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キャプテン・マヤの勲章〜東京オリンピック準決勝 U-24日本代表vsU-24スペイン代表 マッチレビュー〜

とうとう男子サッカーにも被せてきたガンバちゃん

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビュー東京オリンピック男子サッカー準決勝、U-24日本代表vsU-24スペイン代表の一戦です!

 

 

遂にここまでやってきました。ベスト4!!

ベスト4まで進んだ時点で、日本は最大試合数である6試合を戦える事が決まりました。ここから先はメダルを取れるか否か、そしてメダルの色は何か…それを決める戦いです。

 

 

全勝したグループステージ、伏兵ニュージーランドに最後まで苦しめられながらも、PK戦で勝利する底力を見せた準々決勝……そしてオリンピック開幕以前から始まった長きに渡る戦いは、ある意味で決勝以上に今日の為にあったとも言えるでしょう。日本がオリンピックサッカーで準決算を戦うのは1968年メキシコシティー五輪、2012年ロンドン五輪に続いて今回が3度目。しかし前者はハンガリー、後者はメキシコに敗れ、ハンガリーもメキシコもその後金メダルを獲得。日本にとってオリンピックの準決勝は敗北の歴史を塗り替える事が出来ていません。

日本サッカーの歴史は常に、オリンピックで歴史が動く度に大きく動いてきました。日本がフランスW杯で初出場を決める前には28年ぶりの五輪出場となるアトランタ五輪の予選を突破し、日韓W杯での初の決勝トーナメント進出には2年前のシドニー五輪で準々決勝まで進んだ記憶があった。どう転ぼうが、今日の試合は間違いなく日本サッカー史に深く刻まれる一日となるでしょう。それは自国開催だからこそ尚更です。JFA創立100周年に突如訪れたこの舞台は、果たして歴史を変える為の運命なのか……その答えは全て、数時間後に提示されます。さぁ、いざ未踏の地へ!

両チームスタメンです。

 

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PK戦の有無に違いはあれど、両者とも延長までの120分を戦ってから中2日という状況で試合を迎えます。

日本はニュージーランド戦を累積警告で出場停止となっていた酒井宏樹が復帰。ただ、今度は冨安健洋が出場停止となった事で、冨安が欠場した南アフリカ戦メキシコ戦で先発した板倉滉が先発に入っています。唯一選手起用が流動的な左サイドは今日は左サイドハーフに旗手怜央、左サイドバックに中山雄太のフランス戦と同じセット。また、ここまでフィールドプレーヤーで唯一ベンチ入りの機会が無かった瀬古歩夢が今大会で始めてベンチに入っています。

スペインは負傷退場したオスカル・ミンゲサを始め、準々決勝コートジボワール戦からはメンバーを3人変更。その中にはオーバーエイジとして招集されたマルコ・アセンシオも含まれています。ウナイ・シモン、パウ・トーレスエリック・ガルシア、ペドリ、ミゲル・オヤルサバル、ダニ・オルモの直前のUEFA EURO 2020に出場した選手は全員先発です。

 

 

本日の会場は埼玉県さいたま市埼玉スタジアム2002です。

普段は浦和レッズが本拠地として使用するスタジアム。日本はグループステージ第2戦のメキシコ戦を、スペインは第3戦のアルゼンチン戦をここで戦いました。日本はメキシコに2-1で勝利し、スペインは引き分けたものの決勝トーナメント進出を確定。両者ともに良いイメージのあるスタジアムです。なんといっても日本代表にとってはホームスタジアムですからね。尚、8月6日に行われる3位決定戦も埼スタ開催となっています。

埼スタが開場してからちょうど20年。思えば、21世紀の日本サッカーの歴史と心が動く瞬間の多くにはこのスタジアムが背景としてありました。鈴木隆行の必死に伸ばした右足が日本を熱狂の渦に巻き込んだあの日から今日まで、数々の名シーンを生んできたこのスタジアム。そこに最大の歓喜の記憶をもたらすロケーションとして、今日ほど相応しい舞台はないでしょう。

 

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ここまでの4試合は、特に前半は日本が主導権を握っていましたが、さすがに今日はスペインが相手ともあってスペインの支配率が一時70%に上るなど劣勢に立たされました。ですが準々決勝の後に「ここからが自分の本当の仕事」と語った吉田麻也を中心に守備に関してはしっかりとオーガナイズされていて、あまりペナルティエリア内に相手選手を入れる事なく粘り強さを見せていきます。

 

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しかし、前提として試合展開が劣勢だったという部分はあるにしても、攻撃においてもスペインは久保建英をゲームから消すような守備のポジショニングを取ることで日本の攻撃のストロングポイントになっていた堂安律、酒井宏樹を含めた右サイドでのコンビネーションを無力化していきます。その結果、攻撃は堂安律の単騎カウンターに頼らざるを得ない形が多くなり、林大地も堂安から遠いところへ追い出されていく形になって攻撃はかなり停滞感が否めませんでした。

 

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29分にはバイタルエリアでボールを受けたペドリのクロスにファーサイドに飛び込んだオスカル・ヒルが折り返すとオヤルサバルが右脚を振り抜きますが、これはなんとか枠の上に外れて難を逃れます。守備に追われる時間が長くなればなるほど徐々にスペインに縦パスを通される回数と増え、オルモやペドリが前を向いてプレー出来る日本にとっては苦しい展開に。しかしそれでも与えた決定機は前述のオヤルサバルのシュートと抜け出したラファ・ミルのシュートをGK谷晃生がピシッと止めた場面の2つくらいで、少なくとも日本はベストではなくともベターな形で前半を乗り切ります。

 

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しかし後半は日本もリズムを掴んでいきました。後半開始早々の堂安のシュートに始まり、52分にはロングフィードに抜け出した旗手のポストプレーを林がダイレクトでミドルシュート。しかしこれは惜しくも枠外でゴールに至りません。58分には逆にクロスのリフレクションからミゲル・メリノとGK谷が1対1の絶体絶命の危機を迎えますが、この絶体絶命のピンチはキャプテン吉田が100点オーバーのスライディングタックルで阻止!一度はPKと判定されましたがVARによってノーファウルとなり、キャプテンの卓越したプレーで日本は最大のピンチを乗り切ります。

 

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森保一監督は65分に林と旗手を下げて上田綺世と相馬勇紀を投入。まだスペインが主導権を握る時間こそ続いていましたが、試合は徐々にオープンになっていきました。田中碧にリフレクションしたボールにまたも抜け出したミルのシュートを谷が止めたかと思えば、今度は左サイドを抜け出した久保のシュートをGKウナイ・シモンがセーブ。文字通りハラハラドキドキのスリリングな展開になっていきます。

 

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終了間際にはスペインのセットプレーからの波状攻撃の流れでマルティン・スビメンディが決定的なシュートを放ちましたがこれは冨安の代わりに入った板倉のスーパーブロック!直後にはミスから再びピンチを迎えましたが、またしても谷が阻止します。一歩何かを間違えれば終わりの試合展開。そこでも谷が何度もスーパーセーブを連発し、守備陣の粘り強い対応もあってとうとう試合は0-0。日本にとってもスペインにとっても2試合連続の延長戦に突入します。

 

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延長戦に入ると堂安と久保のWエースを下げて三好康児と前田大然の2人を同時に投入して最後の攻撃に打って出ます。102分、相馬のパスを受けた中山のクロスに前田がマークを振り切って飛び込みましたが僅かに枠の外。スペインもオーバーエイジのアセンシオを投入して勝負に出ます。

 

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延長後半には両チームに疲労の色が見え始める中、本の時間も訪れるなどヒリヒリした攻防戦のクライマックスは突如訪れました。オヤルサバルが右サイドで崩すと、日本の夢を打ち砕いたのはレアル・マドリードで凡ゆる修羅場を潜りかけた男の一撃でした。アセンシオの左足から放たれたシュートは弧を描くように美しくゴールへ……。あと一歩、あと一歩のところで……日本の金メダルの夢はワールドクラスの一発の前に沈みました。

 

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戦術的な事を言うには少し頭が働かないです。はい。ただ、一つ確実に言える事があるとすれば……本当に感動に値する試合でした。

この一年間……スポーツと感動は成り立たないものとして見られ、スポーツによって与えられる感動というフレーズは空虚なものとして捉えられるようになりました。誰かの興味の対象は誰かにとって興味のない事ですから、スポーツで感動出来るかどうかはその人の興味の範囲に委ねられるものであり、このオリンピックに対して、ひいてはスポーツに対して否定的な感情を持つ方の理屈も理解してはいるつもりです。ましてや、今日の試合に日本国民全員が感動した、とはこれっぽっちも思っていません。1億人を超える人間の感情が揃う事などまず無いですから。

その上で、自分がわかっている範囲で確かに言えることは「私は感動した」と。全員が感動しなくても、誰かは感動する。それがどのジャンルであれ、誰かの心を揺らす事が出来たのなら、それだけでその人と事の意味はあり、後に一つの偉業として呼ばれるものなのでは無いでしょうか。その形や行動は変わったとしても、きっと自分は死ぬまでスポーツを、そしてサッカーを観ていくのだろうと。そう思った夜でした。

 

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まだ3位決定戦が残っています。

W杯などでは3位決定戦はあまり良いイメージを持たれておらず、ある種のエキシビション的な雰囲気さえ漂っていますが、そういう意味ではオリンピックの3位決定戦は「世界で一番重要な3位決定戦」とも言えます。このチームは「健闘」で終わるには惜しい。物語を完遂させる為に必要なのは銅メダルを獲得する事です。まだあと1試合あります!!!!

 

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【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

準決勝

メキシコ0(1PK4)0ブラジル

日本0EX1スペイン

 

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3位決定戦

8月6日20:00 日本vsメキシコ@埼玉スタジアム2002

8月7日20:30 スペインvsブラジル@横浜国際総合競技場

 

 

ふぁー…惜しかった…。

ではでは(´∀`)