RK-3はきだめスタジオブログ

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一つ一つの順を追い…〜ACLE 24/25 準々決勝 横浜F・マリノス vs アル・ナスルFC マッチレビューと試合考察〜

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CR7の肖像…

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューAFCチャンピオンズリーグElite 2024/25 準々決勝、横浜F・マリノス vs アル・ナスルSCの一戦です!

 

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今年から新たなフォーマットとなったACL、いや、ACLエリート。その舞台もいよいよ準々決勝。その舞台はサウジアラビア…煌びやかな灼熱の中東にて、ドラマはいよいよ佳境に踏み入れます!

 

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前回大会は決勝戦まで進出。しかしその決勝では第1戦に勝利しながら第2戦で屈辱的な敗戦を喫するという「あの場所に立ったがゆえの悔しさ」を見たマリノスにとって、ACLで目指すべき目標は優勝しかなくなった……そのプレッシャーとハードルの高さは、ある意味では特権とも呼ぶべきでしょう。特に昨季もプレーした選手にとっては、この舞台へのモチベーションには並々ならぬ思いがあるはずです。その場所に立った者にしかわからない、またあの舞台に立たねばならない理由…それを持っているのが今のマリノスです。しかしそんな今季は、東地区のリーグステージを1位通過したACLとは打って変わってリーグ戦では大苦戦。12試合を終えて僅か1勝の最下位に沈んだ彼らはこのサウジアラビア遠征を前に監督交代に踏み切りましたが、そんなチームが立たされた帰路がまさかここまでの大舞台の上だとは…。

ここ1〜2年でアジアの勢力図は、或いはACLは、とある一つの国が起こした砂漠の砂嵐が巻き込んだ大きな変革の波に飲まれていきました。そのターニングポイントの一つがアル・ナスル、そしてクリスティアーノ・ロナウドという存在だった……リバプールの英雄、インテルのレジェンド、ミラン復権させた名将……この時代の、この大会の"意味するところ"を象徴するような相手に対して、日産自動車時代を含めて日本サッカーで最も長くトップレベルに身を置き続けたクラブが背負うのはその矜持だけではないはずです。

両チームスタメンです。

 

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マリノスは直近のリーグ戦にしてキスノーボ監督の初陣となった浦和戦からはスタメンを2人変更。宮市亮が浦和戦で脳震盪を起こして負傷退場した事で今日は欠場し、右サイドにはヤン・マテウスが先発。左サイドには左SBを本職とする加藤蓮が普段より一列高いポジションで、ACL決勝が今季初スタメンという抜擢となりました。2トップは植中朝日と遠野大弥のコンビで、アンデルソン・ロペスはベンチからのスタート。主将・喜田拓也もベンチに復帰しています。

アルナスルマリノスよりもオーソドックスな形の4-4-2を採用。クリスティアーノ・ロナウドと、新たにプレミアリーグから獲得してきたデュランが2トップを組み、両サイドにはオタヴィオとサディオ・マネを配置。中盤にはマルセロ・ブロゾビッチが入っています。監督はACミランで優勝を果たしたステファノ・ピオリ監督です。

 

 

 

本日の会場はサウジアラビア、ジェッダのプリンス・アブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアムです。

普段はアル・イテハドアル・アハリがホームとして使用しているスタジアム。1970年に複合スポーツ施設の一部として完成し、2009年、2023年にそれぞれ大規模な改修を実行。現在のスタジアムでは2023年に中立地開催となったW杯2次予選のシリアvs日本戦、クラブW杯では浦和レッズが出場した3位決定戦などが行われており、改修以前の2009年には名古屋グランパスACLのベスト4でアル・イテハドと対戦しています。

これまではコロナ禍の特例を除けばノックアウトステージは決勝戦までの全試合がホーム&アウェイかつ、準決勝まで明確に東西を分けて、東西ブロックを勝ち抜いたチームが決勝戦を戦うフォーマットでしたが、今大会からは準々決勝より東西シャッフル。なおかつベスト8以降の試合はサウジアラビアのジェッダを舞台にセントラル開催となっています。準決勝以降はキング・アブドゥッラー・スポーツシティで試合が行われるので、このスタジアムでの試合開催は今日のマリノスの試合と明日の川崎フロンターレの試合のみです。

 

 

 

立ち上がりはアルナスルが主導権を握ります。ワイドにボールを振りながらマリノス陣内でのプレーを常に継続しており、8分には右のインサイドでブロゾビッチがクリロナとのワンツーからカットインして左脚でシュート。この場面はGK朴一圭がファインセーブを見せますが、序盤はアルナスルに上手く押し込まれてマリノスは前線へなかなかアクセスできない状況が続きます。

 

 

 

とはいえマリノスアルナスルの圧力に対してSBの攻撃参加を控えながらしっかりとブロックを組み、ボランチも上手くポケットのスペースをケアしながらしっかりと対応。ボール保持時にも攻め急ぐよりなるべく中盤でボールを持ちながらなんとか押し返してハーフコートゲームにはさせないアプローチを見せていました。

しかしそのプランに狂いが生じたのは27分。左サイドでボールを持ったマネがクロスを入れると、エリア内のジャン・クルードが試みたクリアは脚に上手くヒットせずクリアボールが自陣ゴールのポストに直撃。そのこぼれ球をデュランが押し込んでアルナスル先制。マリノスとしては上手く守れていただけにショッキングな失点に。

 

 

更に31分でした。マリノスはハーフェーライン近くで山根陸が遠野大弥を目掛けてフライスルーパスを試みるもこのボールは通らず。しかしこのボールを回収したアルナスルはブロゾビッチがボールを持つと縦パスを入れ、クリロナポストプレーに反応したオタヴィオの持ち運びから左サイドへスルーパス。走り込んだサディオ・マネがファーではなくニアに突き刺すシュートを決めてアルナスルが追加点。

更に更に38分、右サイドから攻め込んだアルナスルはブロゾビッチが左脚でシュート。一度はGK朴が弾いたものの、こぼれ球を見逃さず詰めていたクリロナが決め切って3点目。デュラン、サディオ・マネ、そしてクリスティアーノ・ロナウド……役者が揃い踏みするように拡がる点差……。

 

 

 

マリノスの初シュートは45分。松原健がポケットに入れたアーリークロスに遠野が上手く飛び込みますが、シュートはGKベントがキャッチ。

ゲームプラン自体はそれ通りに進めていたかに見えた決壊は一瞬、あまりにも重いビハインドを背負って後半へ。

 

 

 

後半からマリノスはヤンマテウス、クルード、加藤蓮を下げて井上健太、渡辺皓太、そしてアンデルソン・ロペスを投入。

しなし後半開始直後の49分、敵陣内でボールを失うとアルナスルクリロナ、マネ、デュラン、アル・ハッサンの4人でカウンターを敢行。アル・ハッサンのシュートはGK朴が弾きますが、こぼれ球をデュランに決め切られて選手交代の流れを掻き消すように4失点目…。

 

 

しかしマリノスも意地を見せます。

53分、井上のパスを受けた遠野がエリア内にパスを入れると、ロペスのポストプレーに走り込んだ渡辺がミドルを決め切って4-1!マリノスは途中出場の3人が絡むゴールで1点を返します。

 

 

56分には右サイドを抜け出した井上のグラウンダーのクロスに走り込んだロペスが決定機。この大決定機はシュートをフカす格好になってしまいましたが、マリノスが1点を取ってからはアルナスルが守備時のスペース管理の不安さを露呈する場面も目立つようになり、マリノスも徐々に背後のスペースへの侵入機会とチャンスを創り出せるようになっていきます。66分にアルナスルクリロナを下げてウェズレイ、アルハッサンを下げてヤヒヤ、シマカンを下げてスペイン代表のラポルテを投入。対するマリノスも遠野と山根を下げてエウベルと復帰戦となる喜田拓也を送り込みます。

70分にはCKのこぼれ球をロペスがシュート。GKベントが弾いたボールに植中が反応したボールがネットを揺らすもオフサイドでゴールは認められず。しかしマリノスが希望を見出せるような場面をいくつか作っていた中で74分、ヤヒヤに対する渡辺のタックルがファウルとなり、この日2枚目のイエローカード。反撃のキーマンの退場によりここに来てマリノスは10人に。

 

 

 

ただでさえ強大な戦力を持つ相手を前に数的不利まで背負ったマリノスはそこから反撃の余地はなく、何度か喰らったカウンターこそGK朴の好セーブで弾き出しましたが……試合終了。

去年破れた夢を追ったマリノスの再挑戦戦は決勝よりも前に、中東の地で漫画のように強烈な相手に屈する結果となりました。

 

 

 

マリノスのゲームプラン自体は正しかったでしょうし、同時に先制点を許すまでは遂行もできていたとは思います。

前半は基本的に守備を重視したシステムを組み、永戸や松原の攻め上がりを極力抑えつつ、アルナスルに押し込まれていたとはいえシュートは基本的にクロスボール以外はペナルティエリアの外でしっかりとコースを切りながら対応出来ていました。それゆえに朴一圭も比較的難なく対応していましたし、アルナスルもチームとしての統率、いざ押し込まれ始めた時の守備の疎通には不安がありましたから、前半を0-0で引っ張って後半にアンデルソン・ロペスを送り込んで刺し切る…というプランは正しく、そして一定の時間までは機能していた。それは事象として存在していました。

しかしそれにしてはやられ方があまりにも最悪だった。クルードのミスが直接失点に繋がった1点目もそうですし、その直後にマリノスの攻撃をカットされたところから鮮やかなカウンターを決められる2点目をやられる…このダブルコンボは致命傷として甚大過ぎたと思います。あの状況から選手交代を駆使して、後半に一度息を吹き返したスピリットは見応えがありましたが……プランが機能していた前半にミスとカウンターから点を取られる、選手交代をしたら4点目を取られる、1点を返した後にアンロペの決定機逸と植中のゴール取り消し、そして良い流れになりつつあったところで渡辺の退場……こういう時って、案外一方的にボコられた方が逆転のシナリオが立つ時もあるんですよ。それが元々の戦力差を踏まえた事も踏まえれば、少し良い時間帯、良い振る舞いが出てきた瞬間にそれを自分達で折ってしまうような展開になってしまった、しかもそれを繰り返してしまった事は痛かった。結果的にマリノスは自分達で顔を出させた芽を自分達で摘む形になってしまった……ここは彼らの今の状態すら感じさせる展開だったのかなと…。

 

 

見えた希望と光はその度に塞がれ、一度掴んだ希望の糸もその度に切られていく……ある意味で今日のマリノスが辿った試合展開は、良い部分やプランがあっていた瞬間があったからこそ精神的に苦しい部分が大きかったと思います。

彼らにとって、今日サウジアラビアの地で…いわば希望と信じてすがっていた舞台がここで潰えてしまった。混迷に落ち込んだクラブが直面したこの現実が、彼らにどのような未来を与えるのか。それが良い起点になるのか、はたまた悲劇の一部と化すのか。この敗北がマリノスに与える意味はどのようなものになるのでしょうか。

 

 

サウジ館からサウジ行くマリサポフロサポいるのかしら

ではでは(´∀`)