RK-3はきだめスタジオブログ

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サガ〜2025明治安田J1リーグ第7節 アルビレックス新潟 vs ガンバ大阪 マッチレビュー&試合考察〜

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鶴心は移籍金おいくらで?

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第7節、セレッソ大阪 vs 浦和レッズの一戦です。

 

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日本代表W杯出場決定!メジャーリーグ開幕戦に始まり、日本代表のW杯出場決定、角田裕毅のレッドブル昇格……何かと大盛り上がりな3月末の日本スポーツ界ですが、今日からはプロ野球も開幕し、そしてJリーグも再開。スポーツのある日常がまた始まります。

 

 

 

セレッソも浦和も、今まさに「悩めるチーム状況」と呼ぶべき段階と言えるでしょう。

開幕戦の大阪ダービーという舞台を初っ端から用意されたセレッソは、その開幕戦でセレッソファンからすればこれ以上ないほどの興奮と快感に満ちた90分を展開しました。しかしその後が続かず、開幕戦以来勝利は無し。6試合の順位でどうこう言うのもなんですが、気が付けば降格圏内という状況に陥っています。一方の浦和はクラブW杯も睨んだチーム増強を図りながらも、フロントの混乱も手伝ってかその擦り合わせがどうにも上手くいかない…共に6試合で1勝という感銘に手を突っ込んでいます。

代表ウィークが始まる第6節までを一つの局面とするならば、チームとしてそろそろ輪郭は提示しなければならない時期に入ってきました。セレッソは開幕戦で見せた輝きを再び取り戻せるのか、浦和はこのスカッドに対する最大公約数を割り出せるのか。両者にとって答えに近い根拠が求められる一戦です。

両チームスタメンです。

 

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セレッソは前節横浜FC戦からスタメンを5人変更。システムは4-2-3-1というより4-1-2-3に近いシステムを採用し、ここまで全試合に先発していた舩木翔を外して登里享平が左SBとして今季初スタメン。また、今日はGKとして町田から移籍してきた福井光輝が先発出場。キム・ジンヒョンがベンチスタートとなるのは2023年以来となりましたが、この時は長期離脱明けである事を考慮したものだったので、そういう事情ではなくベンチスタートとなるのはいつぶりでしょうか…。

直近のルヴァン杯1回戦は免除となっている浦和は1-1で引き分けた前節鹿島戦からのスタメン変更はなく、ベンチメンバーは2人入れ替えており、今日は第2節京都戦の負傷退場から離脱していた渡邊凌磨がメンバーに復帰しました。

 

 

 

本日の会場は大阪府大阪市ヨドコウ桜スタジアムです。

今日の試合は金J、フライデーナイトJリーグとして開催。その施策としてスポンサーを務めるシンハービールが半額で飲めるキャンペーンが実施される他、ファンクラブ会員には先着でサコッシュがプレゼント。ゲストとしてDJ KOO氏、谷村咲月氏など色々ゲストも訪れての試合となります。

浦和にとって桜スタジアム及びアウェイでのセレッソ戦は大の鬼門となっており、両者の対戦があったここ10シーズンで勝利したのは2019年の1試合のみ(何の因果か決勝点が杉本健勇)。特にヨドコウ桜スタジアムに移転してからはリーグ戦全敗。ルヴァンも引き分けを一度挟んだのみです。セレッソは浦和に対しての要塞を守り切れるか、浦和は遂にこの鬼門を打破できるのか。

 

 

本日は現地観戦してきました!!スポーツ観戦日記はまた追々!

 

 

 

試合はキックオフ直後からいきなり動きました。

2分、両WGのルーカス・フェルナンデスとチアゴアンドラーデがとにかくワイドに開き、最終ラインからのロングボールを徹底的に両サイドに振りながらスペースを拡張する動きを展開していたセレッソは、登里のロングボールに抜け出したチアゴのグラウンダーの折り返しにラファエル・ハットンが合わせていきなり先制!文字通りのファーストチャンスでそのまま得点に繋げてしまう形に。

 

 

前半はその後もほぼ一方的なセレッソペースでした。セレッソは守備時には田中駿汰と中島元彦のWボランチのような形をとりながら、攻撃時には中島元彦と北野颯太がインサイドハーフというより2シャドー的なポジションを取るかなりアグレッシブな形に。その上で前述のように両WGがかなりワイドなポジションからスタートしていたので、相手のSBを引き出しつつ、SBとCB、CBとCBの間のスペースにボールホルダー以外の前線のタレント4枚が綺麗に入っていくような形で動いていきます。

これにより、守備者の距離感の間にアタッカーを置かれてしまった浦和は人へのケアとスペースへのケアに個々の、或いは状況ごとの判断にズレが生じるようになり、セレッソはSBを釣り出した時点である程度やりたい放題できる状況に。11分には中島のパスを受けた北野のスルーパスにハットンが抜け出し、19分にも北野のクロスを収めたハットンのミドル、前半終了間際にも右サイドを突破して北野のシュートに持ち込みますが、GK西川周作の好セーブもあってなかなか得点に結びつきません。

 

 

 

一方、セレッソの極端に言えば「5-5」とも言えるシステムは一つマークを剥がされれば瓦解するリスクも常に持ち合わせており、前半の多くの時間は前線のハイプレスが効いていた事、両SBが偽SB的にボランチに入って3-5-2に近い形になる事である程度対応できていましたが、前半の時点で何度か浦和にサイドからロングカウンターで打開される場面は散見されていました。

とはいえ、ファイナルサードではセレッソ守備陣も粘りを見せて前半終了。前半途中でチアゴが負傷退場となり柴山昌也と交代するアクシデントはあったものの、点差以上の内容を見せたセレッソが1点リードで後半へ。

 

 

浦和は後半から松本泰志を下げて松尾佑介を投入。マテウス・サヴィオを中央にシフトした形で、セレッソの背後のスペースを突くべくサイドでよりスピード感を出していけるような構成に変更していきます。

それでも後半もセレッソペースでした。開始早々の50分にも中島、北野と繋いでハットンが決定機を迎えると、54分にも中島をパスを受けた北野がカットインから好機。しかしいずれも僅かに枠の左に逸れて得点には至らず。その後もセレッソは前半の攻撃システムを後半も継続できていた事で好機を作り続け、試合自体もオープンな展開になり始める中で左サイドの柴山にも何度かシュートチャンスが訪れるも決め切れません。

 

 

 

一方の浦和は後半開始からの松尾投入に続き、70分にはグスタフソンとサヴィオを下げて中島翔哉と復帰戦となる渡邊凌磨を投入。セレッソは前半のペースを維持してきましたが、この時間帯になってくるとセレッソの方が「2点目を取れないプレッシャー」を感じてきたのか、或いは体力的なもの中、オープンな展開がどちらにも転び始めた上で、より縦へのアクションに貢献できる渡邊を送り込んできました。

浦和は74分に金子拓郎のクロスに合わせたチアゴサンタナのヘッドがネットを揺らすも、これは直前にファウルを取られてゴールを認められず。セレッソもそのリスタートでのカウンターから田中のミドルまで漕ぎ着けますが、ここも得点には至りません。

 

 

 

ここまで選手交代を行っていなかったセレッソは81分に中島と北野を下げて香川真司とヴィトール・ブエノを投入。香川をボランチに、ブエノをトップ下に置いた4-2-3-1にシフトして安定化を図ります。対する浦和も金子を下げて原口元気を送り込んで終盤戦に賭けます。

交代策が実ったのは浦和でした。原口投入直後、その直前にも2度ほど決定機を作っていた浦和は右サイドでサンタナがボールを収めると、フォローに入った関根貴大のスルーパスに抜け出した松尾がグラウンダーのクロス。ニアに走り込んだ原口がGKとDFを引き連れて潰れ役になると、無人ファーサイドに走り込んだ渡邊が決め切って浦和が遂に同点に!

 

 

アディショナルタイムには浦和はサンタナがエリア左からシュートを放つも枠を捉えられず。セレッソも度々前線に可能性のあるボールは入りましたが、試合展開が呼んだ焦りかアタッキングサードでのプレー選択に齟齬が生じるようになり、好機がチャンスに尽く繋がらず。

またしても勝ち切れなかったセレッソ、劣勢なりに最低限の結果は拾った浦和。それぞれの手応えと痛みを負った不調クラブ同士の金Jは1-1のドローに終わりました。

 

 

 

「完璧な戦術」ってそもそも世の中にはありませんし、どの戦術にもゲームプランにもそれぞれの欠点というものはある。後はどのメリットなら捨ててもいいか、どのリスクなら背負えるかの取捨選択みたいなものですし。その点で言えば、前半のセレッソはチームとして求めたメリットと背負ったリスクに沿ったゲームが出来ていたと思います。

前半のセレッソの攻撃はよくデザインされていました。とにかく両WGにはサイドを目一杯張らせて、SBを誘き出す。例えばルーカスが右サイドに張った時には相手左SBの荻原拓也がルーカスに寄ってくる訳ですけど、この時にゾーンディフェンスを志向する浦和は荻原との距離感に合わせる為に横ズレをしていく必要がある。そこでセレッソは上手く荻原とホイブラーテンの間、或いはホイブラーテンとダニーロ・ボザの間にハットンか北野が入っていって、少し引いた位置に中島、そして大外のファーサイドをチアゴが狙う…みたちな連動を常にやっていたんですよね。右サイドのフォローは右SBの奥田に任せる形で。開幕のG大阪戦もそうですけど、むしろ今のセレッソのやり方はゾーンディフェンスを軸に置く4ばっかのチームに強い印象はあるんです。3バックのチームならゾーン志向でも開き直って5バック状態になればいいし、マンツーマン寄りのチームならそもそも悩む必要がないんですけど、4バックでゾーンを組む相手に対して人をケアするべきかスペースをケアするべきかのジレンマを抱かせるような攻撃のアプローチとポジショニングは前半のセレッソは徹底していたように感じます。そこで浦和がほぼパニックに近い状態に陥っていたので、前半はほぼワンサイドゲームのような形になったんでしょうし。特にハットンやWGの動きに合わせながら殆どのチャンスに絡んだ北野と、2シャドー的な動き・インサイドハーフ的な動き・Wボランチ的な動きを全部こなしていた中島の働きは圧巻でしたね。

 

 

ただこの日のセレッソは4-1-2-3の2-3が5トップぐらいの勢いで前線に行っていて、基本的にミドルゾーンは田中がほぼ一人で管理する形になっていましたし、ファーストプレスを剥がされた上で田中がそれを回収し切れなかった場合、或いはストレートにサイドにを抜けられた場合は一気に大ピンチを招く…というところは前半から散見されていました。

セレッソとしても前半は即時奪回を徹底する、SBが内寄りにWボランチ的な立ち位置を取るなどしてリスク管理は一応していましたけど、特にハイプレスのところは後半は必然的に運動量が落ちますし、このサッカーをやる以上は前半のうちに2点目を取らなければならなかった。2点リードで後半に行ったならそれなりの対応もあったと思いますが、あの前半の内容で1-0で後半に行くと、必然的に「2点目取って決めにいく」「ペースを落として逃げ切りを図る」の二択を迫られるような格好になる。それがましてやセレッソのように勝てていない状態のチームだと、内容が良い前半からの余裕じゃなくて結構逼迫した二択になってくると思うんですよね。セレッソは守備に強みを持つチームではないので、前者を選んだ事自体は間違いではない。ただ逼迫した二択の中で前者に振り切ったセレッソがチャンスを逃し続けると、チャンスが増える度に焦りも増えるみたいな状況になってくる。前半はアタッキングサードのプレー選択や質も高かったのに、時間経過と共にそこが粗くなっていったのも必然ではあったと思います。そういう意味では、前半が良かったからこそ「人間の性」みたいな部分がこの日のセレッソには見えたというか。特に彼らにとってはデジャブ的な部分もある訳ですから。

同時にパパス監督の交代が遅かったのも、前半のセレッソ自体が「完璧でいて危ないバランス」と言いますか、美しい立ち方をしているけれどどこか一本を引き抜いたら崩れるジェンガのようなバランスだったので、選手交代はイコール誰かを下げないといけない訳ですから、そこの選択が難しくなった部分はあるのかなと。ただそれを認識していたならばこそ中島と北野を同時に下げたのは不味かった気はしますね…。先にどちらかを残して香川だけ入れて、4-2-3-1の陣形を落ち着かせてからもう一人を下げるべきだったのでは…とは少し思います。

 

 

 

浦和に関しては、前半は文字通りセレッソ翻弄される形で散々な出来になってしまっていましたし、内容的にはむしろ「よく引き分けに持ち込んだな…」と評するべきゲームだったと思います。これまでの試合が芳しくないことを踏まえても、チームとして深刻な状態ではあるでしょう。

一方で、あれだけセレッソに翻弄されながらもなんやかんやで締めるところは締めていたんですね。前半のセレッソのラッシュ的な攻撃をどうにか耐えて、後半になればエリア外でシュートさせられるくらいの状況までは戻していましたし。加えて、セレッソに押し込まれている状況ながらもセレッソは前述したようなリスクは常に目に見える形で抱えていました。そこに対して、松尾の投入でサイドにスピード性を優先したタレントを配置して明確に背後を徹底的に狙う形にシフトした切り替えは見事でしたし、セレッソが抱えていたリスクを踏まえても理にも適っていた。チームとしてこういう試合になってしまった事は監督も含めて失策ではありながらも、そういう試合になってしまったものは仕方ないとしてそこからどうするか…というところは巧みというか、強かでした。悪いなりの立ち振る舞いと言いますか、なんやかんやで勝負所は捉えてみせたのは浦和だったというか……結局この試合のポイントは「セレッソが2点目を取れなかった」という以上に「浦和が前半を0-1で凌いだ」という部分が大きかったので、その点では浦和の地力も垣間見えるゲームだったのかなと思います。

 

J1第7節分のうれしはずかしじゅんいひょうのコーナーはアルビレックス新潟vsガンバ大阪のマッチレビューページに記載しています

 

 

帰りの電車で見る阪神勝利の報

ではでは(´∀`)