G・BLUE〜ブログとは名ばかりのものではありますが...ブログ。〜

気ままに白熱、気ままな憂鬱。執筆等のご依頼はTwitter(@blueblack_gblue)のDM、もしくは[gamba_kyoto@yahoo.co.jp]のメールアドレスまでご連絡お願いします。

ガンギマリフィールド〜2024明治安田J1リーグ第4節 京都サンガFC vs 横浜F・マリノス マッチレビューと試合考察〜

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20240318154753j:image

 

おいおい亀岡にキューウェル来てるよ…

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第4節、京都サンガFC vs 横浜F・マリノスの一戦です!

 

 

 

京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。

 

Jリーグをもっと楽しめる(かもしれない)、2024Jリーグ開幕ガイド作りました!是非お使いくださいませ。

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

若き才能が瞬いてどうにか勝点1を掴み取った開幕戦。

その盛り上がりに水を差すほどの単調なリズムの先で敗北を迎えた第2節。

そして強大な敵を前にし、古都のホープが新たなる象徴と化したような初勝利を挙げた第3節。

 

…1勝1分1敗。内容面はそれぞれの感覚、それぞれの評価基準があるとは思いますが、一応のところ3試合を終えた時点での数字はベターなものに落ち着いたんじゃないかとも思います。

J2リーグという概念が生まれた1999年以降、サンガというクラブが一番長くJ1に居続けたのは2008〜2010年の3シーズンでした。そして今、令和のJ1時代は3シーズン目に挑んでいます。つまるところ、このクラブは30周年を迎えた歴史の中でJ1残留を2年連続でしか達成した事がない。今となっては「J2時代が長すぎたから」とも言えますが、元来このクラブはエレベータークラブと称され、その立ち位置は「たまにJ1に来るJ2のクラブ」になっていたように思います。

思えばサンガが昇格した2022年、後にその年のシャーレを掲げるチームと対戦した際、私はブログを「超J1級とも言える相手とどう戦うか」といった主題で書いていました。そのチームもそのチームなりの悩み事は抱えながらも、こうしてACLでベスト4まで辿り着いた。やっぱり彼らは超J1級なのでしょう。それは間違いないです。…じゃあサンガは?サンガはJ2を抜け出し、J1に残るという当面のミッションは達成しました。なんやかんや言えども、このクラブは一つずつ課されたハードルを超える事は出来ている。ルールの中ではサンガはもうJ1のクラブですが、これからは鳥栖や札幌、福岡がその位置を築いたように、世間からのイメージを「J1のクラブ」になるような位置に持っていかないといけない。今季のサンガのテーマはそういう事なんだろうと思っています。J1クラスに向かう旅路の中で、アジアトップクラスを目指すトリコロールにどんな闘いを見せ、そしてどんな結果を抱くのか。毎試合のように試されるものにどのような答えを出すのか。一つ一つが未来への分岐点となってきます。

両チームスタメンです。

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20240317184214j:image
f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20240317184211j:image

 

サンガは前節川崎戦からはスタメンを2人変更しました。左SBは佐藤響が今季初スタメンを飾り、3トップにはマルコ・トゥーリオが先発復帰。ただし今日はCFではなく左WGとしての起用となっており、川崎戦の後半に結果を出したメンバーとシステムでスタメンを構成した形となりました。ベンチメンバーからは前節スタメンの平賀大空が外れた一方、鈴木冬一と安齋悠人が復帰しています。

水曜日にACLを戦ったばかりのマリノス第2節福岡戦からは4人、直近のACL山東戦からは先発の変更は1人となっています。山東戦で先発したヤン・マテウスは今日はベンチからも外れており、水沼宏太が右WGでスタメン復帰。ACL以降は中盤起用となっている植中朝日も継続してそのポジションで出場しています。

 

 

 

本日の会場は京都府亀岡市サンガスタジアム by KYOCERAです。

 

 

そういえば去年の最終節はこのスタジアムでのマリノス戦でしたね。チケットが発売された時点ではマリノスに優勝決定の可能性があったので、確かマリノスサポですげえ売れた思い出…。今日の試合は京都新聞DAYとして開催され、来場者には京都新聞と30周年を迎えたサンガの歴史を追える文言の刻まれた紫ペーパーが配布されます。

思えばサンガスタジアムが稼働したのは2020年。希望に満ちた新スタ元年でしたが、これまで教科書とフィクションでしか見た事のないようなパンデミックに飲み込まれてしまい、同年3月に予定されていたU-23日本代表戦も中止に追い込まれてしまいました。しかし来週、3月22日、このスタジアムに五輪代表がやってきます。初の男子代表戦、チケット取りましたわ!!

 

 

本日は現地観戦です!

気の狂いそうな90分……スポーツ観戦日記は後日!

 

 

壮絶な試合の幕開けは開始5分でした。エドゥアルドのロングボールに反応したアンデルソン・ロペスには一旦はアピアタウィア久が対応しますが、これを拾った川﨑颯太がマリノスのパスを受けて苦しい状態でアピアタウィアにバックパス。苦しい状態でパスを受けたアピアタウィアもロペスを前にボールをキープできずに奪われてしまうと、そのままゴール前に侵入したロペスは冷静にパスを出し、最後は水沼が流し込んでマリノスいきなり先制。水沼のリーグ戦でのゴールは奇しくも昨年5月のサンガ戦以来という事に。

 

 

そして修羅の時間というものは続くもので……8分、川﨑がボールを持ち運び出したタイミングで、治療の為に一時ピッチ外に出ていた植中がピッチイン。しかしちょうどこのタイミングで川﨑のパスをカットされてしまうと、サンガがマークの修正もままならないタイミングで植中が一気に裏に抜け、エドゥアルドとそれに呼応してロングフィード。ある種「無敵の時間」のような瞬間を利用したマリノスの決定機でしたが、この植中を後ろから追い縋ったアピアタウィアが倒してしまい…PKや失点は免れたものの一発退場。このFKでは何とか失点は回避しましたが、サンガは試合の9割近くを10人で戦う事に。

 

 

 

サンガはこのタイミングでは選手交代を行わず、アンカーの金子大毅をCBに落として麻田将吾と組む形で4バックを維持。3トップもいじらずに中盤は川﨑と松田天馬の2枚を並べる形で対応を試みます。しかしやはり、サンガはどこかのポジションを減らす必要があった中で中盤を減らす選択をした為、いくら運動量が豊富な川﨑や松田でもその全体をカバーできるほどには至らず、ミドルゾーンからエウベル、水沼の両WGが度々サイドのスペースを突破してくる場面が頻発。それでもサンガも守備時は麻田と急造CBとなった金子が焦れずに小刻みなスライドを繰り返しながら対応。マリノスにサンドバッグのように攻められながらも、何とか耐えられている時間が続いていました。

逆にマリノスは攻撃時には相当高いポジションを取り、サンガの中盤が減った事でミドルゾーンにマリノスの選手が一気に押し入った影響から、サンガはそこさえ翻せれば一気にカウンターを仕掛けられるような状況にもなっていきます。そこで退場があれども3トップをそのまま残していた事が行き、原、豊川、トゥーリオの誰かがカウンタードリブルで走る、あとの2人がそれぞれニアとファーに走る連動を徹底。20分には豊川のカウンターから右のトゥーリオに展開し、トゥーリオの折り返しに原が詰める決定機があるなど、マリノスに蹂躙されるような展開ながらも"一発"の可能性は常にマリノスに与えていました。

 

 

 

しかしサンガにとってこの試合は耐えつつオープンな試合に引き摺り込む事でしか活路を見出しようのない展開ではあって、その狙いはチームとしては上手く行ってはいましたが…それは同時にマリノスにもそのスペースを与えることに。33分、左サイドを突破したエウベルのクロスはファーに流れたものの、拾った水沼の冷静な折り返しをロペスが冷静に流し込んでマリノス2点目…。サンガにとってはあまりに重くのしかかる一撃に。

 

 

しかしこの試合が狂気と化したのはここからでした。

サイドは特に相手のWGの守備対応に追われる場面が多かったものの、試合後に福田心之助が「2点目を奪われた時に“やるか、やられるか”の覚悟が決まった」と語ったように、ここからサンガは何かがキマったかのように、或いはHIGHになったかのように、勢いを振り撒くように攻め立てていくようになります。40分には豊川が右サイドに振り、右サイドを駆け上がった福田が中に折り返すと、中央に走り込んでいた佐藤が強烈なシュート。これはクロスバーに弾かれますが、じわじわと試合の流れはイーブンへ。

すると前半アディショナルタイムに差し掛かるタイミングで豊川がミドルゾーンで粘ると、こぼれ球をフォローした原が少々強引ながらもアーリークロス。一度はDFが弾きますが、こぼれ球を拾って一気に抜け出した佐藤がGKポープ・ウィリアムとの1対1を制して1-2!!更に更にその直後、左CKを獲得したサンガは松田のキックをニアで麻田が合わせ、コースが変わったところに原!このヘッドはGKポープに弾かれるも、こぼれ球を川﨑が押し込んで同点!!

 

 

この時点でインターネット上でも話題沸騰になる程の衝撃の同点劇!!

サンガが驚異的な粘りを見せ、なんとかドローに持ち堪えて前半を終えます!!

 

 

後半もサンガはアグレッシブな攻撃を見せ、10人ながら勢いに乗ったサイド攻撃を度々展開。その中でトゥーリオや豊川の動きに佐藤や福田が呼応し、随所で原が効くなど反撃体制は十分に取れていました。しかしサンガも、数的不利の試合で無くても課題として持つアタッキングサードでのクリエイトにはやや乏しく、49分にはデザインされたセットプレーからシュートチャンスを得た場面もあったものの、それ以外ではなかなかシュートまで漕ぎ着けるには至らず。

しかしサンガは後半開始早々、ここまで急造CBながら奮闘を続けていた金子が負傷退場となり、本来はSBである宮本優汰をCBとして起用する事に。するとただでさえ攻撃に気持ちが傾いていた中で52分、マリノスは右サイドでスローインを得ると、浮き玉の細かいパスでポンポンとエリア内に侵入し、最後はまたしてもアンデルソン・ロペス。2-3…。

 

 

ですがこの試合のカオスはまだまだ終わりません。

マリノスは植中を下げて宮市亮を投入し、エウベルをトップ下にした攻撃的な4-2-3-1で臨戦体制。ただでさえ数的不利を抱えるサンガはマリノスが2列目を厚くした事で、2失点を喫してから良い流れに繋がっていたサイドでの破壊力をなかなか出しにくくなっていました。しかしそれでも63分、マリノスのパス回しを原がカットし松田がフォローすると、豊川が少し斜めに走って空けた右サイドのスペースに福田が爆速スプリント!飛び出す以外の選択肢が無かったGKポープが福田を倒して一発退場となり、試合はまさかの両者共に退場者を出す10対10の展開に!

 

 

 

そこからは完全に試合はサンガvsマリノスらしいオープンな展開に、そしてカウンターゲームの様相を呈していきました。ただ、サンガもサイドからアタッキングサード近くまではスピード感で持ち込めるものの、そこから先がなかなか崩せないもどかしい時間が続き…。曺貴裁監督は74分に佐藤を下げて鈴木冬一、83分に豊川と松田を下げて安齋悠人と福岡慎平を投入。

サンガにとって特大の決定機となったのは85分、マリノスのビルドアップにプレスをかけた安齋が上島拓巳からボールを掻っ攫い、ポープの退場による緊急投入でJ1デビューとなったGK白坂楓馬との1対1の局面を迎えますが…シュートは枠の上へ。

 

 

 

アディショナルタイムに得たCKではGKク・ソンユンも攻撃に参加してのパワープレーを敢行。福岡の左CKを相手DFが弾いてファーに流れたボールをトゥーリオが折り返すと、そこに安齋が走り込みましたが……シュートはギリギリのところで上島がブロック。

あまりにも壮絶な90分…その結末はサンガには微笑まず。文字通り死力を尽くした試合は2-3。マリノスが勝利しました。

 

 

 

まず今日の試合に関しては、通常の評価基準で評価するには難しい試合だった…という前提があります。だって試合の9割以上の時間が10人だった訳ですから。途中から10対10になったので数的不利で戦った時間自体は半分ほどではありましたが、10人での設計そのものが基本的にはイレギュラーな訳で。この試合を良く評価するにしても悪く評価するにしても、そこは前提条件として発生している部分です。

ただ、開始10分の…11対11だった時点での守備対応が相当に不味かった事は確かだったと思います。基本的にサンガは個としてもチームとしても、強度という以上に対人守備への強さと積極性を押し出したチームで、それ自体は良い。ただ、そこにあまりにも全振りしようとしている部分があるというか……アタッカーであればともかく、守備でオールオアナッシング的にやってしまうと、それは基本的にはリスクにしかならない。ましてや相手はマリノスですから、個で当たれば個で翻されるリスクはある。例えば昨季の最終節はその争いをミドルゾーンで出来ていたのでまだ良かったですが、今日はビルドアップの拙さもあってその戦いをサンガのディフェンスラインでやらなければならなかった。そういうサンガの元々のスタイルが持つリスクと、ビルドアップ時の拙さが1点目、或いはアピアタウィアの退場の場面に繋がった側面はあるでしょうし、金子の投入でそこが少し改善された事は必ずしも偶然の産物という訳ではないんだろうなと。10人になるまでの流れに不備と不味さがあった事は間違い無いです。

アピアタウィアの退場に関しては…彼の場合は去年に明らかに不必要な一発退場が2つあり、彼のプレーの淡白さが指摘されていた事もあって、今回の一発退場も批判の声が大きいですが、今回に関しては仕方ないとまでは言いませんが、同情の余地はあったかな…と。あそこで手が出た事自体は1点目が自分のロストが要因の一つになった事への焦りもあったでしょうし、あのプレーが開始8分で冒すべきリスクだったのか?という部分は問われるところです。ただあの状況になってしまった以上は、アピアタウィアの選択肢は見逃すか止めるならあれしかない事も事実で、あの場面に至るまでの過程がマリノスの怪我人の復帰絡みというイレギュラーなタイミングでしたし…。ただ、あの場面での川﨑のカットされそうな安易なパス然り、そもそもアピアタウィアも麻田も前述したようなリスキーな守備の立ち位置になっていたのは退場シーンに限った話でも無かった訳で、アピアタウィアのみならずチームとしての問題点が少しのアンラッキーで一気に噴出し、ある種アピアタウィアはその生贄になったような退場劇ではあったのかなと。なので今回の退場は過去の退場劇ほどアピアタウィアを責められるものではないけれど、アピアタウィアを含めた慢性的な守備の考え方は問われるべき場面だったように感じました。

 

 

ただ、10人なってからのチームとしてのリカバリーは素晴らしかった。それは個々の頑張りとしても、もちろんベンチにCBがいなかったという部分はあるでしょうが、10分足らずの場面で交代カードを使わずにカバーしようとした曺監督にしても。前後半を通じて、本職では無いにも関わらずあのマリノスの攻撃陣に対応した金子や宮本の奮闘はもっと評価されるべきものでしたし、あの状況から反撃するにあたって、中盤を松田と川﨑と両SBの押し上げに委ねた上で3トップをそのまま残したというところも大きかった。あれは単に3人が個々で良い働きを見せたというだけでなく、ちゃんとあの3人をセットで残したところの妙味はあったでしょうし…元々サンガはオープンになった状態での戦いを好むようなチームスタイルでやってきた訳ですから、試合をバーリトゥード状態に持ち込むしか無かった試合展開はかえってサンガには好都合だった部分もある。福田の「覚悟が決まった」というコメントも然りですが、劣勢で勝負に出る為の根性と決意と一定の理屈はチームとして持ち合わせていた。そこは大きかったのかなと。それがこの試合の二面性だったように思います。

なんにせよ凄い試合でしたね……チームとしての反省点・問題点は多いですが、純粋によく盛り返したなと。エキサイティングな試合であった事は間違いないです。特に今日が初めてサッカー観戦でした!みたいな人にとっては相当良い印象のあるゲームだったのでは。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

 

明治安田J1リーグ第4節分はガンバ大阪vsジュビロ磐田戦のマッチレビューページに記載しています。

 

 

 

見てるだけで疲れたわ!!

ではでは(´∀`)