように持ち運んでいくと、一度はパスコースを探す動きを見せたものの相手の位置も踏まえてシュートを選択。その一閃がネットに吸い込まれて川崎同点!この一発で川崎は2戦合計スコアで同点!

 

 

川崎が先制した後は上海も前線のアタッカーを生かして前にボールを送る場面もありましたがそれが有効的な攻撃にはなかなか繋がっていかず、試合は川崎ペースの時間がずっと続いていました。35分には脇坂のCKがゴール前の混戦を生んだところに最後は高井が押し込みますが、その前にエリソンがファウルを取られてゴールは認められず。

それでも前半45分を通じて完璧なパフォーマンスを見せた川崎は、まずはトータルスコアを同点に戻す第一ミッションをクリアした状態で後半に向かいます。

 

 

しかし後半は上海もギアチェンジ。52分は右サイドでのルーズボールを制したマナファのパスにサウル・ミネイロが反応。最後はどうにか佐々木がカバーしましたが、前半の川崎は早々と前線の選手のポジショニングを固める事が出来たところがワンサイドゲームに繋がった事もあり、上海はポジショニングを固められる前に果敢に前へのアプローチを行う事でリズムを上海寄りに、最低でもイーブンに持ち込めるように仕掛けていきます。

 

 

 

しかし上海はティシェイラがインサイドを抉る場面が増えるようになり、川崎としては肝を冷やすような時間帯が続いていましたが、どうにか守備陣が高い集中力で弾いて耐えると再び機は川崎に巡ってきます。

前半ほど川崎の中盤が躍動する時間とスペースを与えられなかった分、後半はSBから持ち上がりながら時間と立ち位置を調節するような工夫を差し込んでいくと、65分には持ち上がった佐々木のアーリークロスに巧みな動き出しから反応したエリソンが合わせて遂に川崎逆転!昨季はポテンシャルを見せながら不完全燃焼に終わったエース候補がエースに上り詰める為の重要な1点が決まって遂にリードを奪います。

更にその直後の68分、左サイドを抜け出したマルシーニョが一度時間を作って戻すと、三浦颯太、脇坂、大島と4人を介したパスワークを披露。大島の縦パスに脇坂がスルー、マルシーニョが一枚かわしてマイナスに折り返すと最後は伊藤達哉が決めて3点目!

 

 

直後には脇坂が決定機を迎えましたがポスト直撃。上海もチャン・シンイチのクロスにサウル・ミネイロが合わせる決定機が訪れましたが、ここはGK山口瑠伊がファインセーブで阻止します。

川崎は大島を下げて山本悠樹、エリソンと伊藤を下げて山田新と家長昭博を送り込みながらゲームをコントロールしようと試みますが、この辺りからは後がなくなった上海が文字通り猛攻を仕掛けてくる格好に。それでもしっかりと長谷部流ゾーン守備陣の隊列を守りながらブロックを組むとカウンターの糸口を引っ張り出し、アディショナルタイムにはマルシーニョがゲームを決め切る4点目をゲット!!

 

 

パーフェクト、まさしくパーフェクトゲーム

これまで紡いだ川崎の矜恃、新たに落とし込まれた川崎の進化。それがビハインドで始まる大一番に全てが解き放たれ、川崎があまりにも鮮やかな逆転勝利を収めました!

 

 

 

いやー、素晴らしかった。今日川崎が見せた試合のパフォーマンス、そのパフォーマンスから結びつけた結果、そしてそれをこの重要な試合でビハインドの状況からやり切ったということに感服するしかないです。

まず一般論として、川崎のような状況であればやっぱり後半開始はイーブンの状態で始められるようにはしておきたい訳ですけど、当然はビハインドを背負ったチームは前半から仕掛けるし、逆にリードを有するチームは引いて構えてブロックを組む。この試合もその定石通りに始まった試合ではあったと思いますが、川崎はWGがサイドに張って幅を取り、センターとの間のラインをSBが利用する…というロジカルな攻撃パターンに、脇坂や大島が創造性を織りなしてきた。それを河原が中盤の底で下支えしていましたし、前半の川崎の攻撃はまさしくロジックとファンタジックを両立させたゲームだったと思います。逆転勝利を収めた今となっても、前半が1点で留まった事が惜しいと思うほどに。後半の立ち上がりは少し違う展開にもなりましたけど、前半であのパフォーマンスを見せられた事がまずはこの試合の全てでした。

 

 

 

とはいえ上述したように、前半の川崎は上海が引いてブロックを構えている隙にサイドのワイドなポジショニングとSBが介入していく流れ、そこに圧倒的な技術力を誇る中盤3枚がどうやって絡み、どうやってWGとCFにコネクトさせるかというシステムを早々と固める事が出来たからこそ、後はそれに準ずるだけみたいなところがあったのであれだけ圧倒的な前半を過ごせた。それに対して後半の上海はむしろハイプレス気味にやる事で、相手のポジショニングが固められないような状況に持ってこようとした。ハーフタイムを使って形勢をイーブンに戻した時間はあった訳で、後半頭の上海の選手の動き、スルツキ監督の手当ては適切かつ効果的だったと思います。

ただそこで、おそらく1-1に戻ったという心の安定もあったのでしょうが、状況の変化に対して川崎が無理に前半の良い記憶に囚われず、自分達のターンが来るまではしっかりと我慢する、そして自分達のターンが来た時に、迂闊にカウンターに走らずまずは前線でのプレー時間を確保してからタレントのクオリティを見せていく。そういう順序立てた理性を上海の圧力が増す中でも発揮する事が出来たところが実に素晴らしかった。それは途中から出てきた山本や家長の仕事ぶりも然りですが、理性を保ち、理屈を抱いた上でハイテンションに狂う…みたいなものを90分貫いたのかなと。

正直なところ、ここまでのゲームを毎試合やれるわけじゃないし、次のリーグ戦や準々決勝でもこれがスタンダードとしてやれるかどうかはわからない…今日はそれぐらいの出来栄えの試合ではありました。しかしながら、そういうパフォーマンスをそういうパフォーマンスが最も求められる試合でやり切った…この価値は何よりも偉大な事なんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

雨すごかったね何気に

ではでは(´∀`)