RK-3はきだめスタジオブログ

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3つの力〜FIFAクラブワールドカップ決勝戦 チェルシー vs パリ・サンジェルマン マッチレビュー&試合考察〜

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かーもんべいびーあめりか

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューFIFAクラブワールドカップ2025、チェルシー vs パリ・サンジェルマンの一戦です!

 

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第1回クラブワールドカップの決勝に相応しいカードは?

その問いに対する正しい答えはまず存在しません。それぞれの希望のカード、理想のカードはあったとしても、結局はこの大会の出場権を掴み取り、そして決勝まで勝ち進んだ2チームがファイナルに手をかけるだけの極めてシンプルなものなのですから、そこに相応しいも相応しくないも存在しない。その事を前提にあえて言うなら…もしこの第1回に相応しいカードを「伝統ある名門同士の対決」と定義するならば、そこにはレアル・マドリードバイエルン・ミュンヘン、或いはトヨタカップの時代から対欧州に魂を燃やしてきたブラジルやアルゼンチンの名門が挙げられる事でしょう。

 

チェルシーvsパリサンジェルマン。両チームとも歴史と伝統自体はありますが、サッカー史のトップオブトップを語る上では彼らは新興クラブの立場です。少なくとも、上で挙げたビッグクラブほどのプレゼンスを格に備えているかと言えば、多分そうとは言えないでしょう。

しかしこの2クラブの価値は、サッカー市場の歴史に大きな影響を与えた…その意味でサッカーというマーケットに対する歴史の転換点を担い、21世紀のサッカーに革命を起こした2クラブとも言えるでしょう。チェルシーが2003年に起こした革命は世界のサッカーの概念を一変させ、チェルシーから始まるその流れの完成形とも呼べるクラブはマンチェスター・シティパリ・サンジェルマンによって体現された。そして今、2025年にアメリカを舞台に始まる新時代のトーナメントの第1回決勝戦に、歴史の転換点となった2クラブは立っている。あえて言うならば、革命的なトーナメントの決勝戦に、革命を起こしたクラブが並び立つのは実に相応しい決勝戦のカードなんじゃないかと思います。

この大会の賛否、是非…リアクションや意見は各々にあるでしょう。それは今も既に議論されていて、これからも議論されていく。それでも全ての歴史は手探りの第1回目から始まっていきます。チェルシーパリサンジェルマン、革命を成功させた彼らが革命に挑むこの大会をどのような結末で彩るか。初代王者はどちらの手に!

両チームスタメンです。

 

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チェルシーは準決勝フルミネンセ戦からはスタメンを2人変更してきました。CBには準決勝は出場停止で欠場していたコルウィルが復帰し、カイセドと組むボランチにはリース・ジェームズがSBではなく中盤でスタメンに起用されています。準決勝も途中から出場したマドゥエケはアーセナルへの移籍準備の為、決勝を待たずにチーム離脱となりました。

準決勝レアル・マドリード戦では衝撃的な試合展開で勝利したパリは準決勝からのスタメン変更はありません。準々決勝のバイエルン・ミュンヘン戦で退場となったパチョとエルナンデスはかの試合も出場停止となっている為、パチョの代わりにマルキーニョスとCBを組むのはルーカス・ベラルドとなっています。

 

 

 

本日の会場はアメリカ、ニュージャージー州イーストラザフォードのメットライフ・スタジアムです。

 

 

1994年のアメリカW杯会場でもあったジャイアンツ・スタジアムの老朽化に伴い、新たにNFLニューヨーク・ジャイアンツの本拠地とする計画で建てられたスタジアム。同じNFLニューヨーク・ジェッツも本来はニューヨーク五輪開催の際に新築するスタジアムに移転する予定でしたが、五輪招致失敗と同時に建設計画も白紙となった事でこの会場に転がり込み、現在は共同使用となっています。

なんと言ってもこの会場は来年のW杯開催会場にして決勝戦の舞台でもあります。ニューヨーク郊外のこのスタジアムが新たなるフットボールの歴史的ベニューとなり、その証人となる。いつまでも第1回大会としてその背景にはメットライフ・スタジアムの芝とスタンドが輝くことになります。試合前にはクロージングセレモニーも行われ、この試合にはアメリカのドナルド・トランプ大統領も訪れています。

 

 

 

 

立ち上がりから攻め込んだのはチェルシーでした。チェルシー陣内でボールを失えばパリの猛烈なプレスに遭う可能性がある中で、チェルシーは積極的に前に出つつ、サイドで深いエリアまでボールを持ち込みながらバイタルエリアとの間に三角形のスペースを作るように工夫していきました。最初の決定機もチェルシー。8分、左サイドから細かいパスを繋ぐとエリア内でジョアン・ペドロがヒールで落としたところに走り込んだコール・パーマーがフィニッシュを放ちますがシュートは僅かに枠の左へ。

パリも10分を過ぎると少しずつボールを持てるようになっていきました。16分、左サイドで持ち出したクヴァラツヘリアのグラウンダーのアーリークロスファーサイドでドゥエが入れて決定機。しかし中央への折り返しは対峙したククレジャのスーパーディフェンスによってカット。パリは18分にもドゥエがカットインから左脚を振り抜きますが、今度はGKロベルト・サンチェスが好守を見せます。

 

 

 

そして遂に試合が動いたのは23分でした。チェルシーのプレスを嘲笑うかのようなGKサンチェスのロングボールに相手DFの背後をとったギュストがエリア内に侵入。一度切り返してからのシュートはブロックされるも、こぼれ球を冷静に繋ぐと走り込んだのはエース・パーマー!!チェルシーの新たなるスーパースターが今度こそグラウンダーのシュートを仕留めてチェルシー先制!

更に直後の30分、チェルシーはパリに対してスペースを与えない、彼らが走る場所を与えない守備を徹底しながらデンベレのパスをリース・ジェームズがカット。エンソ・フェルナンデスを介してコルウィルが出したロングボールにパーマーが抜け出せば、大外を回るジョアン・ペドロのフォローをフェイクに使って自ら左脚一閃!!なんとチェルシー追加点!!

 

 

チェルシーの効果的な守備はややイエローカードとなるファウルこそ多かったものの効果的に機能し、ボールを動かしたいパリのパスコースを徹底的に遮断していきました。

パリがフラストレーションばかりを溜め込んでいく中、44分に右サイドから持ち込んだパーマーがポケットに絶妙なスルーパス。最後はジョアン・ペドロが決め切りとうとうチェルシー3点目!!!想像もしなかった衝撃的な展開!!!

 

 

踏んだり蹴ったりのパリも前半終了間際にはハキミのクロスをジョアン・ネヴェスがダイビングヘッドで合わせますが…ここもサンチェスがしっかりとセーブ。

衝撃的、あまりにも衝撃的な前半はチェルシー3点リードで後半へ。

 

 

 

後半はパリが攻勢を仕掛ける立ち上がりとなりました。パリは後半は高い位置でボールを持ちながら針の糸を通す穴のような隙を伺うと、52分にはその隙を縫って右サイドに飛び出したドゥエの折り返しにデンベレが決定機。これでパリが反撃開始…かと思われましたがデンベレのシュートはGKサンチェスがスーパーセーブで阻止!パリは55分にもドゥエ、59分にもヴィティーニャが強烈なミドルを放つなど前半以上にWGのところでの打開とボールロスト時の即時奪回を徹底したことでペースを掴みますが、チェルシーも守備時には身体を張って得点を許しません。

 

 

 

後半は守勢に回る時間が長くなっていたチェルシーは61分にエンソを下げてアンドレイ・サントス、67分にペドロを下げてリアム・デラップを投入。パリも58分のバルコラ投入を皮切りにゴンサロ・ラモス、セニー・マユル、ザイール・エメリを立て続けに送り込んで勝負に出ます。

後半は基本的にパリが押し込み続ける展開になっていた中でもロングカウンターの糸口は残しており、68分には投入直後のデラップが長距離を独走して強烈なシュート。今度はGKドンナルンマが阻みますが、チェルシーもローブロックで構えながらも一発の可能性はパリに与えていました。デラップは80分にも強引な突破から決定機を作り、またもドンナルンマに阻まれるもの決定的な場面はチェルシーの方が多い状況に。

 

 

 

どうにも上手くいかない、ようやく掴んだ決定機にもロベルト・サンチェスが立ちはだかり、低いブロックを組んだチェルシーに攻めあぐねる…全ての時間で苦難を背負ったパリは87分、ジョアン・ネヴェスがククレジャの髪の毛を引っ張ったとして一発退場で万事休す。

そして試合終了!フットボールの革命的大会、新FIFAクラブワールドカップ、その初代チャンピオンに輝いたのはチェルシーとなりました!!

 

 

 

強烈なゲームでしたね。まさかインテルやレアルをショックに追い込んだパリが、あの時のインテルやレアルと同じ立場にこの舞台でなってしまうとは……。

チェルシーのゲームプランはほぼ完璧でした。まずははパリをチェルシー陣内に入れないような状態を開始早々から作っていく。その状況を固めた上でサイドの深さを担保しながら、ワントップのペドロやトップ下のパーマー、フォローに入ったSBで三角形状のスペースを作り出すところからアクセスポイントを作っていく。そういう攻撃のデザインを築いた上で、守備ではパリに対してしっかりとブロックを組みながら最終防衛ラインのようなものを明確に設定しつつ、横パスのコースを徹底的に切っていった。攻撃のデザインにミドルブロックの守備組織があまりにも見事に組まれていましたし、パリはおそらくこれまでの試合で…相手がパリ対策を準備していたとしてもそれを発動されるより先にパリのペースに飲み込めていたんですよね。なので、先にパリ対策のゲームプランを発動されてしまった状態で試合に入るのは彼らにとって慣れない体験だったのだろうと。試合後も含めてパリが我を完全に失っていたような姿はその表れだったようにも思います。チェルシーの場合は後半に投入したデラップも良かったですね。デラップが決めれたら一番良かったのですが、彼がカウンターで脅威となる場面をいくつか作った事で、それがそのままパリに対する牽制になった。あれを見せられるとパリも思い切った総攻撃ができなくなってしまうんですよ。そういう"影響"も上手く使えましたね。

 

 

 

とは言っても、ゲームプランが正しかったとしてもやられる時はやられますし、パリのタレントはその状況からでも翻せてしまうだけの能力を持っていますし。だからこそ、ゲームプランの中で訪れたチャンスの中で抜群のクオリティと創造性豊かなアイデアを見せつけてスコアに変えたパーマーであったり、前半の決定機を完璧なディフェンスで凌ぎ切ったククレジャのファインプレーであったり、後半に仕切り直したパリが迎えたいくつかの決定機をシャットアウトしてみせたロベルト・サンチェス。チェルシーは理屈の上に、すべての勝負所を全て掴んでみせたのが結局は全てだったんだろうなと。

 

思えばそれって、チェルシーのクラブ史にも言える事だと思うんですよ。

チェルシーはBIG6の中でも決して安定して強いチームとは言えない。ただマンチェスター・シティアーセナルと比較したときに、彼らはちょっと言葉では説明出来ないようなタイミングの運を持っているんですよね。例えば今回のクラブW杯にしても20-21シーズン…対象範囲のギリギリを確保してここまで来た。逆に言えば19-20の優勝ではこの大会に出られなかったんですよ。そのタイミングのCLを優勝にてこの大会に出てきたこともそうですし、思えばアブラモビッチのクラブ買収にしても…あれはマンチェスター・シティパリ・サンジェルマンニューカッスル・ユナイテッドのような入念な買収計画というよりは、アブラモビッチが意欲を示したタイミングでちょうどお買い得物件だったのがチェルシーだった訳ですよ。彼らは異常なタイミングの運を持っている。タイミングやチャンスだけは実力では得られないものですからね。

そしてチェルシーは何より、安定した強さは持っていなかったとしても…ここぞで訪れるタイミング、ここぞで訪れるチャンスを絶対に逃さない。それがチェルシーのこれまでのクラブ史だったと思います。その神通力は、ある意味ではレアル・マドリードに似たものさえも感じるなと。チャンスのタイミングを得るのは運と縁で、実力で確保はできない。しかし運よく訪れたタイミングとチャンスを掴むのはひとえに実力と努力、そして胆力。その3つの力を3つの得点に変えて掴んだ初代王者の称号。チェルシーにはアッパレの言葉しかありません。おめでとうございます。

(ビジネス的な側面での大会総括は追々書こうと思っています。

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

FIFAクラブワールドカップ2025

優勝:チェルシー(イングランド)

準優勝:パリ・サンジェルマン(フランス)

ベスト4:フルミネンセ(ブラジル)、レアル・マドリード(スペイン)

ベスト8:パルメイラス(ブラジル)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、アル・ヒラル(サウジアラビア)、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)

 

 

トランプすげえ出てくる

ではでは(´∀`)