RK-3はきだめスタジオブログ

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暫定だとしても踊らせろ〜2025明治安田J1リーグ第10節 京都サンガFC vs 湘南ベルマーレ マッチレビュー&試合考察〜

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何気に智さんサンガOB

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2025明治安田J1リーグ第10節、京都サンガFC vs 湘南ベルマーレの一戦です!

 

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「見たことのない景色を目指す」──よく使われる言葉です。

その言葉の通り、必ずしもサンガは順風満帆な歩みを進めている訳ではないし、それを「勢い」だと解釈することも出来ると言えば出来るでしょう。しかしホームで広島相手に大きな勝点3を叩き出し、柏戦は土壇場の土壇場で同点弾を捩じ込み、今のサンガはかつてのこのクラブに最も希薄だった胆力に似たものを持ち合わせるようになった…それは確かでしょう。そして前節鹿島戦は、あの鹿島アントラーズを相手に、一度たりとも勝てなかったカシマスタジアムで、鹿島自体がホーム無敗の記録を更新し続けている中であの試合を見せた。前半の戦い方はマズかったものがありましたが、それでもあの状況からああいう結果に運べるようかチームになった事を、成長と呼ばずしてなんと呼ぶのでしょうか。

「J1に所属しているチーム」ではなく「J1のチームになる事」…対戦相手、かつて曺監督がその礎を築いた湘南はそれを体現したチームです。その勝点差は1点。お互いに「曲者」とも見られる2チームの矜持を占う一戦です。

両チームスタメンです。

 

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サンガはスタメンは前節鹿島戦から2人変更。鈴木義宜の相方は試合毎に変わっていますが、今日は宮本優太が先発。右WGには前節より負傷離脱から復帰したマルコ・トゥーリオ第3節神戸戦以来の先発起用となりました。ベンチには第6節清水戦で負傷退場となったパトリック・ウィリアムも復帰。直近のルヴァン杯山形戦からはスタメンを全員入れ替えています。

前節は名古屋に勝利した湘南は名古屋戦からのスタメン変更はありません。直近のルヴァン杯長崎戦でもGK上福元直人以外はメンバーを総替えしていたので、そこの事情はサンガと同様と言えるでしょう。移籍期限ギリギリに獲得した奥埜博亮は先発、小田裕太郎はベンチスタートとなっています。

 

 

 

本日の会場は京都府亀岡市サンガスタジアム by Kyoceraです。

 

 

こけら落としから5年が経過したサンガスタジアム。今ではJリーグの中でも訴求力を持つ、行きたいと思わせるスタジアムとしての立ち位置を確立しつつあり、元々客入りのいいクラブではなかったサンガの来場者数も増加傾向を見せています。サンガは練習場及びクラブハウスを亀岡に移転する意向を持っており、候補地の一つにスタジアムに隣接するような場所が挙げられていますが、果たして。

ちなみにサンガがJ1に復帰した2022年以降、サンガと湘南のカードは外弁慶状態が続いています。湘南ホームではサンガが2勝1分、そしてサンガスタジアムでは湘南全勝中という。一つ一つの呪縛を破りつつある昨今のサンガだけに、昨今のサンガ自身が纏った呪縛も振り落としましょう。

 

 

 

 

最初の決定機は湘南でした。両チームともにハイラインを保ちたい中で展開されつつも、よりハイプレスに特化したサンガと少し緩急も付けにこようとする湘南という構図の中で、湘南は自陣からのロングボールでプレスを翻すと宮本優太が相手選手と交錯した隙に上手く抜け出した畑大雅がいきなりGK太田岳志と1対1。しかしこの場面はGK大田が見事に弾き切って難を逃れます。

 

 

 

ハイプレスとショートカウンターを基軸としたサンガはエリアスやトゥーリオが抜け出す場面はいくつか作れていましたが、そこから相手も素早い帰陣をしてきた事、エリアスやトゥーリオがシュートフォームになりにくい角度に追い出していくようかプレスの掛け方をしてきた事でアタッキングサードにはなかなか食い込んでいけません。

逆に湘南はハイプレスを翻すように長いボールを多用し、SBとCBの間のスペースに2トップ、もしくはWBがしっかりと走り込む状況を徹底していました。28分には相手のロングボールに対して佐藤響と太田が福田翔生を前に処理に手間取り、中央に走り込んだ鈴木章斗が決定的な場面を迎えますが、鈴木章斗のシュートは鈴木義宜が良い対応を見せた事でシュートはポストに当たって失点は回避。

 

 

 

やや苦しい流れかと思われていましたが、しかしその中でも先手を取ったのサンガでした!

40分、太田のロングボールはトゥーリオを介して右サイドに流れたエリアスへ。エリアスがボールをキープして大外に繋ぐと、オーバーラップしてきた須貝英大のクロスボールに走り込んだ川﨑颯太がヘディングシュート!!これが決まってサンガ先制。エリアスが流れた事で空いていたスペースを見逃さなかった川﨑は今季初ゴール。

 

 

前半アディショナルタイムにはエリア内で巧く反転した鈴木章斗が決定機を迎えますが、ここもGK太田が見事なセーブで阻止。

前半は湘南の背後へのアクションに苦しむ時間も多かったですが、そんな中でも主将の一撃でリードを得て折り返します。

 

 

サンガは後半から福岡慎平を下げて米本拓司を投入。川﨑をアンカーに下げて米本と平戸のインサイドハーフで後半に向かいます。

基本的に後半も両チームのスタンスは似た形でしたが、前半は湘南がサンガのポケットを自陣からロングボールで狙う場面が頻発していて、実際に何度か決定機にも至った事で、より前線で相手を囲い込むハイプレスを行いつつ、川﨑と米本で分担しながらSBとCBの間のギャップをケアしに行くような形にシフトしていきました。その結果、サンガは前半と比べても敵陣内でのプレーというより、湘南に形勢を翻すような場面を作らせないアプローチはある程度功を奏していました。

 

 

 

サンガは59分にトゥーリオを下げて奥川雅也を投入。

すると63分、サンガは右サイドでのCKから原大智が狙うと相手がブロック。しかしこぼれ球を回収したエリアスが佐藤のリターンを受けてグラウンダーのボールを入れると、エリア内で原が粘って粘って最後は再び川﨑颯太!!後半は前半以上に良いリズムでゲームを運んでいたサンガが、そのリズムに伴う追加点をゲット!川﨑はプロでは自身初となる1試合2得点!

 

 

湘南は66分に新加入の小田を皮切りに攻撃の交代カードを切る中、サンガも78分に古巣対決となる松田天馬を投入したことを皮切りに終盤にはウィリアムと福田心之助を投入して3バックにシフトして逃げ切りを図ります。

終盤は相手の背後へのアクションに対する引いて構える守備のポジショニング、逆に敵陣深くにボールが入った時には選手交代で運動量を担保したプレッシングを効かせて相手のミスを誘発し、3点目のチャンスは逃したものの危なげなく試合終了。曺貴裁監督に「後半はパーフェクト」と言わしめた試合。今季初の複数得点差での勝利!この結果、サンガは暫定2位に浮上しました!

 

 

 

素晴らしいゲームでした。基本的にサンガも湘南もハイラインとプレス強度をベースに据えるチームではありますが、その中でもサンガはその中でもよりショートカウンターに特化したスタイルで、逆に湘南はビルドアップも大切にしながら緩急を加えようとする…という差異があります。

その点で言えば、前半のサンガは良くも悪くも平常運転と言えば平常運転であって、実際にハーフェーライン付近でのボール奪取から3トップが一気に翻しに行くような攻撃パターンが目立ちましたが、湘南の守備陣に上手くサイドに追い出される形となり、なかなかシュートまで持ち込めなかった。逆に湘南は攻撃時には、サンガが攻め上がった際に追随するようにラインを上げたSBの背後、或いはその時に生じるSBとCBの間のスペースを明確に狙ってきていて、実際にWBや2トップのアクションはそれに準じた動きでしたし、28分の決定機のように先にボールに触れたのがサンガの選手でも決定機に繋げられるようなアプローチをしてきた。そこはサンガにとっては難しい展開だったと思いますし、湘南もデザインしてきたなあという印象でした。

先制点に至る流れはエリアスと川﨑が入れ替えるようにして川﨑がフリーになったローテーション的な動きを含めて綺麗なゴールではありましたが、前半はどちらかと言えば湘南のゲームと呼ぶべき展開でしたし、サンガとしてはどうにかリードを取れた前半…というゲームだったと思います。

 

 

 

そこで後半は米本を入れて守備のテコ入れを図ってきた。ここが今日の試合の最大のポイントでした。

システムとしてはWボランチではなく川﨑がアンカーに入るポジションにしていたとはいえ、リードを得ていたこともあってSBも前半ほど前には出ず、それでもサンガが前に出た時に生じていたSBとCBの間のギャップは川﨑と米本が協力しながら上手く埋めていきましたし、湘南は狙いが明確だった分、狙っていたスペースが閉じられた暁には判断の再考を迫られる。そこでサンガは平戸がより前に出られるような構図にしていた事もあり、湘南に迷いが生じたタイミングで湘南のビルドアップを上手く追い込むようにプレスをかけに行った。米本や川﨑も攻撃時には機を見て前に出ていくアクションも見せながら、後半のサンガは湘南が狙っているスペースをどう埋めるか、詰ませたところでどう差し切るか…というところを整理できた事で、湘南のボールの動かし方、動かしている場所に応じてハイプレスを仕掛ける、或いはリトリートして構えるといった状況判断をしやすい状況に持っていけたなと。

結局、湘南陣内でそういう連鎖を作れた事でサンガはボールを奪い切れなくても湘南がクリアせざるを得ないだとかパスミスを誘発にする形でサンガのスローインからリスタートできる…そういうスパイラルのような状態を後半はガッチリ作れた。それが「なんとかリードできた前半」が「3点目までは取れなかった後半」に至るほどの変貌を遂げた大きな部分。柏戦や鹿島戦のようなドラマチックなゲームではありませんでしたが、今日の後半の振る舞いはまさしくサンガが「勝つべくして勝ったゲーム」と言えるパフォーマンスでしたし、曺監督のハーフタイムの采配は見事という他にない手当てだったと思います。2位だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 

 

J1第10節分のうれしはずかしじゅんいひょうのコーナーはガンバ大阪vs名古屋グランパスのマッチレビューページに記載しています。

 

 

ハッピーバースデーエリアス!!!!!!!!!

ではでは(´∀`)