RK-3はきだめスタジオブログ

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クライマックス〜UEFA EURO 2024 準々決勝 スペイン代表 vs ドイツ代表 マッチレビューと試合考察〜

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-伝説の夜-

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューUEFA EURO 2024 準々決勝、スペイン代表 vs ドイツ代表の一戦です!

 

昨年夏のマンチェスター・シティ&バイエルン・ミュンヘン観戦日記

 

一昨年夏のパリ・サンジェルマン観戦日記

 

オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

今夜は稀に見るほど、世界のサッカーファンにとって熱い一日となる事でしょう。

「夢の対決」──その言葉がしっくりくるシチュエーションはいくつか存在する。しかして今日は、そういうゲームが半日の間に2つも訪れる。そんな夢の一日が幸せな寝不足を苛みます。

 

RK-3 UEFA EURO 2024観戦ガイドはこちらから!

 

スペインとFCバルセロナの伝説が始まったのはEURO2008、スペインがドイツを下したあの決勝戦から始まりました。南アフリカW杯を制してEURO2012まで続いたその伝説でしたが、チャンピオンズリーグバルサバイエルン・ミュンヘンが完膚なきまでに叩き潰し、そしてスペインが凋落を見たブラジルW杯で聖杯をマラカナンの空に掲げたのは他でもないドイツだった……いずれにしても、2000年代後半から急激に加速した戦術的なフットボールの流れの中心にいたのはいつもこの2つの国だったと思います。

しかしクラブレベルでは常に中心にいたはずのこの2つの国は近年、ナショナルチームは苦難の季節が続いています。ドイツは開催国なのでまた別の要素があるでしょうが、基本的にはベスト4まで辿り着けば一定の成功とは見なされるもの。そこに辿り着く関門に立ちはだかりあう赤と白。知性と意地、頭脳と根性が火花を散らす、選手入場さえ確定演出のようなドリームマッチです!

両チームスタメンです。

 

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本日の会場はシュトゥットガルトシュトゥットガルト・アリーナです。

 

 

一時期はシュトゥットガルトに本社を置く自動車会社、ダイムラー社の創始者の名を冠した「ゴットリーブ・ダイムラー・シュタディオン」としていた時期もあったスタジアム。スタジアムの開場は1933年と相当長い歴史を持っており、1950年に同会場で行われた西ドイツvsスイスの試合は第二次世界大戦後のドイツにとって初の国際試合となっていました。

ドイツで過去に行われたサッカーの国際大会では全てに会場リストに入っており、2006年ドイツW杯では3位決定戦を開催。当時は陸上トラックを架設していましたが、2011年には改修工事により球技専用スタジアムに変貌しています。

 

 

開始早々からハードなぶつかり合いで幕を開けた試合でしたが、スペインにとってはあまりにも想定外のアクシデントにいきなり見舞われます。8分、その数分前にキミッヒとの衝突により負傷したペドリが一度は復帰しながらもプレー続行不可能となり負傷退場。スペインはダニ・オルモを投入していきなりプランの変更を余儀なくされる事態に陥ります。

それでも序盤はややスペインが押し気味。15分にはヤマルがグラウンダーの際どいFKを放ちますが、これは惜しくも枠外に。ドイツはスペインの攻撃を受けつつ、ボール奪取からスピードに乗ったカウンターを狙おうとしていきます。

 

 

 

ドイツは21分にエムレ・ジャンの縦パスを受けたギュンドアンが右サイドに展開。抜け出したキミッヒのクロスにハヴァーツがヘッド。しかしこれも惜しくも決まらず。

基本的にはやはりスローペースで細かいボールと共に前進しながら崩していきたいスペインと、前に出てきたスペインに対して縦パスを入れたところからスピードに乗って崩していきたいドイツ。まさしく横軸で前進していきたいスペインと縦軸から横に広げて行きたいドイツという対照的な攻撃スタンスが交錯するように前半を終えます。

 

 

後半からスペインはルノルマンを下げてナチョを投入。対するドイツもサネとジャンを下げてヴィルツとアンドリッヒを投入して勝負に出ます。 そんな中で試合を動かしたのはスペインでした。51分、自陣からラポルテが縦パスを入れると、中央で受けたロドリが多面から右サイドへスルーパス。このボールを受けたヤマルのグラウンダーの折り返しがマイナスに転がると、走り込んだダニ・オルモがグラウンダーで流し込んでスペイン先制!!

 

 

試合はここからこの試合をクロースのラストゲームには絶対にしたくないドイツが開催国の意地を見せる反撃を敢行していきます。

57分にはラウムギュンドアンを下げてミッテルシュテットとフュルクルクを投入し、フュルクルクというポイントを最前線に置くことでパスの行き先を明確化。スペイン守備陣の合間を縫うように動くフュルクルク、そこを捕まえにいくDF陣、空いたスペースに飛び込む2列目、そしてさらにそこにカバーに行く選手……ドイツの猛攻とスペインの対応の応酬は試合をスリリングに転化させていきます。

 

 

 

なんとかマイボールにした時に前線で時間を作りたいスペインでしたが、ドイツの帰陣の速さと前への勢いと圧力を前にスペインが先制してからはずっとドイツの時間が続いていました。

中央のクロースが交通整理的なパスを散らし、そこからフュルクルクの動きに合わせた、或いは動きにとったクロスやパスを差し込むドイツは69分、ヴィルツのファーサイドへのクロスをハヴァーツが落としてフュルクルクがポストプレー。走り込んだアンドリッヒが強烈なシュートを放つもGKウナイ・シモンがスーパーセーブ!72分にもハヴァーツの決定的なシュートをカルバハルがブロックして阻みます。77分には自陣からのリュディガーの縦パスを受けたキミッヒがインサイドにスルーパス。抜け出したヴィルツのクロスをフュルクルクが相手DFに引きずられながらも合わせますが、シュートは無情にもポストに…。

 

 

 

スペインが前線のタレントを下げて守備に力を出せるメリーノ、カウンターで動けるオヤルサバルを投入して逃げ切りの姿勢を明確にすると、ドイツはDFのターを下げて遂にトーマス・ミュラーを投入。それでもGKシモンのミスキックを見逃さなかったムシアラのループが枠を逸れ、クロースのFKに合わせたハヴァーツのヘッドはシモンがビッグセーブ。ドイツの神通力は尽きたかのように思われました。

しかし89分、ドイツが攻勢を強める中でもクロースがしっかりパスを散らしてゲームメイクをするとリュディガーが前線にクロス。シュートには繋がらず攻撃のやり直しを余儀なくされますが、それでも左に持ち出してミッテルシュテットがクロスを入れるとファーサイドのキミッヒの折り返しにヴィルツ!!!!!!英雄のラストダンスを継続させるゲルマン魂炸裂!!!

 

 

あまりにも劇的な同点弾。シュトゥットガルトの熱気は最高潮の中で試合は延長戦に突入します。

 

 

 

延長戦に入ると、ハヴァーツを下げてアントンを投入してパワープレー状態を修正したドイツに対し、スペインはこれまでのFWを逃げ切り体制を図るために下げていた事もあって、ホセルを投入した上でオヤルサバルやオルモの突破に活路を見出そうとするような攻撃パターンを模索していました。

さっきに試合を決められそうな瞬間が訪れたのはドイツ。117分、キミッヒの低弾道のアーリークロスにニアに飛び込んだフュルクルクのダイビングバックヘッドもとも言えよう一撃はまたしてもGKシモンがセーブ!!

 

 

 

そして運命の刻は119分でした。

スペインはカルバハルがサイドチェンジを蹴り込みククレジャが拾うと、さらに左のオルモにパス。オルモがニアに入れた柔らかいクロスの先に両足で飛んでいたのは守備固めで入っていたミケル・メリーノ!!その頭を経たゴールは熱狂の待つネットに吸い込まれてスペイン勝ち越し!!

 

 

最終盤、ラストプレーに望みをかけるムシアラが突破して決定機まで到達しかけますが、既に一枚イエローを貰って累積警告が確定していたカルバハルがプロフェッショナルファウルで阻止。そして最後のフリーキック、いつか見た伝説のゴールの位置に歩んだクロースの右足から放たれた弾道は…飛び出したGKシモンの両手の中へ。

そしてその瞬間に試合終了!極上の120分を制し、ベスト4に進んだのはスペイン!開催国ドイツは準々決勝で姿を消す事となりました。

 

 

 

すごいゲームでしたね。知力と体力、意地とパッションと情念……サッカーを構成する様々な要素が詰まっていたゲームだったなと。

構図としては、基本的にはスペインとドイツはお互いにボール保持を望みつつ、その上でどうやって敵陣に、アタッキングサードに侵入していくかというというところは真逆のアプローチでした。WGは大外に張り、横パスを連ねながらじわじわと全体で前進して崩しにかかるスペイン。対して1本の縦パスを通してからWGがやや内寄り、SBが大外の攻撃を担保して連動していくドイツ。外→内のスペインか内→外のドイツというところで、前半はお互いに自分達のやりたいスタンスを通せていたのかなと。噛み合った試合展開だったというか、スペインが先制するまでは割りかしそういう展開が続いていました。

ただ「ビハインドの後半に波状攻撃を仕掛ける」という点ではドイツの攻め方は相性が良かった。特にフュルクルクを投入してからはフュルクルクが積極的に動いてスペイン守備陣を翻弄する、そのスペースにハヴァーツらが入ってくるというところで、クロスを入れる時にも守備側がケアしなければならない状況をドイツはスペイン相手に作れていました。そこでスペインは陣地回復の為にはカウンターでの単騎突破に頼らざるを得ない形になっていましたし、そしてその突破はほとんどが帰陣したドイツ守備陣に防がれてしまっていた。終盤のオープンな展開は心理戦的な側面もあるので、一度綺麗なカウンターがハマるとそれが決まらなくても相手に精神的な牽制をする事ができるんですけど、スペインはそれが出来なかった事でドイツが猛攻を仕掛けやすくなったところはあるんじゃないかなと。

その中でクロースの動きは圧巻でしたね。あの前傾姿勢の中で、クロースは前に行きすぎずにパスを散らす役割を果たしていた。他の選手も前がかりになりながらも必ず大外に誰かはいるようなポジショニングをしていましたし、あの状況下でもゲームをコントロールできたクロースの支配力はもう……これが最後になったんだと思えば思うほど美しいかったです。

 

 

で、スペインに関しては延長線に入った時点で不利なんじゃないか?という匂いがありました。やっぱり前線のタレントを守備固めでほぼ下げてしまっていた状態で延長線に入ってしまったので、延長からホセルを投入したとは言っても難しいところが多いんじゃないかという想像はあった。しかしそこでオルモやオヤルサバルが内寄りのポジションから突破を試みていくなど、延長後半は特にスペインの攻め方がむしろドイツ的になった瞬間があったと思うんです。

そういう意味では、スペインがあの状況、この状況でピッチ上にいる選手の中での最適解に自分達をアレンジしに行った。要は当初のプランとは違う形でも自分達を状況にアジャストさせに行った。考えてもみればプレースタイルとはまた別軸のところで、カタールW杯を代表例にスペイン代表に欠けていた…国際大会を勝ち抜くにあたって大事なバーリトゥード的な要素があの延長後半に突如湧いてきたのは、どこか小説の終盤のような快感がありましたね。

クロースの情念、最後に決めたのが守備固めに投入されていたメリーノだった事、そしてカルバハルのラストプレー……あらゆる要素の詰まった極上の120分でした。

 

 

メリーノ東京五輪来てたんだなあ

ではでは(´∀`)