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焦れた方と焦れなかった方と〜2024明治安田J1リーグ第1節(開幕戦) 名古屋グランパス vs 鹿島アントラーズ マッチレビューと試合考察〜

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リリちゃんルルちゃんナーナちゃん♪

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューは2024明治安田Jリーグ第1節(開幕戦)、名古屋グランパスvs鹿島アントラーズの一戦です。

 

 

 

Jリーグをもっと楽しめる(かもしれない)、2024Jリーグ開幕ガイド作りました!是非お使いくださいませ。

 

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平成という時代に産声を上げたJリーグという舞台は、日本代表がかつて掲げた様々な夢を当然のものとなり、今ではより高いものへと昇華させ、目標という意味でも到達点という意味でも選手達のスタンダードを大きく引き上げ、何より我々に大いなる日常を与えました。

平成の世を駆け切り令和の世。パンデミックの時代さえ超え、W杯では31年前は想像さえもしなかった光景を見た。導かれるように進み、そして仲間を確かに増やしながらJリーグは2023年という30周年を経て、今年から新たなる時代へと踏み込みます。

 

 

1993年、鹿島と名古屋の一戦から始まったこのカードは昨季もJリーグ30周年記念試合に選ばれる形になりましたが、奇しくも当時の開幕戦からホーム&アウェイを入れ替える形で2024年の幕を開ける事になりました。

名古屋と鹿島は、今季はある意味では対照的な角度からの変革の時を迎えています。鹿島は選手の入れ替えはそこまで多くなかった反面、新たにランコ・ポポヴィッチという特徴的な、言ってしまえば鹿島っぽくない監督を招聘した事で、個人の育成や新たなチームスタイルへの着手といったチームを再び気流に乗せる為の準備的な一年になる事が予想されます。鹿島の戦いの節々にはそういうエッセンスが含められる事でしょう。一方の名古屋は長谷川健太監督体制で3年目となりましたが、今オフでは中谷進之介や藤井陽也、丸山祐市の退団で3バック総入れ替えという形に。しかし前線に強力なタレントを揃え、ここ数シーズンとはまた違う名古屋のアプローチを模索しながら優勝を目指していくはずです。

いずれにせよ、共にオリジナル10として歴史と伝統を持つ両クラブにとって、2024年は一つのターニングポイントとして認識されてもいいシーズンになるかもしれません。その顛末を笑って終えるか泣いて終えるか。いずれにしてもその第一歩は今日、豊田の地から始まります。

両チームスタメンです。

 

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システムは昨季までと同様に3バックをベースにしつつも戦術としては新たな形にトライしている名古屋。中谷、藤井、丸山が揃って抜けた3バックには野上結貴に新加入の三國ケネディエブスと井上詩音を早速抜擢し、2トップにはキャスパー・ユンカーと長谷川監督と師弟関係でもあるパトリックという強力な2トップを持ってきました。左WBで先発となった山中亮輔、ベンチ入りした倍井謙、中山克広、小野雅史ら、多数の新戦力が登録メンバーに名を連ねています。

対する鹿島はポポヴィッチ監督の初陣で4-2-3-1システムを選択。ここ数年はベンチスタートが多かった土居聖真がトップ下起用となり、既にPSMやキャンプの時から話題になっていた知念慶のボランチコンバートも継続。アジアカップに出場し海外移籍も噂された佐野海舟とボランチを組みます。比較的新加入選手が少ない状態でしたが、ワントップには新戦力のチャヴリッチ、右SBには大卒ルーキーの濃野公人が抜擢されました。怪我で開幕戦出場が危ぶまれた鈴木優磨もベンチ入りは果たしています。

 

 

 

本日の会場は愛知県豊田市豊田スタジアムです。

 

 

お昼の試合で広島の新スタジアム、エディオンピースウイング広島J1リーグの舞台でお披露目となりましたが、この国の大型球技専用スタジアムの先駆者の一つとなったのがこの豊田スタジアムでした。故・黒川紀章氏が手掛けたこのスタジアムは当時としてはやはり画期的なほどの迫力を持っており、今でもJリーグや日本代表にとって重要なスタジアムの一つ。日韓W杯という大義名分はありましたが、新スタが多く出来ている今だからこそ2001年の時点で完成させていた豊田スタジアム埼玉スタジアム2002ノエビアスタジアム神戸の存在は讃えられるべきでしょう。

今節はチケット完売。名古屋にとっては開幕戦であると共に新エンブレムでの初めてのゲームになります。それもあってスタジアム各所には新エンブレムを模した派手なバナーであったり、試合前にはナイトゲームを活かした派手なレーザー演出も展開。オープニングゲームではありませんが、毎年恒例のフライデーナイトJリーグでの開幕を豊田から刻みます。また、名古屋は昨季終盤はラリーイベントの開催により豊スタを使えず岐阜メモリアルセンター長良川競技場を代替ホームとしていた為、豊スタでのホームゲームは昨年10月以来となっています。

 

 

立ち上がりから名古屋はパトリックとユンカーという圧倒的なパワーを持つ2人を配置した事で、ロングボールを2人に当てる事で局面を縦に引き伸ばしていくような形でゲームに入っていきました。名古屋は7分にロングレンジの攻撃で右から入ったボールにユンカーが合わせるもシュートはミートせず。

対する鹿島は10分以降はボール保持する時間が増えましたが、鹿島のビルドアップに対しては名古屋が明確に可変して4-4-2を固める形で鹿島に向かった事でパスコースが見出せず、堅い入りではありながらもお互いに今季のスタンスは窺える試合の入り方に。

 

 

 

そんな中で先手を取ったのは鹿島でした。なかなかシュートまでは持って行けなかった鹿島でしたが焦れずにサイド攻撃を試み続けるとCKを獲得。この右CBは一度はクリアされますが、こぼれ球をエリア外で植田直通が競り勝って残すと、走り込んでいた仲間隼斗がアウトサイドで技ありの一撃!自身のJ1通算100試合出場に華を飾る一発で鹿島が先制。

 

 

鹿島が先制してからは、得点直後にトリッキーなセットプレーからシュートチャンスを作るも、それ以外はほぼ名古屋が攻めの機会を伺う時間が続いていました。サイドのところで両脇のCBとインサイドハーフ、WBの3人が絡みながら打開を図る形となり、実際にそこからいくつかチャンスも生まれていました……が、そこをなかなかシュートのような明確なチャンスにまでは結びつけられず。

そんな中で山中のCKにパトリックが合わせた場面はネットを揺らしながらも、その前にファウルを取られてノーゴール判定。33分にまたしても山中のもボールに抜け出したユンカーの決定機もゴールを捉えられず、前半は鹿島の1点リードで終了。

 

 

前半と同じメンバーで挑んだ名古屋に対し、鹿島は後半から土居を下げて藤井智也を投入。藤井を右に出し、右でプレーしていた樋口雄太を中央にシフトさせます。

そんな中で後半、幸先の良い入りを見せたのは鹿島でした。右サイドからのクロスボールはそのまま左に流れていったものの、左サイドでボールを回収した安西幸輝のピンポイントクロスにチャヴリッチが入り込んで鹿島が追加点!ドンピシャのクロス、ドンピシャのヘッドで名古屋の出鼻を挫くような2点目をゲット!

 

 

前半はまだ今季のコンセプトの上で悪くない守りの体形が出来ていた名古屋でしたが、後半頭に両サイドを揺さぶられる形での失点を喰らうと鹿島に引き摺り回されるように構築段階の守備システムが完全決壊。名古屋は60分にパトリックと久保藤次郎を下げて永井謙佑と中山克広を投入して形勢の立て直しを図りますが、逆に直後の62分には右サイドで粘ったチャヴリッチの折り返しにファーサイドの仲間が飛び込んで3-0。3-0!?

 

 

名古屋は小野や倍井らを投入しますが、一度崩れたものはもう元には戻らず……3点リードを奪ったことでセーフティーなブロックを組んでカウンター狙いとなった鹿島に対し、ユンカーと永井の裏抜けに賭けたようなボールを出す事に終始。鹿島は69分には鈴木もフェイスカードを付けて復帰し、後は勝ちに向けてのカウントダウンを刻むのみの状況にさえなっていました。

 

 

 

名古屋にとっては終盤は、もはや猛攻も出来ないままにタイムアップ。名古屋にとっては昨季終盤から続く嫌な流れを人と戦術を変えても断ち切れず、逆に今季の行く末を不安視されていた鹿島にとっては大きな希望と勇気になる完勝を挙げ、これ以上ないスタートを切りました。

 

 

 

「焦れた名古屋と焦れなかった鹿島」のような構図だったなと。それがこの試合の1番の感想ですね。

名古屋は報道や長谷川監督のコメントにもあったような、今季の新しい試みみたいなものは前半はなかなか出来ていたと思うんですよ。特に右の野上のところを絡めたサイドの攻撃のやり方だとか、守備時に4バックにスライドしていく形だとか。実際に前半はそれで鹿島を外に外に追い出していく事が出来ていましたし…結果としてはそれが仇となってセットプレーで点を取られた訳ですけど、前半に関しては概ね内容的には名古屋の方が目指すものの片鱗は出せていたように思います。

 

 

 

話が全部変わったのは後半でした。後半に入るとポポヴィッチ監督が土居を下げて藤井を入れてきた。前半は中央寄りのプレーヤーである樋口が右サイドにいましたが、後半は明確なサイドアタッカーである藤井を入れてきた事で、名古屋がユンカーやパトリックへのロングボールで縦に引き伸ばしたピッチを、それこそ後半ド頭の失点がそうだったように大外を藤井が走る事で横に引き伸ばしてきた。重要なのは鹿島が前半は名古屋に外に追い出されようと焦れずにじっくりと機を伺う意識を持ってプレー出来ていた事で、ポポヴィッチ監督からすれば鹿島に生じる計算外を排除しながら戦えていた事が後半から藤井を投入して一気に名古屋を壊しにかかる交代策が繰り出せたように思います。

逆に名古屋は鹿島が一気にワイドに拡げてから、誰かが行かないと行けないシチュエーションで完全に焦れてしまった。可変はDFラインが揃ってこそのシステムでありながら、焦れて陣形が崩れた事でただただ幼少期要所の穴だけが空いていく形になり、それで発展途上の可変システムが完全決壊してしまった……そこはやっぱり去年までの中谷や丸山ほどズレを個人能力で修正できてしまったり、ズレた陣形で統率を取れる選手がいなかった事で崩れたい放題になってしまった部分はあったのでしょう。

鹿島に関してはポポヴィッチという鹿島のイメージとは遠い監督を招聘しながらも、焦れない強さのような元来持ち合わせている強さを維持しながら戦えていたのに対し、変革の最中にある名古屋はそこで我慢できるほど強固な組織にはなっていなかったという部分があって、そこに藤井投入が最後のトドメを刺した。そういう印象の試合でしたね。なので名古屋は怪我人も多かった中でコンセプトを出せた部分はあるので極端に悲観するほどでもないと思いつつも、どうにかしなければならない部分は多々あるなと。

 

 

今年もポポvsミシャが楽しみだぜ!

ではでは(´∀`)