G・BLUE〜ブログとは名ばかりのものではありますが...ブログ。〜

気ままに白熱、気ままな憂鬱。執筆等のご依頼はTwitter(@blueblack_gblue)のDM、もしくは[gamba_kyoto@yahoo.co.jp]のメールアドレスまでご連絡お願いします。

すごいな、サンガ。どうやったんだ?〜なぜサンガは浦和に勝てたのか?〜【J1開幕戦、京都サンガFCvs浦和レッズの考察】

 

 

 

 

最高ですか?

 

 

 

最高です!

 

 

 

 

 

 

 

…こんな日が来ると想像出来たでしょうか?

 

ファンキーおもしろFKとかやってたあの時

 

闘莉王目掛けてフルタイムパワープレーとかやってたあの時

 

J2最下位に堂々輝いたあの時

 

こんな日が来ると想像出来たでしょうか?

 

ウタカが点を決めた時、試合終了のホイッスルが鳴った時、一番の感情は「こんな日が来るなんて…」でした。

 

 

一応マッチレビューは書いたんですけど、これは家に帰ってからその日のうちに書いたものでして。なんかずっと感覚がホワホワしてたんですよ。「J1で勝っちゃったよ…」「浦和に勝っちゃったよ…」的な。なのでホワホワ感もある程度落ち着きましたので、改めてここで「なぜサンガは浦和に勝てたのか?」「すごいな、カープ。どうやったんだ?」「いや、普通のことをやったまでです」「いいえ、普通じゃないです」という事で、京都サンガFCvs浦和レッズにおける、サンガの浦和撃破のポイントを考えていきたいと思います。

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20220221111322j:image

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20220221095710j:image
f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20220221095713j:image

 

オリジナルアルバムの配信も開始したのでそちらも観てね

 

 

 

①サンガのスタンスと浦和のバランス

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20220221111748j:image

 

昨季や富士フイルム杯では4-2-3-1を採用していた浦和でしたが、この日は4-1-4-1(4-1-2-3)システムを採用していました。この2つのシステムに於ける中盤の大きな違いの一つは「トップ下がいない事」で、このシステムの場合は攻撃時にはインサイドハーフがそのポジションに顔を出すか、もしくはCFの選手が中盤に降りてくる事でトップ下のスペースを埋める形がベーシックです。

浦和からすれば最大の誤算は序盤から結構オープンな試合展開になった事だったのではないでしょうか。サンガ視点でいえば、開始10分のアタッキングサッカーで浦和をハイペースな試合展開に引き摺り込む事が出来た…というか。実際、開始10分までに得点に直結しそうなシーンを何個か作る事が出来た訳で。結果的にそれは、浦和のポジショナルプレーのバランスを崩したった…みたいな側面があったと思いますし、同時に浦和のシステム変更が裏目に出始めた瞬間でもあったように感じました。

 

 

 

浦和からすれば、サンガが立ち上がりからあそこまで前から来たのは想定外だったように思います。浦和の攻撃時のサンガは松田天馬or川﨑颯太+DFの誰かでプレスに行く形が多く、逆に浦和はサンガのプレスに対して常に数的有利の状況を作ろうと試みていました。それだけならむしろ良い傾向にも見えるんですが、浦和の場合問題だったのは「ズルズルと前に上がっていってしまった」という部分だったのではないでしょうか。

それで何が起こったのかと言うと、浦和の攻撃時に浦和の中盤3人が全員チャレンジするように攻撃に参加してしまう状況になり始めていた…と。従来の4-2-3-1であればそのポジションはトップ下の選手の役割な訳で、そもそもそこのバランスを考える必要がない。ただこの日は明確なトップ下はいないので、IHやアンカー、もしくはCFが臨機応変にそのポジションに入る必要がある中で、CFの江坂任は常に最前線にいる形になった上で浦和の中盤がみんな前に釣り出される形になっちゃったので、浦和の攻撃時にはボランチのエリアが常にガラガラになってしまったんですよね。要はこの時点で、浦和が徹底してきたポジショナルプレーは崩れてきていましたし、逆にいえばトップ下起用がメインの小泉佳穂を投入してから改善され始めたのも偶然じゃないんだろうなと。こうなってくると悔やまれるのが岩尾憲の欠場で、岩尾の凄いところはボールを持っていない状態でチームのバランスを調節出来るところなんですよね。アンカーに入った柴戸海は間違いなく素晴らしい選手ですけど、彼もコントロールするよりアタックする事で持ち味を発揮出来る選手でしょうし、バランサーがいない状態でサンガに引き込まれていく形になったのは大きな誤算だったように思います。

 

 

 

じゃあそれに対してサンガがどうリアクションしたかと言えば、まず中盤の守備時には常に川﨑と松田が縦横無尽に動いていて、常に2人でプレスに行ける状態を維持していた事で浦和がチャレンジに来てくれるバランスの崩れた状態を改善する隙を与えない働きを見せていました。そしてボールを奪った時はなるべく手数をかけずにシンプルな速攻で攻めていく…これを徹底していた甲斐あってか、サンガの攻撃ターンは浦和よりは少なかったものの、かなりの割合でゴール前までは行けたのではないでしょうか。

そしてそのサンガの攻撃に於いてキーマンになっていたのが川﨑・松田と中盤を構成するもう一人のMF・武田将平でした。

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20220221104357j:image

 

個人的にはこの試合のMVPは武田だったと思っています。

浦和の中盤がかなり前がかりになる中で、浦和の攻撃をケアする為に運動量を増やしていたのが川﨑と松田であるならば、そこでボールを奪取した後の為に動き続けていたのが武田でした。敢えて川﨑と松田ほど果敢に守備に奔走しない分、浦和が前がかりになった中盤のスペースに確実に顔を出し続けた武田のポジショニングはこの日のサンガの攻撃を成立させる為には不可欠だったんです。

前半に多く見られた場面が、右SBのところで白井康介が川﨑と共にボールを奪い取り、中盤にフリーで顔を出した武田にパスを入れる。武田にボールが入った瞬間に攻撃のスイッチが入って武富孝介が走り出し、武田はツータッチくらいで武富にスルーパスを出す…と。これは左WGの豊川雄太に対しても同じサイクルで攻撃を回せており、逆にピーター・ウタカは武田にボールが入った時はトップ下的な位置をとって武田のフォローに入った。そのサイクルが抜群に回せていた事で、浦和に対してオープンなペースのゲームを維持し続けられたんだと思います。

 

 

 

②麻田将吾の左SB起用と非対称な守備陣形

 

f:id:gsfootball3tbase3gbmusic:20220221111601j:image

 

この日のスタメンのサプライズは、本来CBの麻田を左SBとして起用した事でした。これが曺貴裁監督が継続的なプランやレギュラーとして考えているのか、浦和対策なのか、或いは単に荻原拓也が出られないという理由なのかはともかく、麻田の左SBはめちゃくちゃハマっていました。

浦和のサイドの攻撃のやり方は右と左で相当違ったんですよね。元々SBの白井がいる浦和の左サイドは馬渡和彰と明本考浩がいて、この2人はどちらかといえばインナーラップやCFの江坂やMFとの連係を駆使していく攻撃の形がメインで、逆に酒井宏樹関根貴大の右サイドはどちらかと言えば右サイドを突破していく、右サイドで攻撃を成立させる形が多いんですよね。選手の特性として。その点で言えば、対人に強い麻田を浦和の右サイドと対峙させたのはマッチアップの相性として良かったですし、逆に個よりもコンビネーションで崩そうとしてくる浦和の左サイドには白井で対応させつつ、麻田を3バックに引き込む形で可変的に対応していました。麻田の左SBを今後どうするかはわかりませんが、少なくとも対浦和に対するシステムとしての効果は抜群だったと思います。

 

 

 

大きく分けるとこの2点が浦和に勝てた要因の大きなポイントだったように感じました。もちろん諸々、もっと細かい事は多くあるんでしょうけど。

この勝利の意味はもう、簡単に語れないレベルに大きいです。1年でぶっちぎりに負けて降格していく昇格組が躓くのは、大体が「最初の1勝が遠い」というパターン。だから第3節までに1勝、遅くても第5節までには一つ勝てていないとそのままズルズル行ってしまうでしょうし、昔のサンガを含めてそういうチームも多く見てきました。そんな中で開幕戦で、しかも浦和のようなチームに勝てた事は本当に大きい。これ以上を望めないほどのスタートでした。

 

 

 

付け加えて言うなら、サンガの歴史の節目には常に浦和との試合があったんですね。

 

 

サンガがJリーグで初めて勝利したのは浦和戦で、記念すべき通算100勝も浦和戦でした。そして何より、サンガの11年に及ぶJ2生活は2010年に浦和に負けたところから始まっていて…。そんな事を考えれば考えるほど、冒頭で書いた言葉ですけど「こんな日が来るなんて…」と。もう、ただただその気持ちでしたね。J1昇格を決めた千葉戦とは、また違った類の感動がありました。

 

 

次はセレッソ

ではでは(´∀`)