まだ余韻を脱せてないよね
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2022 FIFAワールドカップカタール大会、グループC第2戦、アルゼンチン代表vsメキシコ代表の一戦です!!
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それはまさに緊急事態とでも称するべきものでしょうか。11月22日、あの90分の結末は世界中に途轍もなく大きなインパクトを与え、そして世界のサッカー史にあまりにも大きな爪痕を残す事になりました。
アルゼンチン1-2サウジアラビア────W杯という概念が続く限り語られるであろうこのスコアは、今大会、ブラジルと並んで優勝候補の本命と目されていたアルゼンチンにとって余りにも衝撃的なスコアであり、優勝候補本命は一転、負ければグループステージ敗退という追い込まれた立場に立たされる事態に。もう彼らはサウジアラビア戦の前半のような余裕のあるマインドセットでは戦えず、これまでの期待はそれ以上の大きさのプレッシャーとなって跳ね返ってきました。前回大会も崖っぷちからなんとか決勝トーナメント進出には漕ぎ着けたアルゼンチンですが、果たして…。
そして今やベスト16の常連国として知られるメキシコも、アルゼンチンほど追い込まれた訳ではないけれど、結構難しい立場に立たされたのは事実です。今日勝てれば何の問題もない。ただし、第1戦で引き分けたメキシコにとって、サウジアラビアもポーランドも勝点3を得ている状況で、2点以下の勝点で最終節に臨むシチュエーションは少なからず厄介でしょう。ここでアルゼンチンを倒せば、少なくとも突破自体は濃厚になる。彼らも長年届きそうで届かないベスト8の壁を打ち破るべく、過去に何度もベスト16で自分達の夢を潰したアルゼンチンの夢を潰さなければなりません。
言い方は悪いですが、W杯に限らず…トーナメントとは、誰かの夢を潰して踏み台にする事でしか一つでも上のステージに進む事は出来ません。メッシの最後を飾りたいアルゼンチン、ベスト16の壁を打破したいメキシコ……90分後、上に来て、そして下に潰されるのはどちらの夢でしょうか。
両チームスタメンです。
初戦でサウジアラビアに衝撃的な逆転負けを喫したアルゼンチンは、初戦とは半数近い5人のスタメンを変更してきました。特に4バックはニコラス・オタメンディ以外の3枚を変更し、両SBはマルコス・アクーニャとゴンサロ・モンティエルのセビージャコンビです。中盤も半数のスタメンを変えましたが、2トップはサウジアラビア戦と同じリオネル・メッシとラウタロ・マルティネスの組み合わせとなりました。
対するメキシコは0-0で引き分けたポーランド戦からのスタメン変更は3人。しかしポーランド戦では4-1-2-3システムを採用しましたが、今日はネストル・アラウホをスタメンに組み込んだ3-1-4-2のシステムに変更してきました。初戦には出ず、今日はインサイドハーフに入ったアンドレアス・グアルダードは、これでメッシやクリスティアーノ・ロナウドに続いて史上7人目となる5大会連続のW杯の試合出場者となっています。
ちなみにメキシコのヘラルド・マルティーノ監督はアルゼンチン人で、ブラジルW杯終了後から2016年までアルゼンチン代表監督を務めており、その間にコパ・アメリカでは準優勝を2回達成しています。また、13-14シーズンではバルセロナの監督としてもメッシとは同じ場所で仕事をしていました。
本日の会場はカタール、ルサイルのルサイル・アイコニック・スタジアムです。
収容人数8万人を擁する、今大会のメインスタジアムで、12月18日には決勝戦の会場にもなっているスタジアム。古代アラブの工芸品をモチーフにデザインされた、まるでボウルの中にピッチとスタンドがあるような印象を与えるこのスタジアムは、ルサイルというW杯のカタール開催が決まった時にはまだ存在していなかった計画都市の中に造られました。ここと開幕戦が行われたアル・バイト・スタジアム以外は全て4万人規模のスタジアムなので、それだけにこのスタジアムのデカさが目立ちます。
近年のW杯は基本的に、各チーム、グループステージの3試合はそれぞれ全て異なる会場で試合を行う事が通例となっていましたが、今大会ではそこには特に拘っておらず、多くのチームが2試合は同じスタジアムで戦う日程になっています(ウェールズと韓国に至っては全試合同じ会場)。アルゼンチンはあのサウジアラビア戦に続いて2試合連続でこのスタジアムでの試合。ルサイルの悪夢を発色するのか、あの悪夢を少しでも和らげる事は出来るのか…。
カタールW杯で使用される全スタジアムの紹介はこちらからどうぞ!
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前半から壮絶な試合展開となりました。
アルゼンチンもメキシコもスタンスとしては近い設定でこの試合に挑んでおり、両チームとも相手が最終ラインで行うビルドアップはある程度放置しつつ、ミドルゾーンに入ったところで中盤のエリアで一気に潰す……というやり方を徹底としてやろうとしていました。その結果、立ち上がりから壮絶な肉弾戦がミドルゾーンで繰り広げられ、序盤から両者共に消耗の激しい試合展開に。
実際に立ち上がりからファウル、及びファウルになりそうなタックルやチャージは凄まじく多く、それだけ激しい攻防を繰り広げていた事で、メッシを始めとした前線の選手にはなかなか良い形でボールをつけられないのはアルゼンチン・メキシコ共々難点とひて発生していた事で、前半はお互いになかなか攻撃の形を見せるような余裕とスペースは生まれない試合となっていきます。
それでも前半終了間際になると、アルゼンチンは41分にメッシのCKからラウタロが頭で合わせるも枠外へ。対するメキシコも42分にアンドレアス・グアルダードを下げてエリック・グティエレスを投入し、前半アディショナルタイムにはアレクシス・ベガがフリーキックとミドルシュートでエリア外から一発ずつシュートを放ちますが、これもどちらもゴールならず。文字通りの「潰し合い」となった前半は0-0で終了。
後半もそういう展開は続きました。51分にはゴール前の絶好の位置でフリーキックを獲得したものの、メッシのキックは枠の上に逸れ…。ただ、それでも後半はアルゼンチンがよりゴールに迫る時間が増えており、試合の流れは少しずつアルゼンチンへと傾いていきます。
そんな中でアルゼンチンは57分にギド・ロドリゲスを下げてエンソ・フェルナンデス、63分にラウタロとモンティエルを下げてフリアン・アルバレスとナウエル・モリーナを送り込みます。
そして遂に試合が動いたのが65分でした。右サイドに展開したアルゼンチンですが、サイドにはスペースがなかった事でアンヘル・ディマリアはバイタルエリアに走ってきたメッシにグラウンダーのパスで折り返し。するとメッシはやや距離がある位置ながらグラウンダーで狙い澄ましたミドルシュート!!結局、最後はこの男なのか……追い込まれたアルゼンチンを救う英雄の一撃は、名手・オチョアも届かぬ絶妙なコースに吸い込まれてアルゼンチンが先制!!
先制に成功したアルゼンチンは、そこからは自分達に寄せられていたような圧が少し軽くなったのか、試合全体として少しオープンになると同時に、高い位置からのプレッシングではメキシコを制圧することができていました。逆にメキシコは切り札のラウル・ヒメネスを投入するも、ヒメネスのところまでボールを送ることが出来ず、むしろ先制する前よりもアルゼンチンがメキシコ陣内でボールを回せるような形に。
そして87分、左サイドでコーナーキックを得たアルゼンチンはショートコーナーを選択すると、ショートコーナーを受けたメッシがエリア内に入ろうとしていたフェルナンデスにパス。これを受けたフェルナンデスは右足に持ち替えてから鮮やかにファーサイドのネットに一撃を吸い込ませてアルゼンチン追加点!!
試合を2-0としたアルゼンチン。終盤はメキシコが猛攻を仕掛ける場面はありましたが、メキシコのクロスに対してアルゼンチンもしっかりと跳ね返し、決定的なピンチになる前に阻止し続けていきました。試合はそのまま2-0で終了。神の子リオネル・メッシ……その英雄が苦しむアルゼンチンの呪縛を浄化させるように、アルゼンチンが息を吹き返す一勝を掴みました!
メキシコは全体的には上手く守れていたと思います。特に前半は彼らからすればほぼゲームプラン的に言えばパーフェクトだったと言えるでしょう。メキシコからすればサウジアラビアにはどのみち勝たなければならない訳ですから、0-0はむしろポジティブな結果として受け止めていたでしょうし、ヒメネスをベンチに残している以上、終盤にラッシュをかける事も出来る。後半は少しアルゼンチンの時間が最初から長くなっていましたが、むしろ焦ったアルゼンチンが自滅する可能性は少なからずあった訳で、そういうポイントを見逃さずに狙っているように見えました。それと前半の肉弾戦の展開は無関係ではなかったでしょうし。
ただ…感想としてはやっぱり、英雄は英雄だなと。英雄は味方の全てを救うし、敵からすれば理不尽極まりない。あの一撃はそういう一撃で、この状況であんなのやられたら……理屈・理論の全てを破壊する一発だったように思います。ABEMAの中継で鄭大世も言ってましたけど、だから神の子なんだろうな…と。もうこの試合の感想はそれが全てですよね。あの一撃から、明らかに硬かったアルゼンチンが解凍されたようにイキイキした訳で。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
11月26日(大会7日目)
C組
アルゼンチン2-0メキシコ
1位 ポーランド(4)
2位 アルゼンチン(3)
3位 サウジアラビア(3)
4位 メキシコ(1)
D組
チュニジア0-1オーストラリア
フランス2-1デンマーク
1位 フランス(6)★決勝T進出決定!
2位 オーストラリア(3)
3位 デンマーク(1)
4位 チュニジア(1)
11月28日(大会8日目)
※日本時間です。
19:00 E組 日本vsコスタリカ
22:00 F組 ベルギーvsモロッコ
25:00 F組 クロアチアvsカナダ
28:00 E組 スペインvsドイツ
英雄は理不尽
ではでは(´∀`)