RK-3はきだめスタジオブログ

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収縮包囲網〜明治安田生命J1リーグ第24節 浦和レッズ vs 名古屋グランパス マッチレビューと試合考察〜

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因縁の根は深く

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第24節、浦和レッズvs名古屋グランパスの一戦です。

 

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7月末の中断期間を経て再開したJ1リーグ。補強選手の登録も解禁され、各チームが夏の新加入選手を続々とメンバーに入れながらリーグ戦を再び歩み始めています。残り11試合。それぞれが残り試合を戦うフィールドは固まり始めています。そんな中で戦うフィールドといえば…浦和が4位、名古屋が3位。上位対決…そして勝点が同じ首位神戸と2位横浜FMを追う立場としての戦いが始まります。

ただ、神戸と横浜FMを追う立場としての名古屋と浦和の状況はいささか対照的。再開前に行われた天皇杯での両者の対戦は名古屋が3-0で快勝しましたが、名古屋は再開後の2試合で新潟、鹿島を相手にいずれも1-0で下し、首位との勝点差を2まで詰めて視界は良好。一方の浦和は、中断前の試合を合わせて4戦未勝利とブレーキがかかったような形になってしまい、特に前節広島戦はアディショナルタイムの失点で逆転負けを喫しました。浦和としてはこの後ACLがやってくる事を思えば、もう優勝の為にはいよいよ勝点1すら許されない段階です。優勝レースで首位2チームを追い落とす為の疾走を続けたい名古屋、取り残される訳にはいかない浦和。今季の物語に於ける重要な直接対決です。

両チームスタメンです。

 

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浦和は前節広島戦からスタメンを2名変更。前節はスタメンだった荻原拓也と安居海渡はベンチスタートとなり、前節は2列目で起用された明本考浩は左SBとして先発しており、2列目には関根貴大と小泉佳穂が起用されました。小泉は再開後初のベンチ入りです。新加入の中島翔哉は3試合連続のベンチスタート。また、ここまでリーグ戦全試合に出場していた興梠慎三が今日はベンチも外れています。

名古屋は前節鹿島戦とほぼ同じメンバーを起用していますが、浦和からの期限付き移籍の身でプレーしているキャスパー・ユンカーは契約上の理由により今日は欠場。その為、ワントップには第12節G大阪戦以来の先発となる酒井宣福が起用されており、ターレスが新たにベンチ入り。それ以外のスタメン10名、ベンチ入り17名はいずれも鹿島戦と同じ。新加入の森島司は先発、久保藤次郎のベンチスタートも鹿島戦と同様です。

 

 

 

本日の会場は埼玉県さいたま市埼玉スタジアム2002です。

 

 

残るは3位決定戦と決勝のみとなった今年の女子ワールドカップですが、元々2023年大会には日本も開催国として立候補しており、JFAが提示していた開催会場のリストの中には埼玉スタジアムも含まれていました。おそらく実現していた場合、開幕戦か決勝戦のどちらかは埼スタに割り当てられていたんじゃないでしょうか。

日本最大のサッカースタジアムも開場から22年が経ち、日本サッカー界に於けるこのスタジアムの立場の意味合いにも益々の重みが出てきました。Jリーグ屈指の熱と狂気を持つこのスタジアム。その熱狂は時として、表裏一体にも映る危うさがある。浦和と名古屋…この2者の間を渦巻く怨念の中で迎えるこの試合に、試合と順位表以上の意味がもたらされない事を祈るばかりです。

 

 

序盤のリズムを作っていたのは浦和でした。ブロックを組んでくる名古屋に対し、浦和はペースとしてはスローペース気味にボールをじわじわと前進させながら攻撃を試みる中で、CFのホセ・カンテの2列目の選手の出し入れが上手く運んでいきます。

11分、中央でボールを持ったカンテがサイドに散らしながらじわじわと攻撃を仕掛けると、深い位置に入った小泉のボールを受けたカンテが左サイドに展開。この攻撃は阻止されましたが、フォローに入った明本のパスを受けると振り向きざまに放ったシュートにGKランゲラックも動けず浦和先制!

 

 

浦和は28分にもCKが弾かれたところをキッカーの岩尾憲が改めて入れ直し、これがクリアされたこぼれ球に走り込んだ小泉がミドルシュートを放ちますが、ここは内田宅哉がゴールラインギリギリでどうにかクリア。しかし名古屋はボールを持って前進を試みても、守備時は浦和が上手くブロックを組んで対応し、浦和が奪い返してもあまりカウンターに走らなかった事で常に攻守に於いて数的な釣り合いが取れている状態を浦和が作っていたので、逆に名古屋が浦和の背後をかくような場面も作れず、かなり浦和がコントロール出来た状態で進んでいきます。

 

 

 

名古屋の前半最大のチャンスは31分。左サイドから森下龍矢がスルーパスを送ると、抜け出した永井謙佑の折り返しに酒井が相手DFを引き連れながら潰れて、ファーサイドに走り込んだ野上結貴が決定機を迎えますが…シュートはサイドネット。アディショナルタイムにも森島がシュートまで持ち込みましたが、シュートはGK西川周作に阻まれて前半はビハインドで終えます。

 

 

前半は手詰まり状態を強いられ続けていた名古屋は後半、酒井と河面旺成を下げて前田直輝丸山祐市を同時に投入し、前田をシャドーに置いた上で永井をワントップへシフト。。対する浦和も後半から小泉を下げて安居を投入して後半に挑みます。

浦和は後半はチームとしてかなりワイドなポジショニングを取りながらボールを回す事で、名古屋が無理のあるプレスの追い方をしなければならない状況を作り出していました。そこで空いたスペースを関根貴大が積極的にカットインで突いたりして、収縮を上手く使い分けながら後半も押し込んでいきます。

 

 

 

名古屋も55分、野上が中央に間を縫うようなパスを送り、森下のシュートが弾かれたところを永井が繋ぐと飛び出した前田がシュート。GK西川に弾かれたところを自ら再びシュートに持ち込みますが、今度は相手DFにブロックされてゴールをこじ開けられません。

ただし浦和に完全に試合を支配されていた名古屋も、各々がまず個人で持ち上がるような動きを見せてからは、ボールを前田、野上、そして丸山投入以降は高い位置を取るようになった藤井陽也がいる右に持ち出し、野上と藤井のクロスや前田の突破に永井と中央に入ってくる森下がどう絡むか…みたいな形で攻め込んできました。この連鎖がハマり出すと試合は一気に名古屋がリズムを掴み、浦和も関根を下げて荻原拓也を投入してレッドゾーンと化したサイドエリアをケア。ボール保持時に横に引き伸ばしたい浦和と、ボール保持時に縦から斬りたい名古屋のせめぎ合いは終盤戦に突入していきます。

 

 

 

名古屋が攻めるターンが続く中で、浦和は後半の立ち上がりのようにワイドにビルドアップを進めて試合の流れを再び鈍化させる事で流れを殺そうと試みていました。それに対して名古屋は71分、そのビルドアップをカットした森下が森島とのワンツーを経て自らシュートに持ち込みましたがクロスバー直撃。

アディショナルタイムには途中入場かつ移籍後初出場の久保が右サイドでボールを持つと前田を経由して稲垣へ。その稲垣のポケットへの絶妙なスルーパスに再び久保が走り込みましたが…ラストプレーの決定機、久保のシュートは枠外へ…。試合はそのまま終了。完全に浦和のゲームだった前半、完全に名古屋のゲームだった後半。その結末は自分達の時間に点を取り切った浦和の勝利となりました!

 

 

 

前半の浦和は絶妙にリズムをコントロールしていました。ワイドにポジションを取りつつ、ボールを奪い返したタイミングでもカウンターに頼らないで常に数的な均衡を取れている状況を続くことでスペースが生じる場面を極力減らした事で、ユンカー欠場により永井の裏抜けに頼る部分が多くなると思われた名古屋を苦しい状況に追い込んでいましたし、特に後半開始10分は多くプレーエリアを横に広げてパスを回す事で名古屋に無理のあるプレスをさせる…浦和の堅実なブロックという武器を踏まえてもその狙いは理に適っていましたし、実際に奏功していました。

その中で名古屋は後半から丸山と前田を投入した訳ですけど、前田の突破力と丸山の純粋な守備力は大きく、特に中谷と丸山の2人をほぼ2バック状態にしても守備が成立するような状況にした事で、藤井陽也を前に出す事でワイドに広げる浦和のパス回しに対して野上と稲垣の間に入って広げたエリアを埋めてきた。浦和からすれば元々高いラインを設定していた訳じゃないので、自陣深くで詰められる形になり……ある程度前まで行けば名古屋も破壊力のある攻撃陣は持っていますから、ここの担保を得た勇気で浦和のビルドアップを無力化させたのはお見事でした。喧騒のようなサイドエリアからフリーマン的に動いていた森島も効いていましたし、同点まで持っていけていたら名古屋からすれば会心会心の後半になっていた事でしょう。

 

 

 

ただ、名古屋のこのハイリスクな戦術を遂行する為の条件が中谷と丸山という両CBの個としての安定感による担保だったとすれば、完全に名古屋の流れだった中でも、浦和は最後の最後は両CBの個で真ん中を固めてゴールエリアだけは維持してみせた。縮めて、広げてを繰り返す駆け引きのような上位対決は、最後にお互いが最も信用しているところをすがったような構図でもあって、その辺りがこの試合の一つの面白みだったように思います。

見応えのある試合でしたね。

 

 

ずっこけハセケンかわいい

ではでは(´∀`)