RK-3はきだめスタジオブログ

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これ以上北に行ったら僕は死にます〜2024明治安田J1リーグ第32節 北海道コンサドーレ札幌 vs 京都サンガFC マッチレビューと試合考察〜

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水曜どうでしょうもね、アマプラで配信され始めましたし

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第32節、北海道コンサドーレ札幌 vs 京都サンガFCの一戦です!

 

京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

夏以降のサンガは間違いなく強くなったと思います。

それまではある意味で、政党みたいな言い方忘ればワンイシュー的に戦っていたサンガは、それが効く相手なら抜群に効くし、それが効かない相手なら無力化する…その塞の目が今季はとことん裏目に出ていたものの、夏場になってチームがスタンスとバランスを調整し、強みをカードとして活かせるようになった。もちろん補強がバチクソにハマった事は本当に大きいですが、何もここ2〜3ヶ月の躍進は単なる偶然の産物でもないし、補強だけが全てを変えたわけでもないと思います。一方で、勢いが突き落としてくるシチュエーションもあれば、勢いが猛烈に背中を押す事もある訳で、勢いと流れの補正がサンガをアシストしている事も確かでしょう。ましてやここからはサンガにとって大きな助けになっていた給水タイムもなくなった。実際にその部分の不安点は前節G大阪戦で露呈した事から、そことどう向き合っていくかが今のサンガの課題とも言える。今日の試合は色々と試される部分の多い一戦です。

対戦相手は札幌。4ヶ月ほど前、この2チームはニコイチかのようにリーグ順位の下の下の方にいました。先にサンガがそこから一歩抜け出し、札幌はそのサンガの後ろ足をどうにか掴もうとしている。いずれにしても、この2チームは残留を掴み取る為に本気で足掻いた2チームである事は確かです。突き放すか、再び引き摺り込まれるか。勢いは勢いで封じ込めるのか、勢いは勢いで刺されるのか。これからの立場を占う6ポイントゲームが幕を開けます。

両チームスタメンです。

 

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サンガは前節G大阪戦からはスタメンを2人変更。左SBを佐藤響から三竿雄斗に、アンカーを福岡慎平から金子大毅に変更しており、三竿は第27節C大阪戦以来のスタメン復帰、金子は第26節新潟戦以来のスタメン復帰となりました。ベンチ入りメンバー18名という括りでは前節からの変更はありません。

対する札幌は0-0で引き分けた前節町田戦からスタメンを3人変更。今日は左WBに菅大輝がスタメンに復帰した事に伴い、前節は左WBで出場したパク・ミンギュは左CBに。前節出場停止だった荒野拓馬と大﨑玲央も先発に戻っています。GKは前節負傷退場となった菅野孝憲の状態が心配されましたが、今日の試合には間に合いました。

何かと古巣対決の関係が多いカードです。今日の登録メンバーだと、駒井善成はサンガユースにとって特別な存在と言える選手ですし、菅野もサンガの主将経験者。そしてトップ昇格はできなかったものの福田心之助は北海道出身にして札幌ユース出身選手です。そして今日は札幌で一時代を築いたGKク・ソンユンが初めて敵として札幌ドームのピッチを踏み、正GKの座を争った菅野との直接対決になります。

 

 

 

本日の会場は北海道札幌市、大和ハウスプレミストドームです。

 

 

札幌は秋冬を除くホームゲームでは場外のテラスにグルメテラスを設置したスタグル展開を行なっていますが、今シーズンのグルメテラス実施は今日が最終日。初代ドラゴンシェフ下國伸氏監修のキッチンカーも来場し、レギュラーの各店舗も限定メニューを売り出すなど昼飯時に多彩なグルメイベントが実施されるそうで。

サッカー野球兼用型という世界でも実に珍しいスタジアムですが、プロ野球日本ハムファイターズの撤退に伴いスタジアム運営は一つの岐路に立たされていました。しかしながら、今年はコンサート仕様の新モードで新たに音楽フェスを開催し、2025年1月にはAPEX世界大会の開催も決定。ネーミングライツもようやく決まるなど、新しい運営の形は軌道に乗り出しつつあります。今後の展開も楽しみですね。

 

 

開始3分でお互いに一度ずつ決定機が生まれます。

まずは札幌。狭いエリアでの局地戦を挑んできたサンガに対し、ルーズボールを菅が札幌陣内からダイレクトでロングフィード。抜け出した青木亮太がGKクソンユンとの1対1を制してゴールに流し込みましたが、この場面は青木のオフサイドとなりノーゴールに。逆にその直後、サンガはラファエル・エリアスが落としたところを原大智がフォローすると、川﨑颯太のワンタッチでのスルーパスにマルコ・トゥーリオが反応しますが、今度はシュートがポストを叩いてこれもノーゴール。立て続けに9分にもサンガ守備陣の背後を駒井、次いで鈴木武蔵が狙いますが、GKクソンユンや川﨑のカバーでなんとか凌ぎます。

 

 

 

開始3分の攻防が物語るように試合はその後もアップテンポな展開で進んでいく中で、今日はまずシンプルに縦に入れるところから攻撃を構築しようとしてきた札幌が押し込む時間が続いていました。サンガもド頭の青木の決定機を踏まえて少し立ち位置を修正してセンターをしっかりと決めるようにした事で、少なくとも打ちやすい状況でシュートを打たせない状態は維持していたものの、時間経過と共に前節G大阪戦でも散見されていた給水タイムという再調整の時間がない事に伴うDFラインの綻びの拡がりが見え隠れし始めるようになっていきます。

一方、攻撃ではサンガも20分を過ぎると高い位置でボールを持てるようになったところから原、エリアス、トゥーリオがコンビネーションを発揮できる場面も増えてきて、彼らがボールを動かしながら背後へのアクションを狙おうとする場面も作れるようになりましたが、サンガもサンガでそこから先をなかなか打開しきれず。

 

 

 

31分には自陣から何本かの縦パスと縦へのアクションで攻め込むと、エリアスがタメを作ってボールから浮き球のボールを託して川﨑がシュート。ボールはGKを超えてゴールに向かって転がりますが、ギリギリで相手DFに掻き出されて僅かにゴールには至らず。直後にはクロスに対して原が合わせるも、ここも相手のブロックに阻まれ…。

そして42分、札幌は右サイドからのCKを獲得すると、青木のキックをニアサイドの馬場晴也が触れたコースを変えたところに岡村大八が合わせてゴールイン。先制点は札幌。サンガは2試合連続で先制を許す形に。

 

 

前半はビハインドのまま終了。サンガは1点を追う立場で後半に向かいます。

 

 

後半は札幌守備陣に捕まえられている感のあった3トップを攻撃の一歩目としてはポスト役に使い、そこに川﨑が絡んでいく、3トップがサイドに逃げていくことでサイドのスペースを流動的に使える場面は増えていきました。しかしそこから折り返しが入るようになったものの、札幌もエリア内で守備側の数的優位を作っている状況を常にキープしており、それがサンガにとってどうにも決定的なチャンスに繋がらない要素となっていました。

一方、中盤でのボールロストから一気にカウンターを仕掛けられる場面も頻発するようになり、これらの場面は鈴木、宮本の両CBがどうにか対応してくれてはいましたが、そういう場面を多く作られれば作られるほどサンガはDFラインの陣形を取り戻せないまま時間が経過していきます。

 

 

 

サンガは67分に平戸太貴とトゥーリオを下げて米本拓司豊川雄太を投入すると、72分には金子と宮本を下げてムリロ・コスタとルーカス・オリヴェイラを送り込み、川﨑と米本をWボランチにした4-4-2(4-2-3-1)に近い形にシフト。札幌も69分に鈴木と馬場を下げてサンチェスとバカヨコを投入しね前節の活性化を図ります。71分にはバカヨコのポストプレーを受けた菅が強烈なミドルを放ちますがクソンユンがビッグセーブでどうにか阻止します。

しかし76分、札幌のクロスが右サイドに流れると近藤友喜が右サイドを突破。シュート性のクロスボールがエリア内でのバカヨコと福田の交錯の末にネットに吸い込まれて2-0。サンガにはあまりにも重い2点目。

 

 

終盤はロングボールを放り込み、どうにか原や豊川が収めたところからどうにか糸口を見つけようとしましたが、中盤を減らしたことでフォロワに走れるのが川﨑だけになって追いつかなくなり、ボールを収めたところから2本目のパスもことごとく外れ続けて試合終了。

ため息だけが屋根のないドームにこもる90分となりました。

 

 

 

残念な試合でした。率直な感想として言うなればそれだけでしかない。後半に関しては、特に鈴木はある種の無理難題的な状況ですごく頑張ってくれていましたが…その文言で全てを察せられるようなゲームではあったなと。

サンガの守備が第15節広島戦の惨劇を境に改善したことは実際に確かではあるんです。それは縦を段階に区切ることによってプレスのバランス調整に成功した…というところが大きい。ただ、サンガが改善し切れていないポイント2つあって、一つは盾に対する対処はできたけど、横に対する守備の調整が未だ出来ていないという事。ワイドに試合を振られてしまうと横の選手間隔を失ってしまうという部分で、それは第27節新潟戦前節G大阪戦の展開がその証明のような試合だったと思います。

もう一つは、サンガにとっては行ってしまうプレスはいわば本能みたいなもので、前述の広島戦以降に取り組んだアプローチはいわば本能を制御する為のアプローチ、本能をカードとして使う為のアプローチだったと言えます。つまり、本能は時間経過と共に露見していくもので、時間経過と共にズレは綻びとなり、時間経過と共に綻びは大きくなっていく…という事。夏場のサンガがこの状況をなぜ抑えられていたのか…というと、それは給水タイムがあったからなんですよね。要は、全員を集めて緩んだネジを一度締め直せるような時間が20〜25分くらいで一度確保できた。ハーフ制ではなくクォーター制で90分を捉えることで、サンガの本能をコントロールできていた部分があった…と。

今日に関しては、札幌がどこまでそれを計算に入れて戦っていたのから計りかねますが…立ち上がりから札幌はとにかくワイドに、とにかく縦にシンプルにボールを入れてきて、左の菅と青木、右の近藤と駒井が縦にも横にも試合を引き延ばしてした。サンガはこういう広大なフィールドになった時にそういう本能的な部分が露呈してしまって、プレスに行ってもいい順番と誰がカバーに回るか…という根本の役割を忘れてしまう部分がある。サンガはその部分を札幌に引き出される形になってしまいましたし、給水タイムのような明確なタイミングを失うとそれを自発的に修正する事もできなかった。後半に関しては札幌は札幌で精度を書いていた事と鈴木義宜の奮闘もあって2点で抑えられましたが、給水タイムがない中でどうプレーするかは早急に、早急に考えなければならないポイントでした。

 

 

 

攻撃に関しても難儀なもので、まず今日は大前提として、サンガの3トップに対して札幌の3バック+Wボランチがマンツーマンで3トップを囲うように対応する守備のやり方がバチっとハマって噛み合ってしまいました。これまでの試合は、例えば原にしてもエリアスにしてもシュートなりパスなりにもっとスムーズに漕ぎ着けられたのですが、原にしてもエリアスにしてもドリブラータイプでは無い訳で、ボールが入った時に中を固められた上でマンツーマンで対峙された時に突破していくプレーは必ずしも得意ではない。そこでアタッキングサードでのクオリティを持ち味とする2人に一応ボールは入るけど、シュートもパスもワンテンポずつ遅れていってしまう…という前提と実情がありました。トゥーリオはより万能で気が利くタイプではありますが、トゥーリオも同じ部分で苦しんでいた、トゥーリオが原やエリアスを活かして違いを見せられるほどの場面までチームとして持っていけませんでした。それでも前半に関しては3トップに対して川﨑がむしろ4-2-1-3のトップ下気味になって持ち出す事で、札幌のマンツーマン守備に焦れを生み出せるようなアプローチができていた瞬間はあるにはありましたし、そこでトゥーリオを引かせて川﨑と連動させながら…という場面は前半は多少あったと思います。

ただ、今日に関しては監督の采配に疑問が残る点も多かったのが偽らざる部分です。後半に入って川﨑を残して平戸→米本の交代で川﨑をより前に押し出す…という交代策なら解るんですけど、そこでトゥーリオも下げてしまった事でパス出しが川﨑に依存する形になってしまった事は大いなる痛手でしたし、この段階ではまだ空いたサイドのスペースを福田が使えたり、(それがベストかどうかはともかく)エリアスがサイドに流れてスペースを突ける場面もあった。しかしそこで、エリアスか原を下げるならまだしもボランチを削ってムリロ・コスタまで入れてしまった事で完全に前線が渋滞状態になってしまいましたし、完全にカウンター体制にシフトしていた札幌からすれば、前線に4人が滞留してくれている状況は前半の3トップの後ろで川﨑がボールを持っている状況より遥かにやりやすかった事は明白でしょう。こうなると川﨑も、ボールを動かせる平戸や福岡もいない中で4人全員のフォローと配球に走らなければならなくなってキャパオーバーとしか言えない状況に陥っていましたし。あの4-2-1-3か4-4-2をラスト5分とかで仕掛けるならまだしも、残り時間が20分以上ある中でやってしまうのは頂けなかったなと…。

札幌の先制攻撃で押さえていた本能を蘇らせて理性を手放し、時間経過と共に綻びは大きくなり、手を打つ度に前線は選択肢を失った。それがこの試合の実情だったなと思います。

 

 

 

言っても、別にこれまでの快進撃の全てが偶然だとは思っていません。もちろん勢いや流れが背中を押した部分はあるにしても、勝ちに不思議な勝ちありとは言うけれども、それが短期間でも継続的に勝ち続けた事にはそれなりの理由はある。以前のブログにも書きましたが、ブーストが起こった事実にはちゃんとそれ相応の根拠はある訳です。

ただ、サッカーも人生も理由の上に理由を重ね、根拠の上に根拠を重ねていきていく。それを繰り返しながら殴り合っていくのがリーグ戦という永く続く舞台だと思っています。にっちもさっちもいかない前半戦がフェーズ1なら、夏場の快進撃はサンガにとってフェーズ2でした。そしてその夏を終えて、いまフェーズ3が始まろうとしている。夏場にサンガは確かな貯金を得たので、当然それを拠り所にする事はできる。一方で、今のサンガに似た軌跡を辿ったチームとして2022年の清水エスパルスという実例は実際にあった。フェーズ3がハッピーエンドに転ぶのか、バッドエンドに転ぶのか…それはまだわかりませんが、ハッピーエンドに近づける為にはこの試合の損失を過小評価する事だけはあってはならない。それだけは確かです。

 

J1第32節分のうれしはずかしじゅんいひょうのコーナーはガンバ大阪 vs 東京ヴェルディマッチレビューページに記載しています

 

 

サイコロの、旅ィ 

ではでは(´∀`)