川﨑いいいいいい
どーもこんばんは
さてさて、本日のマッチレビューは明治安田生命J1リーグ第15節、京都サンガFCvs浦和レッズの一戦です!
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どんな言葉を並べたところで、それが仮にポジティブな文言で合ったとしても、今のサンガの隣には常に「4連敗」という確固たる現実が重くのしかかっています。
今年は1チームしか降格の涙に濡れる事はありません。ただ、1チームはその立場に陥る。雪だるま式に云々というように、大きな連敗はそれだけクラブに影を落とし、一つのスパイラルに巻き込まれると結果はもちろん、出来ることも出来なくなって、目指すことも目指せなくなる。だからこそサンガに求められる事は「勝つ事」「連敗を止める事」…この2つしかないんです。
思えば、このクラブのターニングポイントにはいつも浦和が立っていたように思います。16連敗中の27年前、サンガの歴史に火を灯したのは浦和でした。通算100勝を決めた相手も浦和だった。サンガに降格という結果を突き付けたのも浦和だった。そして12年ぶりのJ1、そこでの勝利を照らしてくれたのも浦和だった……情念でぶつかるキング・オブ・アジア。11年ぶりの代表招集という吉報とクラブが追い込まれた危機的なシチュエーションに、サンガはドラマを添える事は出来るのでしょうか。
両チームスタメンです。
サンガは前節札幌戦から麻田将吾、川﨑颯太、木村勇大、パトリックの4人のみを残して実に7人も先発を変更しました。新たに先発起用された7選手はいずれも水曜日のルヴァン杯G大阪戦に先発した選手ですので、G大阪戦の流れをそのまま継続しようという形に。GK太田岳志は第7節福岡戦に続いて2試合目。アピアタウィア久が第2節名古屋戦以来、谷内田哲平はJ1初スタメンを飾った他、井上黎生人が今季初めて先発を外れており、その井上と全試合でCBを組んでいた麻田は今日は左SBとしての起用です。
浦和は前節福岡戦からは先発を一人変更。ACL決勝以降の試合を欠場していた酒井宏樹がリーグ戦では第7節名古屋戦以来の先発復帰を果たしています。また、ベンチには第8節札幌戦以来のメンバー入りとなるダヴィド・モーベルグが入っています。昨季までレンタルでサンガでプレーした荻原拓也も先発です。
本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by Kyoceraです。
本日はメインスポンサー京セラによる「京セラスペシャルデー」として開催されます。来場者プレゼントとしてARを用いたトレーディングカードが先着で配布される他、ハーフタイム抽選会も実施。また、KBS京都で放送中の「SUNNY TIME」とのコラボ企画として杉浦太陽氏、横山由依氏、お笑いコンビのアルミカンが来場します。
去年の開幕戦、サンガのJ1での時計の針を再び動かしたのがこのサンガスタジアムでの浦和との開幕戦でした。クラブから11年ぶりの代表選出という吉報の続くこの浦和戦は、サンガにとって新たな時計の針を回すような一戦になるのでしょうか。
本日は現地観戦です!
…今週サッカー見に行きすぎ。スポーツ観戦日記は後日更新予定です。
序盤から押し込んだのはサンガでした。コンパクトな陣形を保ちながらリスク覚悟で高いラインを設定し、そこから積極的にプレスをかけていく事で浦和がバックパスを選択せざるを得なくなる状況を作り、それによって試合が常に浦和陣内で動くような展開をサンガは目指していました。
その狙いは概ね序盤から形になっており、4分にはバックパスを受けた西川周作にパトリックがプレス。その西川から余裕のない体勢でフォローしてパスを受けた岩尾憲から川﨑がボールを奪い決定機を迎えましたが、これはギリギリでホイブラーテンがブロック。こぼれ球を拾った木村のシュートも今度はショルツにブロックされます。
9分にもセットプレーのこぼれ球を福田心之助がミドル。12分には木村のスルーパスから福田のクロスにパトリックがオーバーヘッドで合わせるなどサンガは序盤からチャンスは作れており、優勢な試合運びは出来た状態で試合は進んでいました。
この日のサンガは高いライン設定とプレッシングを徹底しつつ、中盤に入った谷内田と平戸が前を向いた状態で上手くボールをコントロールし、良い形でパスの出し手となる動きを見せた事で前線の選手の攻め上がりを誘引する事が出来ており、その連鎖的にサンガはほぼハーフコートゲームの状態を狙い通りに作れていました。
一方、サンガにとって得意なフィールドで戦えていた事は確かでも、そういう戦い方をする事で予想される背後へのリスクは想定通りに可視化されたようなシーンも訪れます。前半終了間際には岩尾のスルーパスに抜け出した大久保智明がシュート。浦和にとって前半の数少ない決定機でしたが、ここはイヨハ理ヘンリーが身体を寄せた甲斐もあって枠の外へ。
このシーンに限らず、浦和にカウンターで背後を狙われる場面はいくつかありましたが、そこは対人に強いアピアタウィアを含めてリスクマネジメントとケアは出来ており、大久保と酒井のいる浦和の右サイドに対峙する左SBにも麻田を置いていたので、得点は奪えずとも前半は概ねサンガが狙ったような試合展開で推移して後半に向かいます。
後半、浦和は大久保に代えてモーベルグを投入。
しかしここまで、良い流れできていたサンガに現実が突きつけられたのは51分でした。モーベルグの直接FKは一度は壁に当たるも、こぼれ球を自ら回収して右に持ち出したモーベルグのクロスをファーサイドの興梠慎三がヘッド。これが福田に当たってコースが変わり、サンガにとっては痛恨の失点…。
サンガにとって最大のチャンスは失点直後でした。ショルツのクリアを敵陣内で麻田が弾き返すと、そのボールを収めようとしたショルツからパトリックがボール奪取成功。ショルツの体勢が整う前にクロスを入れると飛び込んだ豊川がドンピシャで合わせましたが…クロスバーに当たり、垂直に落ちたボールはライン上からゴールにはこぼれず。豊川はめげずにセカンドボールにも反応しますが、今度は西川に掻き出されて決め切れません。
59分に木村と豊川を下げて山田楓喜と木下康介にWGを入れ替えたサンガは64分には川﨑の縦パスから巧みなステップワークで前を向いた平戸のパスをパトリックが落として谷内田がシュートに持ち込みますが、今度は相手DFにブロックされてこれもゴールならず…。
同ポジションの選手の交代で運動量と強度を維持する浦和に対し、サンガは74分に麻田を下げて井上を投入し、福田をWBに上げて平戸を左に出した3バックにシフト。78分にはその福田と川﨑を下げて荒木大吾と金子大毅を送り込みます。
88分には浮き球のボールを山田が上手くミートしたシュートを放つも枠の上に逸れ、アディショナルタイムにはセットプレーの混戦から最後はアピアタウィアがシュートに持ち込むも…決定機はいずれも枠を捉えられず。
アディショナルタイム、右サイドでFKを得た浦和はモーベルグがクロスではなくバイタルエリアへのパスを選択。伊藤敦樹のミドルはGK太田が弾くも、こぼれ球にいち早く反応したホセ・カンテがJ1初ゴールとなるシュートを押し込んでジ・エンド。
アジア王者相手に攻勢に出たサンガでしたが、結果は虚しく0-2の敗戦。これで5連敗という結果になってしまいました。
狙いとしては良かったと思います。
基本的に今季のサンガはハイプレス・ハイインテンシティーという部分では去年と同じコンセプトではありますが、今季は去年以上にハイラインの徹底も顕著になっています。というのも昨季まではピーター・ウタカという万能戦士がいて、武田将平とウタカで時間を作るスポットが2つあったので、それこそ昨季開幕戦の浦和戦で見せたようにサンガは縦幅を持ったカウンターも選択肢の中にあった。しかし、昨年後半の惨状からしても今年は「ウタカ頼みからの脱却」が求められる中で、サンガはハイプレスとショートカウンターに振り切る選択をした。そうなると、その効果を出す為にはラインを高くして陣形をコンパクトに保ち、プレスに行く距離をなるべく短くする必要がある。いわば全てが深追いのようなプレスになってしまうと相手もボールをコントロール出来ますし、サンガとしてもただただ疲弊していくだけなんですね。だからこそサンガはこのやり方を貫くのであれば序盤からハーフコートゲームのような状態に持ち込んでおく必要がある…と。
この試合ではサンガが得意なフィールドで戦う為の前提条件は満たせていました。それに加えて、今や浦和の2CBは…彼らを個で剥がせるような選手はサンガどころかJリーグ全体でもほぼいないという現実を踏まえた上で、ストロングを明確に持つパトリックが2CBに対する逆マークのような状態をキープしておく事で、WGというよりは3CFのような形になった豊川と木村がそこをフォローしていく。この2人がそういう動きをした時に、今日は前を向いてボールを出せる谷内田と平戸が中盤にいるので、彼らがボールを持った時に攻撃が上手く流れる形に持っていけていました。
同時にこのやり方は背後のリスクも常に孕んでいて、特に縦幅のある戦い方をしてくる浦和相手だとそのリスクは顕著でしたが、結局のところ全てを備える戦術なんてない訳でそこはもう何を選ぶかの取捨選択の問題になってくる。そしてそのリスクに対してはCBの人選として総合力に秀でたタイプの井上よりもアピアタウィアを優先し、佐藤響の攻撃力を犠牲にしてでも麻田を左SBとして大久保と酒井に当てた事はそのリスクに対するケアの側面もあったでしょう。サンガの得意なやり方を出す為の対浦和の狙いとしては実に良く出来た構造にはなっていたと思います。
良い試合ではあったと思う。
— RK-3 (@blueblack_gblue) 2023年5月27日
サンガが得意なフィールドで戦おうとする事に伴うリスクは目に見えていた。だからこそDFの顔触れであったり、そこに対するケアと工夫を施したりやれる事はやった。そしてその上で最後に賽の目がどちらに転ぶかを賭ける必要がある試合だった。そしてその賭けに負けちゃった pic.twitter.com/uWjxSSWvfv
攻撃の狙い、それに伴って予想されるリスクへのケア……サンガはやりたい展開で戦う代わりにそれに伴うリスクを受け入れるような試合展開になった。上で書いたように、数年前の川崎のような完全無欠のようなチームはJではほぼいませんから、結局は何かを取るなら何かを捨てなければならない。その観点では今日のサンガは希望した取捨選択の通りに進んだ試合ではありました。
曺貴裁サンガになって向上しているところって、そういう「自分達の希望するフィールドに持ち込める」みたいなところだと思っているんですよね。要は、ゴール前まではある程度運べるチームとして機能出来る。ただ、やはり運んだその先の最後の崩しはどうしても偶然性に頼らざるを得ない部分がある。一方で浦和には仕留め切る確実性があった。この試合はある種、サンガが望んだフィールドとセッティングが組み合った上で戦わなければならないギャンブルのような試合でもあったと思います。ただ、ギャンブルに持ち込む事が得意なサンガと、いざギャンブルになった時に確実性を持つ浦和と……試合としては接戦で、サンガにとっては惜しい印象を与える試合だった事が余計に"絶対的な差"を痛感させるような内容でした。
少なくとも、自分達でそういうフィールドに雪崩れ込む事が出来るようになった部分はサンガの成長ではあるんですよ。いつぞやのJ1ではそれさえも出来ませんでしたから。ただ…私はサンガゴール裏に近いバックスタンドでこの試合を見ていたんですが、ちょうど対角線でフラッグがはためき続ける紅い杜は近付けたようであまりにも遠かった……。偶然を排するか、今日でいえば豊川のヘッドやアピアタウィアのシュートのように訪れた偶然を確実に仕留めるか。勝点1は取りたかった試合で1は取れるチームにならないと長くJ1にはいれませんし、そしてそういう試合で3を取れるチームじゃないと「強豪」とは呼ばれない。浦和が突きつけてきたのはそういう定理だったように思います。
【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】
明治安田生命J1リーグ第15節分は上記リンクのアルビレックス新潟vsガンバ大阪のマッチレビューのページに記載していますのでそちらからご覧くださいませ。
レッズサポ来すぎや
ではでは(´∀`)