ナショナルダービーの時間だああああああ
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第9節、浦和レッズ vs ガンバ大阪の一戦です。
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かつてナショナルダービーと呼ばれたこのカードが、両者のファン以外がそうは呼ばなくなってからというもの、このカードは両者の時代の状況を表すかのように牙を剥いてきました。
最初に失墜したのは浦和でした。その時は沈みゆく浦和に対して、ガンバはまるで要塞・埼玉スタジアムを完全に自分達の庭のように踊るようにプレーし、勝利を当たり前のように飾っていった。その時代が過ぎて浦和が復活し、今度はガンバが沈みゆく時代に入ると、今度は浦和が数年の怨念を晴らすかのように何度もガンバに牙を剥いた……4戦4敗、ルヴァンカップでも対戦した昨季は屈辱の連続でした。浴びせられたJ2コール、退場者を浦和が出してからの逆転劇、ルヴァンカップでの残酷なまでの完敗…。それはガンバにとって突きつけられた現実と表現するしかありませんでした。
今年のチームは違う……それは多くのガンバファンが感じているでしょうし、ここ数年の鬱屈した感情とは違う感覚をチームに抱いているはず。しかし、本当に違うことを証明するのであれば屈辱を一つずつ塗り替えていかなければならない。前節鳥栖戦はそういうゲームをモノにしました。さぁ、今日もまたそれを一つずつ証明する舞台の一つです。
両チームスタメンです。
ガンバは2-1で勝利した前節鳥栖戦からはスタメンを1人変更。前節先発の倉田秋はベンチスタートとした上でウェルトンを本来の左に置き、右WGには横浜FM戦や鳥栖戦でWGとして存在感を見せている唐山翔自を起用してきました。Wボランチは鈴木徳真、ダワン、ネタ・ラヴィをローテーションで起用していましたが今日はネタ・ラヴィがベンチを外れており、ガンバが同じボランチコンビを2試合連続で起用するのは実は今季初めて。また、ベンチには横浜FCから加入しながらも怪我で出遅れていた山下諒也が移籍後初めてベンチに入っています。
浦和は0-1で敗れた前節柏戦からはスタメンを3人変更。今日はWGが基本ポジションとなる大久保智明が中盤として先発に復帰しており、逆に今季は中盤起用が多かった中島翔哉が左WGとして先発起用となりました。また、第3節札幌戦の負傷退場から離脱していたアレクサンダー・ショルツは前節はベンチ入りのみでしたが今節からは先発に復帰。ショルツ欠場中に奮闘していた佐藤瑶大は古巣対決でしたが今日はベンチスタートです。
本日の会場は埼玉県さいたま市、埼玉スタジアム2002です。
キックオフまであと2時間🔵⚫️
— ガンバ大阪オフィシャル (@GAMBA_OFFICIAL) 2024年4月20日
🏆明治安田J1リーグ 第9節
🆚#浦和レッズ
🗓️4/20(土)
⏰16:00
🏟️#埼玉スタジアム2002
試合を観るなら▶️@DAZN_JPN
登録は▶️https://t.co/cmHuKWbwHj#ガンバ大阪 #GAMBAOSAKA pic.twitter.com/ULM24l5WlD
「日本を代表する」ではなく「日本を象徴する」スタジアムと表現しても大袈裟ではない埼玉スタジアム2002。浦和レッズの本拠地として、或いは日本代表の本拠地として、いつの日もどちらかの色に染まってきました。とはいえ、昨季は芝の張り替え工事の影響もあって意外にも代表戦開催はゼロ。埼スタで日本代表戦が1年間で1試合も行われなかったのは開場した2001年以降で去年が唯一です(国内開催の代表戦自体がなかった2020年を除く)。
ガンバにとって昨季は屈辱を受けたこのスタジアムですが、意外にもガンバは埼スタでの相性は去年を除けば悪くないんですよね(むしろなぜか浦和戦はパナスタの方が相性悪い)。なんなら、2017年以降のガンバ浦和戦は昨季の埼スタで浦和が勝つまでお互いにホームで勝てない時期がまあまあ続きまして。次こそはヤツらをホームでもアウェイでも倒せる時代へ!
序盤は浦和がピッチをワイドに使いながらビルドアップを展開し、それに対してガンバは敵陣では宇佐美貴史や坂本一彩のところから積極的にプレスを仕掛けましたが、ガンバ陣内ではある程度浦和のアタックに対しては構えるような守備体形で対応。アタッキングサードではボールホルダーに前田直輝や大久保、中島が積極的に絡む事で数的優位を作ろうとしてきましたが、そこに対しては焦れずに上手く対応し続けていました。
ガンバは浦和のボール保持を前になかなかマイボールの時間を増やせず、基本的には浦和のボール回しを自陣で待った上で対応せざるを得ない状態が続くことに。
ただガンバもチームとして無理せずに構えて待つ、いけると思った時は一気に行く、いざボールを取れたら中央の選手がボールを運んだ上に左右と縦の3方向にスルーパスのルートを作るという要件を満たした上でショートカウンターのチャンスは何度か作れており、12分にはウェルトン、22分には宇佐美にシュートチャンス。その間にも中央でボールを持った坂本が好機に繋がりそうな場面を迎えるなど、望んだ展開では無いなりの対応は出来ていました。
しかし時間が経過すると今度は浦和は自陣でボールを繋ぐ時間を長く取っていたところから、少し長いボールも用いながらガンバのラインを押し下げるようなムーブを見せ、必然的に浦和のプレスのスタート位置が高くなる事でガンバもボランチより前に前進出来なくなるような展開になっていきました。宇佐美や坂本が中央でボールを持ったところからギニュー特戦隊チックなカウンターを仕掛けにくくなったガンバはシンプルに唐山とウェルトンをワイドに張らせて活路を伺いますが、多くなった距離感に対して浦和に上手く囲われるような形になって、そこから今度は中央の宇佐美や坂本に繋げなくなる難しい流れに。
それでもガンバ陣内では浦和の攻撃に対する守備の構えも自陣でのビルドアップも守備陣とボランチが集中してそつなくこなしていった結果、焦れずにやり続けた甲斐あって両サイドから少しずつ前進できる場面も見られるようになっていきます。42分には左サイドでボールを受けたウェルトンが個人技で打開してシュートを放つも僅かに枠外。前半は0-0で終えます。
後半開始から浦和は2度決定的な場面を作ります。後半開始早々にはセットプレーからホイブラーテンがヘッドで合わせるもギリギリで宇佐美がクリア。48分には右サイドでボールを持った前田から伊藤敦樹がポケットを取る動きを見せ、最後はグスタフソンが決定的なシュート。しかしここはどうにか枠の上に逸れていきます。
ガンバも51分には三浦弦太のロングフィードから渡邊凌磨を完全に振り切って抜け出した唐山が決定機を使えましたが、交錯の末にGK西川周作が阻止。いずれにせよ、一気に攻勢をかけてきた浦和が積極的にポケットを狙ってアタッキングサードの打開を図り、対するガンバはより一層長いボールや翻すようなコントロールでラインブレイクを試みていました。55分には左サイド、サンタナのパスを受けた渡邊のクロスにファーサイドの伊藤が飛び込むこの日最大の決定機。それでもここはポストに救われて間一髪。
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) 2024年4月20日
ドンピシャのヘディングは惜しくも外れる😭
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渡邊のクロスに
完全にフリーになった伊藤が
ヘディングシュート!
惜しくもポストに阻まれる...
🏆明治安田J1第9節
🆚浦和×G大阪
📺 #DAZN ライブ配信中#浦和G大阪 pic.twitter.com/o24IXw8pdO
ポヤトス監督は58分に唐山を下げて岸本武流を投入。浦和のヘグモ監督も65分に前田と中島を下げて松尾佑介と安居海渡を同時に投入してきました。
ただ後半はやはり浦和が押し込んでいる中で、ガンバの守備陣も粘り強く対応していきましたが、CBとSBの間のスペースを切り刻むような突破、或いはボールを奪った後に攻撃のポイントにもしたい黒川圭介が内側に押し込まれてしまうようなサイド攻撃で、ガンバがカウンター以外の糸口を作り出せないような状況に追い込んでいきました。68分には渡邊の強烈なシュートをGK一森純がビッグセーブで防ぎますが、浦和の猛攻を前にガンバも疲弊し前向きな守備をなかなかできない状況に。それでも4バックは陣形をしっかりキープして素晴らしい対応をしていましたが、チーム全体が押し下げられた事もあって中盤より前でのボールの奪いどころを絞れない、むしろチャレンジ一つがリスクになるような状態がずっと続いていました。
やや強引にでもチームとして前に押し出していくきっかけが欲しいガンバは72分に福岡を下げて中野伸哉を投入。中野はSBなので表面的にはSB同士の交代ですが、岸本をSBに下げた上でウェルトンを右にスライド。中野は左WGとして送り込みます。浦和も75分に大久保を下げて小泉佳穂、怪我明けのショルツを下げて古巣対戦の佐藤を投入します。
その直後でした。
78分、止めどなく続く浦和のアタック。左サイドでボールを持った松尾がフォローに回ってきたグスタフソンにパス。グスタフソン右に展開して伊藤が走り込んだところに思い切ってチャレンジした中野がカットすると圧倒的な攻勢ムードに前がかりになった浦和の背後をラインブレイク!中野は持ち運んでから右サイドのウェルトンに展開すると、ちょうどCBを入れ替えた直後の浦和のマークの受け渡しが上手く行ってなかった隙に入り込んだ坂本一彩げっとおおおおおお!!!
げっとげっとげっとげっとげっとおおおおおお!!!!!!!!!!!!!
🎥ゴール動画
— ガンバ大阪オフィシャル (@GAMBA_OFFICIAL) 2024年4月20日
🏆明治安田J1リーグ 第9節
🆚浦和レッズ
⌚78分
⚽️#坂本一彩
見逃し配信は▶️@DAZN_JPN
登録は▶️https://t.co/cmHuKWbwHj #ガンバ大阪 #GAMBAOSAKA pic.twitter.com/tkH4t6GJJ4
劣勢の中、彗星のようにピッチを切り裂く一閃!!
そのゴールは確実にガンバに落ち着きを、そして浦和に焦りをもたらしました。興梠慎三を投入した浦和に対し、ガンバは坂本とウェルトンを下げて倉田とガンバデビューとなる山下を投入。浦和のロングボール攻勢に対しても、ここまで浦和の怒涛の攻撃に耐え続けてきたガンバ守備陣に恐れるものはありませんでした。浦和の猛攻を受けながらも耐えて耐えて最も危険なエリアへの侵入は許さず、ボールがこぼれた隙を狙ってしっかりボールクリア。
…そして試合終了!!!!屈辱の4連敗から年をあけ、あのJ2コールが鳴り響いた埼玉スタジアムの夕暮れによぎる屈辱の記憶を大阪の凱歌で塗り替えしました!!!!!!!!!!!!!
素晴らしかった。トータルで言えば「やりたいことが出来た」というセリフに説得力があるのは浦和の方でしょうし、ガンバとして想定はしても望んだ内容のゲームではなかったことは確かでしょう。ただ、それでもこの試合は心震えるゲームだった。相手も、場所も、去年のことも、試合の展開も……。あまりにも長く、あまりにも割に合わない前振りから与えられるこういう瞬間に我々は虜になっているのだろうなと。素直にそう感じるゲームでした。
坂本一彩さん、4年前に同じ相手に勝った時と同じスタジアム、同じゴールに、偉大な偉大なユースの大先輩と全く同じようなシュート決めるとかほんと……いやほんと……(´;ω;`)pic.twitter.com/wUvoFvNmwB https://t.co/bzOgH9iNZT
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2024年4月20日
前半から浦和にボールを持たれ続けて、やっぱり相手も浦和ですし、ボール非保持だけど主導権は持ってる…みたいな展開ですらなかったのは事実としてありますが、今日のガンバはそういう状況を受け入れた上で、望まぬ展開なりにどういう対応をすべきか…というところはしっかりやれていたと思います。
まだ浦和のバックラインのビルドアップに付け入る隙があった前半の前半は、ボール奪取から中央で運び、受け手が三方向に抜けていく形でのショートカウンターを見せることが出来ていましたし、それが出しにくくなったら出しにくくなったで、今度は唐山とウェルトンを張らせた上でどうにか一枚は剥がしてもらう、そこから宇佐美や坂本がフォローに入る事でワンチャンスを狙う…だとか、劣勢時にどういうビジョンで一矢報いるような場面を創出するか…というビジョンはチームとして共有できていたなと。
そういうビジョンの共有って、後半みたいに浦和に一方的に押し込まれる展開になっても「ここはチャレンジに行っていいタイミング」みたいなところの意思統一に繋がって、誰かが入れたスイッチに対してちゃんと反射できるようになるんですね。誰かが入れたスイッチを、ちゃんとGOサインとして受け取る事が出来るというか。それがまさにあの得点シーンだった。あの時間、ガンバは完全に押し込まれて最終ラインもゴールラインギリギリのところまで押し下げられていましたが、グスタフソンのパスと強弱と伊藤の飛び出しのタイミングが合っていないと判断した中野は一閃のようなチャレンジで飛び出し、そのサインを受け取ったウェルトンや坂本、宇佐美がそれにきちんと呼応した。あそこでチャレンジに踏み切った中野の勇気、それをチャレンジじゃなくGOサインとスイッチにしてみせた周りの連動…。西川に阻まれたとはいえ三浦のロングボールに唐山が抜け出したシーンもそうでしたが、チームとして味方のチャレンジに応える、味方が入れたスイッチに呼応するという連鎖を劣勢の中でも失わなかった。そこは本当に今日の素晴らしかったところ、ファン・サポーターの魂を震えさせたところだったのかなと思います。
そしてなんと言っても今日秀逸だったのは守備陣の奮闘です。本当に素晴らしかった。
浦和の両WGはやっぱり個人の打開力もあるだけに、サイドからの侵入だとかポケットへのアタックでスピードとテクニックを併せ持った突破を何度も試みてくるんですけど、さっきの中野とはある意味では逆の話で…最終ラインはチャレンジのタイミングを見誤らず、焦れずにしっかり対応し、逆に浦和を焦れさせるような完璧な守備を見せてくれました。あれだけ責められながら、ミドルシュートやセットプレー以外で本当に危なかったシーンって伊藤のヘッドくらいだった気がしますし、誰一人としてそこの集中力を欠かさなかった。大変なんですよ。サッカーのDFで、あれだけ責められてそれを維持するのって。言葉でカジュアルに言いがちですけど、中谷も三浦も一森もあのハードミッションを最後までやってのけた。本職じゃない福岡も、攻撃が売りの選手ながら守備に忙殺される形になってしまった黒川もそれをやり切った。逆に言えば、最終ラインがあそこまで「絶対死守圏」のようなテリトリーを構築してくれていたおかげで中野が「行ける!」と思ったタイミングで躊躇なくチャレンジに行ける環境を作っていたとも言えますし。感動しました。もう今は少し油断したら「感動した」「心震えた」「好き」「大好き」「愛してる」くらいしか書けなくなりそうなのでこの辺にしておきます。
いわばガンバは堕ちた名門という印象を持たれているクラブだと思います。そりゃそーだ、優勝争いの常連が近年は残留争いの常連だもの。
それをそこから再建、再興させていくには、赤く血塗られた屈辱を一つ一つ蒼き歓喜で塗り替えていかなければならない。今日の埼玉スタジアム、試合前のポヤトス監督の取材でも文面だけでも並々ならぬ気合いや思い入れは伝わってきました。その魂に、その想いにきちんと結果を沿わせてきた……試合後の宇佐美の喜びようはその何よりの表れでしょう。こうして一つずつ暗い思い出を持つスタジアムの記憶を上書きしていき、血塗れのキャンパスがまた美しいブルーで染まる頃には、きっとまた美しい時代に手をかけているはずです。それがいつになるかはわかりませんし、そこまで辿り着けない可能性もある。それでも今のチームはそれを現実のものにする為に正しい道を歩んでいる。未来がどうあれど、それは確かだと思います。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
J1第9節分は京都サンガFC vs アルビレックス新潟のマッチレビューページに記載しています。
しゃああああああああ!!!!!!!!
ではでは(´∀`)