覚えておいででしょうか。
2022年4月1日……日本時間ではもう2日でしたかね。
固唾を飲んで抽選会を見守った者は発狂し、翌朝のニュースを見た者はフリーズを起こす。日本のサッカーファンが同時多発バグを起こしたあの日のことを。
あぁぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァ
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2022年4月1日
「死の組だ」「いや、日本とコスタリカにとって死の組なだけだぞ」とかそんな論争は色々ありますが、一つ確かなのは日本にとってこれがただただ「地獄のグループである」という事実です。というかね、まさか抽選会前に考えた「ぼくのかんがえたさいあくのぐるーぷ」みたいなのに突っ込まれるとか夢にも思ってなかったですよ。
…ただ、諦めるにはまだ早いというか、可能性は決してゼロじゃないですし、過去のW杯でもミッションインポッシブル的なグループから生還し、見事ベスト16進出を果たしたグループはちょいちょいあるのです。
今回は過去のW杯を振り返って、そういう過酷すぎるミッションインポッシブルな状況からジャイキリぶちかましてサプライズ突破をキメたチームを紹介していきたいと思います。日本的には縁起物企画!!
※正直なところ昔々の大会に関しては力関係の感覚とかあまり理解出来てないので、基本的にはフランスW杯以降辺りからの選出になる事を予めご了承ください。
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CASE1:セネガル代表(2002年日韓W杯)
監督:ブルーノ・メツ(フランス)
【試合結果】
第1戦 vsフランス○1-0(得点者:B・ディオプ)
第2戦 vsデンマーク△1-1(得点者:S・ディアオ)
第3戦 vsウルグアイ△3-3(得点者:K・ファディガ、B・ディオプ②)
ベスト16 vsスウェーデン○2EX1(得点者:H・カマラ②)
準々決勝 vsトルコ●0EX1
1位 デンマーク(7)+3
2位 セネガル(5)+1
3位 ウルグアイ(2)-1
4位 フランス(1)-3
【主要選手】
DF6 アリュー・シセ(モンペリエ)
FW11 エル=ハッジ・ディウフ(RCランス)
MF19 ブバ・ディオプ(RCランス)
W杯史に残る衝撃的なインパクトを残したのがセネガル。前回王者かつ2000年のEUROを制したフランスは、ジネディーヌ・ジダンを欠いていたとはいえ、イングランド(ティアリ・アンリ)とイタリア(ダヴィド・トレゼゲ)の得点王を揃えるなど優勝候補のド本命だった。2位争いを見ても欧州の実力国として知られるデンマークとアルバロ・レコバを筆頭にしたタレント集団のウルグアイで、いくらリーグ・アンでプレーする選手が中心とは言えども初出場のセネガルには余りにも分が悪すぎると思われた。
しかし21世紀最初のW杯ゲームとなったソウルで行われた開幕戦、今なお語り継がれる伝説のジャイキリを起こすと、残り2試合もドローに持ち込んで無敗で勝点5を獲得。デンマークに次いで2位でグループステージを突破し、最終的にベスト8まで進んだ躍進は「W杯の番狂わせ」を語る時に必ず語られる快進撃となった。
CASE2:スウェーデン代表(2002年日韓W杯)
監督:ラーシュ・ラゲルベック、トミー・セーデルベリ(共同監督)
【試合結果】
第1戦 vsイングランド△1-1(得点者:N・アレクサンデション)
第2戦 vsナイジェリア○2-1(得点者:H・ラーション②)
第3戦 vsアルゼンチン△1-1(得点者:A・スヴェンソン)
ベスト16 vsセネガル●1EX2(得点者:H・ラーション)
1位 スウェーデン(5)+1
2位 イングランド(5)+1
3位 アルゼンチン(4)±0
4位 ナイジェリア(1)-2
【主要選手】
DF3 パトリック・アンデション(FCバルセロナ)
FW11 ヘンリク・ラーション(セルティック)
フラットに考えればスウェーデンは元々ベスト16を十分狙える立ち位置と目されてはいたが、いかんせんスウェーデンが組み込まれたグループFはW杯史上でも屈指の死の組だった。タレント集団で当時のウイニングイレブンでカリスマ的人気すら誇ったナイジェリアがいて、そして何と言ってもマルセロ・ビエルサ率いるアルゼンチンはフランスと並んで本命の二頭扱いされており、予選では苦しんだがイングランドも同国史の中でも屈指のタレントを揃えていた。スウェーデンは突破を驚かれるチームでこそなかったが、グループはかなり困難な組み合わせになっていた。
だが初戦のスウェーデン人のエリクソン監督率いるイングランド戦を引き分けに持ち込むと、神戸で行われたナイジェリア戦は絶対的エースのラーションの2ゴールで逆転勝利。そして宮城で行われた最終節のアルゼンチン戦は引き分け以上で突破が決まる状況下で、逆に勝たねばならない立場に追い込まれていたアルゼンチンの猛攻を受ける形になったが1-1で乗り切り、W杯史上に残る死の組を1位通過で乗り切った。結果的に2位のイングランドと共に「負けない事」が重要になったグループだった。
ちなみに当時21歳のズラタン・イブラヒモヴィッチも途中出場をメインに出場している。
CASE3:ガーナ代表(2006年ドイツW杯)
監督:ラトミル・ドゥイコビッチ(セルビア)
【試合結果】
第1戦 vsイタリア●0-2
第3戦 vsアメリカ○2-1(H・ドラマニ、S・アッピアー)
ベスト16 vsブラジル●0-3
1位 イタリア(7)+4
2位 ガーナ(6)+1
3位 チェコ(3)-1
4位 アメリカ(1)-4
【主要選手】
DF4 サミュエル・クフォー(ASローマ)
MF8 マイケル・エッシェン(チェルシー)
2006年のガーナはエッシェンやクフォーといった欧州のトップでプレーする選手も多く揃えており、タレントは豊富なチームとして認識されてはいた。しかしそれでもガーナはまだ初出場のチームであり、そして同じグループに同居したのは言うまでもなく優勝候補のイタリア、前回大会ベスト8で着実に力を付けていたアメリカ、そして2年前のEUROで躍進し、W杯自体は初出場だったがW杯前年にはFIFAランキングで2位にもなったチェコだった。ガーナはガーナでタレントを豊富に抱えていたので、このグループも死の組扱いされていた。
そんな中で初戦、ガーナがイタリアに敗れ、そしてチェコがアメリカに勝った時はこのグループはイタリアとチェコで順当に決まると思われた。しかし迎えたガーナとチェコの対戦、ガーナは前半2分にアサモア・ギャンが同国のW杯初ゴールを挙げると、後半にはムンタリが追加点を決めて2-0で勝利。この試合で一気に風向きが変わると、ガーナは最終戦でアメリカにも勝ち切った事でイタリアと共に決勝トーナメント進出を果たした。グループステージでは殆ど波乱の無かったドイツW杯に於いて、ガーナの突破とチェコの敗退は唯一のサプライズとして受け止められている。
CASE4:チリ代表(2014年ブラジルW杯)
監督:ホルヘ・サンパオリ(アルゼンチン)
【試合結果】
第1戦 vsオーストラリア○3-1(得点者:A・サンチェス、J・バルディビア、J・ボーセジュール)
第2戦 vsスペイン○2-0(得点者:E・バルガス、C・アランギス)
第3戦 vsオランダ●0-2
ベスト16 vsブラジル▲1(2PK3)1(得点者:A・サンチェス)
1位 オランダ(9)+7
2位 チリ(6)+2
3位 スペイン(3)-3
4位 オーストラリア(0)-6
【主要選手】
GK1 クラウディオ・ブラーボ(レアル・ソシエダ)
FW7 アレクシス・サンチェス(FCバルセロナ)
MF8 アルトゥーロ・ビダル(ユベントス)
チリも前述のスウェーデンと同様に、グループを考えなければベスト16進出自体はある程度順当と目されていた。しかしスペインとオランダと同居する事態になってしまい、前回王者のスペインは南アフリカW杯のメンバーにジョルディ・アルバやジエゴ・コスタらを加えたような陣容で、ブラジルと共に優勝候補の2トップと言われていたし、オランダは直近のEUROでは振るわなかったが、アリエン・ロッベンやロビン・ファン・ペルシーがまさしく絶好調。なによりスペインとオランダは前回大会の決勝を戦った2チームであり、チリとオーストラリアはただただ気の毒と同情視すらされていた。
しかし初戦から前回大会の決勝の再戦として注目されたスペインとオランダの試合はオランダが5-1で勝利する衝撃の幕開けを見せると、チリが自分達のタスクをきっちりと果たしていく中でスペインが崩壊し始める。元々高い自分達の実力をしっかりと発揮したチリと自滅して崩壊したスペインのコントラストは、聖地・マラカナンで行われた第2戦がまさしくその象徴的な試合となった。スペインとオランダの2強で堅いと思われたグループは、第2戦の時点でオランダとチリが突破を決める想定外の形で決着した。
CASE5:コスタリカ代表(2014年ブラジルW杯)
監督:ホルヘ・ルイス・ピント(コロンビア)
【試合結果】
第1戦 vsウルグアイ○3-1(得点者:J・キャンベル、O・ドゥアルテ、M・ウレーニャ)
第2戦 vsイタリア○1-0(得点者:B・ルイス)
第3戦 vsイングランド△0-0
ベスト16 vsギリシャ△1(5PK3)1(得点者:B・ルイス)
準々決勝 vsオランダ▲0(3PK4)0
1位 コスタリカ(7)+3
2位 ウルグアイ(6)±0
3位 イタリア(3)-1
4位 イングランド(1)-2
【主要選手】
GK1 ケイラー・ナバス(レバンテUD)
FW9 ジョエル・キャンベル(オリンピアコス)
FW10 ブライアン・ルイス(PSVアイントホーフェン)
このグループDが組み上がった時の衝撃は今でも覚えている。ウルグアイ、イタリア、イングランド…この3ヶ国が同じグループに入ってしまった衝撃は本当に大きかった。いうまでもなく、3ヶ国とも超がつくタレント集団で優勝候補。イングランドはやや低迷気味ではあったが、ウルグアイは前回大会4位で、イタリアは2年前のEUROでセンセーショナルなサッカーを見せて準優勝を果たしたところだった。ウルグアイ、イタリア、イングランドの中からどこか一つが敗退する……その現実にサッカーファンが慄くと同時に、多くのサッカーファンが抱いた感情は「コスタリカさんお気の毒に…」というものだった。上のスウェーデンやチリとは異なり、グループ関係なく有力視されていた訳でもなく「コスタリカ涙目」「巻き込まれたコスタリカ」みたいにオチ扱いすらされていた。
しかし初戦、ポッド1のウルグアイ相手にコスタリカは先制を許すも、ルイス、キャンベルを軸にした鋭いカウンターを起点に余りにも鮮やかすぎる逆転劇を演じて3-1で勝利したところから伝説は始まった。ウルグアイを喰ったコスタリカの存在に焦ったのはおそらくイタリアとイングランドで、初戦を制した国同士の対戦となった第2戦のイタリア戦でもなんとコスタリカは勝利。ウルグアイ、イタリア、イングランドのどこかが落ちると言われたグループで、第2戦の時点でベスト16を決めたのはコスタリカだった。
最終的にベスト8まで進んだコスタリカのブラジルW杯は、おそらくW杯の概念が存在する限り伝説として語り継がれていくだろう。その立役者となったGKケイラー・ナバスは、当時はレバンテ所属だったが、13-14シーズンのクラブでの活躍とW杯での大ブレイクが重なり、大会後にレアル・マドリードへの移籍を果たした。
次回はこの逆、グループステージでまさかの敗退やらかしたチーム5選です↓
谷口バッドマン。
ではでは(´∀`)