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2本目が繋がらない〜2024明治安田J1リーグ第8節 鹿島アントラーズ vs 京都サンガFC マッチレビューと試合考察〜

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ももクロ、サンガスタジアムかと思ったら亀岡運動公園だと…!?

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田J1リーグ第8節、鹿島アントラーズ vs 京都サンガFC の一戦です!

 

 

 

京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。

 

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「前半は良かった」

第5節東京V戦第6節G大阪戦第7節磐田戦……この3試合に共通するフレーズはそれでした。

前半は良かった…それが3試合続いた結果、サンガに残った勝点は僅かに2。2…それが現実です。強いて言えば、このうちG大阪戦に関しては後半の劣勢時の守備も含めてポジティブなドローゲームではありましたが、戦力値ではサンガの方が勝っているヴェルディに後半を制圧されて2点リードを吐き出した第5節、そしてその後に戦力値ではそう変わらない磐田相手に一気に3失点を喰らった姿はショッキングそのものでした。

いずれも前半の戦い方は良かった。少なくともチームとしてベースとしたい戦い方はある程度仕上がっていると思います。ただそこでの出力の配分に問題があるから後半にガス欠を起こすのか、そこで点を取り切れないからこそワンパターンが顕著に出るのか……第3節川崎戦のように内容がそこまで良いとは言えなかった試合が唯一の白星になっている事がある種の皮肉にすらなっているようにさえ感じます。

今年は3チームが降格するレギュレーションです。これを繰り返した先に待つものは明るい未来ではない。チームとしての幅を提示するか、或いはこの戦い方で前半にちゃんと取り切ってその後のプランを持つ、ないしは90分機能させるようにする……現場はその自覚と危機感はあるはず。しかし最後に反映されるものはいずれにしても結果です。クラブ史上30周年、いつもサンガから見えないほど前を走り続けたクラブを相手に、それをアイデンティティとしてきたクラブ以上の勝利への執着を見せて欲しいところ。

両チームスタメンです。

 

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サンガは前節からスタメンを3人変更。出場停止以外では麻田将吾とアピアタウィア久のコンビを崩していませんでしたが、今日はアピアタウィアが外れて第5節東京V戦で先発した宮本優汰が入っています。中盤は第6節G大阪戦途中からの武田将平のアンカー起用を継続した上で今季初出場となる谷内田哲平を抜擢。ここまでフルタイム出場中の川﨑颯太はU-23日本代表招集の為に欠場し、キャプテンマークは3トップの中央で今季初先発となった山﨑凌吾が巻きます。また、FC東京からレンタルで獲得している塚川考輝とユース上がりの飯田陸斗が初めてベンチに入りました。豊川雄太にとっては古巣との一戦に。

鹿島は0-2でFC東京に敗れた前節からの先発変更は一人。左MFを仲間隼斗から藤井智也に変更し、普段は右での起用が多い藤井ですが、今日はチャヴリッチの右サイド起用を継続する形で藤井を左で抜擢しています。また、師岡柊生が第3節町田戦以来のベンチ入りとなりました。

 

 

 

本日の会場は茨城県鹿嶋市カシマサッカースタジアムです。

 

 

鹿島がオリジナル10に滑り込む理由になったスタジアムも開場から31年の月日が経ちました。現在では指定管理者制度をクラブが持つ運営方式はサンガのサンガスタジアム by Kyocera然り多くのクラブで採用されていますが、思い返せばこの方式をJリーグでいち早く取り入れたのはこのスタジアムでしたね。今日の試合からは新たに水の広場という新エリアが整備され、今後は試合時にイベントスペースとして使用されていくとの事。

今年はオリンピックイヤーですが、東京五輪でも日本代表の準々決勝が行われたこのスタジアム。鹿島が昔からずっと強かったクラブというところもありますが、これまでも多くのクラブがこのカシマスタジアムを「鬼門」と呼び続けていました。サンガはその中でも特にそれが深刻なチーム。意外にもホームでの鹿島戦勝率はそこまで悪くないのですが…なんとカシマスタジアムでは1996年以降一度も勝利した事がありません。そう、一度も。引き分けすら2003年と2023年の2度のみ。サンガのメモリアルイヤーでもある今年、負の歴史にケリをつけるターニングポイントになりますように…。

 

 

序盤からお互いにミドルゾーンでのセカンドボールに対するチャレンジの意識が高く、かつそこからスピーディーな攻撃を目論見合う展開になっていきました。その中でサイドのチャヴリッチと藤井が抜け出す形を積極的に作ろうとした鹿島に対し、サンガは山﨑を起用しただけあってポストプレーから内寄りにプレーする原大智を絡ませようとする中央突破寄りの展開。13分には中央でのパスワークから原が鋭いミドルを放ちますが、シュートは僅かに枠の左へ。

 

 

 

鹿島はサイドに出すまでの展開はスムーズに進み、ボール保持も鹿島が上回る時間が続いていたもののサンガもサイドで上手く対峙していた事もあってシュートまで持ち込まれる場面はあまり訪れず。そんな中で21分に左サイドの藤井がカットインから放った強烈なシュートもGKク・ソンユンがしっかりファインセーブで阻止します。

25分には鹿島がビルドアップの流れでGK早川友基が右の濃野公人に展開。濃野の絶妙なスルーパスで佐藤響の背後を取ったチャヴリッチの折り返しに走り込んだ樋口雄太にシュートを放たれますが武田がブロック。逆にそのセカンドボールの応酬を制した原が独力カウンターでシュートまで持ち込みますがこちらも決まりません。32分には不規則なルーズボールを巧みにコントロールした豊川がボレーの体制に持ち込みますが、ここは鹿島時代のチームメイトにして大津高校の同級生である植田直通がブロック。

 

 

 

前半は特に右のチャヴリッチのところをメインにサイドの縦のスペースを突きつつワイドに戦いたい鹿島と、山﨑を頂点に中央から抉るように速攻を狙うサンガ。わかりやすくというか、なかなかハッキリとスタンスの違いが表れながら組み合う形になった前半はお互いに得点までは至らず0-0で後半へ。

 

 

選手交代は両チームともありませんでしたが、鹿島は後半からチャヴリッチと藤井の左右を変更。チャヴリッチを左、藤井を右に変更します。48分、その藤井がワイドに開いてボールを受けると右サイドを突破してクロス。一度はサンガも跳ね返したボールのこぼれ球に走り込んだ知念慶が決定機を迎えますがシュートは上に外れます。

ただ、前半は藤井を制圧していた福田心之助もマッチアップ相手がチャヴリッチに替わった事による対応の変化を迫られ、藤井も躍動感を出し始めるなど後半の入りはサンガにとって劣勢に。57分にも少しサンガが攻めに出たところから藤井に左サイドから独走され、折り返しの処理にも少し手間取る形になってあわや決定機。58分にもチャヴリッチのクロスをファーに爆走した濃野に決定的なシュートを放たれますが、クロスバーに直撃してサンガは特大のピンチをどうにか回避。

 

 

 

しかし鹿島が右と左のサイドを入れ替えてから傾れ込んだオープンな展開でサンガは常に劣勢に立たされ、マークのズレと混乱をサイドから突かれる展開がずっと続いていました。そんな中で65分にはサンガでのデビュー戦となる塚川を谷内田に代えて投入すると、71分には山﨑を下げて安齋悠人を投入。対する鹿島は69分に樋口を下げて師岡を左MFとして投入。サンガは原、鹿島はチャヴリッチと共に左にいた選手を中央にスライドさせる形に。

それでも鹿島の流れはなかなか変わらず、73分には前線でのボールロストから手早く攻められて安西幸輝のクロスに鈴木がヘッド。ここもどうにかク・ソンユンが押さえ、75分のチャヴリッチのミドルもク・ソンユンがウルトラセーブ。しかしまあ、もう実に心臓に悪い時間帯がずっと続いていました。

 

 

 

それでもどうにか耐え続けていたサンガが遂に刺されたのが85分でした。セットプレーは一度は跳ね返したものの、もうこの頃にはセカンドボールを全く回収できなくなっておりボールは再び鹿島に渡って左サイドの安西へ。安西のファーサイドへのクロスを前線に残っていた関川郁万かわジャンプ一発で折り返すと、同じくDFの濃野が押し込んで遂に鹿島先制…。鹿島が取れそうで取れなかった一発を叩き込んだのは大卒ルーキーのプロ初ゴールでした。

 

 

失点後、サンガは松田天満と豊川を下げて鈴木冬一とマルコ・トゥーリオを投入し、トゥーリオと原を2トップ気味な関係にした4-4-2へ。

しかしもうそこからサンガにパワーを出せるほどの底力は残っておらずに敗北。これでサンガは2連敗。またしてもカシマスタジアムを突破する事はできませんでした。

 

 

 

前半はイーブンな展開だったというか……前半はどちらが良かった、という展開ではありませんでしたが、サンガ的には鹿島をオープンな展開に付き合わせることは一応できていました。鹿島も左は藤井を福田が抑えていたので徐々に避けていましたが、特にチャヴリッチの右サイドで縦を急ぐようになっていた。対するサンガはミドルゾーンでのセカンドボールを自分達のものにできれば一気に打開できるというところで、原が独力で持ち運ぶだとか、山﨑に当ててそこから複数人で絡んでいこうとするなど山﨑を先発で起用した意味を理解も出来ていましたし、前半に関しては「良いとまでは言わないが流れとしては悪くない」というくらいのゲームは出来ていたように思います。サンガからすれば、例えば第4節横浜FM戦のようにカウンターゲームみたいになってくれた方がリスクはあれどもサンガとしてはありがたい訳で、そういう匂いのある前半を過ごしただけに後半にどう入っていけるかは鹿島にとってもサンガにとっても大きなテーマでした。

おそらく理想としては、後半は前半と同様の組み合い方を続けた上で……強いて言うなら、佐藤響がもうちょっとチャヴリッチを相手にした対応でスプリント勝負ではなく福田vs藤井のところのように時間をかけて勝負し、濃野を前線に引き出したところで松田や武田と取り切って原のカウンターに繋げたい…みたいな意図はあったように思います。しかし鹿島はここでチャヴリッチと藤井のサイドを入れ替えてきた……鹿島というか今季のポポヴィッチって開幕戦の名古屋戦もそうでしたけど、こういう均衡を配置替えで破壊しようとしてきて、それがなかなかにハマるんですね。これによりサンガは、多少描いていたビジョンをリセットして福田は藤井と全くタイプの異なるチャヴリッチの対応にイチから迫られ、藤井は福田よりも裏抜け勝負に付き合ってくれる佐藤を千切る事が出来るようになってしまった。G大阪戦以降の武田のアンカー起用は、インサイドハーフがプレスに出る事で武田はポジションをある程度キープすることで成り立っていましたが、チャヴリッチとの対峙で疲弊していく福田、藤井に対応できるようになったら今度は濃野のケアまで迫られた佐藤へのフォローで武田のポジションも振れてきた。すると今度は武田の一つ前にいる松田のプレッシングも空回りになり、本来なら攻撃のフォローに行く佐藤は守備に忙殺された事でWGはもう単独突破しかない。塚川の投入はそこへのケアみたいな意味合いもあったでしょうし、それ自体は正しかったと思いますが……鹿島のサイド変更がサンガの計画に狂いを生み、歪みを呼ぶと、そこから順序立てるかのように一つずつの物事がズレていった。むしろ後半のあの展開になれば、よく85分まで耐えたなと……。宮本とかすごく頑張ってくれましたし。

 

 

 

そうなるともうサンガにやれることなんてほぼなかったです。クリアボールにしても、もう疲弊して誰もフォローに行けなくなりましたし…誰も走っていない場所に誰か走っていることを信じてパスを出すしかなくなった。その結果、絶望的に2本目は繋がらず鹿島の手に渡って同じことを繰り返した…。

曺貴裁の京都サンガは決して悪いチームとは思いませんし、美点のないチームでもない。それは間違い無いです。ただ、いわゆる「不思議の勝ちあり」以外の勝ちパターンがあまりにも枯渇していて、そういうフェーズに話が及ぶと乾いた川の水は流れないように攻撃が回っていかないという現状は現実として存在します。この道で行く事は否定はしないし、別に反対するつもりもない。現体制にNOと言うつもりも私個人としては別にありません。ですが時間は結果と引き換えに与えられるものであり、今季はサンガの武器にもアキレス腱にもなっていた不安定感が脆さに直結してしまっている。それは東京V戦から断ち切れないままここまできてしまった。サンガは今、勝つ為の方策に幅が求められている訳です。

他会場の結果により、サンガは降格圏に転落しました。「走る権利」を得る為にやらなければならない事は目の前にあまりにも多く積み上がっています。サンガタウンで曺監督を中心に、今一度立ち返らなければならない事、今のスタイルを少し俯瞰的に見るべき時間は必要なのかなと。それをするだけの時間に引き換える結果はこれまでに獲得できていたと思いますし……同じ長所を持ち、同じ短所を抱え続けている今の現状。現実という時間が有限の世界で、次の試合で何かしらの跡を結果としてみせてほしいところです。せっかく3年もJ1に残ってるんだもん……そうそう無いんだから。J2のチームからJ1のチームになれるかもしれない変わり目って…。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

2024明治安田J1リーグ第8節

柏レイソル1-0浦和レッズ

アルビレックス新潟1-1北海道コンサドーレ札幌

ジュビロ磐田0-1名古屋グランパス

アビスパ福岡1-1サンフレッチェ広島

横浜F・マリノス2-2湘南ベルマーレ

鹿島アントラーズ1-0京都サンガFC

FC町田ゼルビア1-2ヴィッセル神戸

セレッソ大阪1-0川崎フロンターレ

東京ヴェルディ2-2FC東京

ガンバ大阪2-1サガン鳥栖

 

 

第8節終了時点順位表

1位 セレッソ大阪(18)

2位 サンフレッチェ広島(16)

3位 FC町田ゼルビア(16)

4位 ヴィッセル神戸(14)

5位 横浜F・マリノス(14)

6位 鹿島アントラーズ(13)

7位 柏レイソル(13)

8位 名古屋グランパス(13)

9位 FC東京(12)

10位 ガンバ大阪(12)

11位 浦和レッズ(11)

12位 アビスパ福岡(10)

13位 ジュビロ磐田(9)

14位 アルビレックス新潟(9)

15位 東京ヴェルディ(8)

16位 川崎フロンターレ(7)

17位 湘南ベルマーレ(6)

18位 京都サンガFC(6)

19位 北海道コンサドーレ札幌(5)

20位 サガン鳥栖(4)

 

首位の町田は国立競技場開催のゲームで神戸を相手に1-2で敗戦。2位広島も敵地で福岡を相手に1-1のドローに終わった一方、C大阪はホームで川崎をレオ・セアラのゴールで1-0で下して単独首位に躍り出ました。第8節時点でも無敗をキープしているのはC大阪と広島の2クラブとなっています。

下位では前節ようやく初勝利を挙げた札幌は敵地で新潟と引き分けに終わったものの、同じく敵地でG大阪と対戦した鳥栖が終了間際の失点により敗北。これにより鳥栖が最下位となり、横浜FMと引き分けた湘南に対して鹿島に敗れた京都が降格圏に転落しました。また、実に16年ぶりの実現となった東京ダービーは東京Vが前半に2点を先行する展開になりながらも、前半の時点で退場者を出した遠藤渓太の2ゴール、それもアディショナルタイムの同点弾でドローに持ち込んでいます。

 

 

ではでは(´∀`)