満を持してティキタカ。満を持してカテナチオ〜UEFA EURO 2020 準決勝 イタリア代表vsスペイン代表 マッチレビュー〜

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嗚呼松坂世代

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビューUEFA EURO 2020 準決勝、イタリア代表vsスペイン代表の一戦です。

 

 

 

さぁ、大会はいよいよ残り3試合。ベスト4の開幕です!今日・明日の2試合に勝利したチームはいよいよファイナリストの称号を手にする事になります。イタリアか、スペインか、イングランドか、デンマークか…運命の2日間です。

 

 

イタリアvsスペイン……それは近年のEUROで最も因縁めいた対決とも言えるかもしれません。それもそのはず、これでEUROでは4大会連続の対戦となりました。

13年前のEURO2008…直近のW杯を制したイタリアはグループを2位通過。対するスペインは当時44年間、EUROでもW杯でもベスト8の壁を破れなかった中で、シャビ、アンドレス・イニエスタセスク・ファブレガスダビド・シルバの俗に言う「クアトロ・フゴーネス」を擁し、準々決勝で両者は激突。ジャンルイジ・ブッフォンイケル・カシージャスの世界最高峰のGKによるPK戦を制してジンクスを打破したスペインは、そのままの勢いで大会を制覇し、サッカーの戦術トレンドにも大きく影響を及ぼす黄金期を迎えました。あのスペインとイタリアの準々決勝は間違いなく、その後のサッカー史に与えた意味という観点で大きな試合だったと思います。まさに向かう所敵なし…それほどの強さを見せたスペインの前に立ちはだかったのがやはりイタリアでした。EURO2012、グループステージの初戦で対戦した両者はイタリアの「攻撃的守備」に苦しめられて1-1のドロー。この大会ではイタリアの完成度も高く、両者は決勝の舞台で再び相対しましたが、決勝ではスペインがイタリアを4-0で返り討ちに。しかしスペインの黄金期が翳ったEURO2016では、今度はイタリアがスペインを2-0で撃破しました。

国と国との戦いの中には様々な因縁があり、様々な歴史があります。決勝進出を懸けるシチュエーションで挑む今日の一戦もきっと、後世に語られる歴史の一部となる事でしょう。変革を迎えた伝統国同士、新たな黄金期の礎はどちらに築かれるのでしょうか。

両チームスタメンです。

 

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イタリアは準々決勝のベルギー戦からはスタメンを一人だけ変更。ただ、その一人というのがイタリア躍進のキーマンでもあったレオナルド・スピナッツォーラの負傷離脱によるもので、これはイタリアにとってはかなりの痛手でしょう。代わりに入ったエメルソンはその穴を埋める事が出来るのでしょうか。

一方、スペインはスイス戦からはスタメンを3人変更。そのうちパブロ・サラビアは負傷の影響によるものですが、今日はCBがパウ・トーレスに代わってエリック・ガルシアが入り、ここまで全試合先発だったアルバロ・モラタが先発から外れてミケル・オヤルサバルが右WGとして先発。オヤルサバル、ダニ・オルモ、フェラン・トーレスの3トップはややゼロトップ気味の形となりました。

 

 

本日の会場はイングランド、ロンドンのウェンブリー・スタジアムです。

11ヶ国を渡る形式で開催された今回のEURO2020ですが、準決勝と決勝の3試合はここロンドン、サッカーの聖地として知られるウェンブリーで開催されます。今回のような方式の大会だと決勝の会場をどうするかで揉めたりしそうなものですが、ウェンブリーの名前を出されればどこも異議を唱える気は無いのでは。イタリアとスペインはグループステージは全試合自国開催でしたが、決勝トーナメントではスペインがデンマーク→ロシアときてイングランドという日程なのに対し、イタリアはベスト8がドイツ、そしてベスト16のオーストリア戦はウェンブリーでの試合でしたから、移動の観点ではイタリアの方がアドバンテージはあります。

スペインとイタリアの因縁はEUROのみならずW杯にもあります。それは特にスペイン代表監督のルイス・エンリケにとって。1994年アメリカW杯準々決勝でもこの2チームは激突しましたが、エンリケはこの試合でマウロ・タッソッティの肘打ちを顔面に受けて流血しながらもタッソッティにはお咎め無し。そのままスペインは敗退しました。後日、タッソッティには8試合出場停止処分が下るなど結構な騒動となったこの事件……エンリケ監督はクラブレベルではFCバルセロナ監督時代にユベントスをCL決勝で下して雪辱を晴らしましたが、やはりA代表のメジャー大会となると思うところも大きいでしょう。

 

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主導権を握ったのはスペインでした。インサイドハーフのコケとペドリが精力的に動いて陣形をコンパクトに保ち、ボールを奪えばすぐに前線へ。これまでのスペインはモラタという明確なセンターフォワードを置いていたものの、今日はセカンドトップウインガータイプを3人並べた事もあってアタッキングサードで3人が流動的な動きを見せてイタリア守備陣を撹乱させ続けていきます。

 

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イタリアも時折カウンターでチャンスは作れたものの、逆にロレンツォ・インシーニェやフェデリコ・キエーザもこれまで見せた躍動感を見せる事が出来ず、明確なスペインペースの前にこれまでのイタリアの攻撃の良さがかなり失われてしまっている試合展開に。逆にスペインはエリア内で細かくパスを回して最後はオルモが決定的なチャンスを迎えますが、これはGKジャンルイジ・ドンナルンマがファインセーブ。

 

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開幕戦から内容でも充実した試合展開を見せていたイタリアと、初戦のスウェーデン戦から安定感には欠ける試合が続いていたスペインの試合はイタリア優位に思われていたものの、前半が終わってみればイタリアのシュート1本に対してスペインは5本。支配率も6割を超え、イタリアも守備の堅さは維持したので失点は許さなかったものの…前半はやや予想外の展開で0-0で終えます。

 

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スペインは更に攻勢をかけるように前がかりになっていきます。52分にはオヤルサバルが右サイドをドリブルで持ち上がると、マイナスに折り返すとセルヒオ・ブスケツが一気に攻め上がってシュート。普段はあまり前線まで駆け上がらないブスケツペナルティエリア手前まで行くほどにスペインは攻めの流れに手応えを掴んでいました。とはいえ、イタリアも後半は選手間の距離を調節した事もあって、コンパクトな体形で「奪ってすぐにカウンター」の形とボール奪取の回数は増やしていきます。

 

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イタリアが盛り返してきた事で、試合はポゼッションスペインvsカウンターイタリアという一般的なイメージに近い展開での一進一退が繰り広げられていきました。そして60分、前がかりになったスペインはジョルディ・アルバがクロスを上げますが、これはGKドンナルンマがキャッチ。するとドンナルンマは一気にスローイングで前線に送ってカウンターを開始するとボールは一気にスペインゴール前へ。最前線でチーロ・インモービレが粘ったこぼれ球を、最後はキエーザが鮮やかな軌道のシュートをゴール右に流し込んでイタリア先制!

 

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スペインは62分にモラタ、70分にロドリとジェラール・モレノを投入します。しかし2試合連続で120分戦った事と移動の影響もあるのか、スペインはパスにズレが生じるなどロストも増え始めていきました。しかしそれでも80分、自陣からアイメリック・ラポルテの縦パスを受け取ったオルモが更にスルーパスを送ると、するするっと抜け出していったモラタがGKドンナルンマとの1対1を制してゴール!!グループステージでは戦犯扱いもされていたストライカーがクロアチア戦に続いて救世主に!

 

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スペインが不安定だとか、イタリアがイタリアっぽくないとか今大会は言われつつも、いざ90分を終えてみれば良い意味で「イタリアvsスペインっぽい」試合になっていきます。ただ1-1になってからはどちらにも好機はあったものの、試合は延長戦に突入。イタリアにとってはベスト16のオーストリア戦以来、スペインにとってはベスト16から3試合連続の延長戦!

 

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園長も後半に入り、109分には途中出場のドメニコ・ベラルディがロングパスに抜け出してゴールネットを揺らしますが、オフサイド判定によりゴールには至らず。イタリアもスペインも6名の交代枠をフル活用し、まさに互いの全てを出し尽くすような死闘は延長の30分では決着がつかず。ファイナリストの座はイタリアにとっては今大会初、スペインにとっては準々決勝スイス戦以来、そしてイタリアvsスペインとしてはEURO2008準々決勝以来のPK戦へ。

 

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PK戦はイタリアの1人目、途中出場のマヌエル・ロカテッリのキックをGKウナイ・シモンが見事にストップしますが、同じくスペイン1人目のオルモも枠外に蹴ってしまいます。その後はミスなくPK戦が進む中で後攻スペインの4人目……モラタのキックをドンナルンマが見事ストップ!そしてイタリアは5人目のジョルジーニョがきっちりPKを沈めて勝負あり。ロシアW杯出場を逃したイタリア、これ以上ない形でアズーリ発見を見せつけました!

 

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イタリア以上にコンディション的には難しいはずのスペインがこれまでの試合の中で一番とも見せる入りを見せたのは驚きでさえありました。スペインは素晴らしかっただけに、素晴らしかっただけに……やっぱり前半のうち2点を取りたかったです。今のイタリアのような抜群の安定感を誇るチームは、裏返せばリードされる状況には慣れておらず、先制さえしてしまえば意外と脆さを露呈する可能性もあるんです。それを踏まえれば…3トップが目まぐるしくポジションチェンジをしてイタリアのDFがプチパニックになっている間に1点でも取れていれば展開は違ったのかなと。それでも一度同点に追いついた粘りや、厳しい移動日程と2試合連続120分戦った中であれだけのパフォーマンスをイタリア相手に見せた事は見事です。

こう言ってはなんですが、おそらくスペインにとってEURO2020は世代交代のプロセスという意味合いの強い大会で、優勝を現実的な目標としてはあまり捉えていなかったと思いますし、正直私も4強まで来るとは思っていませんでした。メンバーの年齢層を見ても、今のスペインにとっての「本番」はEURO2024や2026年のW杯でしょう。今大会は間違いなく大きな糧になったはずです。このメンバーの多くが東京五輪に来るのが楽しみで仕方ありません。

 

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イタリアからすれば精神的にかなり難しかったと思います。というのも、これまでの5試合はすべて基本的にイタリアが主導権を握っており、明確に押し込まれる試合はEUROのみならずイタリアにはここ数年なかったでしょうし。ただそんな中でも大崩れせずに耐えられたのはドンナルンマの好パフォーマンスしかり、刷新を図ったチームの中でもCBにはレオナルド・ボヌッチジョルジョ・キエッリーニという重鎮を置いていた影響は大きいでしょう。

思えばロベルト・マンチーニ監督が就任した時はイタリアサッカーの危機とも呼べる時期でした。なんなら、2010年と2014年はW杯でグループステージ敗退、2018年に至っては出場すらできなかった今も危機の中といえぼそうです。最初の5試合で見せた攻撃的なサッカーが「イタリアっぽくない」ハイパフォーマンスだとすれば、今日の粘りは「イタリアっぽい」ハイパフォーマンスでした。イタリアらしさと、イタリアらしくなさを兼ねたチームのこれからに期待が膨らみます。

 

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おはよう…?おやすみ…?

ではでは(´∀`)