はい、今回も前回に引き続きまして「監督途中交代率ランキング2024」です。
企画概要とイントロダクションは第1回をご覧くださいませ。
今回の連載では途中解任率は「通算のシーズン途中の監督交代回数÷当該クラブのJリーグ在籍シーズン数」で%出していきます(数字が並んだ場合以外は小数第一位まで記載し、以下は四捨五入)。ぶっちゃけ、これで測るのが正しいのかどうかは今ひとつ自分もわかってないので、他に良い数式を思いつく方は訂正版ブログとか書いて読ませてください。
また、全チームを対象にすると…サンプルが少なすぎてランキングクラッシャーみたいな数字を出してくるところが出てくる可能性があるので、今回は一定のサンプル数を有しているチームに限定して集計していきます。という訳で対象は2023年終了時点で10シーズン以上Jリーグに所属しているクラブ、即ち2014年の時点でJ3以上に所属しているクラブとします。わかりやすく言えばJ3オリジナル10までですね。
その他、細かいルールはこんな感じです。
・J参入前のJFL時代はカウントしない(ただし、J2参入後にJFL降格を喫した2013年の町田に関してはカウントする)。
・正式な監督就任ではなく、数試合のみの代行/暫定監督は交代回数に換算しない(例:2022年の神戸は4人が監督を務めたが、そのうちリュイス・プラナグマ監督は暫定監督だったので、監督を務めたのは3人、監督交代は2回として扱う)。ただし、代行/暫定監督がシーズン終了まで監督を務めた場合は交代回数にカウントする(例:1999年鹿島のジーコ、2021年広島の沢田謙太郎など)。
・Jリーグの全日程を終えた後で退任し、後任監督がその後の天皇杯を指揮したケースはカウントしない(例:1997年G大阪のフリードリッヒ・コンシリア、2012年町田の秋田豊など)。
・監督交代は特に辞任の場合、引き抜きや家庭の事情、監督自身の健康問題などやむを得ない事情やクラブ側の意思では無い事例もあるが、それらを加味すると収拾がつかなくなるので、交代理由に関しては考慮せずその他の交代と同じとして扱う。ただし例外として、引き抜きである事をクラブも明確にしていた1995年のアーセン・ベンゲル(名古屋)、2006年のイビチャ・オシム(千葉)、2021年のアンジェ・ポステコグルー(横浜FM)の3人、体調不良による辞任後に一年以内に監督に復帰した2008年の関塚隆(川崎F)、2015年のミロシュ・ルス(横浜FC)の2人、監督契約はしたが来日前に退任する形となった2004年のナドベザ・ペーター(C大阪)の計6人に関してはカウントしない。ただし、報道等を踏まえて「事実上の引き抜き」と認識されているが、クラブとして公式に明言していないものはカウントする(例:2009年神戸のカイオ・ジュニオール)。
・2023年シーズン終了時点でのカウントとする。
【前回までのランキング】
Jリーグをもっと楽しめる(かもしれない)、2024Jリーグ開幕ガイド作りました!是非お使いくださいませ。
↓
オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。
↓
さぁ、お待たせしました。
いよいようれしはずかしトップ5でございます。おそらくほぼ皆様のイメージ通りの"名門"が5クラブ並ぶのではないでしょうか。
絶対王者か、監督交代の古豪か、それとも新進気鋭の解任ギャンブラーか。監督途中交代率王は誰の手に!!!
第5位
東京ヴェルディ【途中交代率 41.9%(13回/31シーズン)】
・1996年4月、ネルシーニョ→(代行:岸野靖之)→エメルソン・レオン
・2002年4月、小見幸隆→ロリ・パウロ・サンドリ
・2003年5月、ロリ・パウロ・サンドリ→(代行:レアンドロ・アウタイル・マシャド)→オズワルド・アルディレス
・2005年7月、オズワルド・アルディレス→(代行:石崎信弘)→バドン
・2019年7月、ギャリー・ジョン・ホワイト→永井秀樹
※歴代最長政権:川勝良一(2010年〜2012年9月)
言わずと知れた名門ヴェルディ。コンスタントなペースで監督解任を敢行してトップ5に入ってきました。ヴェルディの場合は歴史を通じて、親会社との云々やクラブとしての経営悪化など、監督としては悩ましい問題が色々な角度で襲い続けていたチームでもあり……。でもこうやってみると、内部昇格だった堀監督はともかく完全外部の城福監督ってやっぱりヴェルディ的には斜め上の人事でしたね。
ただ、意外にもヴェルディは代行監督・暫定監督を除けば一年で2度の監督交代が無かった事が5位に留まってしまった要因でしょうか。
第4位
大宮アルディージャ【途中交代率 44%(11回/25シーズン)】
・2007年8月、ロバート→佐久間悟
・2012年5月、鈴木淳→(代行:岡本武行)→ズデンコ・ベルデニック
・2013年8月、ズデンコ・ベルデニック→(代行:岡本武行)→小倉勉
・2017年5月、渋谷洋樹→伊藤彰
・2017年11月、伊藤彰→石井正忠
※歴代最長政権:三浦俊也(2004年〜2006年)
J2発足以降に加盟したクラブでは唯一のトップ5入り!それこそJ1時代に「落ちない大宮」なんて言われていた時期には「途中で監督替えて外人獲って最終節待たずに残留フィニッシュ」が黄金パターン、彼らにとっての残留へのJFKでしたから、元々そういう傾向のクラブではあるものの……近年はその凄まじさが更に顕著になっています。こう言ってはなんですが、2021年からの流れはもはや美しいとすら表現できるような状態。それらを全て5月にやってるという点でも芸術点が高いですね。清水エスパルスと共に、近年のこの話題を盛り上げているクラブの一つです。
…で、レッドブルグループが買収するとかなんとかという話がありますが……そうなった時に傾向に変化が起きるかどうか、要注目のクラブです。
第3位
セレッソ大阪【途中交代率 44.8%(13回/29シーズン)】
・2004年4月、ムズロビッチ→アルベルト
・2004年7月、アルベルト→小林伸二
・2014年6月、ランコ・ポポヴィッチ→マルコ・ペッツァイオリ
・2014年9月、マルコ・ペッツァイオリ→大熊裕司
・2015年11月、パウロ・アウトゥオリ→大熊清
・2021年8月、レヴィー・クルピ→小菊昭雄
※歴代最長政権:レヴィー・クルピ(2007年5月〜2011年)
ここもお馴染み、監督途中交代の名門ですね。「1年で2度の監督交代」が3回も発生しているのはなかなか驚異的な数字。前任に退任させたはずのクルピ監督を半年で呼び戻したり、2004年に至っては2003年シーズン扱いとなる2004年元日の天皇杯決勝と健康問題で来日前に退任した監督を含めれば6人が監督の座に付く異常事態でした。
2014年の事もあるし、ユン・ジョンファン監督やロティーナ監督の退任時の印象もあって、セレッソは監督途中交代の印象は強いクラブだと思うんですよ。まぁ、実際に3位ですし。ただセレッソの場合、2017年にJ1に復帰して以降は監督途中解任は意外にも前述の2021年の一例のみで、ユン監督にしてもロティーナ監督にしても2年フルでやってからの退任でしたから、現在の小菊監督も含めて近年は少なくとも2シーズンは保証してもらえるクラブになりつつあります。優勝争いからは一歩後退でしょうか。寂しい限りです。
第2位
京都サンガFC【途中交代率 46.4%(13回/28シーズン)】
・1996年6月、オスカー→与那城ジョージ
・2003年6月、ゲルト・エンゲルス→(代行:木村文治)→ピム・ファーベーク
・2018年5月、布部陽功→ボスコ・ジュロヴスキー
※歴代最長政権:曺貴裁(2021年〜)
かつての都であった京都。時代を司った天皇は京の都で何代も移り変わっていきましたが、その古都に本拠地を置く我らが京都サンガも人気なんてお構いなしに移り変わっていきます。発足早々オフト、清水秀彦、加茂周といった日本サッカー界のレジェンドも容赦なく斬っていくのはなかなかの強者感もありますが(オフトに関しては辞任)。別に途中解任に限らず、このクラブはあまりにも監督人事のリセット癖があるもんで…。ヴェルディやセレッソと監督途中交代数は同じですが、Jリーグの在籍シーズンの差で見事準優勝となりました。おめでとうございます。いや違えわ。
ただサンガも、2018年のかの有名な落ちひん騒動以降は極端な低迷自体がなかった事もあり、布部氏以降は中田一三監督も實好礼忠監督もフルシーズンでやり切りました。現在の曺監督は2024年で4シーズン目に突入した事でクラブ史上最長という事に。監督を斬るか、監督に依存する事しか出来ないのかの二択しかなさそうな現状はクラブとして考えていかなければならない部分でしょうが、それでもサンガも多少安定してきた…?
第1位
ヴィッセル神戸【途中交代率 63%(17回/27シーズン)】
・1998年9月、ベニート・フローロ→郡晴巳
・2004年9月、イワン・ハシェック→(代行:松山博明)→加藤寛
・2005年4月、松永英機→(代行:パベル・ジェハーク)→エメルソン・レオン
・2009年6月、カイオ・ジュニオール→和田昌裕
・2018年9月、吉田孝行→(代行:林健太郎)→ファン・マヌエル・リージョ
・2019年4月、ファン・マヌエル・リージョ→吉田孝行
・2019年6月、吉田孝行→トルステン・フィンク
・2020年9月、トルステン・フィンク→(代行:マルコス・ビベス)→三浦淳宏
・2022年3月、三浦淳寛→(代行:リュイス・プラナグマ)→ミゲル・アンヘル・ロティーナ
※歴代最長政権:川勝良一(1999年〜2002年7月)
ありがとうございます。1位です。優勝です。もはや王者の貫禄すら感じます。楽天参入以前はそこまででもないんですけどね。監督の方針に対して楽天主義から一番遠いからこうなるのか、逆に楽天主義すぎてこうなるのか……。なんなら、正式な監督扱いじゃなかったので省きましたけど2006年は実質的に2回やってるとも言えますし。監督途中交代率60%超えはもう2000年代後半から2010年代初頭の日本政府も真っ青のトップ交代。というかヴェルディとヴィッセルの2クラブで最長記録持ってる川勝氏よ……。
何よりも驚異的なのが2017年以降ですよね。2017年の吉田監督就任…ネルシーニョ監督から吉田孝行監督に替えて以降、現在の吉田孝行監督に至るまで(ここちょっと日本語がおかしい)、7シーズンで正式就任した監督は吉田監督のように重複を含めて7人いますが、ものの見事に全員が途中就任→途中退任の道を辿っているんですよね。途中から来て途中で去る。そもそも実質的な楽天体制になって以降でシーズン終了のタイミングでチームを去れた監督は4人しかいないどころか、全員が途中就任か途中退任のどちらか経ているんですね。もうここまで来るとこれ自体が風物詩にすら見えてくると。クラブに栄光をもたらした吉田監督の運命やいかに…。
【監督途中交代率ランキング】
1位 ヴィッセル神戸 63%
2位 京都サンガFC 46.4%
3位 セレッソ大阪 44.8%
4位 大宮アルディージャ 44%
5位 東京ヴェルディ 41.9%
6位 ジュビロ磐田 40%
6位 SC相模原 40%
6位 AC長野パルセイロ 40%
6位 FC琉球 40%
10位 横浜FC 34.8%
11位 FC岐阜 31.3%
12位 柏レイソル 31%
13位 ガイナーレ鳥取 30.8%
14位 湘南ベルマーレ 26.7%
14位 カターレ富山 26.7%
16位 浦和レッズ 25.8%
16位 ジェフユナイテッド千葉 25.8%
18位 清水エスパルス 25%
19位 FC東京 24%
19位 ベガルタ仙台 24%
21位 北海道コンサドーレ札幌 23.1%
22位 鹿島アントラーズ 22.3%
22位 名古屋グランパス 22.3%
24位 アビスパ福岡 21.4%
25位 川崎フロンターレ 20%
25位 アルビレックス新潟 20%
25位 藤枝MYFC 20%
25位 YSCC横浜 20%
29位 ガンバ大阪 19.4%
30位 V・ファーレン長崎 18.2%
31位 愛媛FC 16.7%
31位 松本山雅FC 16.7%
33位 横浜F・マリノス 16.1%
34位 大分トリニータ 16%
35位 ギラヴァンツ北九州 14.3%
36位 栃木SC 13.3%
37位 サンフレッチェ広島 12.9%
38位 ロアッソ熊本 12.5%
39位 サガン鳥栖 12%
39位 ヴァンフォーレ甲府 12%
41位 徳島ヴォルティス 10.5%
42位 ブラウブリッツ秋田 10%
42位 いわてグルージャ盛岡 10%
42位 福島ユナイテッドFC 10%
42位 カマタマーレ讃岐 10%
46位 FC町田ゼルビア 8.3%
46位 水戸ホーリーホック 8.3%
48位 モンテディオ山形 8%
49位 ザスパ群馬 5.3%
50位 ファジアーノ岡山 0%
50位 ツエーゲン金沢 0%
ではでは(´∀`)