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残された時間を得る為に〜明治安田生命J1リーグ第15節 アルビレックス新潟 vs ガンバ大阪 マッチレビュー〜

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テセキムチ

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー明治安田生命J1リーグ第15節、アルビレックス新潟vsガンバ大阪の一戦です!

 

Jリーグ30周年記念特集こちらから!

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

「だが、情熱はある」なんてタイトルのドラマが放送されている今日この頃。好評だそうで。

ただ言ってしまえば、彼らのストーリーは最終的に成功した事を知っているからある種の美しいストーリーとしてドラマを楽しめる。このストーリーが実世界で起こっている時、あの2人はこの物語が美談なのか、夢に溺れていく悲哀の物語だったのかどうかはわからなかった訳です。結果的に彼らは成功し、そこには勿論様々な要因があった。しかし当時の2人はいわば毎日が暗中模索のような旅だった訳で、そこには挑戦や情熱では解決できない解がある。その未来予想図はいつも「失敗した後の世界」を考えない訳にはいかなかったはずで、もしそうなれば夢を追った者の末路ドラマにしかならなかった。M-1創設の動機に「30代になっても芽が出ない芸人はやめた方がいい」という側面があったように、売れる前の芸人の半生はいつも残された時間に追いかけられる日々で…。

ガンバが置かれた立場も、ある意味では似たようなところはあると思います。チャレンジはしている。努力の跡はいつも見える。10年後に今を振り返った時、このポヤトスガンバがどう評価されているのかはわかりません。ポヤトスガンバが後々、黄金期時代の成立過程として見做されるのか、夢を追い、溺れて散った末路として扱われるのか。情熱があるのはよくわかる。よく伝わる。だからこそ、そこを超えない事には歴史は美談になりません。6連敗か、一筋の光を刺すか。戦術構築の観点では一つの成功例となった相手を前に見るのは現実か、光明か。残された時間の量を決めるのは他ならぬ彼ら自身です。

両チームスタメンです。

 

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ガンバは前節横浜FM戦からはスタメンを2人変更。累積警告で出場停止となった宇佐美貴史と第5節札幌戦以来のベンチスタートになったダワンに代わり、石毛秀樹と怪我から復帰した山本悠樹がリーグ戦では第6節湘南戦以来のスタメンを飾っています。前節横浜FM戦まで出場機会の少なかった倉田秋前節に続いて継続スタメンです。

新潟は前節鳥栖戦からはスタメンを3人変更しました。新潟は比較的メンバーがローテーション気味なところもあるので右SBには藤原奏哉、ボランチには島田穣、ワントップには谷口海斗がそれぞれスタメンに復帰する形になりました。ガンバの東口順昭にとっては古巣対決。そしてガンバでデビューした高宇洋にとっては初めての対ガンバ戦です。

 

 

 

本日の会場は新潟県新潟市デンカビッグスワンスタジアムです。

本日は新潟のメインスポンサーである「亀田製菓サンクスデー」として開催。ハッピーターンを始めとしたお馴染みの米菓のプレゼントやら米粉パンの試食。更にはホームタウンブースでは各種特産品の販売やら味噌盛り放題といった食の暴力のようなイベントが各種開催。至れり尽くせりだそうで。しっかり太って帰りたい…。

ガンバにとってビッグスワンでの試合は2017年以来7年ぶり。それこそ2000年代後半はガンバや浦和、川崎といった優勝争いチームが新潟でことごとく負ける要塞と化していた時代もありまして…一時期はガンバもビッグスワン4連敗とかやらかした事も。しかし2009年に連敗を止めて以降は4勝4分と無敗です(ルヴァン杯除く)。この相性が良くなっているスタジアムでどうにか…。

 

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試合は想像以上に早いタイミングで動きました。2分、半田陸のロングボールは千葉和彦にカバーされたように見えましたが、ゴールライン付近でボールをキープしようとした千葉に対してジェバリが果敢にプレス。ボールを奪い返して折り返すと、そこに突っ込んできた倉田が押し込んでガンバ先制!!

昨季は得点を挙げられなかった倉田にとっては2021年11月以来の得点!苦しい状況で10番を背負うベテランが躍動します。

 

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ボールポゼッションの面で優位に立ったのは新潟は彼らが築いてきたビルドアップと前進を用いながら試合を展開。9分には三戸舜介の折り返しから高木善朗がシュートに持ち込みましたがここはGK東口がきっちりセーブ。

対するガンバは今日はいつもよりハイプレスに主眼を置いた形になり、守備時はむしろ山本が落ちて内寄りの倉田や石毛が積極的にアタックする形に。ボール奪取時には素早いテンポでパスを繋ぐか、或いはジェバリのところで時間を作って展開する方策を取りました。10分には黒川圭介のクロスにジェバリ、14分には再び黒川のスルーパスにファン・アラーノが飛び込むなど好機も生まれていきます。

 

 

 

普段は自分達でボールを握る事を前提にしたサッカーを試みるガンバでしたが、今日はむしろボールポゼッションは新潟が握る事を前提として、プレスをがっつりかける位置と比較的もたせる位置はガンバはかなり分けて考えていました。特に敵陣ではボランチとCBには果敢にアタックする事でリズムを構築。前線にはジェバリを常に張らせる事で、常にカウンターの起点をそこで保証していました。

 

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すると前半終了間際、左からのルーズボールをジェバリが競り合うと、これを拾ったアラーノがジェバリにスルーパス。DFを引き付けてタメを作ったジェバリが完璧なタイミングでパスを返すと、そのリターンをアラーノが冷静に決め切って2-0!!ガンバ、今季初めて前半だけの2得点で前半をリードして終えます。

 

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新潟は後半開始から千葉和彦伊藤涼太郎、谷口海斗を下げて渡邉泰基、小見洋太、グスタボ・ネスカウの3人を同時投入。前半開始早々に点を取ったのはガンバでしたが、後半開始早々に点を取ったのは今度は新潟でした。48分、左からの高木のCKをニアサイドで舞行龍ジェームズが合わせて1点差に。ガンバとしてはまたしてもセットプレーで被弾…。

 

 

 

直後に三戸に決定的なシュートチャンスが訪れた事でやや不穏な空気になったガンバでしたが、まだリードしている余裕があったのかガンバはこの日の前提は見失っていませんでした。

58分、ネタラヴィのパスを受けた倉田が持ち運ぶと左サイドの黒川へ。黒川のパスを受けた石毛に対して、倉田の貰いに行く動きがフェイントとなり絶妙なタイミングでのロブパスに黒川が入れ替わって抜け出す形になると、黒川はGKとDFのプレスを受けながらもダイレクトで流し込んで大き過ぎる3点目!!

 

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新潟からすれば、少しオープン気味な展開を狙った選手交代で流れを寄せたかに見えたところでの被弾だった事もあって若干ボール非保持時のバランスが合わなくなった事により、ガンバは起点をジェバリからネタラヴィに下げる形で落ち着いてボールを回せるようになっていました。その中でジェバリだけ常に前に残す形はとった事で新潟に対する牽制も取っておき、終盤は三浦弦太らを投入して5バックで守備対応。

 

……そしてタイムアップ!!

勝ったああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!

 

 

 

まず大前提として、今日のガンバの戦い方としては「対新潟」の側面は大きかったと思います。それはガンバ自体が即座に勝点を求められる立場である事、出場停止で宇佐美貴史がいない、終日雨模様のピッチコンディション、そして新潟のチームスタイル…ガンバのやりたい事をというよりは、それらの要素を加味したトータル的な逆算設計だったのかなと。

上でも書いたように、今日のガンバは新潟にボールを持たれる事をある程度許容した戦い方で、攻撃の起点をこれまではネタラヴィ起点でのボトムアップ的に押し上げていたところをジェバリ起点にする事で、それに倉田や石毛が走り、山本やネタラヴィがフォローする形のリフトアップ方式みたいな形の展開でした。ジェバリはやはりそういうキープ力と、ポストプレーに留まらずそこから前を向いての展開も一級品ですから、得点という形で報われて欲しい気持ちもありましたが、2アシストという数字は今日の彼を表す数字だったと言えるでしょう。

チーム全体としてのプレス連動と、ジェバリを起点にしたチーム全体での押し上げが上手く機能していましたし、そうなった時に…1点目然り、或いは3点目でもそうですけど、倉田って人と人との間を縫うような動きがめちゃくちゃ巧いんですよね。

 

 

人と人と間、その絶妙な隙間を縫って入るのがべらぼうに上手く、それを実行するだけの運動力と機動力も持ち合わせている。そうなるとDFからすれば計算していないアタッカーが来る訳ですから計算外の対応を迫られる形になりますし、3点目がそうだったように倉田が触らなかったとしてもその動き自体がフェイントになるんですよね。

一方、そういう倉田の動きは時として…特にWGはサイドに張ることが求められる今年のサッカーでは「密集しすぎ」と呼ばれるケースもある訳ですが、今日に関してはチームとしてのプレスのスタンスもあったので、割り切って倉田はWGよりも1.5列目に近い動きを求めていましたし、左サイドの攻撃は黒川で担保しようと試みていた。そういうケアはチームとしてしっかり出来ていたのは高ポイントですし、そこに応えた黒川も天晴れです。

 

 

 

いやー…とりあえず一勝。この地獄のようなスパイラルに風穴を開けた。今日の試合に関してはとりあえずそれが全てです。

 

 

ポヤトス監督からしたら、おそらく今日の試合は本来自分が目指している戦いとは少し異なるものではあったと思います。ただ結局のところ、やりたいことも勝点というある程度の担保がなければ目指すことは出来ませんし、ましてや相手が特徴的なスタイルを持っている訳で、その上での今日のスタンスは賢明かつ合理的ではあったのかなと。

冒頭に書いたように、誰もがいつも「残された時間」に追われながら日々を生きている。今、この世の謳歌をするような日々を過ごしているようなチームももれなく残された時間のカウントダウンは強いられている。その違いはその残された時間がどれだけあるかの違いでしかなく、その長さを手に入れるのは他ならぬ自分自身でしかない。そういう状況下で今日のガンバが見せたスタンス然り、倉田や東口のようなチームの象徴の一人である選手の奮闘…素晴らしかったですし、心が震えました。

ただ、情熱を持ってしても本当に大事なのは勝った次の試合です。思えば今年のガンバは"きっかけ"になりそうだった初勝利の次の京都戦を落とした事が尾を引いた。不調のチームはよく「きっかけを掴めなかった」なんて言いますが、きっかけは結構色んなところに落ちている。着火させたところでそれを燃え広がらせないと焚き火にはならないのと同じ事で、ガンバにとって大事なのはきっかけを燃え広がらせる事。そこを逃さない事。本当に大事な試合はいつも次で、勝ち進んでいく事はずっと残された時間との追いかけっこをしなければならないという意識を常に持ちながら、久々の勝利に酔って欲しいところです。勝ったああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

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明治安田生命J1リーグ第15節

北海道コンサドーレ札幌1-2名古屋グランパス

ヴィッセル神戸3-2FC東京

サンフレッチェ広島1-0湘南ベルマーレ

サガン鳥栖2-2鹿島アントラーズ

京都サンガFC0-2浦和レッズ

横浜F・マリノス2-0アビスパ福岡

アルビレックス新潟1-3ガンバ大阪

セレッソ大阪2-0横浜FC

川崎フロンターレ2-0柏レイソル

 

1位 ヴィッセル神戸(33)

2位 横浜F・マリノス(30)

3位 名古屋グランパス(29)

4位 サンフレッチェ広島(26)※1

5位 セレッソ大阪(26)

6位 浦和レッズ(24)※2

7位 鹿島アントラーズ(24)

8位 北海道コンサドーレ札幌(22)

9位 川崎フロンターレ(21)

10位 アビスパ福岡(20)

11位 FC東京(19)

12位 サガン鳥栖(19)

13位 アルビレックス新潟(16)

14位 京都サンガFC(13)

15位 柏レイソル(12)

16位 横浜FC(12)

17位 湘南ベルマーレ(11)※1

18位 ガンバ大阪(10)

 

※1 1試合未消化

※2 2試合未消化

 

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武藤嘉紀が古巣相手に2ゴールを決めて勝利した首位神戸を始め、神戸を追う横浜FM・名古屋・広島もそれぞれ勝利。彼らが勝点を積み上げて優勝戦線に止まっている中で3連勝のC大阪が5位に浮上。浦和も未消化分の2試合の結果次第では一気にこの争いに食い込める立ち位置につけています。

下位では最下位のG大阪が8試合ぶりの勝利を挙げた一方、G大阪に敗れた新潟の他、京都・柏・横浜FC・湘南の4チームはいずれも敗北。14位京都から18位G大阪までの勝点差は3になっており、こちらも混沌とした争いになっています。

 

 

きゃっきゃしてたら日本ダービー買うの忘れてた。

ではでは(´∀`)