当ブログではカタールW杯をより楽しむべく、今回の放送日程や開催スタジアムに各国のチーム・選手・監督の紹介といったカタールW杯情報、カタールW杯の試合のマッチレビューや予想を楽しめるコンテンツの他にも、カタールW杯に向けた日本代表情報や森保ジャパンの歩みに加え、日本や他の国を含めた過去のW杯を振り返るようなブログを随時更新しており、それらを【RK-3カタールW杯観戦ガイド】として下記のページにまとめています。是非ブックマークならなんなりしていただいて、あなたの1ヶ月間の狂気のお供にしてください!
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天国と地獄、歓喜と絶望、躍進と屈辱……
Jリーグというスーパーウルトラちゅらちゅらカオスリーグを象徴する狂気のイベント、J1参入プレーオフが10月30日より開幕します!!
コロナ禍の影響に伴う特例レギュレーションにより、2020〜2021年は行われなかったこの大会。2019年以来の復活となるこの狂気の3週間で、果たして笑うのはどのクラブか、泣くのはどのクラブか………スポーツというよりも、もはや人間ドラマのような戦いです。
【2022 J1参入プレーオフ決定戦】
1回戦 10月30日(日)
13:05 ロアッソ熊本(4位)vs大分トリニータ(5位)@えがお健康スタジアム
14:00 ファジアーノ岡山(3位)vsモンテディオ山形(6位)@シティライトスタジアム
2回戦 11月6日13:05@1回戦勝利チームのうち、年間順位で上位クラブのホームスタジアム
決定戦 11月13日13:05@J1で16位クラブのホームスタジアム
という訳で今回は久々のプレーオフを記念して、過去のプレーオフの名勝負ベスト5を独断と偏見で選んでみたいと思います!
オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。
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2012 J1昇格プレーオフ準決勝
2012年11月18日14:04@京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場
大分得点者:森島康仁(17分、33分、61分、90分)
前年度は天皇杯準優勝を成し遂げ、開幕前の某予想番組では解説者6人全員が自動昇格、更にそのうちの5人が優勝予想に据えたほどの京都だったが、迎えた2012年は最終節で自力で昇格を決められる立場ながら勝ち切れず3位に転落してプレーオフに回る。対する大分は深刻な経営危機があった中で躍進を遂げ、県や地元経済界、そして県民市民からの支援もあってなんとかJ1昇格の権利を取り戻すところまで繋ぎ止めた。しかし、チームとしての地力や体力、前年を含めたチームの状態は勿論、この年から始まったプレーオフの「引き分けの場合は上位チーム(=京都)の勝利扱い」というルールもあり、戦前の予想は圧倒的に京都優位と任されていた。
しかしそのアドバンテージが足枷となったのはむしろ京都の方で、大分の機動力の前に大木武監督の下で築いたパスサッカーが機能不全に陥ると前半から2失点を喫する。後半に入ると染谷悠太が退場処分を受け、もはや劣勢を跳ね返す術も無くなった京都は大分の渦に飲み込まれていくかのように崩壊。森島康仁一人に4得点を奪われ、初のプレーオフに待っていたのはあまりにも衝撃的な結末だった。勢い付いた大分は決勝で5位の千葉と対戦し、2009年に京都の選手として大分の降格を決める得点を挙げた林丈統の決勝点でJ1への扉を切り開いた。
京都からすれば前年であれば3位でも昇格が叶ったのだが、プレーオフが始まってから2年連続3位という余りにも間の悪い結果に終わってしまった。プレーオフに泣かされ続けた大木監督は今季、熊本を率いて4位に導く大躍進を果たした。そしてプレーオフの初戦では再び大分と戦う事となったが、果たして……。
2018 J1参入プレーオフ2回戦
2018年12月2日13:03@ニッパツ三ツ沢球技場
2018年から「昇格プレーオフ」が「参入プレーオフ」へと変更され、これまでのルールで言うところの決勝を制したチームがJ1の16位と入れ替え戦を戦う方式になった。
気が付けば昇格争いさえも遠い目標になっていたヴェルディだが、後にJですっかりお馴染みとなるロティーナ監督を招聘した2017年に初のプレーオフ進出を果たすと2018年も6位でプレーオフ出場権を獲得。1回戦では数的不利の状況から大宮に勝利して2回戦に駒を進める。一方の横浜FCも近年は昇格レースから遠ざかっていたが、2018年は2位大分と同勝点の3位でフィニッシュする躍進を見せ、4位に入った町田がJ1ライセンスを有していなかった事から1回戦をシードされる形となった。
前半は横浜FC、後半はヴェルディペースで一進一退を繰り広げた試合は両者とも好機を多く作ったが、南雄太と上福元直人の両GKの攻守もあって0-0のままアディショナルタイムに突入する。引き分けのまま終われば磐田との入れ替え戦に進める横浜FCだったが、ヴェルディ守備陣のミスを突いて抜け出した瀬沼優司のシュートが僅かに逸れると、ヴェルディは土壇場で獲得したCKでGK上福元も含めた全員攻撃を敢行。その上福元のドンピシャのヘディングシュートは南が弾いたが、こぼれ球に詰めたドウグラス・ヴィエイラが押し込んで勝負あり。その後は磐田には敗れたが、ヴェルディがJ1復帰に最も近付いた瞬間だった。
第3位 アドバンテージを超えて…
2015 J1昇格プレーオフ決勝
2015年12月6日15:37@ヤンマースタジアム長居
福岡得点者:中村北斗(87分)
2015年のJ2は降格組の大宮、セレッソ、徳島に加え、札幌、千葉、磐田、京都、大分など昇格候補が多く、特にJ2ではどう考えても反則クラスの戦力を揃えたセレッソという存在がいる中で、前年までの布陣や財政難もあり、福岡への期待値はそこまで高くなかった。しかしシーズンが終わってみれば福岡は最終節まで自動昇格を争い、3位でプレーオフには回ったが勝点では2位磐田と並ぶなど躍進。一方、本命視されていたセレッソは好不調の波が激しく、自動昇格圏内に加わらないまま4位に留まってしまう。準決勝も長崎に勝利した福岡に対し、愛媛にスコアレスドローで何とか決勝に進む状態だった。
しかし試合前に一悶着が起きる。中立地開催が原則のプレーオフ決勝だったが、試合会場はセレッソのホームであるヤンマースタジアム長居だった。長居での開催自体は3月の時点で決まっており、決定プロセス自体は前年度と同様のものだったとはいえ、結果的に「上位チーム(福岡)に対し、下位チーム(セレッソ)がアドバンテージを得る」という形式となった事でJリーグに問い合わせが相次ぐ事態に至る。図らずもホームの声援を得る形になったセレッソは前半から攻勢を強めながら当時柏からレンタル中だった中村航輔の再三に渡るファインセーブに阻まれながらも、60分には関口訓充のスルーパスに抜け出した玉田圭司のゴールで遂に均衡を破る。
それでも終了間際、福岡は亀川諒史のグラウンダーのクロスはファーサイドに流れたが、そこに走り込んだ中村北斗が豪快に突き刺して同点。引き分けなら敗退となるセレッソはパワープレーを仕掛けるが、エジミウソンのヘッドが僅かに枠を逸れたのをラストプレーに試合終了。最後は福岡が引き分けアドバンテージを取り返す形でJ1昇格。井原正巳監督は監督1年目での快挙だった。3位チームがプレーオフを制するのは2015年の福岡が初めてであり、上位チームの勝利も準決勝長崎戦での勝利が初だった。ちなみに、ここに至るまでの3位チームは京都・京都・千葉である。
尚、2016年以降は決勝戦も上位チームのホームで行われる事がこれ以降通例となった。
第2位 雨のアルウィン
2016 J1昇格プレーオフ準決勝
2016年11月27日15:33@松本平広域公園総合球技場
松本得点者:パウリーニョ(74分)
J1での初挑戦となった2015年は16位で降格という結果に終わったものの、降格した2016年は例年であれば優勝基準とすら言える勝点84を獲得した松本だったが、札幌・清水との壮絶な昇格レースは優勝した札幌とは1差、2位清水とは勝点で並びながらも得失点差で敗れた事でプレーオフを余儀なくされた。一方の岡山はそれまで開幕ダッシュには成功しても後半戦で力尽きたように失速する事が多く、結局昇格戦線に絡めないままシーズンを終える事が多かった中で、2016年は比較的安定した成績を残しながら6位でフィニッシュ。クラブ史上初めてのプレーオフ進出を果たした。とはいえ、リーグ戦に於ける両者の勝点差は19にも及んでおり、絶対的なホームとして知られる松本のホーム、アルウィンだった事で松本有利の声は変わらなかった。
しかし雨と霧に包まれた極寒のアルウィンは、ある種のサクセスストーリー的な試合展開を見せていく。ロングボールを多用しながら松本守備陣の背後を狙っていくスタンスを見せた岡山は22分、赤嶺真吾がロングボールに競り勝ったボールに反応した押谷祐樹が冷静に決め切って先制点を奪う。しかし後半は松本が怒涛の猛攻を見せ、主将を務める岩政大樹らの奮闘も光って何とか凌ぎ続けた岡山はまさしく肉壁のごとく松本の攻撃に耐えていたが、74分にはセットプレーからパウリーニョに決められて同点。ルール上、後がなくなった岡山は岩政を下げてパワープレーを仕掛ける。そんな中で迎えたアディショナルタイム、中央でボールを受けた矢島慎也はバイタルエリアに浮き球のボールを供給すると、これを豊川雄太が頭で繋ぐ。松本の守備陣が一瞬ボールに気を取られた、ほんのその一瞬の僅かなスペースを突いたのは赤嶺。慌てて飛び出すシュミット・ダニエルの守備を無力化するには、インサイドのワンタッチだけで十分だった。
雨と霧に包まれた圧倒的なアウェイと圧倒的な不利から逆転してみせたドラマは、プレーオフの象徴としてその後何度も振り返られるようになった。
第1位 漫画でもやりすぎやろ…
2014 J1昇格プレーオフ準決勝
2014年11月30日13:04@ヤマハスタジアム
磐田得点者:山崎亮平(45+3分)
山形得点者:ディエゴ(26分)、山岸範宏(90+2分)
プレーオフの歴史はおろか、Jリーグ史に残る衝撃的な試合展開となり、そしてその話題は世界さえも轟かせた伝説の一戦。
2014年の磐田は言うまでもなくJ1昇格・J2優勝の本命候補で、フロント陣の刷新や一部主力の退団こそあったが、開幕前の時点ではブラジルW杯を狙える立ち位置にいた前田遼一、駒野友一、伊野波雅彦らの残留、更にそこに松井大輔を加えていた。しかし、湘南の異次元ペースの快進撃を抜きにしても勝点が伸び悩み、伏兵・松本とのデッドヒートを強いられる。磐田は9月にシャムスカ監督を解任してクラブOBの名波浩監督を招聘したが引き分けが嵩み、最後は松本はおろか、千葉にも抜かれて4位でシーズンを終えていた。一方、山形は降格以降の2シーズンで続けて二桁順位に留まっていたが、この年は石崎信弘監督を招聘すると、中盤戦までは苦しんだが後半戦の巻き返しで6位に滑り込みフィニッシュ。戦力差やアドバンテージは磐田に分があったが、山形は2週間前に同じヤマハスタジアムでのリーグ戦で磐田に2-0で勝利した好感触がまだ残っていた。チーム状況的に山形が勝つ事自体は想像も出来た。しかしその展開までを予想した人は誰一人いなかっただろう。
前半から一進一退の展開となった中で先制に成功したのは山形で、26分に山田拓巳のクロスをディエゴが合わせて1点をリード。しかし磐田も前半アディショナルタイム、宮崎智彦のミドルシュートのこぼれ球を山崎亮平が詰めて同点に追い付いた。後半、引き分けでは勝ち上がれない山形はエースのディエゴをは招待状で欠く痛手を負う中で事実上のビハインドを背負う形になってしまう。しかしこの頃には「引き分けOK」というプレッシャーに上位チームが苦しむ事が恒例になっていたのもあってか、磐田が勝ち越し点を狙う為に攻め込む時間が続き、山形はビハインドながら押される時間が続いていた。それでも山形はアディショナルタイム、伊東俊が中島裕希とのワンツーに抜け出して決定機を迎え、ここはGK八田直樹に阻止されながらも右からのCKを獲得する。
まだ1分か2分は残っていたが、これが最後のチャンスになる事は皆理解していた。ベンチからの指示を受け、夏に浦和から加入したGK山岸範宏が最前線に駆け上がる。キッカーの石川竜也が蹴ったボールに、ニアで誰よりも高い打点で合わせたのは他でもない山岸だった。その軌道がファーサイドのネットに吸い込まれる時、歓喜のあまりに倒れ込んだ山岸にのしかかる山形の選手と、想像を超えた絶望に崩れ落ちる磐田の選手のコントラストが強烈にピッチに映し出された。
事実上、"引き分け"という概念がルールとして存在しないプレーオフトーナメントで起こったドラマは、まさしく事実は小説よりも奇なりを地で行くあまりにも衝撃的で、これほどまでに美しく、そしてこれほどまでに残酷に"歓喜"と"絶望"を木霊させていた。
ガンバもサンガもなんとか残留してくれよな…
ではでは(´∀`)