RK-3はきだめスタジオブログ

気ままに白熱、気ままな憂鬱。執筆等のご依頼はTwitter(@blueblack_gblue)のDM、もしくは[gamba_kyoto@yahoo.co.jp]のメールアドレスまでご連絡お願いします。

回転の操縦〜2025明治安田J1リーグ第6節 清水エスパルス vs 京都サンガFC マッチレビュー&試合考察〜

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20250316185420j:image

 

 

一つ二つと星が出てきた

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第6節、清水エスパルス vs 京都サンガFCの一戦です!

 

Jリーグをもっと楽しめる(かもしれない)、2025Jリーグ開幕ガイド作りました!是非お使いくださいませ!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ!

 

 

 

開幕前に曺貴裁監督はこういうコメントを残していました。

 

3年間残ったことでJ1は借りているマンションではなく、自宅になるという感覚。

 

これまでのシーズンのサンガの立場は、あくまでJ2が定位置のチームがJ1にやってこれた状況であり、一年でも長くJ1での生活を続ける為の…いわば「J1に来ているJ2クラブ」という立場でした。

2025年、サンガは3年連続で残留を果たした事で、J2という概念が生まれてからクラブが到達した事のない4年目のシーズンを迎えた。4年目を迎えれば、曺監督の言うように立場は少なくとも「J1に来ているJ2クラブ」ではない。そうである以上、もうサンガに求められる事は「とにかく残留すること」ではなく、J1クラブと表現されるに足る結果を残すこと……内容はあくまでその手段ですし、J1全体でも様々なスタイルを持つクラブがいるのでその形はともかく、サンガはこのJ1という地を踏みしめながら、格を備えていかなければならない、2025年はそういうシーズンです。

岡山戦、浦和戦、神戸戦、川崎戦、福岡戦…この5試合はそれぞれの後味を違いとして持ち、現にそれぞれの試合の結果も内容もそれぞれに異なるものでしたが、良くも悪くも下敷きとなる部分はどの試合などの内容にも共通するものがありました。J1というカテゴリーとしての地、曺貴裁のスタートラインとなり得るスタイルとしての地、この2つを踏みながら、根を張り、背を伸ばしていかなければならない。J1に帰ってきた古豪を前に、サンガはJ1に足るクラブである事を示すことができるのでしょうか。

両チームスタメンです。

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20250316141346j:image
f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20250317130220j:image

 

サンガは0-1で敗れた前節福岡戦からはスタメンを3人変更。マルコ・トゥーリオの負傷離脱以降は原大智を右、奥川雅也を左に起用していましたが、今日は奥川はベンチも外れており、左WGには今季初スタメンの松田天馬を起用。中盤も今日は川﨑颯太ではなく同じく今季初スタメンの米本拓司を置きました。CBは宮本優太ではなく第3節神戸戦以来にパトリック・ウィリアムに戻しています。CBの鈴木義宜、ベンチの長沢駿は古巣対決です。

清水は0-1で敗れた前節G大阪戦からスタメンを半数近い5人変更。ここまで全試合スタメンだった山原怜音、蓮川壮大、宇野禅斗がスタメンを外れ、宇野と前節負傷退場の山原はベンチからも外れています。松崎快と北爪健吾がスタメンに復帰し、元サンガの高橋祐治とルーキーの西原源樹が今季初先発となりました。

 

 

 

本日の会場は静岡県静岡市IAIスタジアム日本平です。

今季はオレンジスマイル計画と称した吉本興業とのコラボにより、お笑い芸人とのゲストとしてペナルティ・ヒデとアンダーポイントがそれぞれ来場。また鈴与のスポンサーデーという事で、CMソングを歌うロバート秋山が清水ユニフォームで熱唱するカオスな映像が場内ビジョンで流されたそうで…。

清水はサンガにとって対戦成績が非常に悪い相手で、リーグ戦の成績はなんと4勝4分18敗。Jリーグ元年の1993年から清水が本拠地とする日本平スタジアムに至ってはリーグ戦未勝利という有様です。しかしながら、天皇杯では2022年、2024年と連続して日本平の地で勝利を経験。サンガがクラブにとって未知の領域に手をかけた今だからこそ、過去の鬼門も一つずつ超えていきたいところ。

 

 

 

序盤のリズムを掴んだのはサンガでした。開始早々に平戸太貴のパスを受けた福岡慎平がシュートまで持ち込む場面を作ると、最終ラインがハイラインを護持するようにクリアボールを跳ね返してサンガのターンを継続できるような循環を作れるようになりました。3トップはいつも以上にポジションを固定しない形で動きつつもローテーション的な形を採りつつ、松田が上手く攻守に於いて関与していく事でサンガは上手くサイドで数的優位を作りながらボールを動かせる事ができていたので、それにより自然とサンガは攻撃機会に繋げようとするアクションを繰り返していけるような陣形に。

直後にはリスタートから清水の波状攻撃を受ける場面もありましたが、この場面はシューターに対して必ず1人はブロックに入る形で失点は阻止。しかしその場面でパトリック・ウィリアムが負傷退場となり、16分の時点でアピアタウィア久との交代を余儀なくされます。

 

 

 

とはいえ前半は清水に時折脅威を与えられるような場面はありましたが、基本的にはサンガはハーフコートゲームになり得る陣形を組みながらボールを動かし、清水が機を見て押し込んできたらそこにカウンターの糸口を伺う…と言ったように、概ねサンガの望む構図、望む陣形でのゲームには持ち込めていました。

33分にはサンガは清水が攻め込んできたところから佐藤響がミドルパス。抜け出した原大智のクロスにエリアスが合わせるも僅かにゴールならず。逆に34分には右サイドを抜け出した乾貴士が自らシュートに持ち込みますが、なんとかこのシュートは枠を逸れて難を逃れます。

 

 

 

そんな中で36分、右サイドのエリアスのパスを受けた平戸が右にリターンするように出したスルーパスに抜け出した松田天馬が高木践のタックルを受けてPKゲット!

このPKをエリアスがトリッキーなステップから冷静に決め切って先制!サンガ先制!

 

 

得点直後にも清水に決定的な場面が訪れるなど、サンガとしてもピンチや危ない場面は少なからずありましたが、いずれにしても「サンガの望むゲームの構図」に清水を引き摺り込んだ状態でプレーできた前半はサンガのリードで終えます。

 

 

 

しかし後半は清水がボールを持ちながら前進していくプレーを見せるようになり、前半はサンガが過ごしやすい形で作れていた陣形をビルドアップから押し上げていくようにして翻し始めていきました。これにより、サンガは一人一人が一つのプレスに要する距離と時間が長くなった事で清水を捕まえきれない瞬間が増えていきます。

決定的なシュートシーンになる前に最後のブロックや相手のロストで防げていましたが、前半のようにプレスが効かなくなっていたことは明確だったので60分には米本と松田を下げて川﨑颯太とジョアン・ペドロを投入。平戸を左に出してプレス出力を再編成していきます。

 

 

 

清水に押し下げられて苦しい時間が続いていたサンガでしたが、川﨑とペドロという運動量豊富な中盤を置きながら前に平戸というポイントを一つ作れたことで、中盤での運動量の担保と前線でのボールの収めどころを確保し、少し強度の落ちた清水の反撃を押し返せるような状況を作っていきます。

迎えた67分、前半のように清水のビルドアップをサンガが高い位置からプレスに行ける陣形が復活すると川﨑がカットして原にパス。原のクロスをエリアスが頭で折り返すと、飛び込んだペドロが冷静に決め切ってサンガ追加点!ペドロの来日初ゴールはサンガの今季初の複数得点に!

 

 

ここまでメンバーを代えていなかった清水は72分に西原と宮本を下げて小塚和季と中原輝、77分には松崎を下げて蓮川壮大を投入。システムを3バックにして1点を返しにいきます。

すると82分には右からのクロスボールに対して、受けた乾を福岡がエリア内で倒してしまいPK献上。これを北川航也に仕留められ、お互いにPKで1点ずつ取り合う形で再び1点差に。両者選手交代で増やした回転数でもって終盤戦へ。

 

 

 

88分にサンガはエリアスと平戸を下げて平賀大空と宮本優太を投入し、3バックにシフトすることで1点リードを死守しつつ前線でプレスに走れる人間を増やそうと試みます。

アディショナルタイムには乾のシュートがサイドネットに直撃し、終盤は清水の猛攻を浴びる展開に耐える時間が続きましたが、サンガもどうにか清水の選手をゴールエリアには入れないように耐えて守って試合終了!サンガ、リーグ戦では日本平での初勝利です!!!

 

 

 

いやー、とにもかくにも勝てて良かった。良かった…。勝てないスタジアムで勝てたところも良かったですし、複数得点を取れたことも良かった。安堵の気持ちでいっぱいです。

まず前半から清水もハイプレス気味な陣形を組んできましたが、そこを剥がして福岡のシュートシーンに漕ぎ着けることが出来たのは一つのポイントだったように思います。そこで清水に対して3トップが押し込む状況を一つ作れたので、そこに準ずるようにチーム全体を押し上げることが出来た。この状況にさえ持ち込めばある程度サンガの得意な陣形でゲームを進められるようになるので、そこからは高い位置に設定した最終ラインを護持しながら中盤でボールを持てる状況にしておくことがサンガには重要になる。ちゃんと清水が前に出ようとした場面では両CBが跳ね返す事でハイラインを護持し、福岡-平戸-米本の3人で中盤で時間も担保できた。相手にはやはり乾貴士のような圧倒的なクオリティを持つ選手がいたこともあってカウンターの怖さは多く見せられましたが、清水に押し返されそうな場面でもカウンター返し的なリアクションを見せることが出来たのは相手に対しても牽制になったと思いますし、前半はすごくサンガの得意な状況でプレーできた、その上で1点取れた事はこの試合の全てだったなと。サンガの場合は前半を、もっと言えば開始15分を制するかどうかが全てみたいなところがあるので、第一段階をクリアできたことが重要なポイントでしたね。

その中で今日は松田が素晴らしかった。後半もそうでしたけど、清水はポケットのエリアだとか、選手間のスペースを出し手も受け手も共通して狙ってきました。その中で松田は常にそのスペースに顔を出すようにして動いて空白地帯を消し、逆にそのスペースが最初から閉じている時やサンガがボールを持っている時はボールが動いているところへのフォローに回り、常に攻守でサンガが数的優位になるような状況を作ってくれていたと思います。松田の場合、時としてそれが動き過ぎになってスペースを提供する遠因になる事もありますが、今日は中盤がミドルゾーンのバランスを担保していたので、松田のメリットとなる部分だけを抽出できていた。そういう選手のキャラクターの妙は上手く噛み合っていましたね。

 

 

 

一方、後半は逆に清水がハイプレスを最初から狙わず自陣からのビルドアップに重きを置きつつ、スローペースに前進していく形にシフトしてきました。あそこは清水が勝負を焦らずに、まずはサンガをじっくりと押し返す事でサンガの得意な陣形を崩す、サンガの長所を奪うような陣形を組み直すという点で非常に効果があった。押し下げられて幅を取られると、サンガとしてはプレスをかける距離も時間も増えてしまうので、連続してプレスに行くだとか、それを攻撃に直接結びつけることが難しくなってくる。その中で幅を広げた清水が、前半にも可能性を見せていたポケット攻略を頻繁に仕掛けようとしてきたところで後半は随分苦しめられたなと。

その点で言えば、今日は中盤が押され気味になったところで米本と松田を下げて川﨑とペドロを送りこんだ訳ですけど、これは若干賭け的な采配といえば賭けに近い采配ではあったと思います。2人の中盤の運動量とプレス出力を用いて清水にバックパスを選ばせて、その連続で原やエリアスも呼応していく事で再び清水を押し下げることができればサンガの勝ちですし、逆に2人がプレスに出たところを上手く剥がされれば瓦解するしかなかった。とはいえ曺監督としても「このまま手を打たなかったら近いうちにやられる」という感覚があったからこそ勝負に出たんだと思いますし、その後の試合は前者の展開に転んだ訳で、曺監督は賭けに勝った、川﨑とペドロは監督の賭けを成功にして持ち帰ってきたという2つの勝利があったなと。

試合を通じてポケットを突かれまくったところはチームとして改善していく必要があるのは確かでしょう。突破もパスも通せる乾の存在と、ポケットを狙う意識を常に示し続けた北川のような存在感を持つ清水の強みはあったとは思いますが、サンガが優勢時も5バックに変えてからもインサイドへの侵入を許しまくった事はチームとしてもう少し解決していく必要がある。一方、その中でも清水の侵入をポケットまでで抑えた中央のブロックには目を見張るものがありましたし、とにもかくにも3ポイントを積み上げた事実がやはり何よりも大きい。ずっと勝てなかった場所に刻んだ白星に酔いながら、次の、そのまた次を目指していってほしいところです。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2025明治安田J1リーグ第6節

東京ヴェルディ2-1名古屋グランパス

FC町田ゼルビア1-0アルビレックス新潟

横浜FC2-0セレッソ大阪

アビスパ福岡1-0FC東京

清水エスパルス1-2京都サンガFC

鹿島アントラーズ1-1浦和レッズ

横浜F・マリノス2-0ガンバ大阪

ファジアーノ岡山0-0川崎フロンターレ

サンフレッチェ広島1-1柏レイソル

湘南ベルマーレ1-2ヴィッセル神戸

 

 

1位 鹿島アントラーズ(13)

2位 FC町田ゼルビア(12)

3位 サンフレッチェ広島(11)※1

4位 柏レイソル(11)

5位 湘南ベルマーレ(11)

6位 アビスパ福岡(9)

7位 ガンバ大阪(9)

8位 川崎フロンターレ(8)※1

9位 ファジアーノ岡山(8)

10位 清水エスパルス(8)

11位 京都サンガFC(8)

12位 FC東京(7)

13位 横浜FC(7)

14位 東京ヴェルディ(7)

15位 横浜F・マリノス(6)※1

16位 ヴィッセル神戸(6)※1

17位 浦和レッズ(6)

18位 セレッソ大阪(5)

19位 アルビレックス新潟(3)

20位 名古屋グランパス(2)

 

※1試合未消化

 

無敗の湘南と未勝利の神戸という構図の対戦となった一戦は、前半に新加入のエリキが2ゴールを叩き出した神戸が湘南の反撃を1点に留めて今季初勝利。湘南は初黒星となり、一方広島は柏と引き分けに終わった為、広島は1試合未消化ながらも今季唯一の無敗チームとなっています。前述の神戸に加え、今節は横浜FMもホームでG大阪に勝利した事で未勝利状態を脱却する今季初勝利。一方、新潟は町田に、名古屋は東京Vを共に相手に敵地で敗北。未勝利生活が続く形になりました。

なお鹿島はホームで浦和を相手に終了間際の知念慶のゴールでドローに持ち込み、第4節の時点で25試合で最多タイに並んでいたJ1リーグのホーム無敗記録を26試合に伸ばして単独で更新。加えて首位にも浮上し、2位には町田が付けています。

 

 

ちびまる子ちゃんランド

ではでは(´∀`)