RK-3はきだめスタジオブログ

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ケミストリー〜2025明治安田J1リーグ第31節 ガンバ大阪 vs アルビレックス新潟 マッチレビュー&試合考察〜

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グアムキャンプの紅白戦でゲロ吐いたとかいう当時のガンバ戦士が擦り倒した入江さん伝説

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第32節、ガンバ大阪 vs アルビレックス新潟の一戦です!

 

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悩ましさは今季のガンバにずっと付いていたものだったと思います。良くない波乱に始まったシーズンは小さな連勝と小さな連敗を繰り返し、一口に良いとも悪いとも言えない季節は四季を通り越して十六季くらいあるように感じられた。儚い移ろいを前に激しく漂うようなシーズンを過ごしているのが今年のガンバだった…しかしここに来て、夏場のすこぶる体調不良は明け、怒涛の4連勝、ACL2を含めれば5連勝で邁進を始めました。そのうちの4試合が3得点以上を挙げての勝利。ここにきてガンバは、離れていたものが強烈な引力で再び吸い寄せられていくかのように高いパフォーマンスと威力を発揮するようになりました。

これは果たして本当に今年のチームの完成形なのか?連勝と連敗を繰り返したチームの中で"今"は本物なのか?もし本物ならば、物事に遅すぎるなんて事はない。そしてその強さ、失うものさえ失くしてなりふり構わぬ状態に陥ったチームにこそ発揮しなければならないものです。美しく吠える、そんな勝利と連勝を!

両チームスタメンです。

 

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ガンバは前節の横浜FM戦からはスタメンを2人変更。変更は普段からローテーション起用気味な傾向があるWGとボランチに留めており、今日はボランチを満田誠と安部柊斗のセットで、左WGにはウェルトンがスタメン復帰。ベンチ入りメンバー20名というくくりでは前節と同じメンバーになっており、トップ下で先発の宇佐美貴史はJ1通算300試合出場となりました。

ガンバOBの入江徹監督就任後、未だ未勝利と苦しい時期が続いている新潟は0-0で引き分けた新潟戦からはスタメンを1人変更。前節は長谷川元希と組む2トップの一角として久々の先発となった高木善朗を起用しましたが、今日は第25節C大阪戦以来の先発となる奥村仁でスタート。白井永地は徳島時代の恩師であるポヤトス監督との再戦です。

 

 

 

本日の会場は大阪府吹田市パナソニックスタジアム吹田です。

 

 

「SDGsmileマッチ~未来の地球に、いいパスを。~」と銘打って行われるこの試合はゲストとしてさかなクンが来場。場内ではガンバ大阪をモチーフに描かれたパラアート作品の展示も行われ、スタジアム内での献血ブースも設置。ポケモンセンターオーサカからピカチュウも来場するとの事。また、毎年恒例になりつつある"推し勝"企画として今年は一森純にフィーチャーした特別席が設けられています。

ガンバはACL2の開幕やACL2に伴う日程変更の影響で、ACL2を含めたホーム4連戦という異例の日程が完成していました。その夢の4連戦はここまで3連勝。日程に恵まれたこのチャンスを最大化するような勝利を!

 

 

 

 

新潟は12分に安部柊斗から橋本健人がボールを奪うとサイドに展開。島村拓弥との連動で抜け出した藤原奏哉の折り返しに長谷川元希が走り込みますが枠外に外れます。

とはいえ試合はほぼガンバペースでした。開始早々から黒川のクロスにヒュメットが合わせて惜しいヘディングシュートを放つと、左サイドはウェルトンの突破、右サイドは宇佐美貴史を絡めた連動でリズムよく前進していったガンバは13分には宇佐美のミドルがクロスバーを叩き、14分には左からの宇佐美のクロスにファーサイドに走り込んだ半田陸が頭で合わせますが、今度はGK田代琉我のファインセーブに阻まれます。

 

 

 

しかし15分、新潟は左サイドからスローインを入れると、左サイドのところから"らしい"ショートパスをテンポよく繋いでパスワークで打開。最後は抜け出した新井泰貴がGK一森純をうまくかわすタップキックで流し込んだ新潟が先制。新潟はチームとしては5試合ぶりのゴールということに。

 

 

その後もガンバはチームとしてボールの動かし方は良かったものの、先制点を取った新潟も少し構えながら、ガンバのSBが高い位置を取っていた状況を踏まえたサイドからの前進を徹底してきており、その過程で新潟も何度かチャンスを作っていました。

しかしその中で39分、やや停滞感が生じ始めていたガンバでしたが、右サイドでのビルドアップが相手のプレスに詰まりそうになったところを半田が的確な状況判断で形勢を一気に翻すロングスルーパスを供給。抜け出した山下のマイナスへの折り返しに走り込んだ宇佐美が"ゴールにパス"と呼ぶべきコントロールショット!!あまりにも鮮やかなゴールでガンバ同点!

 

 

またしても先制を許しながら追いつく展開となったガンバ。1-1の状況で後半に向かいます。

 

 

 

しかし後半、再びスコアを動かしたのは新潟でした。

49分、宇佐美がボール奪取からチャンスを作って左サイドのウェルトンに展開しますが、僅かに伸びたパスを藤原がインターセプト。すると藤原は一気にロングスルーパスを放つと、これに反応した長谷川が折り返したボールに入ってきた奥村が流し込んで新潟勝ち越し。まるでガンバの同点弾を踏襲されたような同サイド攻略を見せつけられる形で失点…。

 

 

ガンバは52分に左サイドを突破したウェルトンの折り返しにファーサイドに入った山下が巧みなファーストタッチで橋本を交わしてシュートを放つも、続け様にカバーに入った早川史哉にブロックされてゴールならず。直後にもウェルトンがカットインから地を這うミドルを放ちましたが、今度は左ポストにヒットしてガンバは立て続けの決定的なシーンを活かし切れません。

 

 

 

しかし60分、遠い位置からのFKで宇佐美が蹴り込んだボールは一度は相手が弾いたものの、そのこぼれ球を収めて巧みなポストプレーを見せたヒュメットの落としに走り込んだウェルトンが右脚一閃!!今年は怪我に苦しめられる時間が長かったウェルトン。ようやくのシーズン初ゴールでまたしても同点!!

更に同点弾の直後に山下を下げてファン・アラーノを投入して64分、左サイドからのスローインを受けた宇佐美がボールキープから抜け出した満田誠へスルーパス。満田のクロスは一度弾かれますが、こぼれ球に走り込んだ安部柊斗がまたしても地を這う一撃で逆転!!ウェルトンが復活し、安部も本領を見せつつある一撃でとうとう逆転!!!

 

 

一旦、ビハインドを背負う形となった新潟は67分に奥村と島村を下げてマテウス・モラエスとブーダを投入。

しかし試合はもはや完全にガンバのものと化していました。75分には高い位置で白井永地からボールを奪ったヒュメットが独走。抜き切る前に彼の得意な角度に持ち出して右足を振り抜くと、ここしかない右下の隅に吸い込まれてとうとう4点目!!!!

 

 

ガンバは4点目の直後に満田を下げて鈴木徳真、83分に宇佐美、ウェルトン、ヒュメットとスコアラー3人を下げて美藤倫、奥抜侃志、イッサム・ジェバリを投入。ボランチを本職とする選手が中盤に3人並ぶ形になりましたが、4-1-2-3ではなく美藤をトップ下に置く形で起用します。

終盤には前がかりに攻め込んできた新潟に対して跳ね返す時間が増えながらも、ボールを奪い返したタイミングではリードを持つ側として落ち着いた振る舞いを見せたガンバ。美藤のスルーパスに抜け出したジェバリの決定機こそGK田代に阻まれましたが、試合は2点リードを保ったまま終了。ガンバ5連勝&公式戦6連勝!6試合で17得点!!

 

 

 

試合を通じて良い攻撃が出来ていたと思います。攻撃のリズムは総じて良くなった。それはここ1ヶ月の大きな部分かなと。

前半は新潟のブロックに対してなかなか裏に抜けるヒュメットに付けにくい場面があったりと全てが上手く行っていた訳ではないんですけど、苦しい時期のガンバはミドルゾーンで停滞してしまっていたところが、この日はその中でもサイドの絡みを増やしながら可能性のあるボールの動かし方をリズム良く出来ていた。そこのリズムが良かったがゆえに新潟のカウンターを喰らいやすくなっていた側面は否定できませんが、局面的なオープンな展開という意味ではなく、選手達の意識や視界みたいなところをすごくオープンにプレーできている部分はあるのかなと。

福岡将太がよくやるポヤトス監督物真似の「ナカミテ、ソトミテ、ナカソトナカソト…」じゃないですけど、要はあれって単純に幅を取れとか、単純に密集して数的優位を作れという訳ではなく、この両局面を自分達で意図的に生み出せる、利用できるようになれば攻撃の幅は広がるし、その判断をする余裕と時間をつくる為には常に自分達でボールを動かしている必要があるよね、という事だと思うんですね。ここ何試合かのガンバは、例えば今日で言えば比較的コンビネーションで崩していく右サイドと幅と推進力で揺さぶっていく左サイドの非対称性に表れているように、この局面の判断がすごくクリアになっていました。だからウェルトンの単独突破に対するヒュメットや宇佐美、山下の振る舞いであったり、逆に半田がボールを持った時の山下や宇佐美の絡みとそこにヒュメットがどうやって構えるか…みたいな連動がスムーズになった。これは戦術理解というよりも個人間の相互理解みたいなもので、それをポヤトス体制で築いた土台の上にその要素を乗せられている事がポヤトスガンバに於ける"良い時"のチームプレーなんだと思います。尤も、現在の攻撃は半田や黒川/初瀬亮の積極的な攻撃への関与が前提で、なんなら黒川のクロスに半田が入っているような場面もあったりする中で、そこで喰らうカウンターを中盤で捕まえきれないケースが増えているのは不安点で、安部は広範囲的なカバーというよりは前で潰しに行く事で強みを出すタイプであら事を踏まえると中盤で潰し切る対人守備力にはかけている現状があるので、そこが次の鹿島戦のような試合でどうなるかは気がかりな部分でもありますが。

 

 

 

この試合で特筆すべき部分と言えば、個人が個人レベルでディテールを突き詰めた動きをしてくれていた事と、周囲がそれにしっかりと呼応してくれていたところでしょう。

一番わかりやすいのがガンバの1点目の場面。このゴールは実に色んな選手の動きや判断の妙が詰まっていました。最後の局面のところ、ヒュメットの自分にボールが出なかったとしても走り込む意識がその時点で素晴らしいのですが、その前に一瞬外に膨らむコースで走る事で、宇佐美の走り込むスペースどころかシュートコースまで実質的に作っているんですよね。あそこはヒュメットの動きの質であり技術ですし、そのヒュメットの意図をちゃんと汲んだ宇佐美と山下も素晴らしかった。そしてその山下にしても、このゴールは半田と安部が少しガチャガチャっとなったところから半田のロングスルーパスが炸裂した訳ですが、山下は安部がボールを持った時点で背後へのアクションを起こしているんですよ。安部のところでコントロール出来なかったのでそこではパスは来ませんでしたが、そのこぼれ球を半田があそこでノータイムであのボールを蹴れたのは、山下が追いつくかどうかはともかくとしても、安部の時点で山下がアクションを起こしていた事を半田も理解していた訳ですから、少なくとも全く反応できない事はないという確信はあったんだと思います。ヒュメットの動きを汲んだ山下と宇佐美の呼応は、実はその前に山下と安部半田のところでも同じ事が起こっていた…と。宇佐美にしても、4点目の時のヒュメットのゴールは彼の独走ゴールでありながらも、よく見ると宇佐美のファーへのアクションにより、本来はヒュメットのシュートコースを消したかったであろう相手DFの早川が完全に宇佐美に気を取られる状況を作っていて、それによりシュートコースが線のように開いたんですよね。そういう細かい動きの質、アイデア、徹底ぶり…これらはまさに好循環の象徴ではあるのかなと。

終盤にアラーノやジェバリ、奥抜らを入れてゲームのギアを変えられるベンチワークも含めてですが、今の好調が一過性のものでなく本物なのであれば、選手の質と相互理解、戦術の土台というスタートラインを併せ持つという意味でここ10年で最も攻撃が機能している状態と言ってもいいと思います。前述のように、その代償として守備面でのリスクと負担も背負っている状態なので手放しに最高とまでは言いませんが、少なくともここ1ヶ月のガンバがすごく心躍るようなサッカーを見せてくれている事は間違いない。選手同士のコンビネーション、ケミストリーみたいなものは、すごく完成された状態にあるように感じました。宇佐美祝300試合!

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2025明治安田J1リーグ第32節

FC町田ゼルビア1-0ファジアーノ岡山

名古屋グランパス0-4鹿島アントラーズ

ガンバ大阪4-2アルビレックス新潟

東京ヴェルディ0-0浦和レッズ

アビスパ福岡1-2サンフレッチェ広島

ヴィッセル神戸2-1清水エスパルス

横浜FC1-0湘南ベルマーレ

FC東京2-3横浜F・マリノス

セレッソ大阪1-2京都サンガFC

川崎フロンターレ4-4柏レイソル

 

1位 鹿島アントラーズ(64)

2位 ヴィッセル神戸(60)

3位 京都サンガFC(59)

4位 柏レイソル(57)

5位 FC町田ゼルビア(55)

6位 サンフレッチェ広島(55)

7位 川崎フロンターレ(52)

8位 浦和レッズ(49)

9位 ガンバ大阪(49)

10位 セレッソ大阪(43)

11位 清水エスパルス(40)

12位 ファジアーノ岡山(40)

13位 FC東京(40)

14位 アビスパ福岡(37)

15位 名古屋グランパス(36)

16位 東京ヴェルディ(36)

17位 横浜F・マリノス(34)

18位 横浜FC(31)

19位 湘南ベルマーレ(25)

20位 アルビレックス新潟(21)

 

混戦のリーグ戦の中にありながら、第31節終了時点の順位と全く変動がないという異例の第32節となりました。

上位勢は軒並み中位以下のチームとの対戦が組まれていた中で、鹿島、神戸、京都、町田、広島はそれぞれ勝利。特に神戸、京都、町田は終了間際の決勝点で勝点3をもぎ取った一方、川崎と4-4という壮絶な打ち合いを強いられた柏のみがが勝点1に留まり、首位鹿島との勝点差を7点に広げられています。先月までは優勝争いに加わっていた浦和は4戦未勝利で脱落する格好となった一方、優勝争いからは遠ざかっていたG大阪が5連勝で浦和と勝点で並びました。

残留争いは福岡が5連敗、名古屋も鹿島に大敗して残留争いを抜け出せていない一方、横浜FM横浜FCは共に1点差で勝利し、18位横浜FCから14位福岡までの勝点差は6点に縮まりました。特に横浜FCは19位湘南との直接対決をモノにしており、湘南はこれで16戦未勝利。新潟も13戦未勝利で残留圏内から遠ざかりつつあります。

 

 

明日10回目の万博いく

ではでは(´∀`)