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林大地は大迫依存問題の解決策になるのか?

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ずっとオリンピック終わっちゃったねぇ…って言ってる気がする。

 

どーもこんばんは

 

さてさて、自国開催となる東京オリンピックで見事な成績を収めた日本代表ですが、今大会では「一番株を上げた」のは誰でしょうか?

例えば…堂安律や久保建英といった元々エース候補と見られていた選手であったり、吉田麻也酒井宏樹遠藤航オーバーエイジの3人は活躍がスタートから見込まれていた選手ですので、MVP候補になるのは間違いないのと同時に「株を上げた」とは少し違うと思っています。

 

 

今大会で株を上げたと思っている選手は主に二人。一人はGK谷晃生ですね。メキシコ戦で決定機を阻止した事に始まり、決勝トーナメントのニュージーランド戦とスペイン戦で見せたパフォーマンスは神懸かり的ですらありました。現在湘南ベルマーレに所属している谷はガンバ大阪保有権を持っていますが、海外移籍も現実的な話なのかもしれません。

 

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もう一人は…今大会のシンデレラボーイとでも言うべき選手だったのは林大地です。

元々彼はバックアップメンバー…要するに五輪メンバーからは落選した立場でした。しかし新型コロナウィルスの状況を考慮した特例措置としてバックアップメンバーの4名も正式メンバーとして認められると、グループステージのフランス戦を除く全ての試合で先発出場。エネルギッシュなプレーと献身性は間違いなく今大会の日本代表に大きな活力を与えてくれました。

 

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基本的にオリンピックサッカーU-23世代(今回のみU-24)の大会ですから、オリンピックの成績と同時に「この成果を以下に日本代表、W杯に繋げていくか」という部分が重要視されます。一例を挙げるならば、五輪本戦では3戦全敗という結果に終わった北京五輪世代が再評価されたのは文字通りフル代表としてのキャリアの構築ゆえであり、結果が最も求められるワールドカップと異なり、オリンピックには「結果」「育成・フル代表強化」の2つの評価軸があると考えられます。

 

 

その点でいえば、林が今回の東京五輪で残したパフォーマンスはチームの躍進に貢献するだけでなく、フル代表の課題を解決する為のヒントを提示した…という要素もありました。ヒントを提示したというよりは、日本代表の問題を林大地という存在で解決できるかもしれない道筋を示した…の方が適切でしょうか。今回はそれについて書いていきたいと思います。題して、「大迫依存問題は林大地で解決できる?」です。

 

 

 

そもそも大迫依存問題とは何か……から始めましょう。

 

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日本代表は長らく4-2-3-1システムを採用していますが、ワントップのレギュラーは2016年以降はずっと大迫勇也が務めています。

「大迫半端ないって」という言葉が有名ではありますが、実際問題として大迫の存在が持つ意味は日本にとって半端なく大きく、それはいつしか「大迫依存」とすら呼ばれるようになりました。というのも、近年の日本代表戦は大迫がいるかいないかで攻撃面でのパフォーマンスにかなり大きな差があって、それは試合を観て一発でわかるほどのレベルになっていた…と。これには日本のストロングポイントの影響もありました。

ザックジャパン時代以降、日本の2列目はまさに大豊作状態でした。本田圭佑香川真司清武弘嗣乾貴士…そして現在の代表なら南野拓実に鎌田大地、伊東純也に東京五輪にも参加した堂安律と久保建英…2列目に優秀なタレントを揃えているがゆえに、チームとしての攻撃の最適解は「2列目が点を取るサッカー」という形になっているんですね。その状態がかれこれ10年くらい続いている訳です。

 

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私自身、その路線はむしろ賛成寄りです。最も人材の揃うポジションを明確に持っている事を思えば、逆にむしろそこを活かさないのは勿体ない話でもありますし、それ自体は正しいと思います。

ただ同時に、それを遂行させる為にはワントップの選手のタイプが非常に重要になってくるのです。それはある意味では実力以上に。要するに、今の代表のFWには、極論を言えば点を取ること以上に2列目を上手く機能させられるFWであることが求められているとも言えます。じゃあどういうタイプが良いのかというと、ざっくりしたタイプで言えばポストプレーヤータイプというか、最前線でDFを背負いながらボールを収められる事、そこから2列目の攻撃に繋げていく事…この2つが最優先事項になってくるんですね。それを踏まえると、これらの条件を満たした上で点まで取れてしまう大迫に依存してしまうのは必然の流れで、逆に言えば2列目の選手達が大迫のいる状態に慣れてしまうのも自然と言えるでしょう。

その上で今の代表のFWといえば、浅野拓磨鈴木武蔵もそういうタイプかと言われればそうではありません(ただ逆に、3-4-2-1でやるならこの2人はむしろ大迫より向いているタイプでもあるのでサッカーの人選って難しいですよね)。6月の代表戦では古橋亨梧がワントップで起用されましたが、古橋のプレースタイルを見ても使うなら2列目(もしくは2トップの一角)で使いたいのが本音でしょう。

 

 

 

そんな中、東京五輪で林大地が見せたパフォーマンスは大迫依存を解決する答えとして十分すぎるものだったと思います。

所属するサガン鳥栖では基本的に2トップですので、これまでの印象は「献身的なストライカータイプ」だと思っていましたが、6月の代表活動でワントップとして抜擢されると、基本的にA代表と同じように2列目(主に堂安と久保)に点をとらせるサッカーをする上で、林が見せた役割はこれまでの代表でほぼ大迫しかこなせていないような役割でした。林はバックアップメンバーでしたから、厳密には一度落選した立場になりますが、あの6月シリーズと日本の戦い型を見て「スタメンは林で行くべきなのでは?」とあの時点で思った人は多かったと思います。最終的に林はバックアップメンバーながら、新型コロナウィルスの影響も加味した特例で正式メンバーとなり、元々バックアッパーだったにも関わらず第3戦のフランス戦以外の全試合でスタメン出場。得点こそ奪えませんでしたが、今回のチームから「影のMVP」を選ぶアンケートでも取れば林はかなり上位に入ってくるでしょう。特にグループステージのメキシコ戦での後半、CKのこぼれ球をキープしてそのままシュートまで持っていったシーンは、いよいよ本気で「ポスト大迫いた!」みたいな気分にさえなりました。

 

 

もちろん、貢献に疑いの余地は無いことと同時で5試合に先発しながら林が無得点に終わったことも事実で、大迫とはやはりまだ大きな差があるのはそうですし、同時に林は決して大迫のコピーを目指す必要は当然ありません。ただ…繰り返しになりますが、今回の東京五輪で見せた林のパフォーマンスは日本がここ数年苦しみ続けた「大迫依存問題」を解決し得るだけのヒントと答えの一つを提示してくれたように思いました。ある意味でこれは、最終的に五輪代表がA代表に近い戦術を採用したからこそ確認できた事でもあって、もし今後林がA代表で大迫の役割を担い、攻撃を活性化させる事ができたとすれば、森保一監督にA代表と五輪代表の監督を兼任させた意味は一つ形として提示できるのかな、と。

 

 

 

付け加えて言えば、ものすごく気になるのは林のキャリアが今後どうなるか…ですよね。

追加招集→最終候補入り→バックアップメンバー→正式メンバー→レギュラーFWというシンデレラストーリーのようなこの夏の林の軌跡は海外移籍を果たす…というところまで辿り着きました。行き先はシントトロイデンVV。日本人やJリーガーにはお馴染みのチームですね。東京五輪でチームメイトだった橋岡大樹を始め、見慣れた面子もいっぱいいます。近年の傾向として言えばベルギーのリーグも含めて、海外移籍のファーストステップとしては非常に良い環境です。実際、シントトロイデン産日本人選手としては冨安健洋、遠藤航、鎌田大地がその価値を高めていますしね。遠藤が25歳でシントトロイデンに行ったことを踏まえれば、林に広がる可能性も大きく考えられるのではないでしょうか。

林がヨーロッパのチームでどう成長して、日本代表に帰ってきた時にどんな姿になっているか…彼の鮮やかなストーリーに期待大です。

 

 

【結論】林さんどっかでガンバ帰ってきて!!

ではでは(´∀`)