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デュエリスト〜明治安田生命J1リーグ第21節 横浜F・マリノス vs 川崎フロンターレ マッチレビュー〜

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大 神 奈 川 時 代

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第21節、横浜F・マリノスvs川崎フロンターレの一戦です!

 

Jリーグ30周年記念特集こちらから!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

Jリーグ30年の歴史の中で「2強」と呼ばれる時代はいくつかありました。ヴェルディ川崎横浜マリノス鹿島アントラーズジュビロ磐田浦和レッズガンバ大阪……。頭抜けて強い2クラブのライバル関係はその時代その時代の歴史の鮮やかさを彩ってきました。

 

 

BIG神奈川ダービー……Jリーグなのか両クラブなのか、どちらからの発案かはわかりませんが、少なくともこの神奈川ダービーには過去とは違う異名が設けられました。

実際、2017年に川崎フロンターレが初優勝を果たして以降のJリーグはまさしく「大神奈川時代」と言っても過言ではありませんでした。2017年と2018年、2020年と2021年で2度の2連覇を果たした川崎。そして川崎が初優勝した2017年以降、川崎が優勝できなかった2019年と2022年の優勝はいずれも横浜F・マリノス。今の彼らは2強と呼ぶには十分でしょう。

尤も、今季に関しては両クラブの立場は大きく異なっています。強烈な優勝争いの荒波を首位として乗り続けてマリノスと、スタートダッシュに躓き上位に上がる隙をまだ伺い続けている川崎。今季の立場は確かに大きく違いますが、それでもこの試合が特別な色香を持つことに違いありません。題目に似合う、凄まじい90分に期待したいところ。そういう強烈な一戦にこの日は至るのでしょうか。

両チームスタメンです。

 

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前節が名古屋との首位天王山だったマリノスは名古屋戦からスタメンを一人変更。トップ下の西村拓真が今日は欠場となった事でマルコス・ジュニオールが第10節名古屋戦以来の先発起用。これによりマリノスは前線の4枚を全てブラジル人で並べる形となりました。直近の天皇杯町田戦からはマルコスを除いてスタメンを総替えしており、町田戦で復帰した喜田拓也はリーグ戦では第18節広島戦以来にベンチメンバーに入っています。

対する川崎は3-0で快勝した前節横浜FC戦からはフィールドプレーヤーの11人は全く同じメンバーを揃えましたが、GKは横浜FC戦に出場したチョン・ソンリョンから上福元直人に戻す形になっています。今日はチョン・ソンリョンはベンチも外れており、リーグ戦では久々に安藤駿介が名を連ねています。

 

 

 

本日の会場は神奈川県横浜市日産スタジアムです。

 

 

1998年に開業したこのスタジアムは、当時から今に至るまでずっと日本最大のスタジアムとしての地位を守り続けています。正式名称の「横浜国際総合競技場」に相応しく、過去に日韓W杯ラグビーW杯東京五輪サッカー決勝など、このスタジアムとこのピッチは過去に何度もインターナショナルな舞台を彩ってきました。今日の試合もJリーグの中で、また新たな彩りとして刻まれるのでしょうか。

試合前にはレジェンドトークショーとして、マリノスレジェンドとして栗原勇蔵氏と波戸康広氏、川崎レジェンドとして大久保嘉人氏と井川祐輔氏が参加。2種類の矛の対峙が見る結末はどこに向かうのでしょうか。

 

 

序盤からアップテンポな試合となりました。

立ち上がりからマリノスも川崎も敵陣のアタッキングサードまで攻め込み、そこから後は打開…という場面まで早々と持っていきます。8分には川崎が敵陣でのボール奪取から人数をかけてシュートに持ち込むような場面を作り出し、逆にマリノスは10分に左サイドを爆速で抜け出したエウベルのクロスにヤン・マテウスが飛び込みますが惜しくもゴールならず。川崎は12分、瀬古樹のスルーパスに宮代大聖が抜け出し、フォローに入った家長昭博の折り返しに山田新が合わせて川崎先制…かと思われましたが、ここは宮代の時点でオフサイドを取られてノーゴール。立ち上がりから試合は激しい展開で幕を開けます。

 

川崎も序盤からチャンスを作り、先制点を取りきれそうなシーンは多くあっただけに表面的には一進一退と言えるスリリングな攻防が続いていました。ただその一方、両者のチームスタイルを踏まえると、マリノスの仕掛けるハイテンポなアタッキングフットボールに川崎が飲み込まれているような状況ではあり、いわば川崎はマリノスのテンポに付き合う形での試合展開を余儀なくされていきます。

高めのラインで落ち着く暇を探す川崎に対し、低めにラインを置いたところから両WGの爆発的なスピードを軸にカウンターを目論むマリノスの攻防は続き、24分の飲水タイムまでに川崎もマリノスアタッキングサードまでボールを持って行ってから攻撃を終えるような応酬は続いていました。

 

「付き合わされた立場」としての弊害は徐々に川崎に出てきて、川崎の躍動感が鈍化し始めると共に低い位置からスタートしていたマリノスが少しずつじわじわと前進。こうなると今度はマリノスが速攻と遅攻を使い分けられる状況になってきて、川崎が仕掛けようとするカウンターにもマリノスエドゥアルドや上島拓巳のところで的確に潰せるようなラインコントロールを維持する余裕を持ち合わせているほどで、川崎にとっては相当苦しい展開に至り始めました。

 

 

マリノスは後半開始と共に、前半終了間際に脳震盪を起こした松原健を下げて畠中槙之輔を投入し上島を右にスライドした形で後半に向かいます。

立ち上がりはマリノスが押し込みましたが、その後川崎は家長が前線で自由な位置どりをし始めると共に、サイドに大きく広げてからの圧縮を繰り返す事で本職CBが3枚となったマリノス守備陣を揺さぶって歪みを起こそうと試み、これによって川崎も持ち直すような展開になっていきました。12分には右サイドでボールをキープした家長の折り返しに山田が走り込みますが、シュートは枠の上へ。

 

マリノスは58分にマテウスと藤田穣瑠チマを下げて宮市亮喜田拓也を投入。川崎もその直後に瀬古と山田を下げて橘田健人と遠野大弥を送り込みます。

マリノスに大きなチャンスが訪れたのは65分でした。車屋紳太郎のパスをカットしたマルコスがすぐさまスルーパスを送ると、アンデルソン・ロペスがGK上福元と一気に1対1。チップ気味に放ったシュートはポストに当たってゴールに吸い込まれましたが、今度はマリノスオフサイドによってゴール取り消しとなります。川崎も直後に瀬川祐輔を投入すると、中盤でのセカンドボールの応酬を制した瀬川のスルーパスに抜け出した遠野をGK一森が倒したとして川崎がPK獲得!キッカーの家長vs一森…ガンバファン垂涎の戦いでしたが、家長のキックに一度は逆を突かれた一森がなんとか手を残して止め切ってPKストップ!

 

 

どちらかに転ぶかわからない壮絶な試合は更にスリリングな展開を迎えます。81分にはまたしてもマリノス、途中出場の植中朝日のスルーパスに抜け出したエウベルの折り返しにロペスが走り込みましたが、このシュートはほんの僅かに枠を逸れ…。

マリノスは83分に永戸勝也が負傷退場となり、エウベルと共に水沼宏太杉本健勇を投入。川崎は佐々木旭と大南拓磨のDF2枚を送り込んで家長と瀬川を2トップにした3-5-2にシフトして終盤戦に賭けます。喜田を左SB起用せざるを得ないという本職CBのいない状況に追い込まれたマリノスに対し、山根視来と佐々木をWBに置きながら大南と車屋も攻め上がれるド畜生サイドアタックスキームを編み出し、それによってマリノスを追い込んでいきました。

 

それでもGK一森の立て続けのスーパーセーブ連続でなんとか耐えていたマリノスでしたが、川崎の猛攻はアディショナルにタイムに遂に身を結びます。

CKがこぼれところを拾って再び攻撃展開を試みた川崎は右から遠野がドリブルで切り込み中央の瀬川へ。瀬川が作ったタメから右は絶妙なスルーパスを送ると、飛び出すと共にGK一森を引っ張り出した大南の折り返しに前に残っていた車屋紳太郎が突っ込んで川崎先制!!!!

 

 

ラストプレーではマリノスがGK一森も参加してCKでの攻撃を試みますが、最後は川崎守備陣がここをなんとか耐え切って試合終了!川崎、マリノスとの激戦を劇的勝利で飾りました!

 

 

 

一言で言えばまあ〜…凄まじい試合でしたね。ただただ。

前半はマリノスの試合でした。川崎も連続してチャンスを作っていた時間は序盤を中心に多々ありましたが、試合のテンポとしては完全にマリノスが過ごしやすいペースの中で過ごす状況を川崎も求められていました。いわば川崎はマリノスに付き合わされていた形で、序盤はどうにか押し切れた流れは前半の最後の方になってツケのようにも襲いかかってきました。

そこで川崎は後半は家長をフリーマン的にして前線の配置を調節した事で、まず試合のペースを自分達で握りながら守備陣形が変わったマリノスを追い込み始めた。対するマリノスはそこのバランスを喜田拓也を投入する事で再調整してきた。再調整したバランスを瀬川の投入でまたしても引っ掻き回した川崎に、その後投入した植中が決定機を一つ演出したマリノス……選手交代を行う度にここまで形勢がぐわんぐわんに変わるゲームもなかなか珍しいと思います。

その中でマリノスは永戸が負傷退場となり、前半の松原を含めて両SBをアクシデントで失う事となってしまった…右の上島は今季何度か試しているのでともかく、左の喜田は完全にスクランブル起用であると同時に、中盤のバランサーとしての喜田を失ってしまった。マリノスがそういう状況に追い込まれた中で3バックにシフトし、山根と佐々木を高い位置に出しながら喜田のいなくなった中盤をシミッチと橘田で制圧する…両監督の交代策がことごとくハマり続けた一戦で鬼木監督が最後に切った策はド畜生なほどクリティカルヒット。一森の好守連発は一森を褒めるしかありませんでしたが、用意した舞台に魂で応えた川崎は見事でした。素晴らしい90分でした。面白かったです。

 

 

家長vs一森よかったなぁ…

ではでは(´∀`)