RK-3はきだめスタジオブログ

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結局、監督を途中で代えがちなクラブはどこ?Jリーグ歴代監督途中交代率ランキング2024〜Part2・16〜29位編〜

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はい、今回も前回に引き続きまして「監督途中交代率ランキング2024」です。

企画概要とイントロダクションは第1回をご覧くださいませ

 

 

 

今回の連載では途中解任率は「通算のシーズン途中の監督交代回数÷当該クラブのJリーグ在籍シーズン数」で%出していきます(数字が並んだ場合以外は小数第一位まで記載し、以下は四捨五入)。ぶっちゃけ、これで測るのが正しいのかどうかは今ひとつ自分もわかってないので、他に良い数式を思いつく方は訂正版ブログとか書いて読ませてください。

また、全チームを対象にすると…サンプルが少なすぎてランキングクラッシャーみたいな数字を出してくるところが出てくる可能性があるので、今回は一定のサンプル数を有しているチームに限定して集計していきます。という訳で対象は2023年終了時点で10シーズン以上Jリーグに所属しているクラブ、即ち2014年の時点でJ3以上に所属しているクラブとします。わかりやすく言えばJ3オリジナル10までですね。

 

その他、細かいルールはこんな感じです。

 

・J参入前のJFL時代はカウントしない(ただし、J2参入後にJFL降格を喫した2013年の町田に関してはカウントする)

・正式な監督就任ではなく、数試合のみの代行/暫定監督は交代回数に換算しない(例:2022年の神戸は4人が監督を務めたが、そのうちリュイス・プラナグマ監督は暫定監督だったので、監督を務めたのは3人、監督交代は2回として扱う)。ただし、代行/暫定監督がシーズン終了まで監督を務めた場合は交代回数にカウントする(例:1999年鹿島のジーコ、2021年広島の沢田謙太郎など)

Jリーグの全日程を終えた後で退任し、後任監督がその後の天皇杯を指揮したケースはカウントしない(例:1997年G大阪のフリードリッヒ・コンシリア、2012年町田の秋田豊など)

・監督交代は特に辞任の場合、引き抜きや家庭の事情、監督自身の健康問題などやむを得ない事情やクラブ側の意思では無い事例もあるが、それらを加味すると収拾がつかなくなるので、交代理由に関しては考慮せずその他の交代と同じとして扱う。ただし例外として、引き抜きである事をクラブも明確にしていた1995年のアーセン・ベンゲル(名古屋)、2006年のイビチャ・オシム(千葉)、2021年のアンジェ・ポステコグルー(横浜FM)の3人、体調不良による辞任後に一年以内に監督に復帰した2008年の関塚隆(川崎F)、2015年のミロシュ・ルス(横浜FC)の2人、監督契約はしたが来日前に退任する形となった2004年のナドベザ・ペーター(C大阪)の計6人に関してはカウントしない。ただし、報道等を踏まえて「事実上の引き抜き」と認識されているが、クラブとして公式に明言していないものはカウントする(例:2009年神戸のカイオ・ジュニオール)

・2023年シーズン終了時点でのカウントとする。

 

 

 

前回までのランキング】

30位 V・ファーレン長崎

31位 愛媛FC

31位 松本山雅FC

33位 横浜F・マリノス

34位 大分トリニータ

35位 ギラヴァンツ北九州

36位栃木SC

37位 サンフレッチェ広島

38位 ロアッソ熊本

39位 サガン鳥栖

40位 ヴァンフォーレ甲府

41位 徳島ヴォルティス

42位 ブラウブリッツ秋田

42位 いわてグルージャ盛岡

42位 福島ユナイテッドFC

42位 カマタマーレ讃岐

46位 FC町田ゼルビア

46位 水戸ホーリーホック

48位 モンテディオ山形

49位 ザスパ群馬

50位 ファジアーノ岡山

50位 ツエーゲン金沢

 

 

 

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今回は第29位からです。

いよいよ20%超えのチームが出てきます。

 

 

 

第29位

ガンバ大阪【途中交代率 19.4%(6回/31シーズン)】

・1999年5月、フレデリック・アントネッティ早野宏史

・2001年9月、早野宏史竹本一彦

・2012年3月、ジョゼ・カルロス・セホーン松波正信

・2018年7月、レヴィー・クルピ宮本恒靖

・2021年5月、宮本恒靖松波正信

・2022年8月、片野坂知宏松田浩

※歴代最長政権:西野朗(2002年〜2011年)

※1998年もシーズン途中にコンシリア監督からアントネッティ監督への交代を行なっているが、アントネッティの前クラブとの契約の都合でシーズン途中からの就任かつそれまではコンシリアを監督代行として立てる体制を明確にしていたのでここではカウントしていない。

 

 

第25位タイ

川崎フロンターレ【途中交代率 20%(5回/25シーズン)】

・1999年4月、ベット→松本育夫

・2000年5月、ゼッカ→今井敏明

・2000年8月、今井敏明→小林寛

・2001年7月、堀井美晴石崎信弘

・2011年4月、相馬直樹→(代行:望月達也)→風間八宏

※歴代最長政権:鬼木達(2017年〜)

 

アルビレックス新潟【途中交代率 20%(5回/25シーズン)】

・2012年5月、黒崎久志→(代行:上野展裕)→柳下正明

・2016年9月、吉田達磨→片渕浩一郎

・2017年5月、三浦文丈→(代行:片渕浩一郎)→呂比須ワグナー

・2018年8月、鈴木政一→片渕浩一郎

・2019年4月、片渕浩一郎→吉永一明

※歴代最長政権:反町康治(2001年〜2005年)

 

藤枝MYFC【途中交代率 20%(2回/10シーズン)】

・2018年7月、大石篤人→石﨑信弘

・2021年7月、倉田安治須藤大輔

※歴代最長政権:大石篤人(2015年〜2018年7月)

 

YSCC横浜【途中交代率 20%(2回/10シーズン)】

・2022年5月、仲田建二星川敬

・2023年8月、星川敬倉貫一毅

※歴代最長政権:樋口靖洋(2016年〜2018年)、シュタルフ悠紀リヒャルト(2019年〜2021年)

 

第24位

アビスパ福岡【途中交代率 21.4%(6回/28シーズン)】

・2002年7月、今井雅隆→(代行:望月達也)→中村重和

・2006年5月、松田浩川勝良一

・2008年7月、ピエール・リトバルスキー篠田善之

・2011年8月、篠田善之浅野哲也

・2012年10月、前田浩二池田太

・2019年6月、ファビオ・ペッキア→久藤清一

※歴代最長政権:長谷部茂利(2020年〜)

 

ガンバは傾向がちょっと特殊なんですよ…基本的に長期政権か1年以内に切られるかの二択というか。早野さんとツネ様なんて途中就任→結果出す→不振に陥る→途中退任という恐ろしいコンボでしたし、西野さんで10年やった直後にセホーン5試合ってもう何かしらのHIGHですよあんなの。それゆえにポヤトス続投はガンバ的には大きなトピックだったんですよね。外国人監督でフルシーズンやった人間すら1995年のヘルト監督だけでしたし(そのヘルト監督もリーグ終わったら天皇杯の前に辞めたし)。

新潟は2010年代後半の怒涛のブーストが凄いですね。多くの人がそういう経験を持っているかもしれません。なぜか一時期、妙にパチンコにハマった時期。そして大体尻拭いするハメになる片渕浩一郎さん、この辺はなかなか激動の時代でしたね。ただ新潟はこの狂ったテンションの時代以外は安定政権の時代が長いです。福岡は……やっぱり2006年の監督交代劇は壮絶でしたね。松田監督を切ったら当時J2の神戸の監督に就任して入れ替え戦でまさかの激突、最後は福岡をJ1に上げてシーズン途中で切った監督に斬られるという…あのストーリーはなかなか書けるもんじゃねえ。

川崎なんかはかつては怒涛の解任ラッシュを繰り広げてこのランキングでも優勝候補だったはずなんすが、川崎は関塚隆体制、風間八宏体制、そして現在の鬼木達体制で一気にペースダウン。優勝戦線から一気に離れて行っちゃいましたね…。

 

 

 

第22位タイ

鹿島アントラーズ【途中交代率 22.2%(7回/31シーズン)】

・1994年6月、宮本征勝エドゥー

・1998年7月、ジョアン・カルロス→(代行:関塚隆)→ゼ・マリオ

・1999年8月、ゼ・マリオ→ジーコ

・2015年7月、トニーニョ・セレーゾ石井正忠

・2017年5月、石井正忠大岩剛

・2021年4月、アントニオ・カルロス・ザーゴ相馬直樹

・2022年8月、レネ・ヴァイラー→岩政大樹

※歴代最長政権:トニーニョ・セレーゾ(2000年〜2005年)

 

名古屋グランパス【途中交代率 22.3%(7回/31シーズン)】

・1999年4月、田中孝司→ダニエル・サンチェス

・1999年8月、ダニエル・サンチェス→(代行:マザロッピ)→ジョアン・カルロス

・2001年7月、ジョアン・カルロス三浦哲郎

・2003年8月、ズデンコ・ベルデニックネルシーニョ

・2005年9月、ネルシーニョ中田仁司

・2016年8月、小倉隆史→ボスコ・ジュロヴスキー

・2019年9月、風間八宏マッシモ・フィッカデンティ

※歴代最長政権:ドラガン・ストイコビッチ(2008年〜2013)

 

第21位

北海道コンサドーレ札幌【途中交代率 23.1%(6回/26シーズン)】

・1998年10月、フェルナンデス→石井肇

・2002年6月、柱谷哲二→イバンチェビッチ

・2002年9月、イバンチェビッチ→張外龍

・2003年8月、ジョアン・カルロス張外龍

・2014年8月、財前恵一→(代行:名塚善寛)→イヴィッツァ・バルバリッチ

・2015年7月、イヴィッツァ・バルバリッチ四方田修平

※歴代最長政権:ミハイロ・ペトロヴィッチ(2018年〜)

 

第19位タイ

FC東京【途中交代率 24%(6回/25シーズン)】

・2006年8月、アレッシャンドレ・ガーロ倉又寿雄

・2010年9月、城福浩大熊清

・2016年7月、城福浩篠田善之

・2017年9月、篠田善之安間貴義

・2021年11月、長谷川健太森下申一

・2023年6月、アルベル→ピーター・クラモフスキー

※歴代最長政権:大熊清(1995年〜2001年)

 

ベガルタ仙台【途中交代率 24%(6回/25シーズン)】

・1999年8月、鈴木武一清水秀彦

・2003年9月、清水秀彦→(代行:石井肇)→ズデンコ・ベルデニック

・2014年4月、グラハム・アーノルド渡邉晋

・2021年11月、手倉森誠原崎政人

・2022年9月、原崎政人→伊藤彰

・2023年7月、伊藤彰→堀孝史

※歴代最長政権:手倉森誠(2008年〜2013年)

 

段々豪快なチームが増えてきましたね。特に最近は鹿島の勢いが印象的です。何気に鹿島は1999年以降、久しく監督交代イベントが発生していなかったんですよ。それが2015年以降、監督を解任してコーチングスタッフのOBを昇格させる人事が若干恒例化してしまった節があると。ただ鹿島の場合凄いのは、内容面は賛否あったとしても成績は持ち直してくるところでしょうか。そこはこのクラブの驚異的な魔力を感じさせます。

名古屋と札幌はギャンブル熱の高まりを感じさせる年と落ち着いている年の差が結構ある印象ですね。両者とも近年は途中交代のペースは落ち着いている時期に来ています。ただ名古屋に関しては、途中就任でジョアン・カルロスだのネルシーニョだのフィッカデンティだのを引っ張ってこれてしまう辺りは馬力の強さを感じます。そして解任率が20%を超えると一年2回の監督交代という究極奥義の経験持ちクラブが出てきますなぁ…。

 

 

 

第19位の24%チームは図らずもJ2オリジナル10の2クラブになりました。FC東京は何気に残留争いに巻き込まれるほどの不振というものはクラブ史に於いてあまりないので、2017年や2023年のように開幕前の期待値が高いシーズンの方が、数字とのギャップに耐えられなくなって解任に踏み切るケースが多い印象です。

彼らと同じくJ2オリジナル10の同期でありながら近年は安定政権を樹立しすぎてペースダウンした川崎に対し、一気に優勝戦線に食い込もうとしているのが仙台です。手倉森誠体制、渡邉晋体制という2つの安定期を経た仙台は、2020年こそ木山隆之監督で1シーズン通しましたが…その後は怒涛の3年連続途中交代。それもここ2年は「途中就任した監督が途中解任される」という状況が続いていたのはなかなかのポイント。

 

 

 

第18位

清水エスパルス【途中交代率 25%(8回/31シーズン)】

・1994年6月、エメルソン・レオンロベルト・リベリーノ

・2014年7月、アフシン・ゴトビ大榎克己

・2015年8月、大榎克己田坂和昭

・2019年5月、ヤン・ヨンソン→篠田善之

・2020年11月、ピーター・クラモフスキー→平岡宏章

・2021年11月、ミゲル・アンヘル・ロティーナ→平岡宏章

・2022年5月、平岡宏章→(代行:篠田善之)→ゼ・リカルド

※歴代最長政権:長谷川健太(2005年〜2010年)

 

第16位タイ

浦和レッズ【途中交代率 25.8%(8回/31シーズン)】

・1999年5月、原博実→ア・デモス

・2000年10月、斉藤和夫横山謙三

・2001年8月、チッタ→ピッタ

・2008年3月、ホルガー・オジェックゲルト・エンゲルス

・2011年10月、ゼリコ・ペトロヴィッチ堀孝史

・2017年7月、ミハイロ・ペトロヴィッチ堀孝史

・2018年4月、堀孝史→(代行:大槻毅)→オズワルド・オリヴェイラ

・2019年5月、オズワルド・オリヴェイラ→大槻毅

※歴代最長政権:ミハイロ・ペトロヴィッチ(2012〜2017年7月)

 

ジェフユナイテッド千葉【途中交代率 25.8%(8回/31シーズン)】

・1999年5月、ゲルト・エンゲルス→ニコラエ・ザムフィール

・2000年8月、ニコラエ・ザムフィール→(代行:神戸清雄)→ズデンコ・ベルデニック

・2006年7月、イビチャ・オシムアマル・オシム

・2008年5月、ヨジップ・クゼ→(代行:澤入重雄)→アレックス・ミラー

・2009年7月、アレックス・ミラー江尻篤彦

・2011年10月、ドワイト→神戸清雄

・2014年6月、鈴木淳→(代行:斉藤和夫)→関塚隆

・2016年7月、関塚隆長谷部茂利

・2019年3月、ファン・エスナイデル→江尻篤彦

※歴代最長政権:イビチャ・オシム(2003〜2006年7月)

 

オリジナル10の3クラブがドドンと登場です。先に言及しておくと、清水は1990年代にリーグ戦を終了してから監督を交代して残りの天皇杯消化するという人事を頻繁に行っていた時期がありましたが、上のルールでも書いたようにそれらはカウントしていません。

この3チームの共通点としては、やはり上のチームにも見られた傾向ですが監督途中交代が相次いで発生する時期があるという事。まぁ、それもクラブの低迷期と考えれば自然と言えば自然ですが……。ただこの3クラブは意外にも1年で2度の監督交代は無いんですよね。そこは何か矜持でもあるのかもしれません。そして30%に近づいてくると、後任や監督代行で同じ名前が2〜3度出てくるという…。浦和はACLを獲った監督がいずれも1年以内に辞めているのがなかなか味わい深いところ。スコルジャ監督の場合はシーズンはフルでやりましたし、クラブも慰留したとの事なので事情は異なりますが…。

千葉はかつて市長に「私がお会いするジェフの監督は次で5人目」「日本の首相に会う外国首脳の気持ちが少し分かる気がします(※)」とまで言われるほど監督シャッフルを繰り返した時期がありましたが、2020年に就任したユン・ジョンファン監督が3シーズンをフルでやり切った事もあって近年は落ち着いたペースと化しているのに対し、ここ数年の躍進が恐ろしいのは言うまでもなく清水エスパルス。昨シーズンにゼ・リカルド監督を解任した事で5年連続監督途中交代となり、なんと神戸を抜いて歴代1位を更新してしまいました。2019年に篠田監督を据えて残留に成功した事がビギナーズラック的な感覚を生んだのか、そこからはチャレンジングな監督人選をしては途中解任というまるでギャンブル覚えたての大学生のような状態に。この連鎖が続けば待つものは「何もない」。そう、This is 監督交代。秋葉忠宏はこの流れを止められるだろうか…?次回からはいよいよ、そんな歴戦の名門と新進気鋭の王国をも上回る脅威の解任率30%超えチームが続々登場します!!Part3につづく!!!!

 

Part1から読む

 

 

逆に清水、初期〜中期はほぼ無いってのがまた。

ではでは(´∀`)