全国の諸君、ようこそサンガスタジアムへ
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第16節、京都サンガFCvs川崎フロンターレの一戦です!
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2月無敗、3月未勝利、4月僅か1敗、5月未勝利……波があるとはいえ、4月のような調子の良いタイミングではそれなりに勝点を稼いだサンガの今年の推移は、決して理想通りではなくとも…昇格組としてはさほど悪くないと思っています。
ただ、第15節からの3試合……J1の対戦相手が一巡する最後の3試合、その相手は横浜FM・川崎・鹿島と続く魔のロード。サンガにとってはまさしく、J1の怖さ、凄さ、そしてJ1とはなんぞやを突きつけられる試合になってくるはず。事実、前節横浜FM戦はまさしくその表現がしっくりくる試合でした。サンガにとってこの3試合は自分達を試し、そして試される試合です。
そして今日の相手、川崎……ACLでは敗退し、前節は湘南にまさかの大敗を喫するなどここ数年のようなシーズンを過ごせている訳ではありませんが、近年ぶっちぎりで最も成功しているJリーグチームである彼らはサンガにとっては遥か雲の上の集団。間違いなくサンガは胸を借りる立場です。ただ、サンガも川崎の胸に"何か"を刻み込めるポテンシャルは持っているはず。相手に不足なしと言えば上から目線ですが、J2で燻ったサンガにとって、現王者との戦いは心を奮わせるには十分のはず。積年の思いをぶつけるその時です!
両チームスタメンです。
サンガは前節横浜FM戦からスタメンを5人変更。前節は出番のなかった上福元直人、アピアタウィア久、松田天馬、川﨑颯太がスタメンに復帰し、U-21日本代表に追加招集された山田楓喜もスタメンに戻ってきました。ベンチメンバーはGK若原智哉とDF井上黎生人以外はかなり攻撃的な顔触れです。
川崎はまさかの大敗となった前節湘南戦からはメンバーを3人変更。両WGを家長昭博とマルシーニョのセットから小林悠と宮城天のセットに替え、CBには出場停止から復帰した谷口彰悟が復帰しました。
本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。
デイゲーム開催は今日で一旦最後。クソ暑いわ!本日は年に一度の「京セラスペシャルデー」の日でして、先着1万名には扇子がプレゼント。また、ハーフタイム抽選会ではホテル日航プリンセスのギフト券や京セラ商品が当たる抽選会も開催される他、ゲストとしてお笑いコンビのミキが来場します。
川崎と最後に戦ったのは2015年の天皇杯ですが、サンガホームでの試合は2010年以来。川崎にとっては、当然初めてのサンガスタジアムです。皆様の感嘆の声が嬉しいですね。京都府長岡京市出身の家長昭博にとっては地元凱旋試合!
本日は現地観戦!家長さんサンガにおいでよ!今日クソ暑いわようこそ盆地へ!!!スポーツ観戦日記は後日更新。
序盤はやはり、圧倒的なクオリティの高さと全体的なパワーを持つ川崎に押し込まれる時間が続いてはいました。13分には谷口のロングフィードに抜け出した宮城が落としたところに走り込んだ佐々木旭がミドルシュート。立て続けに15分、サンガのビルドアップの乱れを突かれ、レアンドロ・ダミアンが大決定機を迎えますが、ここはGK上福元がビッグセーブを見せます。
しかし前節横浜FM戦では最後まで相手のペースに付いていけなかったのに対して、今日は20分過ぎくらいからはサンガとしても川崎のプレースピードや圧力に慣れたのか、ライン設定から試合の展開まで、川崎に対して押し返せるようになっていきました。積極的にプレスに出れるようになり、ボール保持の際にも上福元が一つ前に出ることでボール回しに参加。そうする事で、例えば白井康介や荻原拓也を中心としたサイド攻撃も繰り出せるようになっていきます。
攻撃的姿勢を示した影響もあってか、逆に川崎にサイドからチャンスをつくられる場面もいくつか出てきたものの、前半アディショナルタイム前後になると試合はかなりサンガペースに。アディショナルタイムには絶好の位置でFKを獲得するとピーター・ウタカが狙いますが、これは壁に阻まれてゴールならず。前半は0-0で終えます。
後半開始と共にサンガは山田を下げて宮吉拓実、川崎は宮城を下げてマルシーニョをピッチに送り、両チームともWGを変更して後半に入ります。最初にこの交代が活きたのは川崎で、50分に山根視来の縦パスを受けた脇坂泰斗が意表を突くアーリークロス。ここにマルシーニョが走り込んで決定機を迎えますがシュートは枠を捉えられず。直後にはパス交換から左を抜け出した佐々木が折り返してあわや決定機を迎えるところでしたが、ここは白井がカバーに入ってなんとか阻止します。
対するサンガも52分にカウンターから左サイドで荻原がボールを持つと、グラウンダーの折り返しにウタカが体勢を崩しながら放ったシュートは惜しくも枠の上。
川崎は55分にも左を抜けた遠野大弥のクロスにダミアンが走り込みますが、ここはシュートをミートさせられず。後半はどちらも、左サイドを起点とした攻撃でまるで時計回りのように攻守が入れ替わり、お互いにチャンスにまで辿り着くスリリングな展開になっていきました。
そんな中でスコアが動いたのは60分。左サイドで荻原はスローインで麻田将吾にボールを下げると、麻田の縦パスを受けた松田と武田将平のパス交換から抜け出した荻原が左サイドを抉り倒します。マークに追う小林を振り切って入れたクロスはニアに飛び込んだ宮吉とファーに走り込んだ福岡慎平には合わずとも、2人のプレッシャーの影響もあって佐々木のクリアがそのままオウンゴールに!オウンゴールという形でこそあったものの、サンガがこの日、何度も形にしていた鮮やかなサイド攻撃でサンガが先制!
勢いに乗ったサンガ。逆に勢いを受ける立場になった川崎。先制直後の63分には川﨑颯太(ややこしい!)のフィードを宮吉が身体を張ってウタカに落とすと、谷口にタックルを喰らいながらもウタカがGKチョン・ソンリョンの頭上を越すシュート!その軌道にスタジアムの誰もが追加点を確信しましたが、しかしこれは佐々木が頭でスーパークリア。オウンゴールを取り返すスーパーディフェンスで阻止します。
川崎は前述のプレーの前に瀬古樹、そして京都出身かつこの日はベンチスタートとなった家長を投入。サンガはコンパクトかつ果敢なプレッシングで川崎が自由にプレーできない状況を常に作り出しながらも、一方でそのプレスを剥がす力を持つ川崎だけに、川崎の猛攻と、耐えるというよりもそれに立ち向かうサンガのような構図で白熱の時間は進んでいきます。山根や家長がサンガDFを混乱に陥れようとするようなクロスを何度も入れ、そして川崎も88分にそういうボールへの強さを持つ山村和也を投入してパワープレー体勢に。
公式戦としてはサンガスタジアム史上最多の観客動員となった、川崎サポーターを含めた17417名の観衆が白熱の試合展開に息を呑む中、アディショナルタイム…94分にはこの日最もスリリングな瞬間が訪れます。瀬古の縦パスを右寄りの中央で受けた小林は途中出場の知念慶にボールを当て、自身は左に流れて知念のポストを受ける…まさしく経験豊富なトップストライカーらしい動きで特大の決定機を創出。小林がシュートモーションに入ったその時、まさしくスタジアムの時が止まったような感覚に苛まれるも…シュートはポストに。
そして試合終了。サンガにとって7試合ぶりの勝利は、ずっと目標にしていた相手から勝ち取った大きな勝利になりました!!!!…なお、川崎の連敗は4年ぶりとのこと。
いやー……凄い試合でしたね。もうほんと、ね。凄かった。ヒリヒリする試合でした。
上でも書きましたけど、やっぱり川崎のパワーだの圧力だのは強烈で。最後は川崎の猛攻を受ける時間にはなっていましたけど、試合を通じて耐えるんじゃなく立ち向かえていましたし。結果こそオウンゴールだったとはいえ、荻原があのような形で左からチャンスを作る攻撃はサンガが何度も出来ていた攻撃でしたから、オウンゴールした本人である佐々木にとってはアンラッキーだったとしても、サンガにとってのあのゴールは偶然ではなく必然の攻撃でした。荻原の突破力、松田と武田のパス交換、そこに当てた麻田の縦パス、ニアとファーにそれぞれ走り込んだ宮吉と福岡……「いつか川崎を倒せるようなチームに」というところから始まったサンガの軌跡を一つ体現するようなゴールだったんじゃないでしょうか。
…あと、触れておくべきポイントは前節横浜FM戦、或いは前々節の広島戦の事でしょうか。これまでのサンガは負けた試合でも、なんというか…まぁ、割とやれてたというか。スコア的には1-4のボロ負けだった磐田戦にしても内容的にそんなにやられた試合でも無かったのが、要はJ1のテンポ感に圧倒的な差を感じるような機会はあまりなかったと思うんですよね。今回の連敗…特にマリノスとの試合はもうコテンパンにやられたと。そういう意味では、マリノス戦でJ1的なスピードを見せつけられたのは、サンガにとって必要な過程だったように思います。
とにかく、本当に…現地でこの試合を観れた幸運に感謝出来る試合でしたね。こんなヒリヒリする試合を観れた、しかもそれをあの川崎フロンターレ相手に、曺監督が就任した頃、勝てるなんて夢にも思わなかったような相手に。サンガがこれからどんな軌跡を、クラブスローガンにあやかれば冒険を送れるのかはわかりませんが、間違いなくクラブの歴史に、ファンの心に鮮やかな1ページとして刻まれる試合でした。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
明治安田生命J1リーグ第16節分は、サガン鳥栖vsガンバ大阪戦のマッチレビューのページからご覧下さい↓
ちなみに日本ダービーは負けたぞ。
ではでは(´∀`)