RK-3はきだめスタジオブログ

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美点喪失〜2024明治安田J1リーグ第9節 京都サンガFC vs アルビレックス新潟 マッチレビューと試合考察〜

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いつかはA代表もきてね…

 

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第9節、京都サンガFC vs アルビレックス新潟の一戦です!

 

 

 

京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。

 

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思い返せば第5節東京V戦。あの悪夢のようなドローゲームから、続くG大阪戦を除いてサンガが辿ったのは全く同じ道でした。前半の優位と均衡を後半に持ち越せない、そして崩れていく……。

見方を変えれば、前半戦の戦い方をできるくらいのクオリティと意思の疎通はチームとして常に持てているのでしょう。しかし、それが失われていくのはプランニングの問題か、計画と体力が見合っていないのか、前半で勝負を決められない時点でプランは崩壊しているのか……チームとしての指針はおそらく揺れてはいない。しかしそれがかえってチームの戦いにバリエーションを失わせているところもある。ここ数試合のサンガはそれを嫌でも突きつけられるゲームでした。

時間はいつも有限。その限を引き伸ばすことができるのは結果のみ。思えばここ数試合、私はマッチレビューの冒頭で似たようなことばかり書いていますね。サンガがJ1という舞台に居続けていることも残留という結果を手にしたからこそ。30周年を迎えたサンガですが、それは世の常として40周年も、50周年を迎えても、この概念が続く限り永遠に逃れられないものでしょう。それであるならば、今はサンガに必要なものは一つしかない。その自覚が試される時です。

両チームスタメンです。

 

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前節鹿島戦を0-1で落としたサンガは3トップと4バック+GKは鹿島戦と同じ先発を起用しましたが、中盤は武田将平のみ残して3枚のうち2枚を変更。前節松田天馬と谷内田哲平をインサイドハーフに並べましたが、今日は前節サンガデビューを果たした新加入の塚川考輝が移籍後初先発となり、第4節横浜FM戦の負傷退場以降離脱していた金子大毅が復帰。金子はアンカーとして起用し、ここ数試合でアンカーを担った武田は一列前にポジションを戻しています。主将の川﨑颯太はパリ五輪出場を懸けたAFC U-23アジアカップ出場のため離脱中。昨晩のUAE戦ではゴールも決めましたね。鹿島戦に続き、川﨑欠場のためキャプテンマークは山﨑凌吾が巻きます。

前節は札幌と引き分けた新潟はスタメンを2人変更しました。第5節柏戦以外は全試合フル出場しているCBのトーマス・デンがベンチも外れており、代わりにその第5節でCBを務めたのが今季唯一の出場となっている千葉和彦を起用。トップ下には長谷川元希のところを高木善朗に変更しました。ベンチには大卒ルーキーで初のメンバー入りとなる稲村隼翔、鳥栖からの新加入で第3節名古屋戦以降メンバーを外れていた小野裕二が名を連ねています。

 

 

 

本日の会場は京都府亀岡市サンガスタジアム by Kyoceraです。

 

 

前回のオリンピックイヤーから稼働を始めたサンガスタジアムも今季で5シーズン目になりました。早いものですね。サンガ自体が30周年を迎える今年は本拠地として様々な動きを見せており、最寄り駅の亀岡駅に繋がるJR線では北部から京都駅までを縦断するサンガトレインの運行が開始。また、3月には初めて男子サッカーの世代別日本代表戦が当初の予定から4年越しに開催された事が話題になりましたが、9月にはホセ・デ・サンマルティン国立青少年交響楽団サンガスタジアムで初めての野外コンサートを実施します。

今日の試合では京セラドキュメントソリューションズ株式会社のパートナーデーとして行われ、来場者先着5000名に選手や監督がデザインされたオリジナルミニチーフがプレゼント。ハーフタイム抽選会では選手のサイン入り等身大タペストリーが当たるやもとの事。サンガスタジアム初年度から対戦のある新潟はサンガスタジアムで一度も勝てていない相手だけに、どうにかここで!

 

 

やはり自陣から丁寧にビルドアップを試みてくる新潟に対し、サンガは同じくポゼッションスタイルのチームと対峙した第6節G大阪戦同様に高いラインを保って相手陣内に新潟を閉じ込めに行くようなプレッシングを敢行。対する新潟は、そういうサンガの守備に対して如何にしてサイドに逃げ、そこをどうやって翻すかというところに活路ををまとめました。

先に決定機を迎えたのは新潟。10分、右サイドでボールを拾った高木のロングスルーパスに谷口海斗が抜け出してGKと1対1…かと思われましたが、戻ってきた宮本優汰のナイスカバーでどうにか阻止。その後のセットプレーのこぼれ球から秋山裕紀の浮かしたパスに高木が反応するも、なんとかこのシュートも枠の上に逸れて難を逃れます。

 

 

 

序盤は新潟のサイドからのアプローチの方が功を奏しており、新潟の方が攻撃機会を創出する展開に。そんな中でサンガは攻撃時にはワイドなポジションを取りつつ、ロングボールで一度大きく振るところから雪崩れ込もうと試みていました。ただ、自陣ではしっかりとブロックを組んで対応してくる新潟を相手にサイドでボールを動かすところまでは行くもののそこからを攻略できない時間が続いていきます。

サンガもサンガで新潟に対してボール奪取後の攻撃の鋭さを見せることができておらず、その結果ハイプレスをしようとしながらも空回る形となった事で新潟はサンガのプレッシングをミドルゾーンからの長めのパスで翻せるような展開が続いていました。35分、サンガのプレスを嘲笑うかのような高木のロングスルーパスに完全に一人で抜け出した松田詠太郎がGKと1対1。ここはク・ソンユンがビッグセーブで凌ぐも、そこから繋ぎ直されて谷口がフィニッシュ。新潟先制…かと思われましたが、ここは松田の時点でオフサイドを取られて間一髪セーフ。

 

 

 

ただ、新潟に明確に押し込まれる時間が続けば続くほどに攻撃が豊川雄太原大智によるロングカウンターじみた攻撃でしか活路を見出せなくなっており、サンガは劣勢の輪の中からどうにも抜け出せない状態に。

前半アディショナルタイムにはCKから藤原奏哉がボレーシュート。ここもなんとかクソンユンのファインセーブで防ぎますが…前半は劣勢。前半優勢→後半劣勢だった過去数試合は異なる展開の末の0-0で後半へ。

 

 

まずはどうにか前半で狙いどころ、意思の疎通が中途半端になっていたところから新潟にいなされたプレスを改善したいサンガは後半から塚川を下げて松田天馬を投入。

後半も必ずしも流れが好転した訳ではありませんでしたが、セカンドボールに対するアプローチは鋭くなっていった事でロングレンジのカウンター、最前線の山﨑を中心としたプレッシングを通じた前進は形になるようになっており、50〜55分には山﨑と武田がミドルレンジからの持ち上がりでシュートまで至る場面を作れるようにはなっていました。これにより、前半ほど押し込まれるというよりは背後のリスクを背負った上でオープンな攻防に持ち込みに行くような展開に持っていこうと試みます。

 

 

 

しかし試合の流れが少しオープンになった事でサンガにも流れが来たように見えた59分。新潟は自陣からのロングフィードに抜け出した藤原の折り返しは一度はサンガも跳ね返したものの、こぼれ球に反応した松田と高木の粘りから最後は谷口が絶妙なワントラップからのシュート。これがゴール右隅に吸い込まれて失点…。サンガとしては後半、少し流れを掴みかけたタイミングでのキツすぎる被弾に。

 

 

ある意味では立ち直った心を折られるかのような失点になった事もあるのか、サンガはここから焦りが空回るように構えたところからパスワークを構築する新潟に蹂躙されるような展開になっていきます。64分の小見洋太に訪れた決定機は宮本の身を挺したブロックで阻止。CBコンビを組む麻田将吾と共にそこの奮闘はありましたが、展開としてはそこからどうにも跳ね返せず。

サンガは66分に山﨑、豊川、宮本を下げてマルコ・トゥーリオ、鈴木冬一、アピアタウィア久の3人を同時に投入。鈴木冬一の右WG起用に活路を見出そうと試みます。対する新潟も高木、小見、谷口を下げて長谷川元希、太田修介、小野裕二を投入。お互いに66分に3枚替えを敢行する格好に。そんな中で鈴木冬一が71分に放ったミドルはGK小島亨介のファインセーブを前にゴールならず。

 

 

 

曺貴裁監督は75分に武田を下げて谷内田を投入。その後も82分にはトゥーリオ、83分には佐藤にもシュートチャンスが訪れ、ミドルレンジからのシュートやセットプレー攻勢ではシュートシーンを作れるようにはなっていたサンガでしたが…なかなかアタッキングサードを崩すような場面にまでは漕ぎ着ける事ができず。

終盤はアピアタウィア久も前線に上げ、アディショナルタイムにはク・ソンユンもセットプレーの攻撃に参加しますが……いずれも不発に終わって試合終了。サンガはここまでホーム4戦全敗というあまりにも屈辱的な結果になると共に、全試合クリーンシートを喰らう形での3連敗となりました。

 

 

 

今日についてはまあ厳しい敗戦だったなと。いや、そりゃどれもこれも負けは厳しいものなんですけど。今日は特に、一番最初にくる純粋な感想として苦しいゲームでした。

少なくともここ数試合…悪循環は第5節東京V戦以降深刻なものとなっている訳ですが、東京V戦からの試合はいずれも美点のないゲームという訳ではなく、「前半はよかった」を加点としてもいいのならば完全敗北と呼ぶべき試合はそう多くありませんでした。美点はあったというか…。それが今日に関しては無かった。言ってしまえば、出来ていた事も出来なくなっていったのが今日の試合だったのかなと。

 

 

G大阪戦がそうだったように、サンガは自陣からボールを繋いでくる相手に対しての前線からのプレスのかけ方には非常に長けたチームだと思います。それは本来、今日の新潟戦にも少なからず当てはまる事だったはずなんですね。

ただ、今日はむしろサンガの対新潟戦のやり方というよりも、新潟の方が対サンガ戦でのボールの回し方を上手くやっていました。序盤戦でプレスのリズムを作られないようにシンプルに徹底してワイドにポジションを取ってサイドに逃げる。個人での打開でもフォローに来た選手を介してのパスワークでもサイドを打開する場面を作っていく。これが何度か上手く行けば、サンガは嫌でもそこを意識していかなければならない。そうすれば今度はミドルゾーンで新潟はある程度のスペースを持った状態でパスを繋げて……サンガはプレスのリズムが作れている試合ではパスコースを切った上でスペースを殺す守備が意識を統一できるんですけど、サンガの意識を分散させた上でミドルゾーンでボールを持たれた時に、サンガはパスコースを切る作業を怠った状態でのハイプレスを行ってしまった。新潟からすればそこも含めて計算通りで、そこを秋山や高木が何度も翻すようなパスを出し、谷口や松田が突いていく……新潟のやり方に対する新潟対策のようなプレスをサンガがやりたいなら、新潟対策の守備に対するサンガ対策のような攻撃を新潟がやってきて、そこにをもう一枚上回れるほどのチームとしての幅はサンガは有していなかったなと。

まず、これは結果論になりますし…トレーニングでのパフォーマンスを評価してという事もあるでしょうからあんまり迂闊に言いたくはないですが、今日に限って松田がベンチスタートだったという影響も多少ある展開でしたね。例えば前節なら今日の中盤の構成でも問題なかったと思いますが、今日は新潟がワイドに展開してきた時にそこを埋め切れなかった、詰めきれなかったというところで、今日は松田ではなく塚川がインサイドハーフだったので…別に塚川が悪い訳ではなく、例えば塚川がアンカーで松田や川﨑が前にいれば、むしろ塚川や金子をアンカーで構えさせた上で中盤を前に出して嵌め込む事で、まだ新潟のやり方に飲まれる前に手当てできる可能性もあったと思うのですが、松田や川﨑と全くタイプの違う塚川にいつものプレスのやり方の応用型を求めざるを得ない配置になっていたところはこの試合の一つのポイントだったかもしれません。

その中で後半に関しては試合をオープンにせざるを得ない中で、何回も喰らった逆襲に対する両SB、福田と佐藤の対応には拍手を送りたいです。中盤放棄状態となった終盤戦、そこからめちゃくちゃ走ってくる新潟のアタッカー陣に対して全力で戻り、ボール奪取までは出来なかったとしてもスピードを止めて味方が戻るまでの時間は作ってくれた。クロスを何度も跳ね返してくれた麻田や宮本もそうですし、今日の試合展開での守備陣の踏ん張りは素晴らしかった。逆にそこが今日の試合の美点になってしまった事がこの試合の全てだったんだろうなと。

 

 

 

今日はやっぱり、新潟のボールの回し方を前に出来ていた事が出来なくなっていた事が非常に苦しいポイントでした。これまでは負けた試合もサンガの強みが活きていた場面があっただけに「良い時間帯を活かせなかった」という理由に心の拠り所を求める事はできていた。そう考えたら、今日はもうそういう逃げ場のような理由を求めるには無理のある負け方だった訳ですから、日々のサンガタウンで考え直していかなければならない事は多いです。

幸運にもミッドウィークにはJ3長野とのルヴァンカップがあります。勝つか負けるかは蓋を開けるまでわからないところはある。ただこの試合ではおそらく、去年の天皇杯金沢戦のように上手く回らない事を織り込んだ上で新しいアプローチを試してくるかもしれませんし、ここまで出場機会の少ない選手にスポットライトが当たる事もあるでしょう。少なくとも実戦で、公式戦の舞台で試行錯誤をできるチャンスが数日後にある。それをチームとして、今年最大くらいのポイントに捉えてやるしかありません。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2024明治安田J1リーグ第9節

北海道コンサドーレ札幌1-1サンフレッチェ広島

京都サンガFC0-1アルビレックス新潟

サガン鳥栖4-2鹿島アントラーズ

湘南ベルマーレ0-1ヴィッセル神戸

アビスパ福岡2-2ジュビロ磐田

浦和レッズ0-1ガンバ大阪

川崎フロンターレ0-0東京ヴェルディ

FC東京1-2FC町田ゼルビア

名古屋グランパス2-1セレッソ大阪

横浜F・マリノス(5月29日19:00)柏レイソル

 

 

1位 FC町田ゼルビア(19)

2位 セレッソ大阪(18)

3位 サンフレッチェ広島(17)

4位 ヴィッセル神戸(17)

5位 名古屋グランパス(16)

6位 ガンバ大阪(15)

7位 横浜F・マリノス(14)※1

8位 柏レイソル(13)※1

9位 鹿島アントラーズ(13)

10位 FC東京(12)

11位 アルビレックス新潟(12)

12位 浦和レッズ(11)

13位 アビスパ福岡(11)

14位 ジュビロ磐田(10)

15位 東京ヴェルディ(9)

16位 川崎フロンターレ(8)

17位 サガン鳥栖(7)

18位 湘南ベルマーレ(6)

19位 京都サンガFC(6)

20位 北海道コンサドーレ札幌(6)

 

※1 1試合未消化

 

開幕8戦無敗で首位に立っていたC大阪でしたが、鬼門・豊田スタジアムで名古屋を相手に1-2で敗北。9試合目にして今季初黒星を喫し、逆に名古屋は開幕3連敗のち6戦無敗で上位戦線に食い込んできました。C大阪が負けたことにより9試合を終えて未だ無敗をキープしているのは広島のみとなりましたが、今節は最下位札幌を相手に1-1のドロー。一方、町田が初対戦の東京ダービーとなった試合でFC東京を下して再び首位に浮上しました。できたで勝利した神戸が4位、G大阪が6位にそれぞれ順位を上げています。

下位では20位札幌は2戦連続ドローで最下位を脱出するには至りませんでしたが、湘南と京都が共にホームで0-1で敗れた事で最下位札幌と勝点で並んだ上での最下位に転落。一方、第2節以来勝利から遠ざかっていた鳥栖はホームで鹿島に4-2で勝利して降格圏を脱出しました。福岡vs磐田、川崎vs東京Vの勝点が近いチーム同士の試合はいずれもドローに終わりました。

なお、横浜FMと柏の試合は横浜FMACL準決勝進出に伴い、5月29日2試合が延期となっています。

 

 

川﨑ゴールおめ

ではでは(´∀`)