残留戦線複雑怪奇
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第26節、名古屋グランパスvsジュビロ磐田の一戦です。
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遂に最下位に転落した磐田。特に前節浦和戦は散々な結果と内容に終わってしまい、終わってみればスコアはまさかの0-6………。この期に及んで大いなる屈辱を浴びせられる格好になった磐田は試合翌日、今季のチャレンジの象徴でもあった伊藤彰監督の解任を決意。後任にはコーチを務め、過去に大宮や熊本の監督を歴任した渋谷洋樹監督が昇格の形で就任しました。とはいえ磐田も、危機的状況とは言っても16位神戸との勝点差は2、15位湘南との勝点差も3という状況で、現状は降格濃厚になっている訳ではないですから、この辺りで解任ブーストを引き起こせれば、逆転残留はまだミラクルと言える段階でもないはずです。
対する名古屋は今夏も精力的に補強を行い、リーグ戦に関しては7月以降僅かに1敗。調子は少し上向いてきています。ただそれでも、16位神戸との勝点差は未だに6しかない事を踏まえると、この最下位に磐田との対決、そして次の17位G大阪戦で連敗するような事態に陥れば、名古屋にとっても修羅場はすぐそこまで迫ってきます。崖を駆け上がるような残留レースで名古屋は逃げ切れるのか、それとも磐田が名古屋の脚を掴むのか……真夏のサバイバルレースもいよいよ佳境です。
両チームスタメンです。
両チームともに3-4-2-1を採用したミラーゲームのような形になりました。
名古屋は0-0で引き分けた前節鳥栖戦からはスタメンを1人変更。永井謙佑がスタメンに戻ってワントップに入り、前節はワントップだったマテウス・カストロは今日は2シャドーの一角にポジションを戻しています。新戦力のレオナルドもベンチに戻ってきました。
渋谷監督の初陣となる磐田ですが、0-6の大敗を喫した前節浦和戦からはスタメンを6人変更。GKの三浦龍輝がスタメンに復帰し、前節もスタメンだった鈴木雄斗と山本康裕はそれぞれ一列ずつポジションを上げる形になりました。
名古屋は8月のホームゲーム3試合を毎年恒例のイベント「鯱の大祭典」として開催。毎年BEAMSがデザインした限定ユニフォームを着用し、来場者にも配布されます。今季は名古屋がクラブ創立30周年という事で、アーセン・ベンゲルに率いられた名古屋が天皇杯で初タイトルを獲得、ドラガン・ストイコビッチがJリーグMVPを受賞した思い出深い1995年のユニフォームをモチーフにしたデザインになっており、メモリアルイヤーらしいユニフォームになっています。
近年では埼玉スタジアム2002に次ぎ、パナソニックスタジアム吹田と共に日本サッカー界で重要な役割を任され始めているこの豊田スタジアムですが、今日はホームゲームでは2年半ぶりとなる声出し応援が解禁。入場者数に制限はあるものの、チケットも完売し、試合前には名古屋フィルハーモニー交響楽団とQaijffのメンバーが参加したスペシャルバンドの演奏も行われます。
試合は立ち上がりから名古屋ペースで進んでいき、磐田もビルドアップで組み立てようとはしていましたが、それよりも名古屋のアグレッシブさの方が目立つ展開になっていきました。なかなか決定機にまで持っていけていた訳ではないものの、積極的なプレッシングで磐田の前身を徹底的に阻み続けることでリズムを生み出した19分、右サイドで時間を作ったマテウスのスルーパスに森下龍矢が抜け出して折り返すと中に詰めてきた永井謙佑が決定機。永井のシュートはGK三浦龍輝のファインセーブに阻まれましたが、こぼれ球をエリア外で回収したマテウスがゴラッソを叩き込んで名古屋が先制!
名古屋は先制点を取った後もエネルギッシュなスタンスを貫いていました。ハイプレスを主体に磐田を制圧出来ていた名古屋は30分にも永井の突破がリフレクションを誘い、こぼれ球の処理に鈴木雄斗が手間取ったところを突いた相馬勇紀が掻っ攫ってミドルシュート。僅かに枠を逸れたものの、前半はずっと名古屋がやりたいことをできていて、ほぼパーフェクトな前半と言っても過言ではない試合展開で前半を終えます。
後半は磐田もラインを一段階上げて、前半よりも高い位置でボールを回す事で後手後手になるような形ではなくなっていきました。
しかし名古屋は元々守備にストロングを持つチーム。やはりロングカウンターを駆使して割り切らせると効率的な戦いを見せるようになって、磐田のチャンスシーンよりは名古屋がカウンターでチャンスを作る場面の方が多くなっていきます。57分には重廣卓也のスルーパスに反応した永井の突破は一度カットされたものの、再びそれを拾った重廣がシュートに持ち込み、シュートは枠を逸れたものの決定機を創出。64分にもコーナーキックから中谷進之介、藤井陽也が立て続けにシュートを放つなど、後半もやはり試合のリズムを掴んでいたのは名古屋。
58分に大森晃太郎、杉本健勇、鹿沼直生の 3枚替えを行った磐田は、終盤にかけてファビアン・ゴンザレス、ジャーメイン良も投入してどうにか同点弾を狙いにいきます。しかしやはり今日は名古屋の効率的なカウンター攻撃が冴え渡るように目立っており、磐田は攻撃が沈む度に名古屋にカウンターでチャンスを造られる苦しい展開に。
85分にはカウンターで一気に局面を打開し、途中出場のレオナルドが抜け出したところで中央のマテウスへ。GKとDFを完全に引きつけた上で森下に決定的なパス。しかし誰もが名古屋の追加点を確信しましたが、森下のシュートはカバーに入った松本昌也がスーパークリアで意地を見せます。
このプレーで九死に一生を得た磐田は90分、大森のクロスを杉本が頭で落としたところに鈴木がボレーを放ちますが……ここは今度はランゲラックがスーパーセーブで阻止。終盤は磐田も猛攻を仕掛けましたが、名古屋の守備網の前にあと一歩及ばず。磐田は渋谷監督の初陣を白星で飾る事は出来ませんでした。
名古屋からすれば…今日は"鯱の大祭典"と銘打って行われた試合でしたけど、90分を通してみれば"ハセケン大祭典"みたいな試合でしたね。THE・長谷川健太みたいな試合でした。チームとしてハードワークを徹底しながらも、いわゆる行くところと引くところの塩梅がちょうど良く効いていたことで前半なんか完全に磐田を制圧出来ていましたし、後半は磐田のプレー位置が少し高くなったものの、そこは「引くべきところ」の判断を上手くして引き込みながら、ボールを奪えば確実に攻撃を仕掛ける……一歩間違えれば間伸びしかねないやり方ではあるんですけど、そこはレオ・シルバ、稲垣、重廣の 3枚が抜群に前と後ろをリンクさせていましたし、アディショナルタイムを除けば全ての時間で名古屋の思い通りの試合が出来ていたと思います。追加点は取っておきたかったところでしょうが、一歩間違えれば巻き込まれる可能性もあった残留争いからは抜け出せたんじゃないでしょうか。
磐田に関しては、基本的には狙いというか、チームとしてのスタンスは伊藤監督のやり方を踏襲しているのかなと。ただその点で言えば、相性のところで名古屋とはやっぱり良くなかった。永井やマテウスの圧に押されてどんどん自陣に押し込まれていってしまい、後半はそこで勇気を持って全員が一つずつラインを上げれたのは良かったポイントでしたが、名古屋にはあった推進力は圧倒的に欠けていた印象です。
さぁ、明日はガンバ…
ではでは(´∀`)