ワイクラ
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第31節、京都サンガFC vs ガンバ大阪の一戦です!
【京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。】
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【オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。】
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9月も暮れ。街がオレンジに染まりゆく10月を迎えようとしていますが、関西はまだまだジメジメした暑さが続き、いつになれば袖がない服装を求められるのだろうかと秋に思いを馳せる今日この頃。いよいよJリーグはクライマックスに突入しようとしています。
サンガとガンバの現状は、例えば昨日の町田vs札幌との試合とも異なる意味で、或いはそれ以上に全てが真逆の立場と言えるかもしれません。序盤戦は最下位にまで沈みながら、後半戦に入ると怒涛の得点力、怒涛の勝利を積み重ねて降格圏を脱出し、一つの勝利で残留争いから一気に抜け出せる状態まで自分達を持ち直したサンガ。一方、一時は2位に付けるなど今季の前半戦は2024年の主役に近い輝きを見せていたガンバは、後半戦になると勝ち切れない試合が続き、気がつけば6試合未勝利。一つの敗北は優勝争いからの滑落を意味し、プレッシャーと焦燥感が募るのは順位の印象以上にガンバの方だと言えると思います。
終盤戦とはそういうものです。お互いにこれまでに積み上げてきた勝点、これまでに積み上げてきたチームスタイル、これまでに積み上げてきたチームの完成度…それらを全て下敷きにし、お互いの事情、プレッシャー、流れ、勢い…そういう非科学的な要素も込みで殴り合う…ここから先はそういう舞台です。サンガが残留争いから顔出すのか、ガンバが優勝争いに顔を突っ込んだままでいられるのか。私の愛する2チームの激突は反射する立場で迎える正念場となりました。
両チームスタメンです。
サンガはスタメン、ベンチを合わせた18名をいずれも2-1で勝利した前節横浜FM戦と同じメンバーを登録してきました。第28節FC東京戦からは川﨑颯太を除いては3試合連続で同じメンバーを起用しており、直近の天皇杯千葉戦もスタメンは多少入れ替えながらもベンチ入りメンバーはそこまで入れ替えていない為、より流れを重視したメンバー構成となっています。
対するガンバは0-1で敗れた前節浦和戦からはスタメンを4人変更してきました。新たに先発となった岸本武流、山下諒也、山田康太はいずれもスタメン出場の機会も多い選手ですが、今日はこれまで全試合に出場していたダワンが累積警告により出場停止となった為、ボランチには天皇杯広島戦、前節浦和戦でインパクトを残した美藤倫が抜擢。美藤はJ1初先発をU-15まで過ごしたサンガ相手に飾ることとなりました。
本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。
今年でクラブ創立30周年を迎える京都サンガFC。明確に「30周年記念試合」と銘打っている訳ではありませんが、今日の試合では夏場のホーム3試合(鹿島戦の11月に延期)で着用する30周年記念ユニフォームで選手達が試合に挑むと共に、陸上自衛隊音楽隊による演奏やキャンドルナイトの実施、さらにオフィシャルイヤーブックのアンケートにより選ばれたサンガ歴代ベストイレブンの等身大パネルが設置されています。
サンガがJ1に復帰した2022年に以降、2022年は2試合とも1-1のドロー、2023年はルヴァン杯を含めて4試合戦いましたが、お互いにリーグ戦はホームで、ルヴァン杯ではアウェイで勝利した2勝2敗。そして4月にガンバのホームで行われた試合は0-0のドローとこのカードの成績は全くの五分です。その流れが継続されるのか、それともどちらかが風穴を開けるのか…!
本日は現地観戦です。
私めの心のクラブの直接対決。観戦日記はまた後日に!
そして今日の試合では20323人の来場を達成!サンガスタジアム by Kyoceraでの歴代最多入場者数であり、クラブ史上2位の来場者数にしてクラブ史上3度目かつ22年ぶりの2万人越えとなりました!
立ち上がりはサンガのスタイルが色濃く出る展開となりました。夏頃からのサンガは守備時のバランスを調整したとはいえ、やはりストロングポイントになるのは前線からの守備強度と、それに伴いハーフコートゲームの状態を作って連続したプレスをかけやすくできる状況にする事。その中でもカウンター一辺倒ではなく、以前のブログで書いたようにマルコ・トゥーリオや平戸太貴のところでボールを持てるようになった事から流動性のある攻撃を仕掛けられていました。5分には福田心之助のスローインをラファエル・エリアスがポストプレー。走り込んだトゥーリオが狙いますが、この場面はGK一森純がセーブによって阻まれましたが、ガンバ陣内でガンバが前進できないような隊列を組む事で、サンガの得意なリズムを担保する事はできていました。
一方、ガンバもサンガのアプローチに対応し、それを翻す攻撃パターンを確立し始めており、純粋なビルドアップからの前進が難しくなったところで、ピッチを縦にも横にも広く使う事で前進する為の時間とスペースの確保を目指す形にシフトしていきました。
ここ数試合のガンバは両WGがシャドー気味にプレーする試合が多かったですが、今日は山下とウェルトンの両WGが明確に大外に開く前半戦に近いスタンスでポジションを取っており、サンガの前線からのプレッシングをバックラインである程度引きつけてから中谷進之介や福岡将太はロングボールでサイドに展開。そこから攻撃を組み立てる、或いはWGがそのままサイドを突破する形に活路を求めていき、サンガ守備陣を上下左右の広範囲的に走らせる事で守備者間の歪みを生み出そうとしていました。WGのボールが出た際は鈴木か美藤に宇佐美貴史を加えた3人でボールを動かし、ファーに山田が走っている形を作るように。
20分を過ぎるとお互いのアプローチが結果に繋がるようになってきます。
先に試合を動かしたのはガンバ。前述したような攻撃のアプローチの末に形勢を押し返すと、中谷のロングボールに山下が抜け出してラインブレイク。山下はGKクソンユンを引っ張り出してワンタッチで折り返すと、ニアに飛び出した美藤が潰れたところに山田が走り込んでガンバ先制!ガンバとしてはまさしく、対サンガの攻撃アプローチと山下、美藤起用の効果が出た先制点に。
しかしその直後、今度はサンガも反撃を見せます。21分のトゥーリオのシュートこそニアポストに弾かれましたが、27分には宇佐美のバックパスがGK一森に渡るとエリアスが一森に猛プレスをかけ、福岡将太へのパスコースを切ったトゥーリオが一森のパスをワンタッチでシュートに転化。このシュートは中谷がスーパークリアを見せるも、エアポケットのような瞬間にもプレーを止めなかった2人…中谷ともう一人の人物、エリアスがこれを押し込んでサンガ同点!エリアスはクラブ記録となる4試合連続ゴール!
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) 2024年9月22日
チーム新記録達成
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さすがの決定力#ラファエルエリアス 同1シーズン4試合連続ゴール
🏆明治安田J1第31節
🆚京都×G大阪
📺#DAZN ライブ配信中#京都G大阪 pic.twitter.com/zk7HIClarz
🎥ゴール動画
— ガンバ大阪オフィシャル (@GAMBA_OFFICIAL) 2024年9月22日
🏆2024明治安田J1リーグ 第31節
🆚京都サンガF.C.
⌚20分
⚽ #山田康太
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その後の前半は一進一退の展開でしたが、最大のチャンスを迎えたのは38分のガンバでした。右サイドからボールを繋いだガンバは山下のクロスボールをウェルトンが頭で落とすと走り込んだ宇佐美が見事なボレーシュート。しかしこれを超次元反応でGKクソンユンが防ぐと、こぼれ球に対する岸本のシュートもクソンユンが怒涛の連続セーブ!
前半終了間際にはサンガもチャンスを作るなど、前半からハイテンション、フルパワーの攻防戦は1-1で後半に向かいます。
後半開始と同時に、サンガは佐藤響と福岡慎平を下げて三竿雄斗と金子大毅を同時に投入。
51分、平戸のスルーパスを受けたトゥーリオがインサイドにスルーパスを送ると、抜け出した原の鋭いシュートは惜しくもニアポストに直撃。それでもこぼれ球を原が折り返すとカウンターの流れでゴール前まで上がってきた宮本がシュートに持ち込もうとしますが歩幅が合わず、ここは惜しくも岸本にクリアされてしまいます。するとこのクリアボールに端を発したルーズボールの応酬をウェルトンが制して一気にドリブル突破。そのままシュートに持ち込みますが今度はファーサイドのポストに当たり、こぼれ球を回収した山下の落としに走り込んだ宇佐美がミドルを放ちますが、平戸に当たってリフレクションしたボールはまたもクソンユンがビッグセーブ。
平戸がトゥーリオにスルーパスを出したところから宇佐美のシュートをクソンユンが弾くまで35秒。その間に2回ずつ決定機を作り、1回ずつポストに当てるという壮絶な展開で後半は始まりました。
原ポスト直撃シュート→混戦ブロック→ウェルトンポスト直撃シュート→宇佐美スーパーミドル→ソンユンスーパーセーブの流れ楽しすぎる
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2024年9月22日
そして満員のサンガスタジアム by Kyoceraに歓喜と絶叫が木霊した瞬間が59分でした。ガンバは黒川圭介のクロスに岸本が反応しますがこれを三竿がブロックすると、こぼれ球を三竿が前線にカウンターパス。これを受けたトゥーリオの突破は前に出てきた中谷に阻まれますが、すぐにフォローに入った原が中谷を引きつけながら逆サイドに絶妙なサイドチェンジを送ると、右サイドでこれを受けたエリアスが1タッチでカットイン、2タッチで福岡を完全に攻略してファーにズドン!
サンガが誇る最強3トップが織り成したカウンター、そして最後に仕留めたのは古都に舞い降りし真夏の救世主!この光景は伝説たるものか…サンガ逆転!
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) 2024年9月22日
頼りになりすぎる
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強烈なカウンターから
最後は #ラファエルエリアス この試合2ゴール目
🏆明治安田J1第31節
🆚京都×G大阪
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サンガは71分に平戸を下げて米本拓司を投入して守備をテコ入れに図り、一方のガンバは73分に山田を下げて坂本一彩を投入。その直後の74分、ガンバは右サイドで山下、坂本と繋いで岸本が折り返すと、中央で宇佐美が意味がわからないほど鮮やかな流れでトラップからのシュートに持ち込みますが、またもクソンユンが意味のわからないセーブで防ぎ、こぼれ球に詰めたウェルトンのシュートもシャットアウト。
サンガは脚を攣ったエリアスを下げて76分に豊川雄太、ガンバは82分に山下、美藤を下げてファン・アラーノ、倉田秋を投入。このハイテンション、パッショナブルな試合にお互いのファイターを送り込んで最後の勝負に出ます。
ガンバが押し込んで怒涛の猛攻を見せながら、サンガもボールを奪えば川﨑やトゥーリオがどうにか前に運んで原や豊川のカウンターに繋げようとする壮絶な攻防戦が繰り広げられていく中、再びスタジアムに絶叫が木霊したのは87分でした。
ガンバは左サイドの遠い位置でFKを獲得すると、宇佐美が誰もいないファーサイドのスペースにクロスボールを放り込みます。ここに敵味方含めて唯一走り込んでいた岸本がスライディングで合わせると一度はクソンユンが弾きますが、「守備の時とは逆で足を止めないことを意識した」と語る中谷が詰めて同点弾!!中谷は第27節神戸戦に続いて終盤に試合を振り出しに戻すゴールを記録!!
🎥ゴール動画
— ガンバ大阪オフィシャル (@GAMBA_OFFICIAL) 2024年9月22日
🏆2024明治安田J1リーグ 第31節
🆚京都サンガF.C.
⌚87分
⚽ #中谷進之介
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更にその直後、ガンバは右サイドの同点弾とはちょうど真反対の位置でFKを獲得すると、宇佐美のインスイングのクロスボールは複数の選手が蠢く中央を通り抜け、ウェルトンに当たって少しコースを変えてファーサイドへ。ウェルトンを挟んだ事でダイレクトで打てる歩幅になった中谷が豪華にゴールに叩き込んでガンバ逆転!!!…かと思われましたが、VAR介入の末にウェルトンのハンドを取られてノーゴールに。
サンガはトゥーリオを下げてリーグ戦では初出場となるルーカス・オリヴェイラの投入で5バックに変更し、カウンターを狙いながらも最低限勝点1は確保する戦い方にシフト。ガンバも宇佐美を下げて機動力のある福田湧矢を投入し、ある種オープンな展開に備えた選手交代を行いラストスパートに向かいます。90分、黒川のクロスを宮本がブロックしたボールが福田の腕に当たり、一度はPK判定が下りますが…ここもVARの末にPK取り消しに。
壮絶な打ち合い、壮絶な攻防戦……22年ぶりに2万人を超えたサンガのホームゲームにて魅せられた激戦は2-2のドロー。この2クラブを愛する者としてはこの上ないほどに感動的な90分の行く末は勝点1を分け合う結果となりました。
凄い試合でしたね。とにかく凄い試合でした……会場の雰囲気も含めて。このブログを継続的に読んでくださっている方はご存知でしょうが、私はこの2クラブのファンという立ち位置でしたので、この空間に居る事が出来た幸せがまず一番大きいです。ただ試合内容はともかく、順位の状況を加味した勝点1という数字の価値については…やはりサンガにとっては大きな1、ガンバにとっては痛い1でしたね。
ここから試合考察を書き連ねていきますが、まとめて書くと雑多になりそうなので、サンガファン視点で書く考察とガンバファン視点で書く考察と分けながら書いていきます。
【サンガ視点】
前節横浜FM戦を見てもわかるように、今のサンガは勝ち切れない、逃げ切れないチームでは無くなりましたから、それだけに耐え切りたいゲームではありました。ガンバが前がかりになった時もカウンターでトドメを刺せる機会はいくつかあっただけに尚更。ただ今節は残留争いのライバルとなるクラブが軒並み勝てていないので勝点1でもある程度は許容できる状況でもありましたから、いずれにしても悪い結果ではなかったかなと。
内容的にも概ねポジティブなゲームだったと思います。やはり相手が後方から繋いでくるガンバだという事で、前線からどうやってプレスをかけていくかの意思疎通をした上でハーフコートゲームの状態を作る、そこからプレスの為に必要な距離を短くする(=連続してプレスに行きやすくなる)という連鎖は出来ていましたし、その点において戦術的な相性としてはサンガにとってガンバは噛み合わせの良い相手ではあると思うので、その利点をしっかりと維持する作業は出来ていたのかなと。今は平戸とトゥーリオのところで時間も作れますから、そこに福田を絡めた流動性のある攻撃も展開できていましたし、攻撃面に関しては「元々有していた持ち味」「後半戦で身につけた良さ」の両面を提示できていたと言っていいでしょう。相手のボールを奪ってダイレクトで攻め込むだけではなく、2点目のシーンのように行ける時にはしっかり行った上で、川﨑や平戸がボールを動かす→トゥーリオが間に入る→エリアスと原が動き出すという連鎖を生んでいた攻撃の流れは、何もエリアス獲得だけが躍進の理由ではないことを示すものだったと思います。まぁ、この辺は以前のブログに長々と書いたのでそちらも読んでいただいて…。
エリアスが2点目取った時の空気はサンガを見てきた中で感じたことのないような感覚だったわ……。 pic.twitter.com/37dZpBlUPU
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2024年9月22日
ただ守備に関しては…個々では光る部分があった反面、チーム全体としては不安になる面は少なくなかったです。
5月の広島戦で大敗を喫して以降のサンガはプレス強度にグラデーションを持たせるようになったと言いますか(こちらのブログ参照)、ラインごとに守備のバランスを調整するようになりました。しかし元々サンガはとにかくチャレンジ会の守備を徹底していた癖は抜け切れないところがあって、縦の動きには対応できるようになりましたが、横の動きを入れられると選手間の距離がぐちゃぐちゃになってしまう。特にこの日はガンバもそれを理解して、原はなるべく前に残すようにした事で人数が少なく、かつ佐藤が山下に釣られがちになっていた左サイドを重点的に狙っていた。横の動きに対してはサンガはまだ守備のバランスが乱れてしまうところがあるので、今度は佐藤に釣られるように中盤の守備間隔がおかしくなっていた側面は否めません。
また、サンガに今日の試合のポイントは「給水タイムがなくなった」という部分も一つあると思います。サンガにとって守備のバランスを矯正するにあたって給水タイムがあった事は非常に大きかった。というのも、綻びは時間経過と共に大きくなっていく訳ですから、当然守備間隔のズレは時間経過と共に大きくなる。前半戦のサンガが後半になるにつれて崩れがちだったのはそういう部分が大きいでしょう。ただ、給水タイムがあると20〜25分くらいで一度締め直す作業ができるんですね。全員で集まって。ソースはちょっと失念したのですが、何かの試合後の会見で曺貴裁監督は「給水タイムがある試合は4クォーター制のようなものとして考えている」と語っていたんですが、真夏のサンガはまさしくそれを有効活用できていた一方、それがなくなった今日の試合では時間経過と共に生じる綻びの拡がりを隠せなくなっていた…という状況が生まれていました。それは後半も基本的には同じ事でしたが、そういう状況の中で後半からより守備でのバランスを取れる三竿と金子を投入した采配は手当てとして適切だったと思いますし、あそこは前半戦の轍は踏まないみたいな意識はあったようにも見えました。
サンガは試合時代は得意な展開、強みを出しやすい展開には持っていけてる。
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2024年9月22日
ただ終盤は結構崩れていたというか、前半戦のような乱れが散見されていたところは不安。給水タイムがなくなって20〜25分くらいのタイミングで締め直せなくなった影響はちょっと出てた。ハーフタイムに締め直せればいいけど…
ただその中でも、個人の煌めきと個々の凡事徹底ぶりは素晴らしかった。左サイドでの守備は甘くなっていましたが、いざ中央に持ち込まれた時の鈴木や宮本の守備対応には素晴らしいものがありましたし、何より右SBの福田がウェルトンとあれだけやり合えた事は圧巻の一言。後半は疲れもあってか黒川を含めたガンバの左サイドに押し込まれる場面も増えたとはいえ、特にサンガの左サイドがやられていた前半に「右はある程度福田でどうにかなる」という状況を担保できていたのは前半を1失点で乗り切れたポイントの一つです。
同時に、今日の試合はガンバが元来のボールの動かし方の巧みさに「対サンガ」としてのパターンを明確に打ち出してきた事で苦しい状況には多々陥っていましたが、その中でも細かいところでの個人の意識の高さ…意識の高さというよりは、意識を切らさないプレーは素晴らしかった。例えば宇佐美のシュートを止めたクソンユンがこぼれ球に反応した相手のシュートを連続で弾く場面が前後半で1度ずつありましたが、もちろんソンユンが圧倒的だった部分が大きいとはいえ、前半に岸本が反応きたところは宮本がファーサイドのコースを切る事でシュートコースを限定していましたし、後半のウェルトンが詰めていた場面では福田が最後の最後まで身体を寄せていた。サンガの1点目にしても、宇佐美のバックパスがやや長い距離になってしまったことを利用して猛然とプレスをかけたエリアス、それに連動して福岡将太へのコースにしっかりと入っていたトゥーリオの細かいところをしっかり詰める動きがあってこそのゴールでしたし、そもそもトゥーリオのシュートが転がっている間にプレーを辞めなかったのはエリアスと中谷だけだった訳で。そういう意識の徹底はこれまでのサンガに最も欠けていて、そして現体制のサンガで最も徹底されるようになった部分。そこが緩む場面は一度も無かった事は誇るべき部分だったと思います。
【ガンバ視点】
大前提として、優勝を狙うのであれば「めちゃくちゃ良い内容の勝点1」より「クソ内容の勝点3」だった事は言うまでもなく、その点で言えば勝点1で終わってしまった事実は重いです。その部分は何をどう繕っても変わらない。ただそれでも、ガンバは優勝争いに踏みとどまっているチームであると同時に勝利から遠ざかった状況にあるチームでもある。その側面ではきっかけと言うと陳腐ですが、開いた風穴に手を挿し込むような引き分けではあったのかなとも。
考えてもみたら4月の対戦も、なんなら去年の試合もそうでしたが、ポヤトスガンバvs曺貴裁サンガの対戦は大体こういう展開になっていると思うんですね。まずはサンガが仕掛けて、サンガが押し込んでいく状況を作る。その上でガンバがそれをどうかわし、どう掻い潜っていくか。そのサンガへの対応という点ではすごく上手くやっていました。下手に中盤にパスを付けようとするとサンガに狩られかねない状況を先にサンガに作っていたので、配球役としてのタスクをボランチではなくCBに移す事。中盤省略気味になっても大きくサイドに展開し、大外にサンガのDFを釣り出してからWG+ボランチのどちらか+宇佐美の三角形を作ってサイドを攻略する事。そしてエリア内には必ずもう1人のボランチか反対側のWG+山田が入っていけるような状態にしておく事。山下、山田、美藤の3人起用が今日の肝だった事が如実に出ていましたし、サンガがある程度彼らの得意な陣形を組んでくることを前提とした対応策をチームとしてしっかりと遂行できていました。先制点な場面はまさしくその狙いがドンピシャでハマったゴールでしたし、ウェルトンのサイドが思っていた以上に打開できなかった事は誤算でしたが、その分ウェルトンもチームがより右サイドから重点的に攻めるようになってからは37分の宇佐美のシュートシーンのように中で潰れていく役割をこなしに行っていた。この状況ならどうする、この状況ならどこのスペースを狙う…という意識と試合前から準備していたであろう対応策は実践できていました。山下がそのまま突っ切ってクロスなのか、鈴木に渡して山下がリターンを狙うのか、或いは宇佐美に託してサイドチェンジを含めたボールの動かし方をされるのか…という選択肢の多彩さは見ていて楽しかったですし、守備側が対象を絞れなくなる事で粗を露呈させられた部分は重要なポイントだったと思います。その中で、例えば宇佐美や鈴木、ウェルトンは基本的に固定レギュラーですが、前述した3人は先発がアラーノや倉田じゃなくて山下だった理由、坂本じゃなくて山田だった理由、ダワンやネタラヴィの欠場はあったにせよ美藤が抜擢された理由、そこにどういう狙いがあるかをしっかり踏まえて、しっかり理解してプレーできていた。そういう理解と認知の部分は今季のガンバの大きな強みだなと前半は特に感じましたね。
でもこれ割と何回か言ってるけど、やっぱりポヤトスサッカーこそ宇佐美って必要な存在だと思うのよな。…
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2024年9月22日
ポヤトス監督が試合後に語ったように「京都さんよりガンバの方が私の見方的には素晴らしい試合をしたと思っています」という部分は確かだったと思いますし、平凡なキーパーならあと2〜3点は入っていた、なんなら中谷のゴールだった岸本のゴールになっていた事でしょう。基本的にはガンバがより優勢なゲームだった事は間違いないです。
一方で、今季のガンバの戦いぶり…というものを考えた時に、ガンバが上手く対応策を提示できた事で優勢な展開に持ち込めたとはいえ、試合のペースはオープンな展開になっていったというよりも、よりサンガが望むペースの方に引き摺り込まれる格好になったのも事実でしょう。ガンバが押し込むだけのオープンな展開ならともかく、サンガがカウンターを仕掛けてくる場面も少なくはなかった訳ですし。そう考えると、ガンバからすれば対応はしたけど付き合わされた、言うならば「ガンバ優勢のサンガペース」みたいな不思議な構造の試合になっていた側面もある。序盤の美藤の決定機を潰す形となった場面に端を発する審判へのフラストレーションもあったでしょうが、本来ならスタートからもう少し違うコントロールをする事が理想ではあったはずで…。ただ、遅いか早いかの違いだけでどのみち投入していたとしても、試合がカオスな状態になったタイミングでファイターとして振る舞える倉田とアラーノを別々ではなく同時に送り込んだところはポヤトス監督のセンスを感じさせるものではあったと思います。
まぁ…オープンな展開に付き合わせされた事がガンバの反省材料ではあったとしても、戦術的な噛み合わせを加味すると、これまでもそうだったように最初からそれは避けられない(だからこそのスタメンだった)という部分はあったでしょうし、後半はビハインドの時間のほうが長かったならば尚更そうなるのは致し方ない部分もある。めちゃくちゃ結果論で感情論ですが、否が応にも募る閉塞感に風穴を開けるには、ここまで振り切ったハイテンションなゲームも必要だったのかもな…とも少し感じたり。
一応最後に、1失点目の一森のミスのシーンについて。ここに関してはもちろん一森の選択に対する再考だけではなく、福岡や中谷の貰い手としてのポジショニングは正しかったのか、それ以前に中谷にエリアスが行った事でキャンセルせざるを得なくなった事情があるとはいえ宇佐美もあそこで長い距離のバックパスを出すべきだったのかどうかまで個々が見直すポイントはあるでしょうが、あのシーンに関しては今のサッカーを貫く上では年に数回発生するものなので(むしろ去年の事を思うと30試合やってほぼ出なかった事の方が正直凄い)、個々で見直すところは見直すにしてもそこまで深刻に捉える必要はないかなと思っています。ただ、トゥーリオがシュートを放ってボールが転々とした時にもう少しやれる事はあっただろうとは率直に感じました。サンガが中谷がクリアをする前の時点でファーをエリアス、ニアを川﨑が狙う姿勢を見せていた以上は、ボールを追った中谷だけじゃなく最低限その2人は誰かがケアしなければならなかった。今季のガンバはゾーンで守る意識が徹底されているのは素晴らしい事であって、今後もそれが第一である事は前提としても、あそこで中谷以外がボールの進路やエリアスと川﨑を放置する形になってしまったのは、結果的にエリアを守る意識が人やボールへの直接的なケアを少し希薄にした部分はあったようにも感じました。
ともかく、試合としては爆発的に面白かったです。
なにより、大アリのスタジアムでこういうゲームになった事が本当に素晴らしい。もちろん理想としては、この日サンガスタジアムに訪れた人が次もサンガの試合に脚を運んでくれる事、サンガを追うようになる事ですが、今日の試合に魅せられた人がガンバを追うようになってもいいし、例えば神戸に住んでいるけど友達付き合いか何かでたまたま見に来た人が「満員でサッカーを見るのってこんなに楽しいのか。ちょっと1人でも最寄りのスタジアムに行ってみようかな」という感覚でノエスタにでもいけば、それもそれで素晴らしいことだと思いますし、それだけこの試合は人の感情を煽り、昂らせるのに十分なゲームでした。……これよりもっっっとポエミーなことは追々観戦日記で書くとして。
サンガの2万人なんて、自分は見ずに死にゆくものだとずっと思っていました。
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2024年9月22日
それが実現できるような舞台まで駆け上がってこれたという事、それに相応しい箱を持ち合わせたという事、そして何よりその相手がガンバだったという事……自分にとってはこの上なく美しい日でした。#京都サンガFC… pic.twitter.com/6lHE6S6eWA
この2クラブのファンとして生きてきた者として、2024年9月22日は一生心の中に残る美しい一日でした。
こういう日がくるとは…。
よきひに。
ではでは(´∀`)