ユーゴ代表とかいうロマン。
どーもこんばんは
さてさて6月11日、日本代表vsセルビア代表の試合が行われます!
セルビア代表といえば……強豪ひしめくUEFAの中でも実力国かつタレントの揃う国で、惜しくもUEFA EURO 2020の出場こそ逃したものの、今年のEUROに出ない国の中ではトップクラスとも言うべきチームです。
ロシアW杯以降はUEFAが代表ウィークにUEFAネーションズリーグを開催するようになった影響で、欧州以外の国が欧州勢と試合を行う事が困難になってしまい、実際に日本も最後に欧州勢と戦ったのはロシアW杯のベルギー戦です。コロナ禍関係なく、欧州勢と親善試合を行うチャンスはこのEURO期間にEURO非出場国とやる以外無かったので、そこでセルビアとの試合を組む事が出来た協会のマッチマークには今回ばかりは拍手したいところ。アジア2次予選の対戦相手を踏まえると、このA代表5連戦の本チャンは間違いなくこのセルビア戦でしょう(エンタメ的にはvsU-24だけど)。
という訳で今回はセルビア代表を紹介しつつ、過去の日本vsセルビアの試合を振り返っていきます。
セルビア代表
監督:ドラガン・ストイコビッチ(2021年2月〜)
ロシアW杯成績:グループステージ敗退(1勝2敗)
過去のW杯最高成績:グループステージ敗退(2010、2018)
過去のEURO最高成績:予選敗退(2008、2012、2016、2020)
前身チーム:ユーゴスラビア代表、セルビア・モンテネグロ代表
セルビア代表…東欧の有力チームの一つですね。今回はベストメンバーが全員来日する訳ではないですが、常に誰かしらはヨーロッパのトップクラブに所属していて、歴代にも多くの名選手を輩出しているチームです。今回はこういう時勢なので招集されていませんが、現在のトッププレイヤーでいうとルカ・ヨビッチ、セルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチあたりでしょうか。セルビア代表としては2回ワールドカップに出場して両方ともグループステージ敗退ではあったものの、南アフリカW杯ではドイツに金星を挙げたりロシアW杯でも初戦は勝利したりと、爪痕を残して大会を去っています。2大会ともちょっとしんどいグループだった…って背景もありますしね。
まぁ、ユーゴスラビアといっただけでサッカーに詳しくなくても歴史を知っている方はピンと来るでしょうが、ながーく歴史を見ると複雑な歴史を辿ったチームです。
元々はユーゴスラビア代表というくくりの代表チームで、その代表チームは「東欧のブラジル」と呼ばれたほどタレントあふれるチームでした。その象徴的な大会が1990年イタリアW杯で、イビチャ・オシム監督にドラガン・ストイコビッチなどがいて今なお伝説のチームと称されており、今でも時折「旧ユーゴ圏出身選手でベストイレブン」みたいなif企画も行われたりするほど。しかしユーゴスラビアの崩壊と共に、今で言うところのベルギーのようなロマンすら感じられた代表チームはあえなく崩壊。優勝候補の一つとして出場が決まっていたスウェーデン開催のEURO1992、国際情勢の悪化と共にFIFAとUEFAからの出場停止通告がスウェーデンの空港で彼らに通達されるという結末を迎えました。
出場停止が解除されてからはユーゴスラビアの名の下でフランスW杯に出場し、そこからドイツW杯までは新たに「セルビア・モンテネグロ代表」として大会に出場。ドイツW杯直前にモンテネグロが独立した事で、代表チームは大会後から「セルビア代表」と「モンテネグロ代表」に再分裂しました。なのでユーゴスラビア代表とかセルビア・モンテネグロ代表のメンバーを見ると、誰が最終的にどこに行ったのか…とか考えるのも面白いですね。
そしてなんといっても今回の重要ポイントはセルビアの監督がドラガン・ストイコビッチであるという事。
上記に書いたように、ピクシーことストイコビッチは言うまでもなくセルビア、ユーゴスラビアのレジェンドです。そしてこれも言うまでもないですが…彼はJリーグ史上最高の外国人プレーヤーとも言われていて、ピクシーとベンゲルが来日しなかった世界線のJリーグ(た名古屋グランパス)の世界線は今よりも味気ないものになっていた事でしょう。2001年夏に引退しましたが、2008年に監督として名古屋に復帰。そこでは現役時代に成し遂げられなかったJ1優勝をクラブに監督としてもたらしました。そんなピクシーが、母国の代表を率いて来日する……こればっかりは無観客である事が本当に悔やまれます。また、名古屋時代からストイコビッチ監督を支える喜熨斗勝史コーチもセルビア代表にスタッフ入りしています。
セルビア代表の今回の日本遠征の日程は以下の通り。
国際親善試合
6月7日16:00@兵庫・三木総合防災公園
キリンチャレンジカップ2021
日本代表vsセルビア代表
6月11日19:25@ノエビアスタジアム神戸
日本vsセルビア、過去の対戦プレイバック
キリンチャレンジカップ2010
日本0-3セルビア
2010年4月7日19:20@大阪長居スタジアム
セルビア得点者:ドラガン・ムルジャ(15分、23分)、ネマニャ・トミッチ(60分)
登録メンバー
監督 岡田武史
南アフリカW杯が未だに日本サッカー史に於けるターニングポイントだと見られているのは何もあの大会から一気に日本代表の黄金時代が始まったからというだけでなく、大会前の空気はまるで南アフリカでやらかせば日本代表と日本サッカーは衰退まっしぐらになるかもしれない…という悲観論にリアリティが伴っていた事に他ならない。その象徴が大会直前の韓国戦であり、このセルビア戦だった。
時期的に難しかったこともあって、この試合は日本もセルビアも国内組だけの試合となった。だが南アフリカW杯メンバーの海外組が4人しかいなかったように日本のメンバーは国内組でもほぼベストメンバーに近かったのに対し、デヤン・スタンコビッチやネマニャ・ヴィディッチのように欧州主要リーグでプレーする選手が多くを占めていたセルビアは完全2軍とも言えよう面子。W杯ではオランダ、デンマーク、カメルーンというかなりめんどくさいグループに入ったともあって、W杯を見据えるなら日本は勝たなくてはならなかった。だが前半のうちにスルスルっと2失点喫し、後半から投入した石川なんかは存在感を見せたが、得点には至らず逆に3点目を許す。一応は完売になった長居スタジアムで満員の観衆が目にしたのは惨劇と表現するしかない光景だった。
ちなみに、この試合で2ゴールを挙げたドラガン・ムルジャは2014年に大宮アルディージャに移籍している。
国際親善試合
セルビア2-0日本
2013年10月11日17:34@スタディオン・カラジョルジェ
セルビア得点者:ドゥシャン・タディッチ(59分)、ミロシュ・ヨイッチ(90+1分)
登録メンバー
GK1 川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
DF3 酒井高徳(VfBシュトゥットガルト)
FW8 清武弘嗣(1.FCニュルンベルク)
FW10 香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
FW14 乾貴士(アイントラハト・フランクフルト)
MF17 長谷部誠(1.FCニュルンベルク)
監督 アルベルト・ザッケローニ
ザックジャパンがW杯本戦を除いて最も停滞感を迎えていた中での、というよりその象徴ともされる一戦。6月のコンフェデ杯での3戦全敗に加え、8月にはウルグアイにも敗戦。9月にはホームでグアテマラとガーナに連勝したが、久々の異国での親善試合となる東欧遠征は東アジア選手権から合流した選手との融合も含めて重要な試合だった。
だが前半こそそれなりにチャンスを作ったものの、後半に失点を許すとわかりやすくリズムが狂ってしまう。結局終了間際にも追加点を奪われた日本は0-2で完敗。この次にもベラルーシに0-1で敗れた。この時、それまではほぼ何の問題もなかった日本代表の選手間でも「これまでのパスサッカーをもっと突き詰めていくべき」「もう少し現実路線を見たサッカーをすべき」など意見が分かれたという。一応その後、11月の西欧遠征で問題は緩和されたのだが…。
ちなみにこの日はセルビアの名選手、デヤン・スタンコビッチの代表引退試合として設定されており、先発出場したスタンコビッチが前半10分に下がる際に両チームの選手がピッチ中央で花道を作る…というセレモニーが行われた。その際、インテルでチームメイトである長友とお辞儀パフォーマンスも行っている。また、ザッケローニ監督とはインテルで選手と監督の関係だった時期もあった。
セルビア戦今のところ良い思い出まるで無くて草
ではでは(´∀`)