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未練は宿る〜2022 FIFAワールドカップカタール大会 準決勝 アルゼンチン代表vsクロアチア代表 マッチレビュー〜

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どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー2022 FIFAワールドカップカタール大会 準決勝、アルゼンチン代表vsクロアチア代表の一戦です!!

 

カタールW杯観戦ガイド更新中!是非覗いてください!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

自称・当ブログ的カタールW杯テーマソング

 

世界を狂気で包み込むフットボールの祭典も残すところは4試合。もう最後の1週間になりました。クライマックスとは全てが決まると同時に、W杯が終わるという事。本番の熱狂と終幕の寂しさに酔いながら、残る4試合を噛み締めていきたいところです。

 

 

世界には時として、スーパースターを超えた存在が現れる時があります。基本、スーパースターはあくまでもフットボールのヒーローとして扱われる……例えばそれは、今大会で台頭した日本代表選手でもそうですし、今現在、世界的にトップスターと呼ばれる選手にしてもそれは同じです。

ただ、時としてその国にとって、スポーツを超えた英雄が生まれる季節がある。そしてその人物の夢が全員の夢になり、全員の夢が彼の肩に乗った時……精神論的な話にはなってくるかもしれませんが、人が一番団結する瞬間はそういう時なのかもしれません。アルゼンチンとクロアチア……この2つはそういう夢に乗った2チームでした。

まさかの敗戦のショックを英雄の一発で断ち切った瞬間、全ての視界が開けたかのように輝きを取り戻したアルゼンチンと、強烈なリーダーシップとカリスマ性をピッチの内外で強烈に示す選手の周りに人智を超えた能力を集め、ベルギーやブラジルを薙ぎ倒したクロアチア……サッカーに於いて、戦術は絶対的に不可欠なファクターではありますが、この舞台まで来たらそれもあくまで構成するパーツの一つに過ぎないのかもしれません。

16年前、リオネル・メッシが代表初ゴールを決めた試合は、ルカ・モドリッチの代表デビュー戦でした。W杯とは常に切なく儚い軌跡の上にあり、そこに答えを添えられる瞬間は4年に一度しか訪れない。だからこそ、いちサッカーファンから国の英雄までもがこの狂気の祭典に酔い、狂い、そして全てを懸ける。だからこそW杯はいつでも特別なものであり続けるのでしょう。さぁ、英雄の夢を乗せた二つの船の航路がぶつかる時が来ました!

両チームスタメンです。

 

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準々決勝のオランダ戦ではオランダに合わせる形で3バックにシフトして戦ったアルゼンチンですが、今日は通常の4-4-2システムに戻してきました。今日はアクーニャとモンティエルが出場停止の為、タグリアフィコとパレデスが先発としては初戦のサウジアラビア戦以来のスタメン起用となっています。

クロアチアは準々決勝のブラジル戦からのスタメン変更はなく、ブラジル戦と同じ11人をそのまま今日も起用してきました。基本的にクロアチアはスタメン変更を行っていないので、ソサとパシャリッチ以外の9名は初戦から全試合スタメン出場中。特にGKリバコビッチに加えてユラノビッチ、グヴァルディオル、ロブレンは延長戦を含めた全試合にフル出場しています。

 

本日の会場はカタール、ルサイルのルサイル・アイコニック・スタジアムです。

スタジアムの外観は古代アラブの工芸品をモチーフにデザインされた、まるでボウルの中にピッチとスタンドがあるスタジアムはルサイルという都市に建設されました。このルサイルは計画都市であり、何もない土地に人工的に街を作ってしまったという何ともまあカタールらしい……。ルサイルには2015年ハンドボール世界選手権の決勝や有名アーティストのコンサートを頻繁に開催するルサイル・スポーツ・アリーナや、2021年からF1のカタールグランプリが行われているロサイル・インターナショナル・サーキットもあります。ちなみに、クロアチアがこのスタジアムで試合をするのは初めてですが、アルゼンチンはここまでの5試合のうちの3試合をここで戦っており、もし決勝戦に進んだ場合はベスト8のオランダ戦から3試合連続で同じスタジアムで戦う事になります。

今大会の会場で最多となる収容人数8万人を擁し、決勝戦に至るまで、この大会で最も多くの試合を開催する今大会のメインスタジアム。即ち、ここで勝利した者が再びこのスタジアムで、決勝戦を戦います。このスタジアムに荷物を残して宿舎に帰ることができるのは水色と白のストライプか、はたまた赤と白のチェック柄か…(今日は2ndユニフォームだけど…!)

 

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カタールW杯で使用される全スタジアムの紹介はこちらからどうぞ!

 

 

 

準決勝というだけあって、お互いにセーフティーな入りとなり、ミドルゾーンでの応酬が試合の主で、前半は静かな入りになっていました。アルゼンチンはクロアチアの自陣でのポゼッションに関してはある程度持たせてる状況を作り、ミドルゾーンに入ってきた時に一気にプレスをかける事で対応。クロアチアがボールを握る時間の方が長かったものの、アルゼンチンも自陣に入る前にそれを食い止める…という攻防が相次いでいた事で、あまりに動きは少ない展開が続いていました。

 

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そんな中でクロアチアはサイドにロングボールを振りながら、ピッチをワイドに使うことでアルゼンチンに隙を生み出させようと試みていきます。そういう攻め方への対応としてアルゼンチンの4-4-2が強みを発揮していた中、クロアチアがチャンスを掴んだのは31分。そのクロアチアの試みが少しずつ形になり始めると、左サイドに張ったペリシッチがそのギャップを突くようにエリア内に侵入してループシュート

このシュートは決め切れませんでしたが、このシュートから試合は確実に動き始めました。ただしそれは、クロアチアにとって望ましくない形として………。

 

ペリシッチのシュートが外れた直後でした。32分、やや前めになったクロアチアの陣形を裏返すようなパスをボールを回収したフェルナンデスが繰り出すと、一気に裏に抜け出したアルバレスがGKリバコビッチと交錯。これがリバコビッチのファウルとなってPK判定となり、このPKをメッシが豪快に決め切ってアルゼンチン先制!

メッシはこのゴールで、アルゼンチン代表に於けるW杯通算ゴール数がガブリエル・バティストゥータを抜いて単独1位という事に。

 

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更に立て続けに39分でした。クロアチアを防いだところからアルバレスが1人カウンターを敢行。中央をストレートに貫いていくかのように独走を仕掛けると、最後はまるで自分ごと相手DFを薙ぎ倒していくようにゴールまで辿り着いてアルゼンチン追加点!

クロアチアのリズムになり始めたタイミングで牙を剥いたアルゼンチンのカウンター……。アルゼンチン先制後は完全にアルゼンチンのペースと化し、前半は2-0で終えます。

 

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クロアチアは後半開始と共にソサ、パシャリッチを下げてオルシッチとブラシッチを投入。しかしそれでもアルゼンチンの方が優勢にゲームを進めたところを見て、クロアチアのダリッチ監督はチームの生命線であった3枚の中盤を解体し、50分の段階でブロゾビッチを下げてペトコビッチを投入して4-2-3-1システムにシフトします。

クロアチアはこのシステムにした事で前への意識はチームとして固まり、モドリッチのプレーエリアを下げる事でモドリッチを配球役として機能させようとしていました。

 

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しかしその狙い自体は一応成功していたものの、アルゼンチンも62分にパレデスを下げてリサンドロ・マルティネスを投入してシステムを3バックに変更し、アタッカーを増やしてきたクロアチアに対して対抗します。アルゼンチンはここからカウンターを完璧にパターン化させられるようになり、固めた3バックと中盤のインテンシティーの強すぎるプレスで何度もカウンターを繰り出すようになっていって、試合はアルゼンチンの思う壺のような形にすらなっていきました。

 

そして伝説のようなゴールが生まれたのは69分でした。右サイドでボールを受けたメッシがそのままドリブルで持ち運ぶと、対峙したのはゆくゆくは世界最高のCBと呼ばれるであろうグヴァルディオル。右サイドで行われた注目のデュエルは、メッシが現世の王としての矜持と実力を見せつけるかのようにグヴァルディオルを完全に抜き去って折り返し、最後はアルバレスが合わせてアルゼンチンが3点目!

まさに神のなせる技とも言うべきあまりにも鮮やかな……。

 

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クロアチアは81分に象徴・モドリッチを下げて最後の攻撃を仕掛けようとしますが、クロアチアの攻撃に対してもアルゼンチンは試合を丸め込むかのような守備を常にし続けており、クロアチアもなんとか惜しい場面は作ったものの……それがゴールという結果には結び付かず、彼らにとっては苦しい時間が流れるまま…。

 

アディショナルタイムのラストワンプレー、モドリッチ同様に、長きにわたってクロアチア代表を支えてきたCBであるロブレンがオーバーラップからミドルシュートを放ちます。しかしこのシュートが僅かに枠の上に逸れた瞬間に試合終了…。クロアチアの躍進はベスト4で止まりました。そして、アルゼンチンが2大会ぶりとなる決勝進出を果たしました!

 

 

 

アルゼンチンもクロアチアも、器用というかいやらしいチームというか……褒め言葉としての性格の悪い戦い方が出来る両チームじゃないですか。そんな中でクロアチアがやろうとしたアプローチは、最終ラインではボールを持たせてもらえるけどミドルゾーンでは強いプレッシングを喰らう中で、サイドを幅広くとって試合をワイドに広げる事。そうする事で選手間の距離を広げて、このピッチからコンパクトさを失くす事でそのギャップを利用して仕留める機会を生み出す…というやり方でした。31分のペリシッチの決定機はまさしくこの試みが生み出したチャンスでしたし、そのクロアチアの狙い自体は合っていて効果も出た。実際、これ自体は試合巧者的な巧い考え方だったと思います。

ただ、クロアチアが狙い通りに試合からコンパクトの概念を打ち消した事が結果的に失点の要因になってしまった……そういう意味ではアルゼンチンはクロアチアの目論みを利用した事になる。結局、1点目と2点目は似たような崩され方をクロアチアはした訳ですし、2点目は特に広がりすぎた距離感のスペースをアルバレスに突っ切られる形になってしまった…なんというか、カードバトルみたいな攻防でしたね。その点で言えば、よりアルゼンチンが巧みで、そして性格が悪かった。グヴァルディオルの注意を常にメッシに向けさせるように仕向けたところも含めて。

メッシとモドリッチという個人のストーリーも勿論美しいものだった中で、アルゼンチンとクロアチアという、如何に相手が嫌がることをするかに長けた2チームの戦いというところで、お互いの仕掛ける・利用するという駆け引きが随所に詰まったゲームだったと思います。そしてそういう駆け引きの末に、最後はメッシがグヴァルディオルを個でブチ抜いてしまうという瞬間を迎えた訳で…なんというか、サッカーって奥深いなぁと改めて感じさせてくれた試合でしたね。メッシはずっとこの大会に未練を抱き続けていて、それを自身の原動力にしていたところがあった。そして今日、メッシに完璧にブチ抜かれたグヴァルディオルの脳裏には、これから彼が世界最高のCBの称号を手にしたとて慰めにならない記憶が植え付けられて、彼にとってこれからの4年間はその記憶を拭う旅になる。サッカー選手にとってのW杯は我々が想像出来ないほどに重く尊く、そして儚い。だからこそこの文脈が、この大会を特別なものにしているのだろうと。メッシがメッシだった3点目の場面は、それを強く感じました。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

12月13日(大会20日目)

アルゼンチン3-0クロアチア

 

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12月14日(大会21日目)

2022 FIFAワールドカップカタール大会準決勝

フランスvsロッコ

2022年12月14日22:00(現地時間)@アル・バイト・スタジアム

 

 

マンジュキッチ退場してたんかい

ではでは(´∀`)