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バーリトゥードに吹く風〜アジアカップ2023 準々決勝 イラン代表 vs 日本代表 マッチレビューと試合考察〜

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食べたかんぴょうがメンマに見えた夜、いかがお過ごしでしょうか。

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューAFCアジアカップ2023準々決勝、イラン代表vs日本代表の一戦です!

 

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道のりは決して順風満帆ではなく、なんならグループステージでは1回負けました。ベトナム戦では相手の奇襲に苦しめられ、インドネシア戦バーレーン戦でもクリーンシートは叶わなかった。個人であったり、チームであったり……勝ち試合の後も批判はまだしも、理不尽なほどの批判が渦巻く事も少なくはなかった……それでも日本代表はここまで、自分達のやるべき事を一つずつこなし、一つずつ階段を上り、一つずつ優勝に近づく過程でここまでやってきました。

対戦相手はイラン。日本と同様、この大会に於いて優勝候補としての特に説得力を持つ数少ない国の一つです。日本がアジアカップで優勝まで辿り着きたいのであれば、これはいずれどこかでぶち当たる局面である事はわかりきっていた事。相手がイランだろうがどこだろうが、日本はこれまでやってきたように一つずつやる事を、やるべき事を重ねて頂上まで行かねばならない、それはたとえ、どんな想像もしていないような困難と障壁に見舞われたとしても───。アクシデントを抱えた中で挑むこの大一番も、日本にとってターニングポイントではなくこなすべき一つの過程となるような戦いにしなければなりません。それこそがアジアカップ優勝への、そして世界への道の一端だと信じて、かつて辿った優勝への軌跡を、日本がまだ知らない歩み方で上り詰めていきましょう。

両チームスタメンです。

 

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日本はラウンド16のバーレーン戦からスタメンを3名変更してきました。基本的に左サイドは中村敬斗を起用しバーレーン戦からは三笘薫も復帰しましたが、今日は左WGとして前田大然を配置。左SBはインドネシア戦バーレーン戦に先発した中山雄太ではなくイラク戦以来の先発出場となる伊藤洋輝を起用し、左サイドを入れ替えた形になりました。また、旗手怜央が負傷した中盤はバーレーン戦の旗手の負傷退場時と同様に守田英正を起用しています。

イランはPK戦までもつれ込んだラウンド16のシリア戦で、アズムンとWエースと目されていたタレミが退場処分を受けて出場停止となりました。それに伴い、ゴッドスを一列前で起用するなどいくつかの配置変更を施してこの試合に挑みます。

 

 

 

本日の会場はカタール、ライヤーンのエデュケーション・シティ・スタジアムです。

カタールW杯用に建設されたスタジアムの中でも比較的早くに完成、稼働していたスタジアムの一つです。多くのスタジアムが2021年に完成した中でこのスタジアムは2020年の時点で使用を開始しており、2020年のACLやクラブW杯の決勝戦も開催されました。セントラル開催だったACLの際にはFC東京が全試合を戦っていますね。

カタールW杯用に建設されたスタジアムはアラブ感漂う特徴的な外観のスタジアムが多かったですが、このスタジアムに関しては比較的モダンな造りの外観のスタジアムになっています。カタール教育機関「エデュケーション・シティ」の中に位置するスタジアムは、日本にとってはイラク戦に敗れた悔しい思い出の残るスタジアム。このスタジアムを屈辱の地としてカタールを去る訳にはいきません。さぁ、大一番です!

 

 

序盤は自陣からビルドアップで組み立てたい日本とハイプレスを敢行してくるイランという構図で始まった試合でしたが、序盤は日本のバックラインに対してもイランが激しくプレッシャーをかけてきた事でややアバウトなボールの応酬となる展開に。

その中で日本も伊藤洋輝や遠藤航が低い位置を取る事で対応しようとしましたが、序盤はややイランのプレッシャーが強く、日本も高い位置まで進めば上手くプレー出来るものの、逆に自陣に入った時には苦しめられる展開になっていました。

 

 

 

ただ、イランの猛攻に近い時間を過ぎた20分頃からは試合は徐々に日本ペースになっていきました。

イランは前線がハイプレスをかけていましたが、大会前の時点でイランのウィークポイントとも思われていたDFラインのアジリティがミスマッチを起こす形になり、ゴール前を固める最終ラインと果敢にプレスをかける前線の間が割と空白地帯と化した事で、日本は一度前線につける事が出来ればパス回しもセカンドボール回収も自分達の意のままに出来るような形になっていきます。

19分には相手陣内で前田が粘ったところを回収した堂安律が更に粘って粘ってシュートに持ち込み、これはDFにブロックされましたが、少しずつリズムは日本に傾いていきました。

 

 

 

イランに中は固められていたものの、そこを少しずつ剥がせるようになってきた中で迎えた28分でした。守田は上田綺世にボールを当てると前線に走り込み、上田からのリターンを受けるとそのままエリア内に侵入。難しいバウンドのボールながらも巧みなボールコントロールでイランDF3人を振り切ると、最後は体勢を崩しながらもGKとの1対1を制してゴール!!

 

 

前半の終盤はイランがクロス攻勢を仕掛けきて、それに対する対応に追われたこともあってピンチが続く展開にはなっていましたが、いずれにしてもイランに決定機と呼べるようなシーンは与える事なくしっかりと前半を締めて前半終了。1点リードで後半に向かいます。

 

 

しかし後半はイランが長いボールとワイドなエリアににロングボールを徹底する事でペースを掴み返すようになりました。50分には後方からのロングボールに対してアズムンが板倉を振り切ってシュート。ですがここはGK鈴木彩艶が好セーブで阻止します。

直後には日本も久保のクロスに上田、ショートカウンターから守田のパスを受けた久保がシュートチャンスを作りましたが、この2つの好機で追加点をもぎ取る事は出来ず。

 

 

 

すると55分、イランは後方からアズムンに縦パスを当てると、アズムンはポストプレーどころか反転して板倉を振り切って前線にスルーパス。このパスに抜け出したモヘビはGK鈴木との1対1を冷静に制してイランが同点ゴール…。1-1、後半の立ち上がりから日本にとっては痛恨の被弾…。

 

 

同点に追いつかれた直後は堂安の右、前田の左と両サイドから崩そうとする場面はいくつか見られていました。しかしここからは完全にイランの時間となり、62分にはロングボールを受けたアズムンが板倉、そして毎熊を立て続けに振り切ってニアにシュート…ネットが揺れて絶望が走りましたが、この場面はどうにかオフサイド判定に救われてノーゴール。

日本は67分に久保と前田を下げて南野拓実と三笘薫を投入して形勢逆転を図るもイランの猛攻を一身で受け止めるような苦しすぎる試合展開に。68分にはゴッドスの落としに反応したアズムンのシュート、72分にはモハマディのクロスにアズムンが頭で合わせますが、前者は鈴木がセーブ、後者はなんとか枠を逸れて難を逃れます。それにしてもこの時間帯は完全にイランペース。日本はセカンドボールの回収もままならず、イランに蹂躙されるように攻め込まれる展開に。

 

 

 

日本はサイドから単発でクロスを上げるしかなくなっていき、ミドルゾーンはほぼほぼイランが制圧。セカンドボールは全てイランに転がり、上げられたクロスをどうにか跳ね返し、なんとか耐えて耐えて……。

4分のアディショナルタイムも終わる頃、過程の頓挫は唐突ではない形で訪れました。

 

 

日本、終戦

史上最強──その言葉は理想を映す称号とはならず、ショックを横たわらせた屈辱に塗れたカタールの地。前回大会のリベンジをイランに果たされる形になった日本のアジアカップはベスト8という結果で幕を閉じました。

 

 

 

まぁ……イラク戦もそうでしたけど、負けという結果は妥当な結末ではあったと思います。むしろアディショナルタイムまで2点目をよく耐えたと言う方が正解のような。それだけ後半は苦しい試合でした。

言っても前半は悪くなかったというか、ゲームプランであったり試合の解釈としては決して悪い内容では無かったと思うんですよ。まず相手がイランである以上、日本がワンサイドゲームを展開出来る可能性はよほど物事がうまく回らない限り起こり得ない。それを踏まえれば先制も取れましたし、ハイプレスで来るイランに対して自陣に遠藤や伊藤も降りる形で丁寧にビルドアップしながら、イランのハイプレスの勢いが落ちるまで守備もビルドアップも耐えて実践出来ていた。その為、ハイプレスをかける前線と、それに対して機動力が高いとはいえないイランのDFラインのギャップが出るまで待つ事が出来ましたし、実際に前半15〜20分くらいから40分くらいまではそのエリアを支配する事が出来ていた。左WGに入った前田が攻守に於いて躍動する事はイラン守備陣の意識を確実に撹乱させていましたし、そこに堂安や久保が絡む事も出来た。守田のゴールシーンにしても、そういう流れの中でイラン守備陣の体形がぐちゃぐちゃになっていたところあったでしょうし。試合の入り方、この試合に対するプランとしては決して悪く無かったとは思います。

 

 

ただ…後半に関しては苦しかったですね。やっぱり。タラレバが許されるならば、後半開始早々の上田のヘッドが決まっていれば多少イランもガクッと来たのかもしれないですけど…。

危惧していた事の全てが悪い方に転がった後半でした。まず、こればっかりは板倉が明言していないので推測でしかモノを言えませんが…バーレーン戦でも脚を痛めた節のあった板倉は前半途中でも脚を痛める場面があってそれが影響したのか、イエローカードを既に貰っていた影響か…普段の板倉、或いは前半の板倉と比較しても明らかにらしくないプレーを連発してしまっていた。今日はGK鈴木が素晴らしいセーブを度々披露していましたけど、それに繋がる過程も結構危ない場面がありましたし。同時に、右SBの毎熊は今大会に於いて攻撃点は100点では足りないほどのパフォーマンスを見せる一方、守備面に於いて状態の悪くなった右CBの板倉をカバーするほどの動きはまだ出来なかったですし、それがある種の合わせ技のようにもなってしまった。結果的にこの日本の右寄りの真ん中が後半は目に見えたウィークポイントになってしまっていました。

ましてや、イランは今日はWエースの一角であるタレミが出場停止。これは日本にとって追い風とも思われましたが、イランは逆に割り切ってアズムンの抜群のキープ力を活かして板倉か冨安を釣り出す事でCBを一枚消し、毎熊や伊藤が中に戻りきれない間にクオリティの高い2列目が掻っ攫うように裏に出ていくような戦い方までしてきた。日本の弱点を突くという意味ではベトナム戦もそうでしたが、ベトナムであれば日本は最悪個でどうにか出来てしまう可能性は高い。ただイラン相手だとそうはいかない。三笘や久保、堂安らの攻撃陣をアジアレベルで止めるのは難しいのと同じように、アズムンやゴッドス、ジャバンバフシュらも同じような事を言われているアタッカー陣な訳ですから、ロングボールを用いたバーリトゥードのような戦い方で日本を殺してきたのがイランのやり方で、そしてイランにはそれを完遂させてしまうだけの個人のクオリティも担保していた。片方の翼の折れた飛行機でどうにか延長戦に着陸させようとしていたのが後半の日本だったのかなと。

 

 

 

それと今日に関しては……アジアカップ全体として、については後日ブログで書きますが(追記:書きました。こちらから読んでね)、まず大前提として私は森保監督をこのアジアカップをもって解任すべきとは思っていません。ただそれを大前提に、今日はあまりにも守備に関して手付かずだったかなと。

ゲームプラン上、前田起用はヒットしたと思いますし、前田をどこまで引っ張れるかというところも含めて、三笘と南野をセット投入して運動量や強度を担保しようとする事、その上で久保ではなく守備の部分で効いていた堂安を残した選択は理解出来るので、そこの交代に関しては失策だとは思っていません。ただ、守備に関しては手当はやはり必要でした。あそこで板倉を引っ張りたくなる気持ちは……選手交代は誰かを下げる必要がある以上、それはジェンガのどこを引き抜くかみたいな作業にもなるので、あの均衡の中で板倉を下げにくい心情は理解は出来ます。ただそれならせめて…例えば菅原は今大会は不調とはいえ、守備面では毎熊よりも間違いなく計算出来ますし、あの展開になれば毎熊の攻撃面での良さも出しにくくなっていたから菅原に板倉の補佐をさせる考え方もありましたし、5バックにする事だって一つの案。結局そこをケア出来ずに終わってしまった事はミスだったかな…と。

GK鈴木のところに関しては、今日は鈴木のパフォーマンスは素晴らしかったですし、最後のPKの場面なんかのような場面は大会を通じて…のテーマになってくるので、それは別で書きます。

 

 

今の日本代表は史上最強だと思っていました。しかし結果はそれを証明するものにはならなかった。それが今、カタールから持ち帰る現実の全てです。

色んな要素はあったと思います。森保監督はW杯からの逆算もテーマとして捉えているでしょうから、それに向けて勝負に徹する部分も我慢してでもチャレンジする部分の塩梅を考えて今回のメンバーになった事も理解できる。アジアでは優勝候補、W杯では中堅国である日本だけに、アジアカップとW杯では全く異なる立場で戦わなければならないズレが生む難しさもあった。平成を求める事が酷なほどの外的要因にも見舞われてしまった…そういうような要因もあります。ですが、今の日本はアジアカップに於いてはどんな宿命であろうとも優勝しか求められていない。森保監督の解任をこの結果で唱えるつもりはありませんが、この大会はベスト8という時点で擁護の出来ない失敗である事も事実です。

 

 

もうアジアカップは2027年まで優勝できない。それはもう取り返せない。であれば、今大会の敗北というサンプルデータをどう解釈して、どう活かすかを考えるしかない。

以前のブログでも書きましたが、カタールW杯の成功までの過程に於いて、森保監督はサンプルの回収し、蓄積し、最後にそれをまとめる力は間違いなく彼のストロングポイントだったと思っています。おそらく2026年に向けてもそれを前提に考えているはずで、W杯で武器になったその戦い方はアジアカップではモロに弱点になっていた。ただ、W杯に向けて間違ったやり方だとも思っていません。複数ある正解のうちの一つだと思っています。

だからこそ、森保監督にもロードマップの提示であったり、彼にも変化が求められる。日本人が誰も踏んだ事のない6年目を8年目まで伸ばす為に、現実に触れたサンプルをどう使うかを改めて考えていかなければならない。代表チームは2026年までつづく常に止まれない道を走り、最後の答えは2026年に提示される。その時に少しでもこのアジアカップの糧が活きていなければならない。アジアカップの敗戦から漉し出せる産物はそれくらいしかないでしょうから……。

 

 

 

【うれしはずかしじゅんいひょうのコーナー】

 

アジアカップ2023準々決勝》

タジキスタン0-1ヨルダン

オーストラリア1EX2韓国

イラン2-1日本

カタール1(3PK2)1ウズベキスタン

 

アジアカップ2023準決勝》

ヨルダンvs韓国

イランvsカタール

 

 

数時間脱力したなぁ…

ではでは(´∀`)