RK-3はきだめスタジオブログ

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夏に来た春〜明治安田生命J1リーグ第22節 川崎フロンターレ vs ガンバ大阪 マッチレビューと試合考察〜

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図らずも川崎のマッチレビュー4戦連続で書くことになったの笑う

 

どーもこんばんは

 

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第22節、川崎フロンターレvsガンバ大阪の一戦です!

 

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ガンバにとっての前半戦はまさに激動でした。

開幕数試合の試合内容で高まる期待と燃えるように昂る理想、そこからの急落は思考と自我を混迷に陥れ、連敗が落とす影の中で外野はあまり見たくない人間の節を色々と見たような気にもなりました。

ただ、このチームにとって救いだったのは外部の喧騒とチーム内部は違うところで生きていたところでしょうか。もちろん、結果が出ないことや個人個人のパフォーマンスにはそれぞれの迷いや葛藤があった事は確かでしょうが、大枠としてのチームが進む方向は全員がまとまって信じることが出来ていた…それが後の4連勝であり、7戦無敗に繋がったところは確かな部分でしょう。少なくともガンバは暗く長い一つのトンネルを抜けた…それは確かです。

となると、ここからは文字通りステージは次のところに進む…トンネルを抜けて外に出れば、ここからは天井がどこにあるのかを見据える戦いが始まります。このポヤトス・ガンバのポテンシャルはいかほどか、それはどこまで現実的なのか。進みながらついてくる結果がどのようなものかで……このクラブはマリノスや、そして川崎のような"強いパーソナリティ"を担保できるのか。そういうものを追い求める日々が改めて始まります。その相手が川崎であるという事…それもまた趣深く。何かを取り戻しつつある両者の流れの中に落ちた対決です。

両チームスタメンです。

 

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直近のゲームとなった7月22日のセルティック戦ではメンバーをミックスしていたガンバは、今日は前節柏戦からは先発を3名変更。今日は中断期間前に好調だった食野亮太郎ではなく石毛秀樹をWGに配置し、CBはクォン・ギョンウォンから三浦弦太に変更。そして左SBは黒川圭介が出場停止となった為、藤春廣輝が今季初出場かつリーグ戦では約1年ぶりの先発起用となりました。またGKは谷晃生が退団したので、石川慧が今季のリーグ戦では初めてベンチに入っています。

水曜日の天皇杯高知戦ではあまりメンバーを変えなかった川崎は高知戦からスタメンを3人変えた形になりました。左WGに入ったマルシーニョは第13節FC東京戦以来のスタメン起用となり、わざわざガンバ戦に合わせて帰ってきたかのようなレアンドロ・ダミアンは今季リーグ戦で初先発となっています。

 

 

 

本日の会場は神奈川県川崎市等々力陸上競技場です。

中断期間とはいえ、振替試合・親善試合・天皇杯があった事で実質的に中断期間ではなかった川崎ですが、国立競技場開催のバイエルン・ミュンヘン戦を中立開催と捉えれば川崎のホームゲームは実に6試合ぶりという事になりました。Jリーグ30周年…味の素スタジアムのように2クラブが本拠地としているスタジアムはありますが、ホームチームが明確に変わったスタジアムは等々力が唯一。そんな等々力も今ではフロンターレのトレードマークになりましたね。ちなみに川崎は今日から夏季限定ユニフォームを着用して戦います。

近年は隆盛を極めている川崎ですが、Jリーグにまつわる記録として…通算成績で川崎が唯一負け越している相手がガンバ、という記録がありまして。ここ等々力では数々の喜びと数々の悪夢があり、そして至上の歓喜もこの場所で起こった。そんな思い出の多いスタジアムに、新たな思い出を刻んで欲しいところ。

 

 

立ち上がりは川崎の方がボールを保持する時間が長く、レアンドロ・ダミアンという明確な頂点でチーム全体が引き上げられていくようにサイドに散らしながらガンバ陣内でのプレーを続けていました。ガンバも5分には山本悠樹のパスを受けたイッサム・ジェバリが曲げたシュートを放つも枠を捉えられず、9分には脇坂泰斗のパスを受けて切り込んだマルシーニョが決定的なシュート。ここは何とか回避しましたが、立ち上がりの時間は川崎ペースで試合が進んでいきます。

全体的に劣勢ではあったガンバでしたが歓喜は唐突に訪れました。13分、ファン・アラーノの折り返しを受けたジェバリはシュートまでは持ち込めませんでしたが、ファーサイドでフォローした石毛が自分で時間とスペースを作ると右足一閃。ポストに当たったボールがそのままゴールへ突き刺さってガンバ先制!石毛は先発復帰に応える一撃に。

 

 

しかし27分、川崎が左サイドで家長昭博や橘田健人らがゆっくりとボールを回すと、登里享平が急に速度の流れを変えるロブパスを一本送り込みます。するとゴール前にはなぜかぽっかりフリーになっていた脇坂。巧く反転すると、GK東口順昭との1対1を絶対に取れないコースに流し込んで川崎が同点…。

しかししかしその直後、キックオフの攻撃から攻め込んだガンバは石毛がペナルティエリア内でシミッチに倒されてPK獲得。これをジェバリが確実に仕留めてガンバが勝ち越し!1-0から一気に2-1になったみたい!

 

その後も基本的には川崎ペースの時間が続いたものの、ガンバも守備時はある程度割り切ったブロックを組んで対応し、川崎に押されながらもシュートチャンスは与えない形で進んでいきました。その中でもラインを上げる時は上げる意識を強く持ったガンバは前半終了間際、高井幸大のバックパスをアラーノが掻っ攫うと自らGKチョン・ソンリョンまでかわしてゴール!!おいおい3点入っちまったよ……。

 

 

という訳で前半は3-1。ガンバは川崎に対して劣勢を強いられてこそいましたが、その中でも巧くギアを使い分けて前半を2点リードで終えます。

 

 

後半から川崎はマルシーニョを下げて瀬川祐輔を投入。後半開始早々、50分にはガンバはビルドアップの乱れからルーズボールの応酬になり、最後は早速その瀬川に決定的な場面を作られましたが何とか枠の外へ。

ただ後半は川崎がより高く設定したライン設定に、前半はこまめに調節できていたブロックの高さが押し込まれるような形になってしまった事でずっと殴られるような展開になっていました。前半は状況に応じて髙尾と藤春の両SBが前に出られていたものの、後半はこの2人が深いところに張り付けられてしまう形に。

 

時間を追う毎に前進する余裕を与えられなくなっていったガンバ。川崎は佐々木旭、瀬古樹、山田新といった選手を投入して迎えた71分、右サイドのスローインをエリア内で受けた山田がボールを収めると中に入ってきた脇坂に繋ぎ、最後は瀬川がGK東口の逆を突く形でシュートを決めて3-2。川崎が1点差まで迫ってきます。

そして75分、脇坂のファーサイドへのクロスを山田が折り返して川崎が波状攻撃。三浦やダワンのブロックでどうにか耐えたガンバでしたが、佐々木のシュートを東口がスーパーセーブで弾いたところに詰めていたのは瀬川……これまで殴られ続けても耐えてきたものが決壊するかのように、立て続けに2点を許して一気に同点に…。

悪い流れは止まらず、79分にはテンポの良いパスワークから瀬古のスルーパスに攻め上がった山根視来がシュート。しかしここでどうにかGK東口がスーパーセーブで弾き、直後にガンバはジェバリ、アラーノ、ネタラヴィを下げて鈴木武蔵、食野亮太郎、そして宇佐美貴史を一気に投入して勝負をかけましたが、なかなか苦しい流れを跳ね返すまでには至らず、後半はずっと劣勢ではなく猛攻を受ける形になっていました。

 

しかしアディショナルタイム、試合自体がオープンに加速していく中でどうにかガンバも高い位置でボールを持てるようになると、前線で藤春のボール奪取を拾った宇佐美のパスを受けた食野のミドルは相手のワンタッチを経てCKに。左から蹴り込むのは山本。鋭いボールが入りダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワンダワン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

FULL TIME 4-3!!!!

 

 

 

 

 

そうですね……まずは一旦、極限までハイになったテンションを落として落ち着くとして…。

色んな側面があった試合だったと思います。まず大前提に、基本的にガンバは90分をずっと劣勢の状態で戦っていたという事。そしてガンバがそこ状況をチームとしてある程度受け入れていたという事。この2点は90分を通して同じでしたが、それに対する構えが前半と後半では大きく違っていました。

前半のガンバは川崎の攻勢に対して落ち着いてブロックを組みつつ、安易に蹴ってカウンターで逃れるのではなく、劣勢だからこそ攻撃時間を少しでも長くする意識でボールを持つ事が出来ていましたし、逆にアラーノの3点目のように「行く時は行く」という共通認識もチームとして持てていた。要は速攻と遅攻を自分達で巧く使い分ける事が出来ていましたし、それを川崎の選手の位置関係を踏まえた上で構えて判断する事が出来ていた。それゆえに前半は、それこそ第15節新潟戦じゃないですが、ある意味でボールを持てている試合以上にポヤトス監督が口酸っぱくいう「スペースの意識」が浸透し、それを自発的に判断するサッカーをしっかり出来ていました。

しかし後半に入ると川崎がグッとガンバを押し込む動きを見せてきて、両WGの瀬川と家長はガンバの両SBを守備でも前にプレスに行けないようなポジショニングを取り始めて、中盤の脇がガラガラになるような位置を仕向けられてしまったと。その上で彼らはやっぱり高い位置でボールを持たせればクオリティを発揮する選手が多数いる訳ですから、一度そこでの流れが回り始めるとやっぱりガンバとしては苦しくなりますし、実際に後半はもうあと数点奪われていてもおかしくない展開に持っていかれてしまった。ここはポヤトス監督にしても、ガンバの選手も消耗していましたから…例えば鈴木や食野のような、言い方悪いですが「蹴ればとりあえず追ってくれるフレッシュな選手」を入れたり、宇佐美を入れてスポットを一つ作る…みたいな手当はあって良かったのかな、とは少し思います。

リードした後半の試合運びという点では、最終的に勝ち切ったとはいえ、同様の課題は鹿島戦京都戦柏戦でも発生していましたし、その点で言えば今日は最終的に勝利しましたが、前述の3試合では耐え切っていたものが決壊した事例にもなった訳です。そこのチームとしての修正というかケアは、今日にしても最終的に勝ったからヨシではなくて考えていくべきところでしょう。

 

 

ただ、もう今日は……あの川崎相手に、あの試合展開で勝ち切った、最後に跳ね返した事にただただ感動しています。思えば少し前、一気に追い上げられてなす術を無くした鹿島戦浦和戦の頃と比べて、劣勢を前に跳ね返して、そして押し返していけるようになった。そこはクラブのここ数ヶ月の好循環が追い風になったところはあるでしょう。スポーツの言語化を全てとするような風潮も強い近代サッカーですが、科学で解けない流れというものは時に大きな要素となる。今日のダワンのゴールは3ヶ月前には取れなかったゴールだったと思いますし。

そして藤春ですね。黒川の台頭もあり、最近の彼は批判の的にもなっていた中で、家長山根というJ屈指の右サイドを誇る川崎に左SBに対峙するというシチュエーションはなかなかの状況だったと思います。いわゆる彼が代表に呼ばれていた頃のような爆発的で派手なプレーではなくとも、そこにはベテランとしての妙味が詰まっていた。特に23分、ガンバのカウンターからカウンターを仕掛けたマルシーニョに対する守備対応は、藤春のプレーによりピンチにならなかった事でハイライトに載らないファインプレーでした。倉田秋もそうですが、ここにきてガンバは単なる突き上げではなく、全体が急速に円としてまとまっているような感覚を感じます。

素晴らしい試合だったのかどうかは最終的にはわかりません。ただ、本当に心の奥底から震え上がるような試合でした。8戦無敗!!

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

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明治安田生命J1リーグ第22節

湘南ベルマーレ1-0サンフレッチェ広島

名古屋グランパス1-0アルビレックス新潟

鹿島アントラーズ3-0北海道コンサドーレ札幌

横浜FC2-0ヴィッセル神戸

浦和レッズ0-0横浜F・マリノス

川崎フロンターレ3-4ガンバ大阪

京都サンガFC0-1柏レイソル

セレッソ大阪0-1FC東京

サガン鳥栖0-1アビスパ福岡

 

 

1位 ヴィッセル神戸(44)

2位 横浜F・マリノス(44)

3位 名古屋グランパス(42)

4位 浦和レッズ(38)

5位 鹿島アントラーズ(36)

6位 セレッソ大阪(35)

7位 川崎フロンターレ(32)

8位 アビスパ福岡(32)

9位 サンフレッチェ広島(31)

10位 サガン鳥栖(29)

11位 FC東京(29)

12位 ガンバ大阪(29)

13位 北海道コンサドーレ札幌(27)

14位 アルビレックス新潟(24)

15位 京都サンガFC(23)

16位 横浜FC(18)

17位 柏レイソル(17)

18位 湘南ベルマーレ(16)

 

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3週間の中断を経て再開したJリーグ。今節から新加入選手の登録も解禁となる中でなかなか意外な結果になったスタジアムも多くなりました。

首位の神戸は16位横浜FCに2失点を喫して敗北。上位陣では浦和と横浜FMの直接対決は0-0のスコアレスドローに終わり、5位C大阪も敗れた為、前節終了時点での上位5チームで勝利したのは名古屋のみという事になりました。

一方、下位は17位柏が15位京都との直接対決を制し、井原正巳監督体制初勝利は実に11試合ぶりの勝利という事に。更に首位神戸に勝利した横浜FCは8試合ぶり、広島に勝利した湘南に至っては実に16試合ぶりとなる勝利を挙げ、下位3チームがいずれも勝利するという波乱の週となり、15位京都と16位横浜FCの差は5に縮まっています。

 

 

ふーじはーるひろきーおれ!

ではでは(´∀`)