いつの間にか話がシュウウっと萎んでいった欧州スーパーリーグ構想。
前回からも何回かこれに関してのブログは更新しております。
第1回 【欧州スーパーリーグ構想正式発表】このような事態になった原因と引き金、そして欧州ビッグクラブとUEFA(及びFIFA)の対立の歴史。
第2回 【UEFAvsビッグクラブ全面戦争!】欧州スーパーリーグ構想に反対したい理由〜スーパーリーグ構想が呼び起こす懸念…FIFAワールドカップのWBC化と、ピラミッドが2つ出来る事の弊害〜
第3回【SL構想で得をしたのは?】欧州スーパーリーグ構想、参加予定だった12クラブそれぞれのスタンス
前回は12クラブそれぞれのスタンスを書いていきましたので、今回は「なぜ頓挫したのか?」について書いていきます。
①そもそもSLに積極的、或いは消極的だったクラブはどこ?→前回
②SL側のミスと誤算
③CL新フォーマットとこれからUEFAに待ち受ける逆風
④スーパーリーグは「中止」になったのか?
⑤結局勝ったのはどっち?
②SL側のミスと誤算
いくらなんでも、SL側も「全員が諸手を上げて賛成してくれる」とは思っていないはず。ただ、それを踏まえればあまりにも事前説明は足りていませんでした。それはファン・サポーター以前に現場(選手監督)、更にはスポンサー……余りにも根回しは出来ていなかったのは明白でした。話によるとクラブの重役ですら知らなかった人は多かったみたいなので、本当にクラブのトップだけでこの件は決めて実行してしまったのでしょう。もっと言えば、レアルのペレスとユベントスのアニェッリ、そしてプレミアの3人のアメリカ人オーナーとその周りの極少数くらいで。結局のところ、あまりにも周りを固めなかった、外堀スッカスカの状態で発表に踏み切ってしまったのが世界各国から総攻撃を受けた最大の要因にはなったと思います。
SL構想自体は昔から噂されていた中で今回発表されたので、それ相応のスキームは組んでいるのかと思ってたんですが……蓋を開けてみたら資金面でのプラン以外なにも考えてなかったのかしらと。
そしてSL側の最大の誤算は批判がUEFAやFIFAだけに止まらなかったところではあると思います。UEFAやFIFAだけが相手なら、おそらく彼らはSL構想を押し倒した、或いは連盟との交渉を仕掛けて、SLを実現できなかったとしてもなにかUEFAに対して優位に立とうという考えではあったでしょうし、ファンサポーターや連盟の批判は(想像以上に大きかったのはあるけど)ある程度の批判は無視じゃないですけど気にせず粘るつもりだったんだろうと思っていました。
ですが、プレミア6クラブが早期撤退した理由としてやっぱり大きかったのは英国政府とイギリス王室が絡んできた…これは相当大きかったと思います。特にイギリスのジョンソン首相は批判コメントのみならず、外国人選手へのビザ発給など法整備をした上で制裁する考えがある事まで示唆していました。スペイン、イタリアのクラブとは違い、イギリスがEUを脱退したのは皆さんご存知のところ。それに加えてジョンソン首相はタイプとしては良くも悪くもドナルド・トランプに近いタイプと言われているので、要するに…やろうと思えば本当にやれてしまう背景があった。プレミア6クラブが即撤退した理由は想像以上にイングランドのファンの抵抗が大きかった事と、政府のスタンスが思ってたよりガチっぽかったのは大きかったのでしょう。
③CL新フォーマットとこれからUEFAに待ち受ける逆風
私自身、これに関しては最初のブログでも書きましたが、SL構想が世論として否定的意見が圧倒的に多数だったとはいえ、ほぼ全部の意見が「別にUEFA(及びFIFA)を支持している訳じゃないからな」という部分な訳です。
それはこれまでのUEFAとFIFAのあれこれの歴史でもありますが、24-25シーズンから移行が発表されたチャンピオンズリーグの新フォーマットが大きく影響しています。
新フォーマットをまとめるとこんな感じ
↓
【03-04〜23-24シーズンまでの現行システム】
・32チームが出場
・4チーム×8グループに分かれてホーム&アウェイの総当たりグループステージ6試合を戦い、上位2チームがベスト16に進出
・CL本戦で1チームが戦う最大試合数は13試合
【24-25シーズンからの新フォーマット】
・36チームが出場
・グループステージを廃止。1次ラウンドはグループを設けずにランダムで10試合を行う。
・1〜8位チームは無条件、9〜24位チームはプレーオフを行い、その勝者がベスト16に進出。
・決勝トーナメントは従来通り。
・・CL本戦で1チームが戦う最大試合数は19試合
また、出場枠は従来の32チーム分はこれまでと大きく変わりませんが、追加された4チーム分はリーグランキングであったり過去のUEFA主催大会での成績も反映されるとのことです。
スーパーリーグへの批判で若干薄れがちではありますが、このチャンピオンズリーグ新フォーマットというのもなかなか問題なんですよね…。これに関しては、次回また書きたいと思いますが、簡潔に言うと「UEFAもUEFAで金の事しか考えていない」「UEFAもUEFAで小クラブ切り捨てに走ってる」という2点です。
④スーパーリーグは「中止」になったのか?
レアル・マドリードのフロンティーノ・ぺれす会長のコメントを聞く限り、少なくとも中止する気はなく、あくまで中断だと思っているような気はします。実際、バルサも脱退を宣言してはいませんからね。彼ら(特にペレス)も諦めた訳ではないというか、諦める気はないんだろうなぁとは思っています。
⑤結局勝ったのはどっち?
表面上はUEFAなんだと思いますが、既に現場の監督や選手もちらほらコメントし始めているように今度は矛先が向くのはUEFAです。それを踏まえるとUEFAも完全な勝者とは言えません。
じゃあ今回の件で勝利したのはだれか、得をしたのは誰か……クラブとしてはわかりませんが、少なくともFCバルセロナのジョアン・ラポルタ会長は数少ない得をした人物なのかなとは思っています。これに関してはYouTubeで喋ったのでそちらを見てもらえればと。
では今回はこんな感じです。
UEFAチャンピオンズリーグの新フォーマットの問題点については後日書いていきます。