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祝・川﨑颯太、日本代表初選出という事で、スカラーアスリートプロジェクトについてもっと知ってもらいたいの柳沢玉田巻【②そもそもスカラーアスリートプロジェクトはどうやって成立した?】

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①スカラーアスリートプロジェクトとはなんぞやの続きですので、先にそちらからお読みくださいませ。

 

 

 

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②そもそもスカラーアスリートプロジェクトはどうやって成立した?

 

まずサンガって、今でもその傾向が完全になくなった訳じゃないですけど、昔は特に「全盛期を過ぎた大物乱獲しとけ」で運営されていた部分があるんですよね。だから三浦知良でもそうですし、ラモス瑠偉やら武田修宏やら森保一やら、ドーハ世代の選手達はその後にサンガの在籍歴があったりする。ただ、サンガが最も成功したのは大物選手の多くが去り、若手重視のスカッド天皇杯優勝とJ1で5位という好成績を残した2002年だった。チームとして長く鮮度を保つ為には、自分達で選手達を育てられるクラブにならなければならない事は自明の理でした。

大きなポイントになったのは2004年6月、京都出身でもある柱谷幸一氏が監督に就任した事でした。この時の柱谷氏は選手補強も司るGMのような仕事も担っていたので実質的に全権監督とも言えよう立場だったんですが、その柱谷氏がクラブに対して育成環境の整備と育成システムの構築を提言。ここがSAPの始まりになります。

 

ただ、ユース組織を構築するとは言っても…当時の関西のユース事情と言えばガンバ大阪が圧倒的な実績を残していて、そこに徐々にセレッソ大阪が追随できるようになってきた時期でした。要は高校サッカーではなくJクラブのアカデミーを選ぶ有望株の行き先は、京都出身の家長昭博宇佐美貴史がそうだったように大体が大阪2強のどちらかという時期。更に2004年には三木谷浩史氏がヴィッセル神戸の経営に参画するようになり、育成環境の整備を急ピッチで整えてきた時期であり、後発勢力だったサンガは有望株を確保する為にはこの3クラブとは異なるアプローチが求められていました。

そこで参考にしたのがサンフレッチェ広島のユース寮と近隣の高校を連携させたシステムで、実際にサンガは広島ジュニアユースの監督として槙野智章らの育成を手掛けた上野展裕氏を育成部門統括責任者として招聘。広島のシステムを明確にモデルケースとして活用したサンガですが、後発戦力として他の3クラブ同様に「選択肢のテーブル」に乗る為にはもう一つ、サンガユースでしか得られないメリットを子供とその親に提示する必要があった。広島をモデルにするだけでなく、更にそれに上乗せする何かが必要だった。そこで柱谷氏が提唱したのが上で書いたようなSAPのシステムであり、その熱意に共鳴した京セラの稲盛和夫会長が立命館との話を取りまとめてSAPのシステムが完成したのです。

柱谷氏が提言したのって2004〜2005年辺りなんですよね。にも関わらず、SAP1期生の活動は2006年から始まった。これは柱谷氏を始めとしたこの計画に携わったスタッフのビジョンがしっかりしていた事、そして稲盛会長の剛腕の2つが合わさった。立命館宇治高校の立地も含めて、サンガが持つリソースをめちゃくちゃ有効に活用できた訳ですね。

 

 

 

実際問題として、なんやかんやでやっぱり…関西の有望株はガンバかセレッソに行く傾向はまだ強いと思うんですよ。ただ、例えば…川﨑颯太は甲府から来て、今のサンガで言えば麻田将吾は長野、SAP出身者で初めて日本代表に入った久保裕也は山口から越境でサンガユースに来ている。親御さんからしても遠方からユースに行かせるにあたって、サンガのように生活面と進路の面でもサポートが手厚くなされているシステムはやっぱり子供を預けるにあたって安心できるシステムのはずですし、川﨑や麻田、久保のようなケースが多い事は決して偶然じゃない。

これは神戸も含めてですが、独自色と「サンガユースならでは」の魅力と旨味を提示する事で、後発勢力にも関わらず選択肢として提示できるだけの育成組織になったのは並大抵の事ではないので、今回の川﨑の代表招集を機にこの取り組みがもっと評価されてほしいな…という気持ちはあります。何よりガンバ大阪セレッソ大阪ヴィッセル神戸京都サンガFC…関西の4クラブはいずれも育成にしっかりと力を入れていて、それぞれが実績も独自色も持っている。育成ってやっぱり「強いチームに行っておけば伸びる」というものでもないですから、それぞれに合ったタイプのチームを選ぶ事が重要になってきますし、その合ったタイプは必ずしもチームの成績に比例するものではない。そう考えると、関西はこうして有望選手に対して多くの選択肢を提供出来る環境が揃っている訳ですから、これはどこのチームが…という以上に関西のサッカー界として非常に大きな事で、そして関西の子供達にとっては本当に素晴らしい状況だなあと思っています。

 

 

ハシーラターニ

ではでは(´∀`)