府内三都物語
どーもこんばんは
さてさて、今回も先日のブログに引き続いて【ユース出身選手ベストイレブン最強選手権】と題し、ユースから大成した選手を多く輩出したチームで出身者のベストイレブンを組んでみました。今回は私の方では順位付けはせず、あくまでノミネートチームとして紹介していきますので、どこが一番かはお読みの皆様それぞれの評価基準と好みであーだこーだ言ってもらえれば幸いです。詳しい企画概要や趣旨は第1回を呼んでいただけますと幸いです。
今回は独断と偏見で勝手に12チームをエントリーしましたので、1回につき4チームずつ、全3回に分けて更新していきます。また、ノミネートには至りませんでしたがピックアップクラブとして、各回に1つのテーマに基づいた2〜3チームずつをノミネートとは別でご紹介させて頂きたい所存です。
【ルール】
・選出条件はプロ入り後の活躍度で判断するので、ユース時代の活躍度は考慮しません。選出ポジションも基本的にはプロで活躍したポジションで選びます。
・システムはあくまで便宜上であり、結構無理矢理捩じ込む形になりますので多少ツッコミどころが生じるのは予めご了承ください。
・ジュニアユース(U-15)のみ所属した選手はJリーグの選手登録に於けるホームグロウン枠やA契約枠の特例が認められている事に基づき、選出の対象とします。ただし小学校年代(U-12)のみ所属した選手は対象外です。
・情報は2023年9月時点での情報となっています。
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#5 鹿島アントラーズ
五輪出場者:曽ヶ端準(2004),※大津祐樹(2012),町田浩樹,※上田綺世(2021)
日本代表経験者:曽ヶ端準,野沢拓也,※大津祐樹,土居聖真,町田浩樹,※上田綺世
柳沢敦、小笠原満男、中田浩二、本山雅志、内田篤人、大迫勇也、柴崎岳、昌子源…といったように、鹿島は椎本邦一氏というド辣腕スカウトを擁している事からクラブとして高校サッカー出身の選手の獲得がメインとなっていた一方、ユースに関しては土地柄もあってかそこまで成果を出せていた訳ではありませんでした。鹿島とは事情が異なるとはいえ、これは高校サッカーが主流だった1990年代に隆盛を極めた清水や磐田にも見られる傾向です。
なので他の強豪イメージのあるクラブと比較すると長くJリーグで活躍するような選手の輩出数は少ないですが、長く活躍した少ない選手の中での大ヒット率は結構高いのは興味深いところ。長きに渡って活躍した曽ヶ端や土居もそうですが、鈴木優磨という強烈なキャラクターを持つエースがユースから出てきたのは鹿島にとって大きかったのでは。近年はこれまで通り高校サッカー組のスカウトも張りつつ、柳沢、小笠原というレジェンドがユースを指導するなどアカデミー育成方針は変化してきた印象です。町田や上田も出てきましたし。
#6 東京ヴェルディ
日本代表経験者:小見幸隆,松木安太郎,都並敏史,戸塚哲也,※北澤豪,中村忠,※南雄太,※菅野孝憲,森本貴幸,小林祐希,※山根視来,中島翔哉,安西幸輝,畠中槙之輔,三竿健斗,渡辺皓太,藤田譲瑠チマ
Jリーグベストイレブン受賞者:※北澤豪(1994),※山根視来(2020〜2022)
【その他の主な選手】
MF:財前宣之,玉乃淳,小林裕紀,高木善朗,前田直輝,※青木亮太,高木大輔,井上潮音,神谷優太,山本理仁
選手の輩出実績だけで言えば近年は色々なクラブが素晴らしい結果を出していますが、歴史の深さで言えばヴェルディは群を抜いています。Jリーグ開幕以前はあくまでサッカーは企業スポーツであり、高校や大学で結果を残した選手が入社という形で企業のサッカー部に入部する中で、ヴェルディの前身にあたる読売クラブは当初から事実上のプロクラブ運営を実施していた事でよく知られていますが、それと同時に現代にも通ずる育成組織を完成させた事は日本サッカーの歴史に於いても重要なポイントでした。よみうりランド内に読売クラブの練習場を建設した事で1980年代には既にトップチームとユースが同じ練習場でトレーニングを積む体制を整えており、前述のようにユースの概念が無かった時代に松木や都並、戸塚といった後の日本代表選手を自前で育ててトップチームに昇格させる流れを構築していた事は日本サッカーの歴史に於いて高く評価されるべき部分でしょう。当時のサッカーに対してこれだけ思い切った投資が出来たのは親会社のバックアップが大前提ではありましたが、Jリーグバブルが弾けて親会社が撤退し、ヴェルディが経営的に窮地に立たされても育成だけはどうにか力を注いで回し続けた事もクラブとして育成組織をかけがえのない財産と捉えている事がよくわかります。
前述のように古くは松木や都並に始まり、パリ五輪世代にも藤田、山本と候補選手を育てており、各時代に於いてJ1級の選手を常に輩出しています。テクニックの部分とか、ヴェルディユースの選手はずば抜けて巧いとはどの時代でも聞きますもんね。
【ピックアップコーナー②四種四様!大阪2強と異なるカラーを目指した2つのアカデミー】
五輪出場者:原川力(2016)
日本代表経験者:久保裕也,川﨑颯太
五輪出場者:岩波拓也(2016)
関西のユース育成といえばガンバ大阪が圧倒的にぶっちぎっており、そこをセレッソ大阪が後追いで力を入れる形になっていたので、いずれにしても関西の有力選手はどうしても大阪の2クラブに流れていくようになっていました。となると、必然的に置いて行かれる形になった京都と神戸は有力選手達の選択肢になる為には大阪の2クラブとは違う魅力を提示する必要があり、この2クラブは独自路線でユースの発展を目指しています。
神戸はそれまでユース育成にはほぼ力を入れていなかったものの、三木谷浩史氏が経営権を握って早々にユース寮となる「三木谷ハウス」を建築するなど育成部門にも積極的な投資を行なって環境を整備すると、近年ではクラブがバルサ化を掲げた事もあり、育成年代からスペイン人指導者を招聘して個人戦術を醸成するユース指導を実施。今では大会成績や選手の海外進出という結果も表れています。
サンガも当初は全盛期を過ぎたスター選手の乱獲が目立っていましたが、2002年に松井大輔や朴智星といった生え抜きの若手を主体としたチームで天皇杯を制すると、2006年より当時のトップチーム監督である柱谷幸一氏の提唱をきっかけにサンガ・京セラ・立命館の3者合同でスカラーアスリートプロジェクト(SAP)という育成システムを開始させます。同プロジェクトの詳細は以前にブログで解説したのでここでは省きますが、SAP始動以降は久保、奥川、原川、川﨑の4選手がA代表招集を受けました(奥川と原川は辞退)。
京都は京セラの稲森和夫会長、神戸は楽天の三木谷会長という強力な後ろ盾を借りながら、ガンバやセレッソとはまた違うセールスポイントを提示しようとしている事は大きな特徴で、現在の関西のアカデミー事情はそれぞれ特徴が異なる4つの有力ユースが存在する状況です。ユース生は必ずしも強いチーム、実績のあるチームに行けば成長する訳でもないですし、クラブカラーやスタンスと自分のキャラクターとの相性も重要になってくる。それを踏まえると、ガンバ・セレッソに続いて京都と神戸が違う特徴で選択肢になった四者四様の状態は関西のサッカー界にとって凄く良いなぁと。
#7 川崎フロンターレ
五輪出場者:安藤駿介(2012),三好康児,板倉滉,三笘薫,田中碧(2021)
日本代表経験者:永木亮太,仲川輝人,脇坂泰斗,三好康児,板倉滉,三笘薫,田中碧
Jリーグベストイレブン受賞者:仲川輝人(2019),三笘薫,田中碧(2020),脇坂泰斗(2021,2022)
【その他の主な選手】
MF:※高宇洋
FW:山田新,宮城天
近年のアカデミーの台頭、そしてその育成実績を著しく伸ばしているのが川崎です。大前提として川崎はJリーグの中では後発勢力ですから、2000年代初頭頃まではそこまで手が回らなかった部分はあると思います。しかし2005年以降の躍進でチームとしてのキャパシティが一気に拡がり、中村憲剛や寺田周平といった大卒ルーキーの選手が代表に入った事で育成力が評価され、いよいよアカデミー育成に本腰を入れられる状態になったくらいの時期にジュニアユースに入ってきたのが95年組の脇坂、96年組の板倉と三好、97年組の三笘、98年組の田中といった面々でした。
現在の代表ではここに大卒ルーキーとして入団した川崎でブレイクした谷口彰悟、守田英正、旗手怜央を加えた面々が「川崎ユニット」「川崎ブランド」等と称される事もあり、三笘や板倉が欧州市場で高い評価を受けている事を思うと、今後世界に対する訴求力は強くなっていく事でしょう。元々大卒ルーキーの育成には定評があったチームですが、脇坂や三笘、現在の選手なら山田のようにユース→大学→トップチームというルートはかなり増えていますね。
#8 横浜F・マリノス
W杯出場者:※中村俊輔(2006,2010),齋藤学(2014)
アジアカップ出場者:※中村俊輔(2000,2004,2007),※藤本淳吾(2011),※佐々木翔(2019)
五輪出場者:※中村俊輔(2000),石川直宏(2004),谷口博之(2008),齋藤学(2012)
日本代表経験者:※中村俊輔,石川直宏,坂田大輔,田中隼磨,栗原勇蔵,※藤本淳吾,谷口博之,ハーフナー・マイク,長谷川アーリアジャスール,水沼宏太,※佐々木翔,齋藤学,天野純,遠藤渓太
Jリーグベストイレブン受賞者:※中村俊輔(1999,2000,2013),谷口博之(2006),石川直宏(2009),※藤本淳吾(2010,2011),ハーフナー・マイク(2011),齋藤学(2016),喜田拓也(2019),水沼宏太(2022)
【その他の主な選手】
DF:金井貢史,中村帆高,※常本佳吾
MF:永山邦夫,大橋正博,長谷川アーリアジャスール,森谷賢太郎,天野純,喜田拓也,※小泉慶,汰木康也,山田康太,吉尾海夏,山根陸
Jリーグの歴史に於けるマリノスは、読売クラブのヴェルディと同様に前身の日産自動車時代には育成組織を確立させており、その強烈なライバル関係でも知られた読売と日産は同時に日本サッカーのプロ化に向けた具体的な動きをいち早く見せた2クラブでした。例えば上の11人で言えば寺田と中村俊輔は日産FCジュニアユース時代の入団選手ですね。ただ、Jリーグ開幕当初は川口能活や松田直樹など高校サッカー組の獲得や大型補強も積極的に行なっていたので、ユース組がトップで本格的に台頭したのは2000年代中頃からでしょうか。
関東ではヴェルディのトップチーム人気が低下し、鹿島や浦和はユース育成に本腰を入れていなかった時代も長く川崎も後発勢力だった事もあって、30年間揺るぎないトップチーム人気と育成への投資を注ぎ続けていたマリノスは自然と常に関東の有力選手が目指す場所となっており、そのセレクションの倍率は常に苛烈。遠藤航と伊東純也が同じ年にジュニアユースのセレクションに落選したのは有名な話で、中村や藤本、佐々木など後の日本代表もユース昇格を果たせなかったほどのレベルの高さ。この点は「見る目がない」みたいに言われてしまう事もありますけど、これは前回のFC東京や次回のG大阪にも言える話ですが、その先のキャリアの上でもジュニアユースでの経験値などがもたらしたものは大きい訳で、それがユースの育成手腕に疑問が付くような話ではないでしょう。
関西の循環は良いと思うよ実際
ではでは(´∀`)