RK-3はきだめスタジオブログ

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昨日と今日と明日と〜パリオリンピック 男子サッカー 準々決勝 日本代表 vs スペイン代表 マッチレビューと試合考察〜

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さぁ!!!

 

どーもこんばんは

 

さてさて、本日のマッチレビューパリオリンピック男子サッカー準々決勝、日本代表vsスペイン代表の一戦です!

 

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オリジナルアルバム出してみました!聴いてみてくださいませ。

 

 

 

グループステージで日本代表が見せた戦いぶりは、負傷者が数名出た事を除けば……控えめに言えども最高の3試合、最高の勝ち上がりでした。これまで日本が散々苦しめられたロングボール対策にも一定の答えを出し、かつて決定力不足を嘆かれたこの国は獲るべき時に点を取れるチームにもなっていた。東京五輪では「第3戦でターンオーバーできなかったこと」がチームの課題として取り沙汰されましたが、今大会ではそれを遂行し、そして勝ってもみせた。オーバーエイジ無しでそれを達成した事は、もちろん大岩ジャパンのチームとしての強さであったり、やってきた事や取り組んできた事が明確な結果として表れたものであったと同時に、日本サッカーが歴史の上に通した軌跡で歴史を積み上げ、日本サッカーという大きな塊が育っていったことを如実に語るような結果だったと思います。そう、この国は曲がりなりにも、ちゃんと正しい道を進み、やるべきことをやってこの場所まで登ってきたんだと……。

かつて日本はドイツからサッカーを学び、ブラジルに育てられた。それが日本サッカーの少年期だったのだとすれば、青年になった日本サッカーが憧れたのはスペインでした。3年前の今日、日本サッカーは一つの集大成とも言えよう舞台で、それに値するだけのプレーを披露しながらも最後の一押しはスペインが押した。観客のいない埼玉スタジアムで見上げた空虚な空の向こうに見据えたパリの地。日本が歩んできた道の上に立つこの出来すぎたシチュエーションに、最後に勝利を重ねてメダルへと突き進んで欲しいところです。

両チームスタメンです。

 

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日本は第3戦のイスラエル戦でターンオーバーを敢行しましたので、イスラエル戦からはスタメンを7人変更。初戦のパラグアイ戦の先発から平河悠と山田楓喜を入れ替えた形になりました。小久保玲央ブライアンと山本理仁はこれで4試合連続のスタメン出場。ベンチにはイスラエル戦で負傷退場となった川﨑颯太が外れています。

スペインは直近のEURO2024にも出場したメンバーからフェルミン・ロペスとアレックス・バエナがスタメン入り。また、2021年東京五輪準決勝の日本vsスペイン戦に出場したメンバーの中から、エリック・ガルシアとファン・ミランダの2人が名を連ねています。

 

 

 

本日の会場はフランス、デシーヌシャルピューのパルク・オリンピック・リヨンです。

 

 

2016年にオリンピック・リヨン(以下:OL)のホームスタジアムとしてオープン。2019年の女子W杯ではサンドニスタッド・ドゥ・フランスが使用されなかった事から決勝戦会場として使用されました。

フランスは古くから稼働しているスタジアムが多いこともあって、イメージよりも市などの地域が保有しているスタジアムが多い中、このスタジアムはOLが市が保有しているスタジアムから独立し、自前のスタジアム建設と共に複合的なエンターテイメント施設とする為に建設されたもので、アミューズメントエリアやホテルを備えた一帯を「OLランド」と称しています。2023年からは隣接する場所に新たにLDCDアリーナがオープン。フランスにしては意外と珍しい、クラブ主導の多角的な施設運営を行なっている会場です。

 

 

序盤はワイドにプレーしたいスペインに対し、日本はとりあえずボールをスペイン陣内に入れる事、スペイン陣内で圧縮させたコンパクトな陣形を保つことを意識してゲームに入りました。実際に最終ラインを高く保ちながらスペインが迂闊にフィールドを拡げられないような攻め方をすると共に、スペインのビルドアップ時には三戸と細谷を2トップ状にした4-4-2の形にシフトする事でスペインが前進しにくい状態を維持しようというスタンスはチームとしてしっかり実践できており、立ち上がりはお互いにチャンスは少ない、逆に言えばチャンスを与えないゲームが出来ていました。

 

 

 

しかし雲を裂かれるように煌めきで刺される格好となったのが10分。山本理仁から三戸舜介への縦パスがカットされるとボールはフェルミン・ロペスへ。フェルミンが少し斜めに入ったドリブルの角度に対し、日本はしっかりとその後を見据えた守備のポジショニングで対応していましたが、そこでフェルミンが針の穴に倒すようなミドルを一閃。FCバルセロナの新星の衝撃の一発。GK小久保玲央ブライアンもなんとか触りはしますが、ゴールはそのまま吸い込まれて失点…。

失点後は少しバタついた日本でしたが、チームとしては早い段階で立て直しには成功し、中からボールを持ち運んでラインを高い位置に置いた状態を維持しつつ、サイドから中を目指すスペインとは対照的に、中でボールを動かしながらサイドのスペースを狙っていこうと試みました。32分に関根の浮き球のパスに山本が抜け出した場面のように、日本としても狙いをある程度形にできてはいたものの、シュートはそのプレーで得たCKのこぼれ球を三戸が放ったミドルがファーストシュートになるなど、スペインが最後のところはしっかりと締めてきた事でなかなか最後の一つが崩せず。

 

 

 

しかし40分、大畑歩夢のパスを藤田譲瑠チマが受けるとエリア内にグラウンダーのパス。これを受けた細谷はこちらもバルサの新星、クバルシを背中で背負いながら完璧なボディコントロールで右足一閃!こっちもワールドクラスだ!!!そう言いたくなるゴールで同点……かと思われましたが、VARの介入によりゴールは認められず。

アディショナルタイムには右サイドから山田楓喜がFKを蹴り込むとファーサイドに細谷。蹴るも完璧、合わせるも完璧なセットプレーでしたが、細谷のヘッドは無情にもニアポストに直撃…。日本は内容的にはチームのやりたい事をしっかり実践していましたが、1点ビハインドのまま前半を終えます。

 

 

日本は後半から山田を下げて藤尾翔太を投入。カットインからの打開を得意とする山田からより縦への動きに優れる藤尾を入れる事で、関根との縦関係でより直線的にポケットを貫くサイド攻撃を狙っていきます。

スペインもリードを奪った事でセーフティーにプレーし、日本は持たされている状況にはなってはいましたが、その状況からしっかりと攻撃を創出できるようなボールの動かし方はできていました。その中で右サイドから藤尾が抜ける、或いは藤尾と入れ替わった関根や斉藤が抜けて攻撃に繋げる場面は多く作れていましたが、あと一歩がどうしても合わずに遠い1点。67分には斉藤を下げて佐藤恵允を投入。

 

 

 

しかし73分でした。直前のミランダの直接FKこそGK小久保のビッグセーブで阻みましたが、そのCKでスペインはクロスではなくバイタルエリアへのパスを選択。そこからフェルミンのゴラッソミドルを叩き込まれて被弾…。0-2。良い形を作れるようになっていた日本にとって、あまりにも苦境を突きつける2失点目。

 

 

日本はそこから三戸を下げて植中を送り込み、81分には細谷がまたしても巧みな身体の使い方から決定機。ここを取れたら…という場面でしたが、シュートはGKがビッグセーブで阻止。しかし86分にはまたしてもセットプレーから最後はアベル・ルイスに押し込まれてしまい3点ビハインド…。

最後の最後までゴールを目指した日本でしたが、直後にCKから放たれた高井のヘディングシュートもクロスバーに嫌われて試合終了。56年ぶりのメダル獲得の夢はまたしてもスペインによって砕かれ、大岩ジャパンの冒険はリヨンの地にてピリオドを打つ事となりました。

 

 

 

良いゲームだったと思います。最終的にスペインとの実力差を埋めきれなかった事と向き合わなければならないのは3年前と同じでしょうが、3-0ほど快勝した感覚はスペインもそこまで持っていないとは思います。

特に前半は非常に上手く戦えていた。スペインはやはりピッチをワイドに広げた状態で戦いたい訳ですから、日本は最終ラインを高い位置にキープしつつ、攻撃時はコンパクトな陣形をベースにしつつ、圧縮と拡張を使い分けるようにプレーする。スペインに上手く守られてしまった事でそこがなかなかチャンスに繋がらなかったのは苦しかったですが、日本がそうやって攻撃していく時にスペインは否が応でもある程度中央に寄らなければならない状況を作れていました。そうなるとスペインはビルドアップで後方から繋ぐ作業と同時にポジショニングをワイドに拡げる作業をやる時間が必要になってくるので、その時間の間に4-4-2のプレスに行きやすい陣形を作り、拡げられたコースの間にしっかりと人が入れるようにしておく。スペインが望むポジショニングに移行する為の時間が必要な状況を作る事でスペインをスペイン陣内に閉じ込める。グループステージでも発揮できていた攻め方にスペイン対策みたいなものを上乗せした出来ていた前半でしたが、切り替えの早くするだけでなく攻撃の時点で切り替える為の時間の確保を上手くやれていました。

守備に関しては今大会の日本は見ている側もある程度安心して構えて見る事ができますし、実際にそれだけのパフォーマンスをDF陣も、そこに対する中盤のフォローもやってくれた。雪崩れ込んでくるWGに対する関根と大畑の対応もお見事でした。

 

 

 

だからこそ……0-0か、ないしは1-1で終われていたならば、それは日本にとってはゲームプランを完遂したと言える前半でした。それだけにあの失点とゴール取り消しは……日本にとってかなり苦しくなってしまうターニングポイントだったなと。

後半の立ち上がりにしても、1点リードでセーフティーなスタンスにシフトしてくるスペインを相手にサイドのポケットを崩すところまではやれていたと思います。単純な山田が悪かった、藤尾が良かったという話ではなく、カットインを駆使して横に刻んでいける山田から、直線的な動きを状況に応じたコースに仕掛けていける藤尾へのスイッチというのは対面の相手からしたら全く違うやり方の対応を迫られる訳で、そこは非常にやりにくかった部分だったでしょうし、実際に右からチャンスもいくつか作れていた。この試合は「心が折れそうな瞬間」が何度もあった中で、そういう瞬間の直後にそれを翻すようなプレーを見せてくれた事は美しさすらあった。日本はしっかりとしたゲームプランでスペインに対峙し、選手達もそれに準じたプレーをしっかりと見せていた。しかしスペインは、少ないシュートチャンスを仕留めるかどうかのところも含め、試合をノーミスで完遂してしまう強さがある。スペインはずっと同じ体温でプレーをし、日本が少し見せた粗を容赦なくついてきた。ある意味ではアウトサイダーとして「vsスペイン」という試合そのものが非日常空間である日本と、「vs格下」という日常のような状態でこの試合スペインのその差は大きかった。それは試合展開としては些細な差でありながらも、絶対的な部分としては大きな差だったなと。そこまで行ったからこそ見えた景色であり、そこまで行ったからこそ突きつけられた現実というか…。

 

 

 

総括ブログなるものは追々書きたいなと思っていますが、とりあえずここでも。

素晴らしいチームでした。「素晴らしいだったと思います」ではなく「素晴らしいチーム」でした。代表チームとは組織性を構築しにくい宿命の下にいて、基本的には大岩監督にしても、或いは森保一監督にしてもそれを前提にしたマネジメントを行っていると思いますが、大岩ジャパンって過去の五輪代表と比べても、チーム立ち上げ時のメンバーと五輪本戦のメンバーがあまり大きくは変わってないんですよね。それだけに、連携面であったり、試合中の細かな意思疎通みたいなところは代表チームとしてはかなり高いものがあったと思います。その上で大岩監督は、例えば3MFの「6番・8番・10番」の役割を明確化し、それに準じた選手起用を行う。この部分を軸にした上でWGやSBがどう絡んでいくか、CFの細谷がどこに動けば、誰がどこにポジションを取るのか。そういうデザインはすごくよく仕上がっていた。単に運動量の多いチームではなく、どこに走るか、どのタイミングでスプリントをするかの判断と練度、逆に守備にはここは走らずに耐えた方が良いという我慢まで含めて、状況に応じた走りの質が攻守に於いて実に高いチームだった。

思えば大岩監督はインタビューやTeamCamに収録されているインタビューで「やるべきこと」という言葉を多用していました。その上でこれまでの試合を振り返ると、このチームはその状況、その場面場面に応じた「やるべきこと」を徹底していました。それは大岩監督のアプローチと選手の意識の両輪がないと成立しない事です。何より、例えば3月の親善試合でマリ戦に敗れて中2日でウクライナ戦に望むという流れになった時、大岩監督は「本戦ではこういう初戦に負けた2日後に立て直して勝たなきゃならないシチュエーションもある」というような主旨のコメントを残し、そしてウクライナ戦に勝ってみせた。全ての失敗でさえもサンプルとして拾い集め、それを結集し、チームと個々のやるべきことに落とし込んでいく。昨日より今日、今日より明日はより良いチームになっていくような循環をこのチームは作っていました。

 

 

正解とは無数にあるものです。

本当の正解なんて言い出せばキリはない。それはその国の風土によっても、そこにどんな人間がいるかによっても、或いは時代によっても変わるものです。

それでも日本代表は、日本サッカーは、少なくとも大枠で間違った道には決して進んではいない。五輪を額面通りに評価しにくいという点を踏まえたとしても、コンスタントにここまで決勝トーナメントに行くという事は偶然だけで成し遂げられるものではありません。上記のツイートでも書いたように、これは日本代表であったり、JFAであったり、Jリーグであったり…そして日本全国津々浦々、様々なところで日々頑張ってくれている人も含めた総合的な努力と、それをしっかり回収できる体制を作ることができた表れでしょう。それは決して、この結果を偶然と捉えて斬り捨てるべきものではありません。

時として、自らの過ちを悔いるような反省のみが分析として扱われる事もありますが、出来なかった事を反省するだけではスクラップ&ビルドにしかならない。過大評価は成長を阻害しますが、悲観的な過小評価はその強みさえも奪う。良かったところは良かったとして、次に繋ぐ…特にここ何年かの日本サッカーは、そのサイクルを実に上手く回せていると思っています。

 

日本サッカーの歴史はかつて、ドイツにサッカーを教えられた幼少期があり、ブラジルに育てられた少年期があって、そしてスペインに憧れた青年期がありました。

いま、日本はそのスペインに対して、少なくとも戦えるチームになったという大人のフェーズには到達した。グループステージでの完璧なパフォーマンスからスペイン戦に繋がるパリオリンピック大岩ジャパンの流れは、日本サッカー全体のレベルアップを強く見せてくれたと思います。

本当に素晴らしいチーム、見ていて歓びのあるチームでした。ありがとうございます。胸を張って帰ってきてください。

 

 

いや、細谷と高井は帰ってくるな!!そのまま欧州に行け!!

ではでは(´∀`)