三銃士とかいう響き
どーもこんばんは
さてさて、アジアカップ2023が始まりました!
通算5度目となる優勝を目指す日本代表ですが、いわば日本代表とアジアカップの歩みはその成長の軌跡を映すようなものでもありました。
という訳でこのアジアカップを機に、日本代表が過去に戦ってきた8回のアジアカップを振り返っていきたいと思います。
最終回は2019年UAE大会です。
西野朗監督の下でロシアW杯でベスト16に進出した面々は過去のW杯と比較してもやや年齢層が高かった事もあってか、ロシアW杯後にコーチから昇格、かつ五輪代表監督と兼任する形になった森保監督は大幅な世代交代を敢行。本田・岡崎・香川が長らく君臨していた2列目を中島・南野・堂安の「三銃士」と称されたトリオにごっそり入れ替え、伊東や冨安といった新戦力を加えてロシアW杯からは半年でメンバーの半分が入れ替わる形となりました。親善試合とはいえ、刷新されたメンバーでウルグアイとの撃ち合いを制するなど視界良好で迎えた森保ジャパン初の大舞台。しかしそこでは予想以上の困難が待ち受ける事に……。
そんな2019年のアジアカップを振り返っていきたいと思います。
【過去のアジアカップを振り返ろう】
⑧2019年 UAE大会(準優勝)
アジアカップ2023観戦ガイドを作成しました!コンテンツは随時更新しておりますので、是非ご活用くださいませ!
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2023年のJリーグを振り返る記事も色々更新しています。それらの記事はこちらにまとめておりますので是非!
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オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。
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【アジアカップ2019 日本代表】
《スタッフ》
監督:森保一
コーチ:横内昭展
コーチ:斉藤俊秀
GKコーチ:下田崇
フィジカルコーチ:松本良一
《登録メンバー》
DF3 室屋成(FC東京)
MF6 遠藤航(シントトロイデンVV)
MF9 南野拓実(レッドブル・ザルツブルク)
FW11 北川航也(清水エスパルス)
FW13 武藤嘉紀(ニューカッスル・ユナイテッド)
MF14 伊東純也(柏レイソル)
FW15 大迫勇也(ヴェルダー・ブレーメン)
DF16 冨安健洋(シントトロイデンVV)
DF19 酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)
MF21 堂安律(FCフローニンゲン)
GK23 シュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)
アジアカップ2019 グループF第1戦
日本3-2トルクメニスタン
2019年1月9日15:00@アール・ナヒヤーン・スタジアム(アブダビ)
日本得点者:大迫勇也(56分,60分),堂安律(71分)
トルクメニスタン得点者:アマノフ(26分),アタエフ(79分)
アジアカップ2019 グループF第2戦
オマーン0-1日本
2019年1月13日17:30@シェイク・ザイード・スタジアム(アブダビ)
日本得点者:原口元気(28分)
アジアカップ2019 グループF第3戦
日本2-1ウズベキスタン
2019年1月17日17:30@シェイク・ハリーファ国際スタジアム(アル・アインFC)
ウズベキスタン得点者:ショムロドフ(40分)
当初予定していたメンバーから10番を背負う予定だった中島など3名も変更され、かつ大迫と東口も開幕直前まで別メニュー調整を余儀なくされるなど複数の計算外が勃発した中で森保ジャパン最初の大舞台は幕を開けた。
すると初戦は完全にノーマークの相手だったトルクメニスタンに前半からゴラッソを叩き込まれ、前半をまさかのビハインドで折り返す緊急事態に。それでも後半に入るとようやくリズムを掴み、大迫の2ゴールと飛ぶ鳥を落とす勢いの20歳堂安のゴールでどうにか逆転。最終的には3-2の辛勝という不安の残るスタートとなった。
続くオマーン戦からは大迫も欠場という事態が発生。それでもオマーン戦は原口のPKを守り切り1-0で突破を決めると、スタメンを総替えしたウズベキスタン戦では追加招集だった武藤と塩谷のゴールで逆転勝利。全試合1点差ながらグループステージ全勝を果たし、なんやかんやで勝ち切る盤石さと内容の閉塞感の両端を併せ持つ形で決勝トーナメントに進んだ。
アジアカップ2019 ラウンド16
日本1-0サウジアラビア
2019年1月21日15:00@シャルージャ・スタジアム(シャルージャ)
日本得点者:冨安健洋(20分)
2019年大会より出場チームが24ヶ国に拡大された為、この大会より準々決勝の前にラウンド16が行われる事となった。F組を全勝で首位通過を果たした日本はE組2位とラウンド16で対戦するトーナメントだったが、ロシアW杯最終予選で日本と1勝1敗、W杯でも1勝を挙げていたサウジアラビアがカタールに敗れてまさかの2位通過。ラウンド16にして、日本は想定外の大一番を迎えてしまう事になる。
大迫の欠場が続くワントップはオマーン戦では北川、ウズベキスタン戦では武藤を起用したが、この試合では武藤をスタートで起用。アジアカップで実に7回目の対戦となった試合は序盤からサウジに押し込まれていたが、20分に前半ほぼ初めてのチャンスで柴崎のCKを20歳の冨安が頭で合わせて先制に成功する。その後は日本にも何度か好機が訪れたが追加点は奪えず、そうこうしているうちに後半は、後半のサウジのポゼッションが75%を超えるほど攻め込まれる試合展開になった。それでも吉田&冨安の若手とベテランのコンビを中心にサウジのクロスを何とか跳ね返して試合終了。どうにかベスト8進出を決めた。
アジアカップ2019 準々決勝
ベトナム0-1日本
2019年1月24日17:00@アール・マクトゥーム・スタジアム(ドバイ)
日本得点者:堂安律(57分)
準々決勝の相手はベトナム。ベトナムのベスト8進出はサプライズではあったが、パク・ハンソ監督が就任してからは世代別代表を中心に結果を出し始めており、五輪世代が戦った半年前のアジア大会では消化試合だったとはいえグループステージでベトナムに敗れた背景もあっただけに侮れないダークホースではあった。
序盤からベトナムのスピード感とハードな守備を前にややリズムを掴めなかった日本は24分に柴崎のCKを吉田が合わせて先制…かと思われたが、VARにより吉田がハンドを取られてノーゴールと判定される。それでもここから少し落ち着きを取り戻した日本は徐々に試合の主導権を握っていくと、57分には原口のパスを受けた堂安がエリア内で倒され、一度は流されたが今度はVARに救われる形になってPKを獲得。試合前日に「明日(ベトナム戦)で点を取らなければ坊主になる」と公言していた堂安が自ら決めて先制した。
その後は押し込まれた日本は危険なクロスやミドルを打たれる場面こそあったがエリア内では仕事をさせず、72分に大迫が途中出場で復帰してからは攻撃のリズムも再び生まれていた。試合内容の不安点と堅実に勝ち切る守備力の両面が混在している状態だったが、どうにか準決勝まで駒を進めた。
アジアカップ2019 準決勝
イラン0-3日本
2019年1月28日18:00@ハッザーア・ビン・ザーイド・スタジアム(アル・アイン)
日本得点者:大迫勇也(56分,67分),原口元気(90+2分)
ベスト16でサウジアラビアが日本に敗れ、準々決勝ではオーストラリアと韓国がそれぞれUAEとカタールの前に敗退。そういう状況で準決勝のカードが日本vsイランになった事で、この準決勝を「事実上の決勝戦」と捉える向きは両国以外にもあり、日本とイランも「ここを越えれば…」という思いは強かったように思う。
大迫が初戦以来となるスタメン復帰を果たし、この大会のベストと呼べるメンバーを起用していて挑んだ日本。日本もイランも「アジア最強チーム」とも言われていたが、前半はその呼び声に相応しいハイレベルな試合展開となり、日本もイランも得点チャンスを創出し、それを統率された守備陣がきっちり食い止める一進一退の攻防が終始繰り出されていた。しかし後半はイランにダーティーなプレーが目立つようになった中、自滅するように崩れていくイランと、それに乱されない…むしろそこを突いていく高い集中力を切らさらなかった日本の間で大きな差が生じていく。56分、ドリブル突破を試みた南野が倒されるがイランのDFはノーファウルを主張。実際にファウルは取られなかったがプレーを完全に止めてしまったイランに対し、南野は一人ボールを回収してクロスを入れると大迫がニアで合わせて先制に成功する。
遠藤の負傷退場というアクシデントはあったが、67分に大迫がPKを決めて2点目を挙げると終了間際には原口が3-0となるゴールを決めて3-0の圧勝。事実上の決勝戦とも目された試合で、日本は今大会でぶっちぎりに素晴らしいパフォーマンスを見せた。だが、ファンの間にまでこの試合でピークに達した感がどことなく充満していたが、この試合が事実上の決勝戦ではなかった事を日本はすぐに知る事となる。
ちなみに、未だに擦られるほど有名な「アズムンご乱心事件」「長友なんにもやってないのイエロー貰った事件」はこの試合で起こった乱闘での話である。
アジアカップ2019 決勝
日本1-3カタール
2019年2月1日18:00@シェイク・ザイード・スタジアム(アブダビ)
日本得点者:南野拓実(69分)
カタール得点者:アルモエズ・アリ(12分),ハーティム(27分),アフィフ(83分)
2011年大会以来となる決勝進出を果たした日本は、準決勝で遠藤が負傷した事に伴い、本来はDFながらこの大会では一貫してボランチで起用されていた塩谷が代役として先発出場。また、準決勝翌日には権田の鳥栖からポルティモネンセへの移籍が発表された為、史上初めてオール海外組でスタメンを構成する形になった(塩谷はUAEでプレーしていたのでオール欧州組ではない)。
かつては帰化政策を中心に代表を強化していたカタールだったが、サッカーに限らず才能のあるアスリートの育成機関であるアスパイア・アカデミーで育った選手達がちょうど花開き始めた時期であり、監督のフェリックス・サンチェスを始め、現在はFCバルセロナの監督を務めるシャビなどスペインから多くの指導者を招聘するなどして一貫した育成コンセプトの下で確実にレベルアップしていた。それでも事前の予想は日本圧倒的優位とされていたが、12分に大会得点王となるアルモエズ・アリにオーバーヘッドを叩き込まれて先制を許すと、そこからカタールの攻撃を捕まえられなくなった日本は27分にも失点を喫して前半から2点ビハインドを背負う事に。前半はこの決勝戦を見ていた全員の予想を裏切る形になる。
カタールの攻撃に対する対処は前半のうちに一定の答えを出せるようになったが、攻撃に関しては2点リードを奪ってセーフティーになったカタールを前にブロックを打開する事が出来ない。62分に武藤を投入して以降は武藤がカンフル剤になって少しずつ流れが生まれていき、69分には塩谷が大迫に当てた縦パスに反応した南野が抜け出してなんとか1点を返したが、人数をかけてブロックを固めるカタールの牙城を崩さず、逆にカウンターから与えたCKから吉田がVARの末にハンドを取られてしまい1-3。終盤は伊東と乾を投入して猛攻を試みるが、2点ビハインドの状況は常に日本に重くのしかかり試合終了。イラン戦で一つの到達点に達したチームに待っていたのは戴冠ではなく、カタールW杯に至るまで加熱し続けてく森保解任論はこの試合の惨状から始まっていく事となった。
《大会総評》
ロシアW杯から半年しか経っていない中で、ロシアW杯メンバーでの招集は当初の発表では9人しかいなかった訳で(後に乾と武藤が追加招集された事で11人になった)、最終的には中島が不参加となったので原口を起用しましたが、2列目に中島-南野-堂安を並べるなど、森保監督としては結果を目指す事と同じくらい「世代交代を進める」「世代交代を内外に印象付ける」という狙いが強かったと思います。これまでは親善試合で相手もある程度前に出てきた事でファンタジックな躍動感を見せた新顔のアタッカーも、初めてドン引きされるようなアジアカップ特有の戦いに飲み込まれる形になった。そこでの正しい立ち振る舞いがなかなか掴めていなかったというか、その辺りが内容の停滞感を生むにあたって大きな要素だったように感じまし、逆に一番難しそうなイラン戦が一番イキイキしていたところでもあったのかなと。
そんな中で守備の集中力は常に高く保ち、サウジアラビア戦やベトナム戦のようにそれが最終的な担保になるような形で勝ち上がったのがこの大会の日本代表でしたが、もちろん細かい戦術的なところや、日本の想定よりもカタールの完成度が高かったところも大きかったのですが、終わってみればイラン戦で一つ達してしまったようなところは日本にあったのかなと。ただ、以前のブログで「森保ジャパンはW杯に向けてサンプル集めの旅路を歩んでいた」みたいな趣旨の記事を書きましたが、最終的にはこの準優勝に至る失敗も血肉には出来たのかなと。
前川親子の物語性…
ではでは(´∀`)