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実力差は内外へ〜TOYO TIRES CUP 2024 日本代表 vs タイ代表 マッチレビューと試合考察〜

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【お読み頂く前に】

当記事の前半部分、試合展開に関する記述以前の部分は12月31日の時点で執筆しています。以前から当ブログのマッチレビューは「試合前の、試合結果を知らない時点でのこの試合の捉え方、位置付けも書いておきたい」という前提で執筆しております。つきましては、ブログを更新した時点での記述としては不謹慎とも捉えられる文言も一部含まれていますが、元日に日本代表戦を行うという事の当初の意義・意味合い・希少性は書いておきたいという意味で、12月31日の時点で書いた部分はそのままの状態で掲載している事を予めご了承ください。

被災地に在住・滞在されている皆様におかれましては、自らの生命の安全を最優先に、ラジオやスマートフォンを通して各種公的機関の情報を入手していただくようお願い申し上げます。

 

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気象庁防災情報 公式X(旧:Twitter)

 

 

 

 

【以下、本文です】

 

気温高えな今年

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューTOYO TIRES CUP 2024 日本代表vsタイ代表の一戦です!

 

2023年のJリーグを振り返る記事も色々更新しています。それらの記事はこちらにまとめておりますので是非!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

皆様、新年明けましておめでとうございます。

いきなりのアジアカップに始まりパリ五輪、最終予選…Jリーグも大きな変革を伴いながら歩むことになる2024年シーズン。サッカーファンとしても当ブログとしても実に忙しい一年となると思いますが、今年もよろしくお願いします。

 

 

さて、そんな2024年一発目のブログを代表戦のマッチレビューで始まるのも不思議な感覚です。

史上初、今年の日本代表は元日の親善試合から始まります。開幕を2週間後に控えたアジアカップに向けた最後の国際Aマッチという側面を持つこの試合は、年末年始にもリーグ戦を戦っている選手以外は概ねベストメンバーを呼んでいるのでアジアカップに向けた最後の調整の舞台であり、逆に一部欠場選手の代わりに招集されたような選手達にとっては文字通り、この試合はアジアカップのメンバー入り…はさすがにもう固まっていると思いますが、そこでの出場機会を目論む上での最後のアピールチャンスとなります。

対するタイは石井正忠監督が新たに就任し、アジアカップまで時間がない中での新体制発足からどのようにチームを組み上げていくか…という作業に迫られています。その中で、上位を目指す為にはいずれ避けられないレベルのチームと戦う時のアプローチはテスト要素の一つでしょうから、それは日本にとってもそういう相手をどう崩すかが試される試合でもあるでしょう。

何より、今日は元日です。始まり良ければ全て良しという事は決してないですが、やはり一年の始まりには気持ちのいい勝利が見たいもの。2024年、振った90分の出目を大吉と呼べるような素晴らしいゲームを!

両チームスタメンです。

 

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イングランドスコットランドポルトガル等でプレーする選手を招集できないという状況の中、伊東純也と田中碧を除いては代表経験の多くはない選手を主体としたメンバー構成となりました。藤井陽也、伊藤涼太郎、奥抜侃志は日本代表デビュー。11月の代表活動では追加招集された細谷真大と佐野海舟、久々の先発となった森下龍矢も先発に抜擢されています。

タイは鹿島・大宮で監督を務めた石井正忠監督が新たに就任し、今日は初陣となっています。スタメンではありませんが、浦和に所属するエカニット・パンヤと札幌に所属するスパチョーク、神戸と横浜FMに所属経験のあるティーラトンはベンチに入っています。

 

 

 

本日の会場は東京都新宿区、国立競技場です。

 

 

日本サッカーと言えばやはり「元日・国立」は天皇杯勝戦のイメージですが、ここ数年はアジアカップやW杯の兼ね合いもあって年内の開催が増えてきていますので、1月1日に国立競技場で試合が行われる…というシチュエーションは2020年シーズン、2021年1月1日の川崎フロンターレvsガンバ大阪天皇杯決勝以来となっています。また、日本国内で開催されるA代表の試合がデイゲームとして行われることも2005年のペルー戦以来19年ぶりです。

思えば今年はオリンピックイヤーですね。この場所が迎えたオリンピックイヤーは誰もが想像もしなかった未来に苛まれ、この会場はある種、その悲しみと混乱の象徴的な舞台になってしまいました。それでもこうして一つずつ嬉しい、楽しい歴史をこの場所で築いていって欲しいものです。

 

 

ラインを低めに設定したタイに対し、日本は伊東のポジショニング的にもやや中央突破気味にギャップを突こうとするような場面は立ち上がりから作っていました。開始早々に伊東が個人能力で切り裂く場面を作ると、7分には中央でボールを受けた伊藤のパスを細谷が持ち込んで際どいシュート。序盤から前線はいくつかの流動性が見える場面を創出していきます。

一方、守備に関しては試合開始早々にタイがいくつかロングボールからチャンスを作った影響もあって、DFラインの高さは若干低めになり、積極的にリズムを作っている前線のメンバーとのラインの考え方には若干のギャップが発生する形に。

 

 

 

ややチームとしてのラインの高さが中途半端になっているという難点はありましたが、その中でも中盤の選手がボール奪取後に積極的に自ら持ち運ぶような場面は多く見受けられました。22分には中央でボールを奪った田中碧の縦パスを受けた細谷がの巧みなポストプレーから伊藤が、31分にも右サイドから毎熊晟矢のスルーパスにポケットを突いた伊東がそれぞれ決定機を迎えますが、前者は枠外、後者はタイの守備陣の粘りに阻まれます。

前線の流動性は良いものを見せる中で取れそうで取れない試合展開と、若干中途半端なライン設定とあやふやになりつつあったポジショニングという難儀さも重なった前半はスコアは動かず0-0で終了。

 

 

後半からタイは札幌所属のスパチョーク、神戸と横浜FMでのプレー経験を持つティーラトンを含めた4人を投入。そして日本は奥抜と伊藤を下げて堂安律と中村敬斗のガンバ育ちコンビを投入。堂安は普段は右サイドでプレーしていますが、今日はトップ下の位置で起用される事になりました。

すると50分、中央左寄りでボールを持った堂安が右サイドに走った伊東にフィードを送り込むと、これをエリア内で受けた伊東に対して対応を試みたタイの守備陣に当たってリフレクション。このこぼれ球を拾った田中が冷静にシュートを決めて日本先制!!エースストライカー田中碧…??

 

 

 

後半は堂安を中央に配したことで堂安が一つの起点となり、それに対して中村、そして前半は多くのタスクを求められる形になっていた伊東がアタッカーとして動けるようになっていきます。中村にもポストに当たる決定的なシュートが生まれ、段々攻めっ気が効果的にチャンスに繋がるようになっていきました。

69分には伊東と森下に代わって南野拓実、そして招集時にはJ2でプレーしていた三浦颯太を代表デビューさせます。投入直後にはキャプテンマークを託された南野が早速シュートを放ち、後半はやはり目に見えてリズムの改善が顕著になっていました。

 

73分、エリア内でボールを持った中村が左サイドのポケットにパスを送ると、これに飛び出した佐野が折り返して南野がシュート。狙い澄ましたシュートはGKに阻まれましたが、こぼれ球を最初のパスを出した中村が自ら詰めて2-0!!

更にその直後には堂安の左CKがオウンゴールを誘い、日本は1点リードだった試合展開がいつの間にかあっという間に3-0に!!

 

 

 

3-0になった日本は79分に毎熊と田中を下げて菅原由勢と代表デビューの川村拓夢をピッチに送り込みます。

すると82分、左サイドを駆け上がった三浦のクロスは一度ファーサイドに流れたものの、右に流れたボールを菅原と堂安で作り直すと菅原がクロス。飛び込んだ川村のヘッドはGKに弾かれますが、こぼれ球を改めて頭で押し込んで遂に4-0!川村は代表デビューからほぼファーストプレー、代表デビューして3分で代表初ゴールという事に。更にアディショナルタイムには直前のプレーで決定機を阻まれた南野が堂安とのパス交換から2度目の正直を決めて5-0。正月早々夢のスコア達成!

試合はそのまま終了。日本、元日の代表戦を見事快勝で飾りました!!

 

 

 

前半と後半で大きな違いがあった事は否めないです。言っても個の力では日本の方が上回ってますから、そこで優勢に戦える部分はありましたし、その部分では伊藤や佐野も好プレーは随所にあった。ただ全体的に中盤より前の前傾化と最終ラインの後退はピッチに顕著に表れてしまっており、それによって前半は選手間の距離感は良いとは言えず、そこを伊東純也が個人技でどうにか、細谷が潰れ役になる事でどうにかしている節がありました。Wボランチもそれでかなり前がかりになっていましたし。

ただ後半はトップ下に入った堂安が少し低めにスタートしたりとか、その辺りのポジションをすごく気を遣いながら取っていた事、同時に入った中村が堂安の動きにも合わせて受けの動きをうまくとった事で伊東の負担が減ると共に全体的に整理された形になり、堂安と入れ替わる形になるのでボランチの攻撃参加も良い形で嵌まるようになっていたのは大きなポイントだったと思います。

 

 

日本代表のトップオブトップの実力の証明であったのと同時に、成長と、今の選手達にとって2列目のレースに食い込むことが如何に困難か…というところも如実に表れる試合でした。今日の試合は特定のリーグでプレーする選手が出場できない事から、いわばトップチームのメンバーと代表経験の少ない選手のミックス的な返済になった事で、ある意味では実力差をタイに対しても日本代表チームに対しても示した形になったというか…。堂安の中央起用を試せたりもしたのでアジアカップに向けた調整としては実のある試合でしたし、試合としては後半の満足度はそれなりに高かったのですが、成長の実感と現実の両面を見た気がしたゲームになったのでは奥抜や伊藤にとってはある種の挫折感のあるゲームになった可能性もあるので、ショックではなく刺激としてこれからこの舞台に食い込んで欲しいですね。

 

 

ではでは。