ロシアW杯の時にスペインのチケット泣く泣く手放したのよな…
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューはUEFA EURO 2020 グループE第1戦、スペイン代表vsスウェーデン代表の一戦です。
「無敵艦隊」…その異名を誇るスペインに訪れた黄金期はEUROの連覇、そして2010年南アフリカW杯の優勝とサッカー史に残る華々しい歴史を築きましたが、2014年ブラジルW杯のグループステージ敗退を機に一気に迷走期へ。EURO2016ではベスト16で散り、初戦3日前の監督解任騒動を経て挑んだロシアW杯でもベスト16敗退……スペインの輝かしき時代は完全に終焉しました。
しかし一つのサイクルが終われば、また新しいサイクルは必然的に回り出すもの。FCバルセロナで三冠を達成したルイス・エンリケ監督を迎えたチームは大胆な世代交代を図り、今回のメンバーでロシアW杯に出場したのは僅かに6名のみ。まさしくスペイン新時代…この大会は次のW杯、次のEUROに繋がる第一歩です。
対するスウェーデンも躍進が期待されているチームの一つです。ズラタン・イブラヒモビッチが王として君臨する季節こそ過ぎたものの、イブラ抜きで挑んだロシアW杯でもベスト8に進出。デヤン・クルゼフスキやエミル・フォルスベリ、アレクサンデル・イサクと有力なタレントを保持し、彼らの目標は今や決勝トーナメント進出だけではないでしょう。前評判ではスペイン有利ですが、フラットに見れば結構イーブンに近いかも…?注目の対戦となりました。
両チームスタメンです。
史上初めて国際大会にレアル・マドリード勢が選ばれなかった事も話題になるなど、黄金期のバルサ・レアル中心のチームからはだいぶ様変わりしたスペインはシステムこそ同じですが、所属チームはなかなかバラけるようになってきました。GKにはウナイ・シモンが起用され、CBにはアイメリック・ラポルテとパウ・トーレスのレフティーを2人並べる形。セルヒオ・ブスケツが新型コロナ陽性判定で欠場したアンカーにはロドリが入り、そしてスペインの国際大会では最年少となる18歳ペドリがスタメンを勝ち取っています。
スペインがロシアW杯以降大幅な世代交代に踏み切ったのとは対照的に、ロシアW杯メンバーが今大会でも16人登録されるなど、ベスト8進出果たしたロシアW杯から継続路線を選択したスウェーデンはオーソドックスな4-4-2。今年のラ・リーガで価値を相当高めた選手の一人でもあるアレクサンデル・イサクはスペイン相手にどんなプレーを見せるでしょうか。
本日の会場はスペイン、セビリアのエスタディオ・オリンピコ・セビージャです。
セビリアにはセビージャFCとレアル・ベティスの2チームがいますが、どちらの本拠地というわけでもなく、不定期にスポット的に試合を行う程度。元々は1999年の世界陸上に向けて建設されたスタジアムで、こけら落としは1999年5月5日に前年のフランスW杯で3位に輝いたクロアチアとの親善試合で、この試合では現監督のルイス・エンリケも先発で出場していました。2003年に行われたUEFAカップの決勝ではFCポルトがセルティックを下して優勝し、これがジョゼ・モウリーニョ伝説の幕開けだったとか…。
ちなみに、今大会はスペインでの開催は予定されていましたが、当初はセビリアではなくビルバオのサン・マメスでの開催が予定されていました。ですがビルバオ(バスク州)が観客の受け入れを確約出来なかった事で開催を断念。代わりに代替で急遽開催都市に選ばれた…という経緯があります。
かつてほど「ティキ・タカ」を重視している訳ではないものの、やはり強みはポゼッション力にあるスペインは前半からしっかり低い位置でもビルドアップを徹底していきます。対するスウェーデンはスペインの暑さ、試合後にはロシアへの移動もあるスケジュール面も考慮してか勝点1上等の完全に割り切った戦い方。常に4-4-2の陣形を維持しながら低い重心を保ち続けます。
16分にはコケのクロスボールにダニ・オルモがヘッドで合わせるもGKオルセンがスーパーセーブ。23分にはジョルディ・アルバとコケのパスワークからコケ、29分にもオルモの折り返しをコケ、そして38分にはアルバのロブパスから上手くDFと入れ替わったアルバロ・モラタがGKオルセンと1対1の場面を迎えましたが、この3つの決定機は全て枠外へ。
スウェーデンのプランが活きたのは40分、GKのボールからするするっと抜け出したイサクが抜け出す特大の決定機を迎え、シュートはGKの背後に飛んだもののギリギリでマルコス・ジョレンテがカバーに入って事なきを得ます。結局、前半終了時の支配率が79%ながら攻め切れなかったスペインに対して、スウェーデンの方がプラン通りに進んだであろう前半は得点が動かないまま前半終了。
後半に入ると、時間の経過と共にスペインは前がかりになると同時に背後のスペースが不安定になるハイリスクな展開になっていきます。ブロックを固めるスウェーデン守備陣の活路を一向に見出せないまま、60分にはスウェーデンがカウンターからイサクがペナルティエリア内でスペインを翻弄。折り返しこそマクルス・ベリが決め切れなかったものの、スウェーデンも「一刺し」がある事を示唆するような攻撃を見せていきました。
状況をなんとか打破したいスペインは65分にロドリとモラタを下げてチアゴ・アルカンタラとパブロ・サラビアを投入。続けて74分にもフェラン・トーレスとオルモを下げてミゲル・オヤルサバルとジェラール・モレノを投入し、0-0は実質スウェーデンの勝ちとも言えようこの試合に決着を付けにかかります。対するスウェーデンは得点源のイサクやフォルスベリを下げてまで守備的な選手を投入し、なんとか勝点1を死守しに行く方針に。
ラスト5分とアディショナルタイムになるとスペインが猛攻を仕掛けます。ペドリが持ち運び、左サイドをアルバが抜け出して折り返す形で何度もチャンスを作りましたが、アルバのクロスをサラビアがシュートを打ち切れなかったり、モレノのシュートがGKオルセンに右脚一本で阻まれたり……。
最後の最後までスペインのとめどないサイド攻撃に対し、スウェーデンはほぼ全員守備状態でスペインに立ち向かいます。どちらにとっても初戦から消耗戦のような試合を強いられましたが最後までゴールは生まれず。白熱の耐久戦は最後まで0-0のスコアレスドローに終わりました。
「実力差があるなら守備に徹しろ」と口では簡単に言いますが、アレって別に消去法的な選択肢になるほど簡単な事じゃないんですよね。単に引いて守りゃいいって考えで成立する訳じゃないし、時にはカウンター攻撃の矛を持ち合わせている事も示唆出来ないと圧は一層強くなる訳で。チーム力を否定する訳じゃないですけど、開幕戦ではイタリア相手にトルコが似たような事をやって、結果として上手くいかなかった…なんて例もある中で、そういう意味では今日のスウェーデンはチームとして非常に優秀でした。ああいう戦い方をする際に最も重要なのはゲームプランに対するチームでの意思統一が為されている事で、例えばそれはFWイサクがその戦い方の中で矛になる事を含めて徹底されていたと思います。スウェーデンからすれば、精神的には勝点3に近いドローでしょう。何個か決定機はあったので悔やむ気持ちもなくはないでしょうが。
スペインとしては…アルバをキーマンとした左サイドでの崩しとか、悲観する必要はない場面とパフォーマンスは見せたと思います。おそらく明日のスペインではモラタは相当批判されるでしょうが、38分の決定機のシーンに繋がるボールの貰い方など光るシーンはありましたし。ただ、この展開で勝てなかったのは少しメンタル的には引きずるかもしれませんね…。
誰がイニエスタの横断幕持ってなかった…?
ではでは(´∀`)