ユース生え抜き、それはロマン
どーもこんばんは
さてさて、Jリーグは30周年を迎えました。
Jリーグが与えた影響とインパクトはこの国のスポーツ史に燦々と残る文化であり、その文化がこれから先の世界にも生き続けていく為に大事な布石はしっかりと積み上げてきたはずです。それはそれまで野球一強と言われたこの国のスポーツ界で2トップに近い立ち位置まで迫った事実もそうですし、日本代表の強化にも繋がるこの国のサッカー競技力の発展もその一つと言えるでしょう。
そして、Jリーグの発展の中で培った大いなる財産が育成システムの確立、そして各クラブのアカデミー体制の整備です。
Jリーグ開幕以前、いわゆる日本サッカーリーグ(JSL)時代に、今で言うところのユースチーム所持し、トップチームを頂点としたアカデミー体制を運営していたのは読売クラブ(現:東京ヴェルディ)と日産自動車サッカー部(現:横浜F・マリノス)くらいなものでしたが、Jリーグ加盟の条件に「育成組織の保有」が設けられた事で各チームがユースチームを所有するようになりました。当初は高校サッカーの方が有望株が多く、若手は高校や大学からの選手獲得に重きを置くクラブが多かった事が力の入れ具合にはバラつきがありましたが、元々育成組織を有していた上記2チームに続き、Jリーグ開幕後はジェフユナイテッド市原、ガンバ大阪、サンフレッチェ広島といったチームがアカデミー育成に力を入れて成功するようになると、ユースを重点的に育てていく潮流はリーグ全体の中で強まっていき、それは次第に日本代表メンバーにも反映されていました。実際、カタールW杯メンバー26名のうち、中学年代を含めてJクラブ傘下のユースチームに所属経験のある選手は15名にも及んでおり、高校サッカーや大学サッカーを含めて多様な選択肢としてサイクルが回り始めています。
じゃあチーム毎のユース出身選手でベストイレブンを組んでみたとして、果たしてどこのチームが最も強いのか?果たしてどこのチームが今となってみれば最も豪華なのか?と。
という訳で今回は【ユース出身選手ベストイレブン最強選手権】と題しまして、ユースから大成した選手を多く輩出したチームで出身者のベストイレブンを組んでみました。今回は私の方では順位付けはせず、あくまでノミネートチームとして紹介していきますので、どこが一番かはお読みの皆様それぞれの評価基準と好みであーだこーだ言ってもらえれば幸いです。
今回は独断と偏見で勝手に12チームをエントリーしましたので、1回につき4チームずつ、全3回に分けて更新していきます。また、ノミネートには至りませんでしたがピックアップクラブとして、各回に1つのテーマに基づいた2〜3チームずつをノミネートとは別でご紹介させて頂きたい所存です。
【ルール】
・選出条件はプロ入り後の活躍度で判断するので、ユース時代の活躍度は考慮しません。選出ポジションも基本的にはプロで活躍したポジションで選びます。
・システムはあくまで便宜上であり、結構無理矢理捩じ込む形になりますので多少ツッコミどころが生じるのは予めご了承ください。
・ジュニアユース(U-15)のみ所属した選手はJリーグの選手登録に於けるホームグロウン枠やA契約枠の特例が認められている事に基づき、選出の対象とし、ジュニアユースのみの所属選手には※マークを添えています。ただし小学校年代(U-12)のみ所属した選手は対象外です。
・情報は2023年9月時点での情報となっています。
Jリーグ30周年記念特集はこちらから!
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オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。
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#1 浦和レッズ
W杯出場者:原口元気(2018)
五輪出場者:矢島慎也(2016),橋岡大樹,鈴木彩艶(2021)
日本代表経験者:宇賀神友弥,山田直輝,原口元気,伊藤敦樹,橋岡大樹,鈴木彩艶
【その他の主なユース出身者】
GK:大谷幸輝
FW:中村祐人,小池純輝,邦本宜裕
J発足当初はそこまでアカデミーに力を入れていた訳ではなく、ルーキーは主に高校・大学からの獲得が主だった浦和でしたが、2002年からGMとして復帰した森孝慈氏の下でアカデミー改革を行い、それ以降はルーキーの入団はユース出身者が増えていきました。特に2009年には山田直輝、高橋峻希など5名が同時昇格し、中でもこの年に飛び級で昇格した原口元気はルーキーイヤーから大きなインパクトを残すと、新たなる浦和のシンボルとしてドイツや日本代表でも活躍。ロシアW杯では予選も含めて常時レギュラーとしてプレーし、日本人で初めてW杯決勝トーナメントで得点を挙げた選手にもなりました。
関根貴大などJリーグで活躍する選手はコンスタントに登場した一方、原口を除けば山田と宇賀神が単発で招集された以外は代表とは縁遠い状態が続いていましたが、最近では橋岡、鈴木、伊藤といった面々が台頭。2026年W杯メンバー戦線に食い込んでいきたいところですね。
#2 柏レイソル
W杯出場者:明神智和(2002),酒井宏樹(2014,2018,2022),中村航輔(2018),中山雄太(2022※途中離脱)
アジアカップ出場者:明神智和(2000),酒井宏樹(2019)
五輪出場者:明神智和(2000),酒井宏樹(2012),中村航輔(2016),中山雄太(2021)
日本代表経験者:酒井直樹,明神智和,近藤直也,※林彰洋,酒井宏樹,工藤壮人,山中亮輔,中村航輔,中谷進之介,中山雄太,伊藤達哉,古賀太陽,細谷真大
Jリーグベストイレブン受賞者:明神智和(2000),近藤直也,酒井宏樹(2011),中村航輔(2017),※林彰洋(2019)
【その他の主なユース出身者】
GK:桐畑和繁
DF:石川直樹
MF:菅沼実,※上田康太,島川俊郎,中川寛斗,秋野央樹,手塚康平,伊藤達哉
FW:※カレン・ロバート,船山貴之,エスクデロ競飛王,指宿洋史,森海渡
オリジナル10のクラブでも早くから下部組織での育成に力を入れていたクラブとそうでないクラブが存在した中で、柏は前身の日立製作所時代からサッカースクールを運営し、その流れを汲んで1987年の時点では現在のユースの基となる組織を発足させていました。現在でも日本有数の育成組織として知られていますね。実際、まだユース出身者が少数派だった時代から酒井直樹がA代表デビューを果たし、明神が代表レギュラーに定着するなどの目に見えた実績を早くから築いていました。2000年代中頃には吉田達磨氏がアカデミースタッフに就任して以降は彼を中心にプレーモデルをまとめ、FCバルセロナの黄金期到来により「バルサ化」が全国的に流行りとなるよりも先に一貫ポゼッションスタイルによる指導体制を構築していた事でも知られています。
毎年1人は長くJリーグで活躍する選手を輩出していた中で、吉田達磨監督が率いた1990年組は酒井宏樹、工藤壮人、武富孝介、指宿洋史らを輩出した黄金時代として知られており、続く下平隆宏監督時代にも山中亮輔、中村航輔、中谷進之介、中山雄太といった選手が台頭。両監督とも後にトップチームの監督を務めており、下平監督時代の2016年8月の川崎戦試合終了時には、ピッチに立っていた11人のうち外国籍のクリスティアーノを除く10人がユース出身者という快挙も成し遂げました。
【ピックアップコーナー①小クラブから飛び立つ、新たな育成の強豪】
日本代表経験者:※ハーフナー・マイク,西大伍,進藤亮佑,菅大輝
Jリーグベストイレブン受賞者:※ハーフナー・マイク(2011),西大伍(2017,2018)
W杯出場者:茂庭照幸(2006),遠藤航(2018,2022)
五輪出場者:茂庭照幸(2004),遠藤航(2016,2021)
日本代表経験者:田川亨介
近年の育成成果が著しい、ユース規模として伸びている3チームですね。
いずれもユース生に限らず、高校サッカーや大学サッカーから獲得した選手や他クラブで出場機会の多くなかった選手までを含めて「育てて売る」のサイクルを確立した3クラブ。ファンとしては複雑な部分もあるでしょうが、その一連の流れをしっかり構築した育成組織はクラブの大きな財産でしょう。特に湘南に関しては結構ギリギリまでノミネートの方に入れるかどうかも悩みましたね。
#3 ジェフユナイテッド千葉
W杯出場者:阿部勇樹(2010)
日本代表経験者:※中村直志,山口智,酒井友之,村井慎二,阿部勇樹,佐藤勇人,佐藤寿人,山岸智,工藤浩平,加藤恒平
Jリーグベストイレブン受賞者:阿部勇樹(2005〜2007,2016),佐藤寿人(2005,2012),山口智(2006〜2008)
【その他の主なユース出身者】
FW:※大橋祐紀
ユースの名門としては同じ千葉県内の柏の方が強いイメージがありますが、千葉もトップチームが弱小と呼ばれていた1990年代からユース育成に力を入れており、シドニー五輪に酒井友之を送り出すなど他クラブと比べて早い段階からユースからの台頭やトップチームへの積極登用も目立っていました。実際、1996年にJリーグ史上初めて現役高校生Jリーガーとしてプレーした山口智はJリーグ史上初めてトップチーム契約前にユース選手ながら公式戦に出場した選手でもあります。ユースではありませんが、かつてはジェフユナイテッド千葉・リザーブスというセカンドチームがJFLに参加しており、同チームは2011年最後に活動を終えましたが、欧州でよく見られるセカンドチームを保有してアマチュアリーグに参加させるやり方は一時期の特色でした。
前述の通り山口や酒井といった成功例を早い段階から輩出していた中、ジェフユースにとって黄金世代となったのがちょうどアテネ五輪世代のメンバーで、この世代では阿部勇樹を筆頭に佐藤兄弟、山岸、工藤らが台頭。佐藤寿人こそ他クラブでのブレイクでしたが、1979年組の村井を含めて20代前半のタイミングでのイビチャ・オシムの監督就任でその成長を一気に加速させ、代表招集を受けるほどにまでブレイクしました。近年もJの舞台で活躍できる選手はコンスタントに輩出しています。
#4 FC東京
W杯出場者:権田修一(2014,2022),武藤嘉紀(2018),久保建英(2022)
アジアカップ出場者:李忠成(2011),権田修一(2011,2019),武藤嘉紀(2015,2019)
五輪出場者:梶山陽平,李忠成(2008),権田修一(2012),久保建英(2021)
日本代表経験者:李忠成,権田修一,※丸山祐市,※稲垣祥,武藤嘉紀,橋本拳人,渡辺剛,※坂元達裕,※杉岡大暉,久保建英,バングーナガンデ佳史扶
Jリーグベストイレブン受賞者:武藤嘉紀(2014),橋本拳人(2019),※稲垣祥(2021)
【その他の主なユース出身者】
GK:波多野豪
FW:原大智
柏などと同様に、前身の東京ガスサッカー部時代からスクール運営を積極的に行っていたFC東京。FC東京のJリーグ参入はJ2が発足した1999年でしたが、Jリーグ元年の1993年からユース組織は実質的に始動させていました。2004年以降はU-15を東京都東部の中学生を受け入れる「U-15深川」と、西部の中学生を受け入れる「U-15むさし」の2チーム体制に完全移行し、U-18は昇格というよりも深川・むさしと外部組の選抜チームのような体制になっています。2016年からは大阪の2クラブと共にJ3リーグにU-23チームを参加させていた事もあってか、ユース所属ながら2種登録でトップチームの試合に参加する選手もよく見ますね。
梶山や権田、橋本のようにトップチームの核にもなったような選手も輩出している他、最近では武藤嘉紀を筆頭に安部、U-15まで所属した丸山や渡辺のように高校や大学を経由してFC東京のトップチームに復帰するルートも多くなっている印象です。U-18に昇格出来なかった選手にも稲垣、白崎、小泉、杉岡など好選手が多いのも特徴ですね。G大阪然り、こういうケースは「見る目がない」と揶揄される場合も多いですが、後のキャリアを歩む上でユースで学んだものであったりFC東京のユース出身であった事の影響は欠かせなかった訳ですから、それを否定的に捉えるべきではないと思っていますし。また、注目度や入団の経緯が特殊だった久保建英の育成もちゃんと成功させたのは決して簡単なミッションでは無かったでしょうし、そこも評価されるべきポイントでしょう。
久保くん争奪戦なつかC
ではでは(´∀`)