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Bucharest 0629〜UEFA EURO 2020 ベスト16 フランス代表vsスイス代表 マッチレビュー〜

頭ん中をチーズフォンデュに汚染され始めた。

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューUEFA EURO 2020 ベスト16、フランス代表vsスイス代表の一戦です。

 

 

 

連日にわたって激闘が繰り広げられているベスト16も3日目。今大会、いや、EURO史上に残る死の組グループFを苦しみながらも首位通過を果たした、優勝候補一番人気のフランスが決勝トーナメント参戦です。

 

 

初戦のドイツ戦こそ完璧に近い内容だったものの、続くハンガリー戦とポルトガル戦では勝ち切れなかった優勝候補本命のフランス。それでも直近2大会のW杯王者と前回大会の王者、そして圧倒的ホームアドバンテージを持つハンガリーが同居したグループで唯一の無敗チームとして勝ち上がりました。フランスも前回大会のEUROとロシアW杯でメジャー大会では2大会連続の決勝進出を果たしている訳で、一発勝負でのトーナメントの強さは本物か、その真価も問われています。

一方のスイスは初戦のウェールズ戦で勝ちモードの試合展開から失点を許して同点。続くイタリア戦は完敗を喫する苦しい大会スタートとなったものの、最終節のトルコ戦を快勝で飾ってなんとか3位枠でに生き残りました。メジャー大会では高確率で決勝トーナメントに進む安定感を誇るスイスですが、それと同時にW杯でもEUROでもベスト16の壁がなかなか越えられません。王者としての歴史をフランスが紡ぐのか、自国にとっての新たな歴史をスイスが打ち立てるのか。答えは二つに一つです。

両チームスタメンです。

 

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スイスはトルコ戦と全く同じシステム、全く同じ11人を起用。一方、大きく動いたのはフランスでした。

ハンガリー戦とポルトガル戦が芳しい出来では無かった事、加えてリュカ・エルナンデスリュカ・ディニュと左SBが2人負傷してしまった事を踏まえ、ディディエ・デシャン監督は3-4-1-2と今大会初出場となるクレマン・ラングレを3バックの中央に置いたシステムを採用。2トップはカリム・ベンゼマとキリアン・ムバッペが務め、ポルトガル戦でスクランブル的に左SBを務めたアドリアン・ラビオが左WBに入っています。

 

 

本日の会場はルーマニアブカレストスタディオヌル・ナツィオナルです。

1953年に開場したスタディオヌル・リア・マノリウを取り壊した上で新たに2011年に建て直した、UEFAエリートスタジアムの基準を満たすスタジアム。今回のEUROではグループCのオーストリアウクライナ北マケドニアの試合が行われました。場内ビジョンが吊ってあるタイプのスタジアムですね。旧スタジアムではかつて、1982年に森孝慈監督率いる日本代表がルーマニアと試合を行った事も(1-3で敗戦)。ちなみに、ジーコジャパン時代にも2003年にルーマニアブカレストで戦って1-0で勝利しましたが、その時はこことは別のディナモ・スタジアムという場所で行われました。

フランスとスイスは20世紀に入ってからの20年間でEUROとW杯で2回ずつの対戦経験があります。結果はどちらの大会でもフランスが1勝1分で、トータル2勝2分。フランス開催となった前回大会でも対戦しましたが、この4試合は全てグループステージでの対戦なので、決勝トーナメントで顔を合わせるのは初めてです。

 

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立ち上がりこそ高い位置にボールを運んでそこからの展開が出来てきたフランスでしたが、急造3バックの歪みは早いうちに露呈してしまいます。15分、バイタルエリアでのこぼれ球がスイスの左サイドに展開されると、これを受けたステファン・ツバーのクロスにハリス・セフェロビッチが完璧なヘディングシュート!なんとスイス先制!

 

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フランスはボールこそ持てるもののシステム変更で良いリズムが作れず、ムバッペやベンゼマも前線で孤立気味。シュートはそれなりに打ったフランスでしたが、そのほとんどがペナルティエリア外からのミドルシュートという状態で、フランスの流れが悪くなるにつれてワールドクラスのプレーヤーらしからぬミスも多発するようになっていきました。

 

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逆に3バックの間を狙われる形でスイスには度々サイド攻撃を喰らってしまい、フランスは完全に後手後手に回ってしまう形に。結局、前半が終わる頃にはフランスはキンペンベを左SBに出してラビオをボランチに戻し、ポール・ポグバアントワーヌ・グリーズマンを両サイドハーフにした4-4-2に変更。苦しみ続けたフランス、逆に理想的な試合展開に持ち込んだスイス…1-0というスコアとは真反対の精神状態で前半を終えます。

 

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フランスは後半からラングレを下げてキングスレイ・コマンを投入し、キンペンベをCBに戻してラビオを左SBにした4-4-2で後半に挑みます。しかし55分、ツバーが倒されたシーンがVARによりPK判定。フランス絶体絶命……大ピンチを迎えたフランスでしたが、リカルド・ロドリゲスのキックをGKウーゴ・ロリスが見事にセーブして絶体絶命の危機を回避。

 

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これで完全に流れを変えたフランス。直後にムバッペが決定機を迎え、これはゴールにはならなかったものの……57分でした。ロリスのPKストップの勢いそのままに攻撃を仕掛けたフランスはスイスのクリアボールをエンゴロ・カンテが回収。そこから始まった攻撃でグリーズマンがムバッペに繋ぎ、ムバッペのパスに抜け出したベンゼマが芸術的過ぎるトラップからシュート!!これでフランスが同点!

 

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更にその直後の59分、フランスの攻撃を凌いだスイスのボールをポグバがクリアさせずにブロックすると、ムバッペのヒールパスに抜け出したグリーズマンがシュート。これはGKヤン・ゾマーが好セーブを見せましたが、ふんわりと高く浮いたこぼれ球にベンゼマ!!

 

 

 

史上最高のベンゼマ!!!!

 

 

 

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こうなってしまうとフランスは止まりません。逆転直後にはセットプレーから一度大ピンチを迎えたものの、スイスは余りにも唐突な形勢逆転で前がかりになってしまえば、ここからはドイツ戦で何度も見せたようなフランスの得意なパターンへ。75分、バイタルエリアでボールを受けたポグバは右脚を一振り!鮮やかなゴールがゴール右隅に吸い込まれ、ポグバも貫禄を見せつけるかのようなポーズ。

 

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しかし81分、中央で途中出場のクリスティアン・ファスナハトが粘って右サイドに繋ぐと、これを受けた同じく途中出場のケヴィン・ムバプが美しい弾道のクロス。これにまたしてもセフェロビッチが頭で合わせて1点差!これで息を吹き返したスイスは世界王者相手にここから怒涛の反撃を開始します。

選手もシステムも変えて怒涛の反撃を見せるスイス。この1点でフランスに渡した流れを自分達の下に引き戻します。85分、これまた途中出場のマリオ・ガブラノビッチがゴールネットを揺らしたものの、ギリギリオフサイド判定でゴールならず。しかしそれでもスイスはめげませんでした。アディショナルタイムにポグバからボールを奪ったガブラノビッチはドリブルで持ち運び、そして鮮やかにキンペンベのスライディングタックルをかわすとロリスが絶対に取れないコースへ…!

 

 

 

スイス同点!!!!

 

 

 

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まさかの展開になってしまったフランス。アディショナルタイム、途中出場のムサ・シソコが右サイドで粘ってクロスを上げると、ファーサイドでコマンが胸トラップから右足ボレー!しかしボールは無情にもクロスバー……もうこの時点で大会史に残る事が確定したような試合の行方は延長戦に委ねられます。

 

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延長前半はややスイスペースながら延長後半に入ると一方的なフランスペース。しかしムバッペが、途中出場のオリヴィエ・ジルーが何度も迎えた決定機をフランスは決められず。文字通り消耗戦、総力戦でフランスは殴り続けたものの、トドメの一発をどうしても刺す事が出来ないまま試合はPK戦へ。

 

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先攻スイス、後攻フランスで迎えたPK戦、スイスの3人目までが成功して迎えた3人目、途中出場マルクステュラムがGKゾマーとのボルシアMG対決を制する形で4人目まで両チーム全員終了。そして迎えた5人目…スイスはアドミール・メフメディが成功させると、後攻で歩いてきたのは今大会の主役候補と目され続けてきたムバッペ。主役になるはずだったその右脚から放たれたシュートはネットに刺さることなくゾマーの手中へ…!

 

 

 

スイス、フランスを下してベスト8進出!!!!

 

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いやー……なにから語ればいいのか。

普通なら…ね、普通なら試合は、ロリスのPKストップで始まった流れ的にもポグバの3点目で終わっていたはずなんですよね。実際、あの時点で私もお茶を沸かしたりブログの締めの構成考え始めましたもん。正直。この展開を誰が予想したのか…と。振り返ればフランスは、やっぱり前半の入りがまずかった。デシャン監督も色気が出たとか奇策を試みたというよりは、使える左SBがいなくなってしまった事に対する緊急措置だったんでしょうけど、結局を元を正すと、いくらその後形成逆転したとは言ってもそこが全ての始まりだったのは確かです。

ただ、やっぱりそれ以上にスイスの頑張りは凄まじかった。今日の試合展開が漫画なら苦情来ますよ。出来過ぎだと。マッチレビューとは言いますけど、こうなったら試合の内容で何が良かったのかとか書く方が野暮な気もしてきました。いやー、凄かった。とにかく凄かった……スイスサッカー史にとどまらず、EUROという概念が続く限り、2021年6月28〜29日の聖戦は永遠に語り継がれる事でしょう。

 

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だから負けたら終わりのPKにスーパースターを出すなとあれほど…。

ではでは(´∀`)