クロアチアブラジルすごかったねえ…
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは2022 FIFAワールドカップカタール大会 準々決勝、オランダ代表vsアルゼンチン代表の一戦です!!
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さぁ、ベスト8です!
W杯のクライマックスの熱狂…ここからは強者が強者にぶつかる世界最高の戦いを堪能できる反面、狂気の祭典に浸れる時間がもう長くはないことを感じる切なさも感じるところです。見る側としても一つ一つの試合を噛み締めながら楽しみたいところですね。
W杯に於いて、単なる優勝候補同士の対戦ではなく、その対戦カードの名前を聞くだけである人にとっては美しい、ある人にとってはトラウマのような思い出が一気に駆け巡る、額面そのものがW杯の歴史とも言えようカードがいくつか存在します。オランダvsアルゼンチン……サッカー界でお馴染みとなったカラーリングを持つ両者の対戦は、このW杯というトーナメントの中でも大いなる歴史を重ねてきました。
軍事政権下のアルゼンチンで初優勝を巡って争った1978年、ブラジルの地で決勝進出を懸け、ヒリヒリするような120分とPK戦を戦い抜いた2014年…この2つはいずれもアルゼンチンが勝利しましたが、多くの人の脳裏に最も強く焼き付いているのは1998年、デニス・ベルカンプが伝説となったあの試合ではないでしょうか。思えばあの試合も準々決勝……純粋にリベンジの思いを抱えるオランダと、歴史へのリベンジを目論むアルゼンチン、そんな構図もあるかもしれませんし、そんなドラマがどのカードにも散りばめられているのがW杯です。
そして純粋に、ここにきて実現した世界最高のアタッカーとCBの対決という個のぶつかり合いという注目ポイントもありますね。ここはベスト8。外れカードなんてあるはずもない至高のステージです。日本が負けたいない未練は残りつつも、残り少なくなったW杯を心ゆくまで噛み締めましょう!
両チームスタメンです。
オランダはベスト16のアメリカ戦からスタメンを1人変更。今大会絶好調のコーディ・ガクポは今日はFWというよりもトップ下の位置での先発となり、今日はステフェン・ベルフワインがメンフィス・デパイと2トップを組む形となりました。
それに対して大きな変化があったのがアルゼンチン。ベスト16のオーストラリア戦からのメンバー変更自体はオランダと同じで1人だけですが、システムを4バックからオランダに合わせる形で3バックを採用。オーストラリア戦の後半と同じで、ニコラス・オタメンディを中央に、左右にリサンドロ・マルティネスとクリスティアン・ロメロを配置しています。
本日の会場はカタール、ルサイルのルサイル・アイコニック・スタジアムです。
収容人数8万人を擁する、今大会のメインスタジアムです。開幕戦はアル・ホールのアル・バイト・スタジアムに譲りましたが、12月18日に行われる決勝戦はこのルサイル・アイコニック・スタジアムで行われます。また、アルゼンチンにとってはこのルサイル・アイコニック・スタジアムでの試合はサウジアラビア戦、メキシコ戦に続いて3試合目。彼らにとっては結構勝手知ったる感覚が出てきたのではないでしょうか。
スタジアムの外観は古代アラブの工芸品をモチーフにデザインされた、まるでボウルの中にピッチとスタンドがあるスタジアムはルサイルという都市に建設されました。このルサイルは計画都市であり、何もない土地に人工的に街を作ってしまったという何ともまあカタールらしい……。ルサイルには2015年ハンドボール世界選手権の決勝や有名アーティストのコンサートを頻繁に開催するルサイル・スポーツ・アリーナや、2021年からF1のカタールグランプリが行われているロサイル・インターナショナル・サーキットもあります。
カタールW杯で使用される全スタジアムの紹介はこちらからどうぞ!
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試合前に「ブラジル敗退」の方がスタジアムに流れた影響も少なからずあったのか、試合前から異様な雰囲気、異様なハイテンションで試合は始まり、お互いにタクティカルというよりは序盤から肉弾戦全開。激しいやり合いになった事で、お互いに中盤ではボールを収めにくい展開になっていた事から、両者ともに上手くサイドを抜けていく方法を模索するような前半で進んでいきました。
両者とも中盤を省略せざるを得ない攻防戦が続いていた中で、オランダは比較的純粋なカウンターとサイドアタックを狙っていました。一方のアルゼンチンはというと、メッシがフリーマン的にピッチを動き回りながらチャンスメイクの糸口となるようなポジションを模索しており、これに対してオランダは、3バックの中央に入るファン・ダイクを除いてはマンツーマン気味にアルゼンチンに当たっていく事でアルゼンチンのボールが落ち着かないような展開にしようと試みていました。
そんな中で試合が動いたのは35分でした。マンツーマン気味な対応にやや苦しんでいたアルゼンチンでしたが、右サイドでボールを持ったメッシに対して、オランダはチームの決まり通りにメッシに付いていく為、ナタン・アケがDFラインから出てメッシの対応に当たります。しかしそれを嘲笑うかのように、メッシのメッシたる所以のような鮮やか過ぎるスルーパスはアケが空けたスペースへ。ここに今日は右WB起用となったモリーナが走り込んでおり、最後はGKノペルトとの1対1を制してアルゼンチン先制!
オランダもアルゼンチンに一方的に押されていた訳ではなく、ボールを保持しながら前に出ようとする時間自体は作れていたものの、3バックでエリアを固めてきたアルゼンチンに対してシュートチャンスはほぼ作り出せず。なかなか攻撃を上手く嵌め込めないまま前半はアルゼンチンのリードで終えます。
オランダは後半からベルフワイン、デローンを下げてベルハイス、コープマイネルスを投入。中盤を活性化させて反撃に出ようとしていきます。
しかし後半はむしろ、前半よりもアルゼンチンのチーム全体としての守備、そしてそこからの攻撃が機能するようになっていました。カウンターで何度か決定機の一歩手前の段階まで持っていく場面を作ると、63分には良い位置で得たFKをメッシが狙いますがボールは僅かに枠の外。
オランダは64分にブリントを下げてルーク・デヨングを投入し、システムも4バックに変更して攻撃体勢を更に前へ傾けようと試みていきます。しかし試合の流れを劇的に変えるには至らないまま73分、アルゼンチンは左でボールを切り返したアクーニャが倒されてPKを獲得。これをメッシが冷静に決めてアルゼンチンが追加点!!
ここまでアルゼンチンに良いようにやられていた状態が続いていたオランダは78分にデパイを下げて身長197cmのFWベグホルストを投入。ルーク・デヨングとのツインタワー的な形にしたオランダは、ここまで後半にはシュートを一本も打てない状況が続いていましたが、ベグホルスト投入後はサイドからクロスを入れて明確なパワープレーに徹し始めました。そんな中で83分には右からのベルハイスのクロスにベグホルストが頭で合わせてオランダが1点を返します。
するとその直後にもオランダはパワープレーで決定的なチャンスを迎えるもこれはサイドネット。オランダはファンダイクを最前線に上げてパワープレーを敢行し、アルゼンチンがそれに耐える……ラフプレーあり、乱闘あり、イエローカード大感謝祭。衝撃の試合はアルゼンチンにとってあまりにも長い10分間のアディショナルタイムへ。
そして迎えたアディショナルタイム、途中出場のペッセッラが、クロスのルーズボールに対してオランダの選手を後ろから突き飛ばしてしまってPK献上。オランダはラストワンプレーで絶好のチャンスを得る事に。
キッカーはコープマイネルス。彼の右足に全てが懸かると思われた中で笛が吹かれ、アルゼンチンの壁がそれに合わせて飛んだ刹那、それを嘲笑うかのようにコープマイネルスはパスを選択。この土壇場で繰り出した漫画のようなトリックプレー。これに呼応したのベグホルスト!!!!
オランダ衝撃の同点弾!!!!
もうなんだこれ、なんでもありじゃないかこの試合……。
衝撃的な試合展開は、最後の最後にとんでもない隠し球を用意していたオランダがどうにか延長戦に持ち込みます。
乱闘が多発するほどの異常なテンションの試合をなんとか落ち着かせたい思惑が双方にあったのか、延長前半は比較的テンションを落ち着かせようとするかのように静かな展開になりました。
しかし延長後半に入るとアルゼンチンが猛攻を開始。114分にはラウタロ・マルティネスが決定機を迎えますがファンダイクがブロックし、立て続けにエンソ・フェルナンデスが放ったシュートはベグホルストのブロックの末にポストにヒット。終了間際にはラウタロとディマリアが立て続けにシュートを放つも、いずれもGKノペルトの好セーブに阻まれてあまりにもゴールが遠く…。
死闘というよりも地獄決戦!
壮絶な120分の結末は、遂にPK戦の手に委ねられます。
先行のオランダ、1人目はチームの象徴・ファンダイク。しかしファンダイクのシュートをGKエミリアーノ・マルティネスが見事に弾き出すと、メッシがPKを成功させて迎えたオランダの2人目、ベルハイスのシュートもE・マルティネスがセーブ!
その後の3人目はオランダもきっちり成功させ、アルゼンチンも4人目のフェルナンデスが失敗した中で迎えた5人目…延長後半に決定機が届かなかったラウタロのシュートがようやくネットを揺らしてアルゼンチン勝利!!2014年に続いてPK戦となった試合は、またもアルゼンチンに軍配が上がりました!
…まぁ、一番素直な感想としては「えらいもん見てもうた」でしたね。ちょっとどういう説明の仕方をすればいいのかわからない120分でした…。
2点目を取るまでのアルゼンチンは、想像以上に荒れたこと以外は完璧なゲーム展開でした。実際、あの時点でオランダは前後半を通じてシュートを1本しか打ててませんでしたし、交代策も無力化させていた。3バックスタートも十分に機能していたと言えるでしょう。ただ、オランダが強烈なパワープレーを仕掛けてきてからは……アルゼンチンは色々消耗していった感じはありましたね。ラフプレーの応酬になった事に対して、双方が双方に対して抱いていたフラストレーションと、審判に対する懐疑心…そういう状態で繰り出されたパワープレーは精神を内側から抉る意味でも効いたと思います。パレデスの一連のプレーはそれが可視化されたものだったようにも見えましたし。
オランダにしても、あのクロス攻撃を最初から続けていれば…という意見もわかりますが、正直あれは90分続けられる攻め方じゃないんですよね。なので、あのやり方にGOサインを出す事は、ファン・ハール監督のタイミングというか勝負勘に掛かっている部分はあった。そしてベグホルストと共に形勢をひっくり返したので、この試合で投げた賭けで言えば、延長に持ち込めた時点でオランダの勝ちだったという側面もありました。トリックプレーもそうですけど、オランダとファン・ハール監督からすれば隠し球をどこで出すか、どこまで我慢するか、どこまで引っ張るかのミリ単位のタイミングをずっと見ていたように思いました。ましてや、あのツインタワー戦術ですらあのトリックプレーの伏線だったとしたら……それはもう此方からすれば、いわゆる推理小説を読む時の「騙される快感」に似たカタルシスを抱かせてくれました。ただその意味では、やっぱりそこから崩れなかった…気はオランダに向いていた流れの中で、最後はPKで勝ち切ったアルゼンチンの胆力も見事だったなと。
一方でオランダからすれば……彼らにとって、この試合を咀嚼するのは相当に困難ではあっただろうななと思います。だからこそ、追いついた事を讃えたい気持ちもありますし。第三者的にはショーとして楽しめた試合でしたが、当事者からしたらたまったもんじゃなかったでしょうしね…アルゼンチン視点でも、オランダ視点でも。主役はE・マルティネスやベグホルストであるべきだったのに…というところが素直な感想であり、とにかくまぁ…見てて疲れる試合でしたね…。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
12月9日(大会18日目)
準々決勝
クロアチア1(4PK2)1ブラジル
オランダ2(3PK4)2アルゼンチン
12月10日(大会19日目)
準々決勝
28:00 イングランドvsフランス
リバコビッチさんの先や如何に
ではでは(´∀`)