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ブンデスは日本を育てすぎた〜国際親善試合 ドイツ代表 vs 日本代表 マッチレビューと試合考察〜

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さぁ、2023年のビッグイベントですよ!!

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビュー国際新全試合、ドイツ代表vs日本代表の一戦です!

 

 

 

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結局のところ、インターナショナルチームにとって大事なのは今現在の優劣ではなく、4年に一度の舞台での結果になってきます。

通常のリーグ戦や個人においては一年一年が多いなら勝負で、それを基点にそれぞれの価値が決まり、一つの答えが出る。ただ代表戦の場合は、そのプロセスの証明を果たせる場面は4年に一度しか訪れない訳で、言ってしまえばすべての瞬間が4年に一度の1ヶ月の期間に向けた前振りでしかない…と言っても言い過ぎた表現ではないと思っています。

その観点で言えば、そのポイントを制したのは日本であり、そしてそのポイントに敗れたのはドイツでした。もちろん、あの勝利で日本とドイツの立場が変わったなんて思うわけがない。日本がドイツより強くなったなんて事もない。ただ現状、代表戦という舞台で証明出来るものを持ち合わせたのは日本になる訳で、ドイツはそれを理解していたからこそ、フランスと共に日本にこの試合を誘いかけた訳です。2026年を目指すプロセスの上で、この試合はきっと一つの大いなるポイントとなるはず。親善試合とはいえガチで勝ちに行くもよし、玉砕覚悟で攻めに出るもよし、その全てが大いなる意味になる事でしょう。勝手に日本という国にサッカーを植えつけた恩人たるサッカー大国に、因縁と見られながらの一戦です!

両チームスタメンです。

 

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6月シリーズでは4-1-2-3を採用した日本でしたが、今日は3月シリーズの試合と同じ4-2-3-1にシステムを戻してきました。GKにはちゃんとA代表メンバーとしての試合では初出場となる大迫敬介を起用。CBには怪我の影響もあって第2次森保体制ではここまで招集されていなかった冨安健洋がカタールW杯以来の代表戦出場となりました。ワントップには上田綺世が入り、カタールW杯のドイツ戦と2試合ともスタメンになったのは板倉滉、遠藤航、伊東純也、鎌田大地の4人となっています。

直近の親善試合で不振に陥り、この2連戦はハンジ・フリック監督の進退も懸かっているとも言われているドイツはGKがテア・シュテーゲンとなっており、事前に言われていた通りボランチが本職のジョシュア・キミッヒは右SBとしてスタート。今日もカイ・ハヴァーツがCFでの起用となり、WGにはセルジュ・ニャブリとレロイ・サネのバイエルンコンビとなりました。イルカイ・ギュンドアンインサイドハーフで組む中盤には20歳のフロリアン・ヴィルツが入りました。

 

 

 

本日の会場はドイツ、ヴォルフスブルクフォルクスワーゲン・アリーナです。

 

 

2002年に完成した球技場で、普段はブンデスリーガに所属するVfLヴォルフスブルクのホームスタジアム。日本人では長谷部誠大久保嘉人がこのスタジアムをホームとしていました。ヴォルフスブルクといえばドイツを代表する自動車メーカーフォルクスワーゲンのお膝元として知られており、ヴォルフスブルクのメインスポンサーでもある彼らがスタジアムの命名権を取得している他、最寄り駅からスタジアムへの道中にはフォルクスワーゲンの博物館も。2006年ドイツW杯開催に伴ってドイツには大型スタジアムが多くありますが、ここは収容人数3万人とコンパクトなサイズ感であり、スタンドからピッチの導線、スタジアム外の装飾やライトアップはヴォルフスブルクのチームからである緑で統一されているのが特徴的ですね。

2011年には女子W杯の試合会場にも選ばれており、自国開催で3連覇を目指すドイツ代表は準々決勝をこの地で戦いました。絶対女王だったドイツはこの場所で準決勝進出というあくまで一つのステップを踏むだけのつもりだったでしょうが、そこに立ちはだかったのが他ならぬなでしこジャパン。この場所は日本がドイツを丸山桂里奈のゴールで沈め、優勝を果たした同大会で最も重要な勝利を挙げた場所としても記憶されています。ドイツにとっては男子W杯の因縁と女子W杯の因縁を同時に果たそうとしているのか…。

 

 

前半からドイツは守備ラインはビルドアップ的に繋ぎながらも、その上で中盤省略気味に前線へのボール供給を早めに狙っていました。対する日本は4-2-3-1ながらプレス時には鎌田を前に出した4-4-2気味の形で守備陣形を組んでいましたが、ドイツのボールホルダーに対して詰めるところ、逆に持たせて距離を取るところのバランス感覚は非常に良く、ボール保持の時間はドイツの方が長くとも日本は常に良い距離感と隊列を維持出来ており、確かに日本は守備で主導権を握れている試合展開でした。

 

 

 

11分、冨安の展開を受けた鎌田がタメを作ると、右サイドを菅原由勢がグッとオーバーラップ。完璧なタイミングでサイドをブレイクしてクロスを入れると、ニアサイドでリュディガーより前に出た伊東純也が合わせて日本先制!!

日本はボール奪取時は速攻でありながらも、鎌田のところで少し時間を作る事でスピード感のストップ&ゴーでドイツを完全に翻弄しに行くような攻撃!!

 

 

その後はスコア展開は慌ただしく動きました。

それまでほぼ完璧に守っていた日本でしたが19分、中央で少し密集した瞬間を見逃さなかったドイツがギュンドアン→ヴィルツと繋いで最後はレロイ・サネがコントロールショット。ここはドイツのクオリティを見せつけられる形でドイツに同点に追いつかれます。

しかし22分、再び冨安が右サイドに展開すると伊東が鎌田に落とし、再び菅原が右サイドを抜け出す1点目と似たような展開に。菅原のクロスをニアに入った伊東がコースを変えると最後は上田が押し込んで勝ち越し!最後の上田のワンタッチにGKテア・シュテーゲンは逆を突かれて一歩も動けず。

 

 

日本は主体的な守備のバランスと攻撃時のスピードの使い分けが巧みに光り、その後も何度か惜しい場面を作っていました。何度かドイツにもチャンスを作られたとはいえ、決定的なシュートを打てるような状況には持ち込ませないように出来ており、ドイツ相手にちゃんと日本が主導権を持つ時間は続いていきます。

前半終了間際にはお互いにそれぞれ決定機が。日本はズーレのパスミスをカットした上田がGKとの1対1に持ち込みましたが、ここはGKテア・シュテーゲンに軍配。対するドイツもサネがハーフェーライン付近から爆速で独走してゴール前まで走っていきましたが、ここは冨安がファインプレーの守備を見せてシュートを打たせず。前半はパーフェクトゲーム!日本の1点リードで終えます。

 

 

後半、日本はメンバー変更はありませんでしたが、菅原と三笘をWBで伊東をシャドーにシフトし、伊藤洋輝を左CBに引き込んだ形でシステムを3-4-2-1(5-2-2-1)に変更。後半開始早々にはまたしてもドイツのビルドアップのズレを突いて伊東が決定機を放ち、54分にも鎌田にもシュートチャンスが訪れるなど良いリズムを維持していました。

59分には上田と鎌田を下げて浅野拓磨谷口彰悟を投入。三笘をシャドー、伊藤を左WBに上げて谷口を最終ラインに組み込みます。ドイツも64分にシュロッターベックとエムレ・ジャンを下げてゴゼンスとパスカルグロスを投入していきます。

 

 

 

70分には日本は自陣から三笘がスルーパスを放つと、一気にラインブレイクで抜け出した浅野がシュートを放ちますがGKテアがセーブ。こぼれ球を三笘が組み直して狙いますが、ここもGKテアに阻まれてゴールには至りません。一方、ドイツも直後にサネが飛び出してあわや決定機のような場面に至りましたが、ここはサネを冨安が完全にシャットアウトしてみせます。

73分、ドイツはヴィルツとハヴァーツを下げてユリアン・ブランド、そしてトーマス・ミュラーを投入しミュラーを最前線で起用。日本も直後に守田と伊東を下げて田中碧と久保建英を送り込みます。試合はドイツが前がかりになるにつれてオープンペースなゲームになってきましたが、日本はハーフェーライン手前のハーフスペースを上手く活用しながら浅野が思いっきり抜け出していく形でカウンターの脅威をドイツに見せていました。

 

 

日本は84分に三笘と菅原を下げて堂安律と橋岡大樹を投入。ドイツの状況が状況なので少し押し込まれる時間が続いていましたが、それでも日本は耐える守備ではなく主体的に構えていた為、同時に常にカウンターのビジョンをチームとして描けていました。

アディショナルタイム、ドイツのパスミスを突いた久保がドリブルで個人カウンター。最後はGKをギリギリまで引きつけてパスを流し、追いついてきた浅野が押し込んで日本3点目!!更にその直後、右サイドからのスローインを浅野が落として完璧なトラップで久保が抜け出すと、最後は久保のクロスを田中が頭で合わせてなんと4-1!!!!

 

 

 

 

 

 

JAPAAAAN!!!!

 

 

 

 

 

 

素晴らしかった。もうただただ素晴らしかった。それだけです。それに尽きます。

前半から日本は良い距離感でプレスを仕掛けられていました。行く時は行く、待つ時は待つ。それをW杯の前半のような耐える守備ではなく、主体的な意識と共にドイツのポゼッションに対して構える事が出来ていましたし、ドイツがロングボールを振ってくればそこの芽はしっかりと潰していった。そういう守備の押し引きを自分達の意思を基に使い分ける事が出来ていましたし、日本は守備で主導権を握れていたんですね。

それで何が起こるかというと、日本は守備をしながら同時にボールを奪った後の攻撃のビジョンを想起出来るようになる。だから菅原が何度も抜け出したり、冨安がボールを持った時にサイドチェンジがバシバシ決まったように攻撃時のポジションにスムーズに移動出来ていた。日本が主体的に守備を出来ていた事は、その後攻撃するに至って全てが連鎖的に繋がるようになった。そこが大きいポイントだったと思います。特に前半なんかはやりたい事を全てやりたい前半だったのは間違いないです。三笘に関してはキミッヒに捕まってしまう形になってあまり目立ちませんでしたが、キミッヒが対三笘の姿勢を明確にしてきたことでかえって右サイドのスペースが空いた部分もありますし。

 

 

 

後半に関しても、日本がシステムを変えた事とドイツが結構なりふり構わず押し込もうとしてきた事で前半ほど攻撃に転じる場面は少なく、攻撃はロングカウンター主体にならざるを得ない形にはなりましたが、前半と同様に「ボールを奪った後の事も考えた守備」「ボール奪取後の攻撃のビジョンを持った守備」が出来ていました。なので3点目の久保の個人カウンターからの浅野の得点シーンが代表的ですが、誰かの攻撃モーションに対してどんな状況でも誰かが呼応していた。自分達は攻撃の選択肢を常に持ち、相手には守備の選択肢を背負わせる。それをナチュラルに繰り出せるようになった今の日本は、以前のブログで書いたように森保監督がこれまでに施してきた個へのアプローチの賜物でもあるでしょう。

 

 

この試合はあくまで親善試合です。この試合に勝っても、実際問題としてW杯やアジアカップの数字に直接関わる訳ではありません。それはW杯で日本がドイツやスペインに突きつけた事と同様です。それは冒頭でも書いた通りです。

しかし、それでも…日本がずっとその背中を追いかけて来たチームの肩に手をかけ、そして今日に限ってはそのまま振り落としてみせた。今日のドイツのスタンスは親善試合さながらの緩めのモードでは全くありませんでしたし、今日の快勝劇は日本サッカーにとって一つの到達点ではありました。ただ、ドイツにしてもいくつもの到達点を超えて更に強大になっている。日本にとってもこの到達点はあくまでステップの一つとして、世界がちゃんと恐れる日本にならなきゃならない。今日はその宣言のような90分でもあったのではないでしょうか。

本当に最高に楽しい90分でした。感謝しかないです。ありがとうございました。

 

 

寝た奴が起きて速報を見るのが楽しみだぜ

ではでは(´∀`)