RK-3はきだめスタジオブログ

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当たり前のハードル〜AFC U-23アジアカップ決勝 U-23日本代表 vs U-23ウズベキスタン マッチレビューと試合考察と大会総括〜

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サンガも負けてガンバも負けて阪神も負けたから日本は勝て!!

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューAFC U-23アジアカップ2024 U-23日本代表 vs U-23ウズベキスタン代表の一戦です!

 

 

 

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実際問題として考えた時に、多くの人がこの大会を「アジアカップ」ではなく「パリ五輪予選」として捉えており、多くの人が目標の主語には「優勝」ではなく「パリ五輪出場権獲得」を置いていると思います。それはプランニングとしては基本的には正しい。この大会は優勝よりも重い意味合いを持つ別の要素がある訳ですから。テレビ朝日の言う「絶対に負けられない戦い」という言葉は、この大会に於いては準々決勝や準決勝の方がよりリアリティを持って当てはまる言葉でした。現にウズベキスタンの一部選手は、五輪出場は決定したからということでクラブに帰ることを求められた選手もいる訳で。それはこの大会が実質的に「準決勝(3位決定戦)までが大事な大会である事を暗に示しているとも言えるでしょう。

しかし、人生の中で優勝トロフィーを掲げられるチャンスが果たして何度訪れるでしょうか。例えば今の日本代表チームで言えば、久保建英なんかはプロとしてその戴冠に預かった事はない。もちろんそうならない為に個々は努力しますが、ファイナルという舞台が人生で最初で最後の選手もいる事でしょう。そして何より、韓国やオーストラリア、サウジアラビアが敗れていった今大会だからこそ、絶対的な存在としての日本をこのタイトルでアジア各国の脳裏に植え付けなければなりません。日本のプライド、選手個々の名誉…それぞれの使命がトロフィーリフトに繋がる事を祈って今日の試合を観ましょう!

スタメンです。

 

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日本は準決勝イラク戦からスタメンを3人変更。イラク戦では荒木遼太郎が松木玖生とインサイドハーフを組みましたが、今日は山本理仁をスタメンに戻し、山田楓喜と平河悠のWGを藤尾翔太と佐藤恵允のコンビに変更しました。GKを含めたDFラインの5人、中盤の藤田穣瑠チマと松木玖生、FWの細谷真大は決勝トーナメント3試合全てに先発しています。

 

 

 

本日の会場はカタール、ドーハのジャシム・ビン・ハマド・スタジアムです。

 

 

ドーハの都心に位置するスタジアムで、アル・ドゥハイルと並んでカタール屈指の強豪クラブとして知られるアル・サッドの本拠地として使用されています。近年のカタールカタールW杯開催に伴い多くの新スタジアムを建設しましたが、この建設ラッシュの前にはハリーファ国際スタジアムと共にカタール代表のホームスタジアム扱いを受けており、現に2008年に行われた南アフリカW杯最終予選のカタールvs日本の試合はこのスタジアムで行われました。施設に関してはこのスタジアムも冷房機能を完備しています。

なお、日本はグループステージ全3試合から準々決勝、そして準決勝とここまで全ての試合をこのスタジアムで戦っており、今大会の日本にとってはホームのような感覚すら覚えているかもしれません。ここで思い出をパーフェクトなものとして帰国するために、この空に高々と聖杯を!

 

 

 

 

積極的に高い位置からプレッシングを仕掛け、コンパクトな陣形の維持とこまめなライン調整を序盤から仕掛けてきたウズベキスタンが立ち上がりの主導権を握りました。明確なシュートチャンスはウズベキスタンもそう多くは無かったものの、チーム全体でしっかりとプレスの連動とセカンドボールの回収をスムーズに行っており、日本はそれに対してなかなか3トップはおろか、中盤の山本理仁や松木玖生まで繋げることも難しい状況となり、なかなか日本陣内から脱出する事が叶わないまま時間が経過します。

 

 

 

日本の4-1-2-3に対し、ウズベキスタンのシステムは4-2-3-1。即ちちょうど上手いことお互いの陣形が噛み合うような形になっていた事で、マンツーマンで守ってくるウズベキスタンにとってはまさにゾーンと人の両立がしやすい状況でプレスに行けていた事で、特に日本はミドルゾーンのところでより困難に陥るようになっていきます。

そこで日本はロングボールを用いて、ウズベキスタンボールになったとしてもチームとして自陣を脱してラインを押し上げられるように図り、実際に28分にはそういう流れで相手守備陣にプレスをかけられる状態になってから佐藤が決定機を迎えるもシュートは上手くヒットせず。

 

 

 

それでもなかなかリズムを掴めない、2本目〜3本目のパスが繋がらない日本は、準々決勝カタール戦のように山本を右サイドに張らせることでチャンスメイクのポイントを作ろうとするなど試行錯誤を行いますが、総じて前半はウズベキスタンのゲームとして経過。

日本としては苦しい展開のまま前半を0-0で終えます。

 

 

後半はキックオフから日本が押し返すようにコンパクトな陣形をウズベキスタン陣内で形成することができた事で、前半には見られなかったような場面が早い時間帯から見せられるようになっていきました。48分には前半は目立つ場面のあまりなかった細谷真大と松木玖生がコンビネーションからチャンスを創出。ウズベキスタン守備陣も高い集中力でこれに対応しますが、ファーストアタックとしては日本は一つの形を後半頭に提示します。

 

 

 

しかしそのまま日本ペースに持ち込みたいところでしたが、前半はコンパクトな陣形とハイプレスでリズムを作ったウズベキスタンは後半の出鼻を日本が取った事で多少の軌道修正を行い、チーム全体としてワイドにポジションを取って逃げ場を作りながらカウンターを仕掛けられるような形にシフトしていきます。これにより日本はサイドのケアを強いられた事で押し込みきれず、試合は前半ほどのウズベキスタンペースではなくとも五分に近い展開に戻されてしまいました。66分にはショートコーナーからカットインしたジャロリディノフにシュートを放たれますが、ここはGK小久保玲央ブライアンがビッグセーブ。

日本は62分に松木と藤尾を下げて荒木遼太郎と平河悠を、71分には山本と佐藤を下げて川﨑颯太と山田楓喜を投入。最初は右で投入した平河を山田投入に合わせて左に移した以外は同ポジションでの交代策で得点を狙います。74分には荒木のパスを受けた平河のスルーパスをインを取った川﨑がクロスを入れファーサイドの山田が頭で合わせますが…フリーの好機は枠の上。

 

 

 

一進一退……お互いに疲労もピークに達する中で、少しずつオープンになる展開はその瞬間を迎えようとしていました。

途中の荒木と相手GKの接触もあって11分と長く取られたアディショナルタイムの早々、相手の縦パスを高井幸大がカットしたところに始まり藤田に繋ぐと、藤田の縦パスを荒木がヒールで落としてボールは山田へ。山田が振り抜いた左脚から放たれたシュートはグラウンダーでゴールの隅へ!!!先制!!!山田!!!山田!!!山田楓喜!!!

 

 

しかしドラマはまだ終わりません。白熱の物語は最後にもう一つの展開を残していました。

得点直後、右サイドからアブドゥラフマトフが入れたクロスはファーサイドに向かって関根とオディロフが競り合いますが、関根がハンドを取られてしまいこのタイミングでPK宣告。

しかしそこに立ちはだかったのは新たなる守護神!!

 

 

 

 

 

日本優勝!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

いやー…勝ちましたね!素晴らしい!やったぁ!

 

 

世代別代表はあまりにもメンバーが色々と動くとはいえ、この試合の日本の立場って、むしろ日本の方がリベンジを期す立場だったんですよね。だから手強いのは当然と言えば当然なんですけど、カタールイラクが明確に対日本戦仕様のシフトを敷いてきたのに対して、ウズベキスタンは立ち上がりから日本陣内を制圧する事で押し込もうとしてきた。つまるところこの大会での日本にとって、初戦の中国戦はともかく0-0の状態から終始リアクションを強いられる展開は今日が初めてだったんですよね。前半は攻撃面に関してはウズベキスタンの包囲網から抜け出せずに苦労しましたが、その中でも守備では最低限耐える、流れの機が変わる瞬間を待つ為の耐える守備はしっかりと落とし込めていた。まずそこは今大会の勝ち上がりに於いて大きなポイントだったのかなと。

後半に関しては、まず日本がそれこそ前半のウズベキスタンのように後半開始5分の段階で主導権を握り、ハーフェーラインをスタートラインにするくらいのライン設定でハーフコートゲームの状態を作る事を掲げていたと思います。そしてそれはある程度上手くいった。ただウズベキスタンもそれに対してギリギリまでワイドに拡げて逃げ場を作り、ピッチとしてはあえて一番遠回りに見えるルートからカウンターを狙う形でそれを掻い潜ってきた。後半立ち上がりに主導権を握った時点でウズベキスタンに局面をイーブンに戻された事は誤算だったのかなと。そういう意味では日本もウズベキスタンも後半は刺すか刺されるかの展開になっていった。その中で最後はなんとか地力を押し出せたと思いますし、押し出せるチームにはなっていたのだろうなと。

近年はJFAとその周りを脊椎反射的に叩く人が増えたように見えて、イメージであまりにもフェアじゃない見られ方をする人もいる。大岩監督もその文脈の中に少なからず絡め取られていたところはあるようでしょう。実際に鹿島時代を見てもいわゆる「ウケの良いサッカーをする監督」では無い。ただ元々大岩監督は魑魅魍魎奇々怪々のACLを制し、主力が3人海外に抜かれて怪我人まで続出した2019年の鹿島を批判されながらも全てのコンペティションで上位に持っていった実績が物語るように修羅場をサバイブしていく為の方法論を持っている。そしてそれを踏まえた采配はこの大会で大きな助けになったと思いますし、何より大岩監督は「ベストではなくてもベターな事は最低限やらせる」「やるべきを事をしっかりとやらせる」というアプローチに実に長けている。思えば京都合宿のTeamCamのミーティングの冒頭で「やるべき事」というフレーズを強調したのはそういう部分にもあったのでしょう。そして誰よりも大岩監督自身が、近年のJFA自体を取り巻く少々アンフェアな逆風の中でもやるべき事をやり切った。素晴らしいチームビルディングだったと思います。

 

 

 

個々の好き嫌いは色々あるとは思いますが、なんやかんや言っても、日本サッカーは右肩上がりでの成長を続けていると思います。

もちろん、今大会でインドネシアが示したようにその成長速度が他国と比べると鈍化しているところは否定しません。ただ、サッカーの世界には急激な繁栄の末に没落を遂げたチームや国がいくつもあった。そのサイクルを10〜15年で激しく行き来している国だっている。何より、1964〜1968年前後の日本がそうだったとも言えるでしょう。その中で日本は紆余曲折はあれども、それが他の国と比べて緩やかであったとしても右肩上がりでJリーグ誕生以降の30年を歩んでいます。

W杯や五輪に出る事にリアリティを抱けず、その舞台の入口に立つ事を至上の夢とした時代は過ぎ、今ではW杯や五輪に出られなかった時代にリアリティを抱けず、W杯や五輪に出るのは当たり前、そこで結果を出す事に夢を置く時代となった。ハードルの高さはスタンダードの高さに比例する。出て当たり前という見られ方をする高いハードルを、一発勝負という取り返しがつかない舞台で飛んで見せた彼らは、新興勢力を前に韓国やオーストラリア、サウジアラビアも陥落したトーナメントの頂上でトロフィーを掲げました。それは日本にとって、決して過小評価されるべきではない"当たり前の事"なのでしょう。スタンダードを超え続けるというミッションを絶やす事なくパリへと繋いだ彼らに感謝しかありません。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

AFC U-23アジアカップ2024

優勝:日本☆パリ五輪出場

準優勝:ウズベキスタン☆パリ五輪出場

3位:イラク☆パリ五輪出場

4位:インドネシア★パリ五輪予選プレーオフ進出

ベスト8:カタールサウジアラビアベトナム韓国

 

 

勝った!!

ではでは(´∀`)