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ネクストステージ〜明治安田生命J1リーグ第29節 京都サンガFCvs鹿島アントラーズ マッチレビュー〜

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おいでよ、関西の森

 

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第29節、京都サンガFCvs鹿島アントラーズの一戦です!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。


 

 

 

「結局いつかは鹿島に勝たねばならない」……それはある種、昇格組がJ1での戦いで背負う宿命というか、ぶつかる壁の一つであるようにも思います。

前節、神戸との絶対に負けられない直接対決では、曺貴裁監督の就任後から目指してきたスタイルをそのまま体現したかのような試合内容で完勝してみせたサンガ。その勢いのまま、天皇杯では東京Vを下して11年ぶりのベストを進出を果たし、もしかすればサンガは再び絶好調でリーグを運べた4月の勢いを取り戻せるかもしれません。この残留争いの中で、再びその勢いの中に身を投じることが出来れば、来季もJ1で戦う未来図は容易く描ける事でしょう。

そういう意味でも、長年Jリーグにとって盟主的な存在であり続けた鹿島相手に今日、どのようなパフォーマンスを見せ、どのような結果に繋げるか…その結果一つで、サンガには沈むことも、再び大きく跳ね上がる事もどちらも可能なだけの意味がこの試合にはあります。大混戦の残留争いの中、一つ抜け出してサンガは来季を見据えることが出来るかどうか、今というこの12年ぶりにたどり着いた舞台を謳歌出来るかどうか……THE・J1のような相手を前に、サンガが試される場面はまだ続きます。

両チームスタメンです。

 

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サンガは前節神戸戦からはメンバーを一人だけ変更。長井一真が外れて白井康介を右SBに戻し、左SBには夏に鳥栖から獲得した佐藤響が第23節G大阪戦以来となる出場となりました。天皇杯の東京V戦で大活躍したパウリーニョもベンチに入っています。豊川雄太にとってはプロデビューした古巣の試合であり、鹿島の岩政監督とは岡山でもチームメイトとして師弟関係を築いていました。

鹿島は前節浦和戦からはメンバーを5人変更、天皇杯でターンオーバーをしたサンガとは異なり、天皇杯でも浦和戦と同じメンバーを起用していたので、そこからもメンバーを若干入れ替えた形になります。今季はCB起用がメインだった三竿健斗を中盤に配置し、CBにはブエノが第16節FC東京戦以来の先発。夏の補強組であるエレケも移籍後初スタメンになりました。また、右SBでは小田逸稀が今季初出場。荒木遼太郎が第5節湘南戦以来半年ぶりのスタメンとなりました。

 

本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。

本日は京都銀行スペシャルデーとして開催。京都銀行のスポンサーデーとしてはお馴染みというか、もはや伝統行事のタオルのプレゼントは今年も健在。京都に住むと、京都銀行デーのタオルは結構な場面で見かけたりするのはささやかなあるあるだったり。試合前にはFANTASICSの中島颯太氏と瀬口黎氏が来場してトークショーを開催。試合前には海上自衛隊舞鶴音楽隊の演奏も行われます。また、前節の神戸戦に続いて今日もサンガは9月限定のリミテッドユニフォームを着用して試合に挑みます。

鹿島にとって初めてのサンガスタジアムでの試合。サンガの今季のホームゲームは今日を入れて残り4試合ですが、名古屋はルヴァン杯C大阪はプレシーズンマッチでの経験がある事を踏まえると、今日鹿島がサンガスタジアムで試合を行った事でまだサンガスタジアムを知らないのは横浜FMだけという事になりました。奇遇にもどちらも降格経験を持たないクラブという…。サンガと鹿島の対戦成績は、鹿島が圧倒的に勝っているのは言わずもがな。ただ、ホームゲームでは意外にもそこまで対戦成績が悪いわけではないんですよね。この新たな本拠地で鹿島を倒す事で、サンガがまた一つ跳ねるきっかけを作ってほしいところです。

ちなみに本日は京都サンガFCガンバ大阪セレッソ大阪ヴィッセル神戸と関西4クラブの試合が全て同時刻、全てホームゲームで行われる奇跡的な一日!関西シリーズです!!

 

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エレケの決定機から始まった試合は鹿島がボールをキープする時間が長く続きながらも、サンガも時折鋭いカウンター見せていった事で序盤からお互いがペースをどう握るか…が問われていくような展開になっていきました。

13分にはディエゴ・ピトゥカの右からのCKをファーに回り込むように入った小田逸稀がヘディングシュートを放ちますが、ここはGK上福元直人が阻止。しかしこの場面からサンガはさらに前へのギアを入れていき、ラインの設定も高くなった事で鹿島を押し込む下地が出来てきた中で迎えた20分でした。右からボールを繋ぐとバイタルエリアで川﨑颯太がボールを受け、鹿島DFの間隔が開いたタイミングを見逃さずにペナルティエリア内に縦パス。これを受けた山﨑凌吾が巧みなボディーコントロールで相手DFを完全に振り切ると、最後はGKとの1対1を冷静に制してサンガが先制!!

 

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先制点を取った後も、しっかりビルドアップで自陣から深く攻撃を展開したがる鹿島に対してサンガは3トップからしっかりとプレスを行い、更にボールホルダーへのプレスのみならず、ボールの受け手やコースに対するケアもしっかりと考慮した見事な守備の連動性を見せながら試合を進めていきます。神戸戦とは異なり、そのプレスを剥がされてサンガ陣内まで持って来られる場面も少なくはなかったものの、自陣に入られても危険な場面の前にしっかりと潰せており、むしろ時間が経つほどに鹿島のリズムにも慣れたのか守備の安定度は増していきました。

 

前半アディショナルタイムにはショートカウンターからミドルゾーンで山﨑がボールを持つと、上手くタメを作って右サイドを走り抜けた白井康介にパス。白井のクロスにエリア内の豊川雄太が合わせて決定的な場面を迎えましたが…シュートは惜しくも枠の左へ。それでも神戸戦に続いて満足度の高いパフォーマンスを見せ、前半をリードで終えます。

 

 

サンガは後半から佐藤を下げて本多勇喜、鹿島はブエノのエレケを下げて名古新太郎とエヴェラウドを同時投入して後半に向かいます。

やはりビハインドの立場にある鹿島がギアを入れてきた部分はありましたが、神戸戦しかり、サンガはボールを奪った後のビジョンがはっきりしていた事で、前半と同じくそこから鹿島陣営の肝を冷やすような場面を多く作っていきました。そのスタンスは豊川の負傷交代で58分から入った木村勇大が入ってからも変わらず、エネルギッシュな姿勢を鹿島相手に常に示し続ける事で、かえって鹿島が前に出にくくなるような状況を生み出せていました。

 

対する鹿島は58分、荒木遼太郎と土居聖真を下げてアルトゥール・カイキ、そしてベンチスタートとなっていた鈴木優磨を投入。70分には小田を下げて樋口雄太を投入し、鹿島は早い段階で5枚の交代カードを使い切ります。サンガも73分に山﨑を下げてメンデスを送り込んでシステムを3-4-2-1に変更。3バックにシフトするいつもの方程式で逃げ切りを図りました。

しかし76分、中央で溜めたエヴェラウドのパスに左サイドから中に入ってきた安西幸輝が反応。安西はトリッキーな浮き球でのパスを選択すると、走り込んだピトゥカの神業的トラップから最後はGK上福元との1対1を制され……ここに来て試合は振り出しに。

 

85分、サンガはピーター・ウタカと福岡慎平を投入。同点に追いつかれた後のサンガも82分には松田天馬の突破から武富孝介が決定機を迎える場面もありましたが決められず。そしてその後は何度かバイタルエリア付近まで迫る場面こそあったものの、試合としては完全に鹿島の猛攻を喰らう形となってしまいました。

アディショナルタイム、エヴェラウドの落としに鈴木がシュート。しかしここは上福元がセーブ。その後も鹿島の猛攻に対して、サンガは懸命なプレスとブロックでなんとか身体を張り続けて試合終了。サンガにとっては大きくも痛く、痛くも大きく……ただ、上位相手に貴重な勝点1を得ました。

 

 

 

前半は神戸戦の流れ・手応えを踏襲したようなサッカーを存分に展開出来ていたと思います。サンガのアグレッシブだけどしっかり計算されたプレッシング…みたいな。ただその中で、やはり神戸戦とは異なり鹿島は簡単に剥がさないですし、そして彼ら自身がしっかりと前に持ち出してくるパワーを見せてきた。そんな中でサンガも守備ではゲームモデルをしっかりと反映さえ、先制点のシーンに代表されるように、攻撃ではしっかりと鹿島をズらすような動きをチームとして展開出来ていたと思いますし、後半も決してそれが出来ていない訳ではありませんでした。

鹿島からすれば、カウンターに徹するならまだしも、やっぱり今の鹿島がポゼッション気味のやり方をしようと思うと鈴木優磨が必要不可欠でした。鈴木のスペシャルな能力は攻撃を器用に減速させられる事であって、そこでの緩急が相手にとっての守りにくさを生む。そう考えれば、前半は鈴木がいなかった事でサンガはある程度理想通りに運べたとも言えますし、鈴木投入後はやはりサンガにとって難しい展開を強いられ始めた………それでもサンガは同点弾まではカウンターを脅威として持ち合わせられていたんですけど、あの神業みたいな同点弾で追いつかれたダメージは小さくなくて、やはり"鹿島に追いつかれた"という事実に負けてしまったような感覚はあります。

 

その状況で結果的に1-1で終わらせられた事には確かにサンガの根性的なものを見た気はしましたし、内容がどうであったとしても上位の鹿島から勝点1を拾えたのは、残留争いでは比較的優位な位置にいるサンガにとってはポジティブな要素。この引き分けは決して悲観的なものになるような結果ではありません。

ただ、鹿島に追いつかれた後の劣勢をどうやって跳ね返していくかは、これはサンガが脱皮する為に来年以降のテーマになってくるものだと思います。そしてこのテーマと向き合う為にも残留しなければならない……J1でも戦えるところ見せる事、その次のステージのテーマを見せつけられたような試合でした。

 

 

IPPON…

ではでは(´∀`)