RK-3はきだめスタジオブログ

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雨粒は何を含むか〜2024明治安田J1リーグ第15節 京都サンガFC vs サンフレッチェ広島 マッチレビューと試合考察〜

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意外とサンガとは色々因縁のある大熊氏

 

どーもこんばんは

 

ほら、2010とか…

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第15節、京都サンガFC vs サンフレッチェ広島の一戦です!

 

京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。

 

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京都サンガFC 30周年。長年J2という泥濘に足を取られ続けたサンガにとって、20周年と25周年にそれが叶わなかったサンガにとって、30周年の節目の年はなんとしてもJ1リーグというこの国のトップカテゴリーに立っている事は至上命題でした。それはなんとか2021年に昇格し、2022年と2023年に残留し、そして今この地を踏んでその命題を達成しています。

しかして今季の戦いは、開幕前に掲げた-史上最強-というフレーズが虚しく響く戦いぶり。全く美点がないのかと言えば決してそうじゃない。ですが時間と相手は粗を見逃さず、サンガからできることを奪って現実を突きつける。時代にできていた事ができなくなる……それを繰り返しながらサンガは1/3をとうに超えてしまいました。

 

 

サッカーは結局のところ、最後は結果で語るしかない。サンガに限らずどのチームにとっても、今やっていることを続けることが成功に繋がるのかどうかは時間が経ってからじゃないとわからない。変えることも続けることも等しくギャンブルである…その間をサッカーチームはずっと走っていかなければなりません。

ホーム全敗中の今節、対するは広島。先日、サンガは空席のポストになっていたGM職に大熊清氏を迎え入れました。サンガは少なくとも、一つの要素を加えることで物事を変えるというギャンブルに出た。「それが自分か他人か」というだけで、降格チームという宿命は毎年誰かが背負うことになる。その泥濘を飛び出す矢を放つのがこの一手になるのかどうか。GMは強化職なので今すぐに直接的な成果が反映される訳ではありませんが、変化の意思をこの目で確かめていきたいところ。「強く超える」──当初の意味とは異なる立場であったとしても、今そのスローガンはまさしくその時を迎えています。

両チームスタメンです。

 

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サンガは出場停止のアピアタウィア久を含めて前節浦和戦からスタメンを5人変更。システムも4-1-2-3から3-4-2-1に変更していますが、昨季も一昨年も広島戦を筆頭に3バックの相手には3バックで合わせる事はあったので、システム変更というよりは対広島戦シフトと呼んだ方が適切でしょう。佐藤響、松田佳大、そして怪我から復帰した豊川雄太はいずれも第11節FC東京戦以来のスタメン。山﨑凌吾は第9節新潟戦以来のスタメンとなっています。前節はGKに太田岳志を起用しましたが、今日はク・ソンユンに戻しました。

何気にリーグ戦6戦未勝利の広島も1-3で敗れた前節鹿島戦からスタメンをサンガと同じく5人変更しました。野津田岳人と志知孝明が今季初先発を飾り、普段はボランチの松本泰志は今日は2シャドーの一角として起用。3バック起用と右WB起用を行き来する中野就斗は今日は右SB。右WBには新井直人が入ります。

 

 

 

本日の会場は京都府亀岡市サンガスタジアム by Kyoceraです。

本日の試合は年に一度の京セラスペシャルデーとして開催!来場者にはユニフォーム型のうちわが先着で配られる他、ゲストとしてお笑い芸人のアルミカン、元フィギュアスケーター村上佳菜子氏が来場しトークショーを行います。

同じ紫、そして近年のサッカースタジアムビジネスの成功例として挙げられる2チーム同士の対戦。何気にサンガはサンガスタジアムでは未だに広島に無敗なんですね(ビッグアーチでは2つ負けたけど)。うっすらと違う毛色の紫を制してとにかく上へ…!

 

 

本日は現地観戦です。

スポーツ観戦日記は後日!

 

 

 

 

【※筆者よりお知らせ】

いつもであればここから試合の推移を書きながら試合展開に応じた流れの変化も踏まえて記述していくところでございますが、本日はあまりにも書くのがつらいので、このまま試合総括に移らせていただきます。ごめんぴ。

 

 

 

 

……とりあえずまずは冷静に語れたらと。

今日に関してはまず、サンガは4-1-2-3から3-4-2-1にして広島とシステムを合わせるところから始めました。奇策といえば奇策ではありますが、これ自体は去年一昨年も広島戦など3バックのチームと対戦する時にはやっていたので、それ自体が突飛なやり方だったという訳ではないですし、その効果もこれまでは少なからずあった。しかして今日に関してはそれが完全に裏目ったなと。

まずサンガはあまりにもボール保持時の対応が拙かったです。チームとしてワイドにポジションを取るべきかコンパクトに距離感を縮めた方がいいかは個人の好みやチームの性質もあって一概にどちらが…と言える話ではないですが、少なくともサンガはサイドはワイドに開いても中央はある程度選手間の距離を狭めた状態じゃないと機能しにくいチームです。にも関わらずWGではなくシャドー2枚で構成した3トップとボランチの距離感は縦に完全に間延びしていました。それは3トップの間でもそうで、例えば山﨑や原に当てるにしてもポストプレーからのフォローを拾って攻撃できるほど近い距離に豊川も中盤も行けなかったですし、フリーでボールを持った原や豊川はフォローの少なさに自らサイドを流れるしかなくなっていた。一方でボランチは3トップとの距離感が広過ぎた余り、前に出そうとしてもその間に確実に広島の守備者にコースを切られてしまう。それを恐れて選択に手間取っている間にボールロストを繰り返し、同じショートカウンターを喰らってしまう……と。両WBもおそらくFWに合わせた位置を取ったので、展開するに当たっての選択肢だとか、パスコースの逃げ道には全くなっていなかったのは実情でした。

ましてや、今日に関してはWボランチを川﨑と金子で動く川﨑、配球役の金子に完全に分けていた。それ自体は別に良いのですが、前述の状況でピッチの真ん中あたりに閉じ込められた結果、3バックは誰もが金子だけを探して自分達が無理な体勢だろうが金子が無理な体勢だろうがお構いなく金子にボールを出した。そして広島は露骨なくらい金子を狙ってきた。だってそりゃそうでしょう。もうこっちは金子にしか出せないし、時間経過はサンガが対応で広島の金子シフトをひっくり返すのではなく金子にしか出せない流れをより顕著にしただけだった訳ですから…。もしかしたら3トップのうちの一つをボランチと前線の間に入れる松田天馬にするとか、試合が壊れる前の先発の時点から武田を起用して配球役を2つにするとかがあればもう少し状況は違ったのかもしれませんが……。そこでお互いが正解を見失いながらその場に留まるしかなく、流動性と強度が全てだったチームはそれすらも手放すように広島に蹂躙されていった。サンガは今季も多くの黒星を積み重ねてきましたが、惜しい敗戦もいくつかあった中で「もうどうしようもない」という印象がここまで強いゲームはそうそうない。試合の美点で言えば宮吉拓実が復調傾向にある事や平賀大空がJ1のリズムを掴んできていることはそう言っても差し支えないでしょうが、チームとしては最悪の試合でした。これまでの試合なら、最終的にそれが有機的な攻撃にならなかったとしても原や山﨑に当てれば誰かがそこのフォローに入ることで距離感を保っていたけど、3トップの個々にしても両WBにしてもボランチにしても対応を見失っていましたし、守備陣もトランジション時のカウンター対応で守備陣形もクソもないほどぐちゃぐちゃに乱されてしまった。出来ていたことが出来なくなった時、そこには元々出来ない事と元来のクオリティの差しか残らなくなる。その現実を雨の一粒一粒が称えてくるような試合でしたね。

 

 

 

今後のことをクラブがどう考えているかはその時までわかりません。大熊清GMを招聘しましたが、それに伴い生じる変化をどの方向で期待しているのかは、基本的にはクラブと大熊氏の間で話されることでしょうし、監督人事もそれに応じて動き方が変わってくる。予想としては辞任でもしない限りは大熊氏は「広島戦の結果に関わらず監督交代するつもりで後任も目処を立ててGMに就任している」「GMとしての状況把握も含めて、とりあえず2週休みとなる第17節のタイミングまでは待ってから結論を出す」のどちらかだろうな…とは思っているのですが、元々GMないしはそれに値するポストの登用はサンガは好調だったとしてもやらなければならない事だったとはいえ、このタイミングでの就任、このタイミングでの発表はそれなりの意味を持っていると考えた方が自然です。何もそれが通告ではないですが、クラブとして選択肢の示唆とでも言いますか。

個人的には曺貴裁監督も、曺貴裁体制も否定するつもりはありません。スタイルに賛否こそあれど、サンガのようなチームがJ1に1年でも残留しようと思えば、それが時として弱みにもなるほど特徴的なスタイルを有しておかなければならないという側面は持っています。それはスタイルのベクトルこそ違えど新潟や鳥栖、札幌にしたってそうでしょうし、曺監督がかつて率いた湘南も然り。だからこそ問題は目指すサッカーの云々ではなくて「出来ていたことが出来なくなっている」というところ。これをどうにかするのかま曺監督の底力なのか、選手の踏ん張りと覚醒なのか、それとも何かしらのメスなのか………それは第16節のチームバスが名古屋に着くまでわかりませんが、今は悩める明日でも悪夢の昨日を肥やしに生きていくしかない。その現実に沿って進むしかない。今のサンガなそういう岐路に立っています。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2024明治安田J1リーグ第15節

アビスパ福岡0-3セレッソ大阪

サガン鳥栖0-2名古屋グランパス

FC町田ゼルビア5-0東京ヴェルディ

ジュビロ磐田1-1浦和レッズ

京都サンガFC0-5サンフレッチェ広島

鹿島アントラーズ1-0ヴィッセル神戸

FC東京1-1横浜F・マリノス

ガンバ大阪3-1川崎フロンターレ

柏レイソル2-1北海道コンサドーレ札幌

湘南ベルマーレ2-1アルビレックス新潟

 

1位 FC町田ゼルビア(32)

2位 ヴィッセル神戸(29)

3位 鹿島アントラーズ(29)

4位 ガンバ大阪(25)

5位 名古屋グランパス(25)

6位 浦和レッズ(24)

7位 セレッソ大阪(23)

8位 FC東京(23)

9位 サンフレッチェ広島(22)※1

10位 柏レイソル(21)※1

11位 アビスパ福岡(19)

12位 東京ヴェルディ(18)

13位 横浜F・マリノス(17)※2

14位 川崎フロンターレ(16)

15位 アルビレックス新潟(16)

16位 ジュビロ磐田(15)

17位 サガン鳥栖(14)

18位 湘南ベルマーレ(14)

19位 北海道コンサドーレ札幌(11)

20位 京都サンガFC(9)

 

※1 1試合未消化

※2 2試合未消化

 

5月無敗の町田は今節、ここまで11戦無敗で走っていた東京Vに対して5-0の圧勝。東京Vの無敗を止めると共に、神戸が敗れた事で町田が再び首位に返り咲きました。神戸との上位直接対決を1-0で制した鹿島が3位キープかつ神戸と同勝点、首位町田を勝点差3で追っており、それを4戦無敗のG大阪、3連勝の名古屋が追う構図となっています。初黒星から6試合勝利のなかったC大阪、初黒星を含む6戦未勝利に陥っていた広島は共に敵地で快勝を収めています。

下位では湘南が新潟との下位対決をルキアンの2ゴールで逆転勝利。磐田も浦和相手に勝点1をもぎ取った一方、鳥栖、札幌、京都は敗北。特に札幌はアディショナルタイムの失点で敗れ、京都はホームで大敗を喫するなど苦しい戦いが続いています。

 

 

はぁ…

ではでは(´∀`)